2012年05月19日

僕はマジシャン

先日言語による文字の違いのお話をしましたが、
もうひとつ、こんなこともありました。

ニュージーランドを旅していたある日のこと。
キャンプ場の炊事棟で夕飯を食べ終わった僕が日記を書いていると、
後ろに人の立つ気配が。
ふと振り返えれば、初老の白人女性が僕のノートをじっと見ています。

何だろう?
日記を書いているのに後ろから覗き見とは失礼な。

「あなた日本人?」
「ええ。」
「あ、気にしないでね、私、日本語は読めないから。」
「はぁ・・そうですか。」
「ふ〜ん・・・すごいわね。」
「何がですか?」
「これはどういう文字なの?」

僕が何気なく書いていた文章には、
漢字、ひらがな、かたかな、アルファベット、アラビア数字が混在していました。
これって、日本人なら普通のことですけどね。

「ああ、これですか?」

それぞれの文字を簡単に説明すると彼女は、

「ねぇ、ちょっと来てよ!すごいんだから!」

ありゃりゃ、仲間を呼び始めちゃったぞ。

「私、聞いたことがあってね、あなたたちは文章を縦にも書けるんでしょ?」
「ええ、横書きより本来はそうらしいですよ。」
「あなたも出来るの?」
「もちろん。」

で、さらさらっと適当な文章を縦書きで書いてみれば、

「ほぉ〜!こりゃたまげた!」
「なになに?これがジャパニーズ?」

何だかちょっとした手品でも見ているかのように驚いてくれる欧米人。
気をよくした僕は続けて、

「みなさんのお名前を日本語で書いてみましょうか?」
「え!そんなことできるのかい?」
「私の名前はKatharinaよ。」
「ではですね、
 ひらがなで、かたりーな
 かたかなで、カタリーナ
 漢字では・・・そうだな・・・華多里偉奈・・・かな?」
「わぁおっ!素敵!これ、ちょうだい!」
「もちろん。」
「僕はMichaelだよ!」
「私はJane!」

こんな調子で盛り上がったこと。

あ、みなさん、自分もやってみようかしら? なんて思ってません?

それじゃ、これでいい気になった僕が、
バングラデッシュの安食堂で同じことをやった時のことをお話しましょう。

最初の人の名前を書いた所までは問題なかったのですが、
その人が僕の書いた紙を掴んで振り上げるなり、

「みんな見てくれっ!素晴らしいじゃないかっ!
 俺の名前がこんな風になったぞ〜っ!」
(多分、こう仰ったのだと思います。ベンガル語だったもんで推測です。)

その途端、店内で僕たちを取り囲んでいたお客さんとスタッフが僕に殺到し、
掴んだ僕の肩や腕をゆさぶりながら、口々に何かを叫び続け出しました。

おまけに紙をもったお兄さんは腕を振り上げたまま、お店の外に走り出し、
同じ文句(多分)を更に大声で叫び出したではありませんか!

すると入ってくるわ、入ってくるわ・・・

ヤバイ・・・マジで・・・かなり・・・
どうしよう・・・!
ひぇ〜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

文化の境界ではいろいろな事が起こります。
真似をされる方は、その後、僕がどうなったかをご想像の上でどうぞ。

えーじ
posted by ととら at 16:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年05月17日

It's a small world

先日のディナータイム。
ちょっと興味深い光景が見られました。

3人でテーブルを囲む、小さなバースデーパーティがあったのですが、
主賓はアメリカ人。もう二方はタイ人とイタリア人。

へ〜、それぞれ地理的にも大きく離れていますね。

で、お料理をサーブし、Is everything alright? と問えば、

Yes、Delicious!
カー、アロイマーク!(タイ語はタイプ不能)
Buono!

っと来ましたか。
いいですね〜、ととら的で。

さらに面白かったのは会計の時。

Check Please!で伝票を持って行くと、
御三方、頭を寄せてワリカンの相談を始めたのかな?
と思いきや、僕の書いた伝票の「文字」の解説でした。

僕はカタカナとアルファベットの混在した文字で伝票を書くのですが、
個数は正の字を分解して表現します。
(5画ですから1から5までを一文字で表現できます。ふたつで10。)
これがウケていました。

ビールを2杯の注文は、B T となっています。
だから、Why does T express 2? Initial?
(なぜTが2を表すの?Twoの頭文字?)
だって。
彼らの目には、2画まで書きかけた正の字がTに見えるのですよね。

あまりにも身近すぎて透明になってしまった文字。
しかし、言語によっては大きな違いがあります。
英語(米語)、イタリア語で使われるアルファベット、
そしてタイ文字は音を表す表音文字。
日本語のひらがな、かたかなもそう。

しかし中国伝来の漢字は対象それぞれを指し示す表意文字。
表音文字文化圏の彼らからすると、
非常に神秘的な暗号のような印象を受けるそうです。

最後にイタリア人の方が、
Can I have this? (これ、もらってもいい?)
(挨拶や簡単な単語を除き、僕も含めた4人の共通言語は英語でした。)

通常は伝票そのものをお渡しすることはないのですが、
記念のひとつとして差し上げました。
(だったらもっときれいな字で書けばよかったな・・・)

文化の境界線では当たり前が当たり前ではなくなる、
この違いが面白いんですよね。

でも共通することもあります。
美味しい物を食べた時は、みんな笑顔。

これ、僕が知る限り、
世界共通です。

えーじ
posted by ととら at 10:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年05月15日

右か左か? 真ん中か?

ととら亭も開業して2年が過ぎ、
設備の使い勝手はかなり改善されました。

客席では、雰囲気を演出する調光機能付きLED照明。
2台のエアコン。便座もウォシュレットに変えて。

裏方では、いつでも熱いお湯が使える給湯器。
4口のガスコンロにコンベクションオーブン。
フルオートのコーヒーマシーンにビールディスペンサー。
大型冷凍冷蔵庫と製氷機にネタケース。
そして僕の頼もしい助っ人、食器洗浄器!

ん〜・・・我ながら実によく出来たシステムだ。

でもこれらの殆どは業界用語で言うと、ターミナル。
つまり「端末」なんですよ。

どれもが電線、ガス管、水道管など、
何らかのネットワークに接続して、はじめて使えるようになります。

さらにそのネットワークは、
サーバに相当する発電所や浄水場に接続されています。

まだまだありますよ。
電話やインターネットなども加えた店内をあらためて見回してみると、
僕たちが緻密な複合システムの回路内で生活していることが、
じんわり実感できるじゃありませんか。

安いアパートですら完備している、
スイッチを押せば灯りがつき、蛇口を捻れば飲める水が出て、
かちっと簡単に加熱もできる。
人間のための「快適さ」を作り出すこの巨大なシステム。
ほんとうに大した物だと思いますよ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

先日、国内の原発が全て停止しました。

夏の電力需要のピークを控えて、
電力会社、経済界、政界、そして僕ら民間人も含めて、
様々な議論がなされているのはご存知の通り。

便利と不便の単純な二者択一であるならば、
不便を取る人はまずいないでしょう。

でも、無条件にいいことなんてないのですよ。

でしょ?

そして、無条件に悪いこともないのです。

ね?

えーじ
posted by ととら at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年05月13日

知ってます?

ふと疑問に思ったのですけどね。
世に学校と呼ばれる所は沢山ありますが、
「お金の使い方」を教える学校ってあるのでしょうか?

いや、別に深い意味はないのですが、
僕らにとって、学ぶべき優先順位の高い知識だと思うんですよ。
とてもね。

あなたはお金の使い方を知ってますか?

ほんとに?

えーじ
posted by ととら at 08:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2012年05月11日

取材の準備 その1

ゴールデンウィークが終わり、
ほっと一息のととら亭。
次なるミッションは旅の料理の取材です。

実はこの仕事、
本来、今年の2月下旬にブッキングされていたのですが、
例の「裸のマスター」事件で延期となっておりました。

ともこから「今度は大丈夫でしょうね!」と横目で釘を刺されつつ、
取り敢えず押さえた航空券と現地初日の宿。

え?行き先?
ああ、言い忘れていました、中東のヨルダンです。

日本人が旅をするにはハードルが高いのか、
旅行会社の情報を見るとスケルトン型ツアーは皆無。
所謂ガイド付き有名観光地周遊型しかありません。

しかし、それでは仕事にならないので、
去年のポルトガルと同じく個人旅行となりました。

そうそう、取材地をどうやって決めるのか、よく聞かれることがあります。
年末、翌年の事業計画を策定する時に、概ね企画を作っているのですよ。
「美味しいものがある」と聞いたら、行って食べて紹介する。
それがととら亭のお仕事ですからね。
で、中東の候補地は、最初イスラエルでした。

イスラエルの料理って美味しいんですよ。
治安はエルサレムなど場所を選べば、まぁ何とかなるかな、なレベル。
ところが大問題がひとつ。
パスポートにイスラエルの出入国スタンプがあると、
エジプト、シリア、サウジアラビアなどのアラブ諸国に入れなくなってしまうのです。
(悲しいですね、こういうの。
 その経緯を紹介するのも、取材地に中東を選んだ理由のひとつなのですよ)
裏技で別紙に押してもらうこともできる場合があるようですが、
インスペクターの気分次第でドンっと押されてしまうこともあるらしく、
これはパスポートの切り替え時期にした方がよさそうだな・・・と。

で、第2候補は中東料理が最も発達していると言われるレバノン。
しかし、外務省の危険情報を見ると、
殆どの地域が「渡航の延期をお勧めします。」

そんじゃ第3候補のシリアはどうだ?
麗しの古都、ダマスカスには一度行ってみたかったのですよ。
ところがここはもう内戦寸前。
おいおい全土で退避勧告が出てるじゃん。
こりゃ、この先数年は入れそうもないな。

そして残ったのがヨルダン。
現地の治安は周辺諸国の火事場をよそに、今のところ問題なさそうです。
外務省の危険情報レベルは全土で「十分注意してください。」
たしか昨年モロッコに行った時も同じような状況でしたね。

All we need is PEACE!

ほんと。

えーじ
posted by ととら at 17:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年05月06日

リハビリ日記 その6

あれから腫れ物を触る気分で様子を見ている椎間板ヘルニア。
今のところ大丈夫です。

治ったのかな?

いや、理屈から言うと、良くて現状維持。
自然治癒はないそうだから時限爆弾みたいなものか。

では爆発させないように、
そろそろ具体的なリハビリを始めることにしましょうか。

で、手を付けたのはですね、
ストレッチか? 腰痛体操? はたまたヨガ?

違うのですよ。
「何もしないこと」を始めました。

何もしないこと、か・・・

ちょっと言葉のニュアンスが違うな。
正しくは「何も考えないこと」を試み始めました。

え? 思慮分別が足りないのは昔から?
まぁ、そうなんですけどね・・・

いやいや! そういう意味じゃなくて!

「頭の中をまっさらにする」ということですよ。

思慮分別が足りないというのは、
肝心なことではなく、
どうでもいいことで頭が充満している状態のことでしょ?
その無意味な雑念の断片を頭の中から追い出して、
心をニュートラルにするのです。

じゃ、やってみますよ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

呼吸を整えて・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いいですか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ん〜・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ん〜・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

だ、だめだっ!できん!
何か考えちゃう!

実はこれ、1ヶ月くらい前から練習してるのですけどね。
かなり難しいんですよ。
もっと頑張らなくては。
じゃなかった、
上手くやるコツは「努力しない努力をする」ことだそうです。

って、息を止めるより難しいじゃん。

みなさん、できます?

ん〜・・・・

to be continued

えーじ
posted by ととら at 15:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年04月30日

モノとスタイル

永らく旅をしていて、面白いことに気付きました。
トホダー、ライダー、チャリダー、JRer(ジェアラーと読みます)など、
旅人にもいろいろな種族がいますが、

http://totora.sblo.jp/article/39677979.html

基本的なスタイルについては、ふたつに分けられるような気がします。

それは、
可能な限り旅先で日常を再現しようとする派と、
可能な限り旅先を日常から切り離そうとする派。

これを見分けるのは簡単。
携行品を見れば一目瞭然ですから。
空港の税関よろしく内容を確認する必要もありません。
単純に、前者は量が多く、後者は少ないのですよ。

携行品、すなわち日用品とは、
ある意味、その人の生活を具体的に反映したものに他なりません。

別の見方をすると、
モノがその旅人のスタイルを決定しているとも思えます。

多くのモノを必要とする旅人は、
積載量の多い移動手段を選びますが、
必要最低限の旅人は、究極的にはトホダーとなります。
バックパッカーはその亜種ともいえるでしょう。

自分で背負い、そして歩ける量の荷物。

最初は「これもあった方が便利だな」的発想で荷物が膨らみがちでも、
やがては自ずと「これもない方が歩くのに楽だ」的思想に変わり、
場数を踏んだ旅人のバックパックは、どんどん小さくなって行きます。

確かにモノがないのは不便かもしれません。
いや、実際に不便ですよ。

でも、その不便さは、モノが溢れ、
世界で最高度のインフラが整備された東京に住む僕たちが、
なかなか学べないものを教えてくれるのも事実なのです。

それはね、
知恵を使うことと、適応すること。

やがてそのふたつの教えは、ひとつの状態に旅人を導いて行きます。

僕はそれを、「解放」と呼んでいるのです。

えーじ
posted by ととら at 15:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年04月28日

オフはオフ

昨日の雨が嘘のよう。
気持ちのいい風が吹いていますね。

僕らはいつも通り営業していますが、
この天気を楽しめないわけではありません。
ランチタイムは入り口を開けたままで営業。
ときわ通りは自動車が入れませんから、
ちょっと東京ではないような風が入ってきます。

皆さんはどんな風に連休を過ごすのでしょう?
この天気なら遠出もよし、
のんびりブランチを楽しんで、近くの公園で読書するもよし。

こんなにいい日ですから、僕からひとつ提案を。

何をするのも、どこへ行くのもいいのですが、
腕時計を外しませんか?

それから携帯電話の電源も帰宅するまでオフ。
自宅に置いてきちゃえばなおよし。

そんな日が、人生の一日にあってもいいじゃないですか。

だってほら、今日はこんなに、いい天気なんだから。

えーじ
posted by ととら at 17:15| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記

2012年04月27日

One Two Three Four!

新しい旅のメニューに切り替わって一週間が過ぎ、
ほっと一息ついたところで明日から連休。
どうにか間に合ったな、というのが素直な気持ちです。

先日もちょろっとお話しましたが、
飲食店の仕事で最も難しいのが、仕入れから廃棄までの流れ。
理屈の上で整合性が取れていても、
現実とそれがイコールでないのはみなさんもご存知の通り。
結局は「やってみなけりゃ分からない」んですよね。

だからいつでも初日は内心ドキドキもの。
他の経験で思い出すのはバンドのライブです。
照明が落ちたステージで楽器を持ち、ドラムスのカウントを待つ時。
それは格好よく言うと、張り詰めた静けさ。

ライブでは1曲目が終わった時のお客さんの反応で、
その日のステージの感触が掴めます。
思えばそれと、ととら亭のステージはそっくりですね。

ちなみに、バンドでの僕の担当はベースとコーラス。
これも今の仕事と役割は同じ。

え? ともこのポジションを例えるとですか?
そりゃもう、リードヴォーカルに決まってるじゃないですか。
マイクを持ったら離しませんから。

えーじ
posted by ととら at 17:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年04月20日

僕の善悪観

遠い遠い昔のこと。
天上にある天使の控えの間にて。

「はぁ・・・」
「うかぬ顔をしていますね、ルシフェル。」
「ええ、ガブリエル。
 昨日の天上異動報を聞けば当然ではありませんか。」
「ああ、あれは意外な内容でしたね。
 あなたがあのような役目を担うことになるとは。」
「気が重いですよ、まったく。
 職場も転勤になってしまいました。」
「え?天界の他にどこへ?」
「話に聞いただけですが、
 地上よりもっと下に天界の出張所があるそうです。」
「ああ、あれは確か、冥界と呼ばれている所です。」
「ええ、硫黄の臭いがぷんぷんして、暗く、窓もない場所らしくて。」
「それに夏の練馬並みに暑いとも聞きましたよ。」
「なんと、それでエアコンもないとは!」
「まぁその分、冬は暖かそうですからいいじゃないですか。」
「まったく、あなたは面白半分ですから。」

「それにこの格好を見て下さい。
 耳はとんがり、口は裂け、やぶにらみの目つき。
 翼の羽が抜け落ちたと思ったら、今度は尻尾が生えてきました。」
「あははは、おっと失礼。
 主のセンスは私たちの想像をいつも超えているもの。
 考えてみれば、天界で最も美しいといわれるあなたの容姿では、
 人間たちが恐れませんよ。」
「そうでしょうか?」
「もちろん。それと話し方も変えた方がいいかな。
 その容姿と口調は誰が見てもミスマッチですよ。」
「う〜ん・・・どうしたらいいのでしょう?」
「声のトーンを落として、粗野な感じを出してみては?」
「こんな感じかい?」
「お、ちょっと雰囲気が出てきましたね!
 さすがは天上忘年会の隠し芸で賞を取っただけはある。」
「ふん、あれがヤバかったのかな?」
「あの名演が主の御目に留まり、演技派として抜擢されたのかもしれません。」
「ちくしょう!なんてこった!」

「やぁ皆さん、盛り上がってますね!来期の仕事のリハーサルですか?」
「遅かったですね、ミカエル。」
「新しい甲冑のサイズ合わせに時間がかかってしまって。」
「ちっ、まったくいい気なもんだぜ、てめ〜は!」
「こんにちはルシフェル、あのシナリオのことで怒っているのですか?」
「あたりめぇ〜だっ!
 俺が誘惑に弱い人間どもを小突きまわしていると、
 お前が現れて俺をこっぴどくやっつけるんだろ?」
「仕方ないじゃないですか、主の御意思なのですから。」
「そりゃそうだけどよ、マジでやるこたぁ〜ねぇんだぞ。
 ヤラセだよヤラセ!本気でふんずけたら、後で泣かすからな。」
「はいはい、分かりましたよ。」
「ふん、どうだか!」
「ルシフェル、まぁそうむくれないで。
 世界のバランスを取るには、あなたの役割がどうしても必要なのです。」
「ああ、そりゃ何度も天上会議でボスから聞かされたさ。
 だけどなんだって俺がその貧乏くじを引かなきゃならないんだ。」
「あなただけではありませんよ。
 シナリオによれば、イエスが派遣される時に同じような役割をするものが・・・
 え〜と・・・何ページだったかな?
 ああ、これだ、名前は・・・イスカリオテのユダ。」
「あいつはまだ生まれていないけど、人間だろ?」
「ええ、でも優秀ですよ、あなたのようにね。」
「ガブリエル。お前は本当に口がよく回る奴だよ。
 その調子でマリアんとこへ行って、とんでもない役割を押し付けてくるんだろ?」
「それもまた主の御心です。」

「まぁここで悩んでいても仕方ねぇ、
 取り敢えず荷物を置きがてら、人間どもの様子を見てくるとするか。」
「先にネットカメラで見てみましょう。」
「あれあれ、あなたが行くまでもない。
 もう勝手に殺し合いを始めていますよ。」
「何だって? ちょっと拡大してみてくれ。
 あれはカインとアベルじゃないか?」
「ああ、間違いありません。彼らです。」
「まったく、あの馬鹿ども、俺が行く前になんてことしやがんだ!
 あいつらがあんな調子だから、
 俺がこういう役をやらされる羽目になっちまうんだよ。」
「その通り。悪にも秩序が必要ですからね。」
「ちっ!誰かがやらなきゃならねぇってわけか。
 そんじゃ行ってくるぜ!来いっ!暗黒の眷属ども!」

「あ〜・・・行ってしまいましたね。」
「あのなりきり方、ルシフェルったら、あながち、まんざらでもないのでは?」
「適材適所。主はすべてをお見通しです。」

えーじ
posted by ととら at 18:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記