2025年02月09日

第25回取材旅行 その7

今朝のジェッダは晴れ。
気温は日中28度前後で、朝晩が22度くらい。
終日、乾いた海風が吹き、とても気持ちがいいです。

僕らが投宿しているのは旧市街から500メートルほど北にあるホテル。
その周辺が今回の主な取材地です。
旧市街は崩壊寸前の古い建物が迷路を形成しているユニークなところで、
午前中は廃墟に見えますが、夕方になるとお店が次々と開きだし、
お客さんも集まって、すごい盛り上がりに。

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閑散とした昼間の佇まい

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日が沈むと店がどんどん開き、活気を取り戻します

言葉は当然アラビア語ですが、思いのほか英語が通じます。
(これはクウェートとバーレーンも同じ)
そこで例によって現地語は挨拶のみで失礼。
だけど、それだけでも場が和むのですよ。
発音は簡単で、
正しくは「こんにちは」が「アッサラーム アライクム」ですが、
右手を左胸に当て、「サラーム」というだけでもオーケー。
「ありがとう」も「シュクラン」ですから覚えやすいでしょ?

言葉と言えば、この3日間で接した移民は、
バングラデッシュかネパールの出身でした。
彼らにとって見慣れない僕らは興味をそそるのか、
レストランや道端でも、「どこから来ましたか?」と訊いてきたりします。
いずれも「以前、あなたの国に行ったことがありますよ」
それに続いて覚えていたバングラ語などで挨拶すると、
驚いた表情の後に満面の笑みが広がりますね。
(そういえばベルリンのレストランで、
バングラデッシュ出身の人からコーヒーをご馳走になったっけ)

どこの国で会ってもそうですが、移民は親切な人が多いです。
たぶん、長い外国暮らしで苦労しているからでしょうか。
タクシードライバー、ウェイター、ホテルの清掃係などに就く彼らは、
訊けばたいてい10年以上、家族と離れて生活しています。
痛みを知る人は、他人の痛みも理解できる。
だから困った人がいれば、相手が誰であろうと、
助けようとするのかもしれません。

さて、取材に行くにあたって準備したのがこれ。

shopping_bh.jpg
バーレーンのスーク(市場)で真剣に品定め中
5BD(バーレーンディナール)はおおむね2,000円

サウジアラビアの規則ではアバヤ着用義務がなくなりましたが、
「目立たない」のが僕らの旅のモットー。
なるべく周囲に溶け込めるよう、
ともこはアバヤ&ヒジャブで「変装」することに。

cosplay_sa.jpg

さいわい現地でのドレスコードはあまり厳格ではなく、
なかには半袖のTシャツやショートパンツ姿のローカル男性も。
僅かながら見かけた白人の観光客も、露出度を抑えただけで、
普通の洋装のままでした。

ともこいわく、アバヤはぴっちりしていないので、
意外と涼しいそうな。
しかしヒジャブは暑くて、すぐ取ってしまいました。

今日はこれから港の魚市場を取材し、
日が暮れてからまた旧市街へ出かける予定。
そうだ、どこかでサウジシャンペンを探さねば!
なにかと忙しい僕らなのでございます。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 16:09| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月07日

第25回取材旅行 その6

Assalamu alaikum!
(今回は3か国ともアラビア語です)

僕らは予定どおり、今回の最後の渡航国、
サウジアラビアに到着しました。

cityview_sa.jpg
ジェッダの街並み

ほんの5年前まで観光ビザを発行しなかった国だけに、
ジェッダのキング・アブドゥルアズィーズ国際空港に降り立ったときは、
感慨深いものがありましたね。

そして別の意味で、バーレーン国際空港の、
サウディア(サウジアラビア航空)搭乗ゲートに並んだときから、
並々ならぬ緊張感が・・・

airport_bh.jpg
美術館のようなバーレーン国際空港

いや、東アジア人の搭乗者が僕らだけだったからではありません。
ほぼ全員がムスリムで、
しかも1/3くらいは白装束のウムラ(※)の人々となると、
異教徒の僕らは何とも場違いのような・・・

加えて最近は女性のアバヤ着用義務が緩和されたとはいえ、
そこかしこで宗教警察が目を光らせていると聞けば、
いやがうえにも気分はピリピリ。
はてさて入国の瞬間から何が僕らを待っているのか?

と、かなり身構えて飛行機を降りたのですが・・・

あっさり入ってしまいました。

イミグレは全員女性のインスペクターで、
その大半が目だけ出しているブルカ姿。
さすがはメッカのゲートウェイ空港という雰囲気でしたが、
手続きは事前にネットで取得したe-VISAとパスポートを提出し、
指紋と顔写真を撮っただけで終了。
(自撮り棒のような細いポールの上に、
キャノンの一眼レフカメラ取り付けられていた!)
質問はなぜか「お名前は?」だけ。
最初は命令口調だった彼女も、
最後に「シュクラン(ありがとう)」と言ったら、
目が笑って「アフワン(どういたしまして)」と返してくれました。

バゲッジクレームに行けば、
バックパックは5分と待たずに出てきて税関もスルー。
こうして僕らはバーレーン入国に勝るとも劣らないスピードで、
アライバルロビーに到着したのです。
しかしUberのタクシーを呼ぼうとしたら・・・

・・・ん? ネットどころか電話が繋がらないじゃん?

そう、サウジアラビアではソフトバンクのSIMは使えないのです。
そこでSTCなるローカルキャリアのSIM(約2,800円)を買い、
電話&ネットに繋いで配車依頼。
空港からホテルまでは25キロほど離れていましたが、
これまた70サウジアラビアリアル(約2,800円)とお手頃価格で行けました。

そんな車内で僕らが声を合わせて言ったのは、

「みんなフレンドリーだね!」

そう、サウジアラビアはひとりの王様が全権を掌握する、
閉鎖的な宗教国家というイメージがありましたけど、
少なくとも初日に受けた印象は、
これまで訪れたどのムスリムの国と比べても友好的だというもの。

たとえば空港のアライバルロビーで、
ATMやSIM売り場を探してうろちょろしていたとき、
声をかけてくる人の言葉は、

Hello Brother! Do you need taxi? (or SIM?)」

のように、Brother(兄弟)から始まるもの。
これは僕がムスリムであることを前提としていたとは思いますが、
違っていても非常に親しみを感じるトーンでした。
その言い方がとても自然なんですよ。
断ってもしつこくないし。

そして夜、食事に出かけたレストランで。
そこは1階がテイクアウト、2階が男性席、
3階が女性を含むファミリー席というわかり難い建物。
さらに、それぞれの階にある注文カウンターでオーダーし、
個室で食べる慣れないシステムに戸惑っていたら、
スタッフだけではなく、偶然出会ったお客さんまで、
皆さん、とても親切に教えてくれました。
ともこの服からして、
あきらかに僕らがムスリムではないとわかっていたにもかかわらずね。

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どういうわけだか、こんな個室に通されて・・・

zrabian_sa.jpg
ズラビアンチキン
めちゃおいしいアラブ風スパイシー炊き込みご飯
なんだけど、この量は・・・

僕らが食事に行こうとホテルを出たとき、
ロビーにはインドネシアからきたウムラツアーの人々が沢山いました。
ほとんどの方が海外旅行は初めてなのか、
揃ってやや緊張した面持ちでしたが、その表情には同時に、
ムスリムとしてメッカを訪れる喜びに輝いていたように思います。

あなたのこの旅が、実り多いものとなりますように。

そう呟いて、僕らは夜のジェッダを歩き始めました。

to be continued...

えーじ

※ ウムラ
ムスリムの義務のひとつである巡礼月の大巡礼、ハッジ。
しかし巡礼月のメッカは大変混雑する上に、
国ごとの渡航人数制限があるため、
インドネシアなどムスリム人口が多い国では、
何年も順番を待たねばなりません。
そこで巡礼月以外に巡礼する人もおり、それをウムラといいます。
posted by ととら at 21:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月05日

第25回取材旅行 その5

今朝のマナーマは晴れ。

というか、7日前、
クウェートに着いてからここまで、ず〜っと晴れ。
天候に変化なし。
気温もほぼ変わらず、日中は20度くらいで朝晩が10度前後。

そして変わらないといえば、人。

奇妙に聞こえるかもしれませんが、
クウェートやバーレーンに滞在中、
クウェート人やバーレーン人に会うことは稀なのですよ。
特に公共の交通機関で移動し、
市井の食堂で取材するような僕らの旅の場合はね。

この傾向は今回に限らず、
以前、UAEやカタールを訪れたときも同じで、
僕らが顔を見て話すのは、
バングラデッシュやパキスタン、インドネシアなど、
アジアのムスリムが多い国か、
インド、ネパール、フィリピン、タイなどから来た外国人ばかり。

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ともこがヒジャブを買ったお店で。
スタッフはバングラデッシュ人とインド人。

たまに、「お、アラブ系だ」と思っても、
それはエジプトをはじめとする、
北アフリカから来ている人々だったりします。

で、当該国人と確実に会える場所はといえば、
クウェートのThe AvenueやUAEのドバイモールのような高級モール。
アラブの民族衣装を着て、
ベビーカーを押すアジア系メイドさんを連れたご夫婦は、
ほぼ確実にローカルでしょう。
ま、こういう方々と話をする機会はほとんどありませんけどね。
皮肉なことに、経済的な陰りが出てきたバーレーンが、
一番ローカルと接するチャンスがあったかも。

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やたらおカネがかかっている月面基地のようなThe Avenue

これ、産油国社会の特徴で、
同じアラビア半島にありながらも地下資源に恵まれなかった、
オマーン、レバノン、ヨルダンではまず見られない傾向でした。

そして、この状況は街の作りにも大きく影響しており、
人口の半分前後を占める労働力としての移民が
リトルインディアのようなエリアをそこかしこに作り上げています。

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マナーマのパキスタン人エリア

円安で海外旅行は厳しいといわれて久しくなりましたが、
こうした街で移民がやっている移民のための店に入れば、
ここバーレーンでもかなり安く上げることができます。
たとえばシャワルマ屋だと、ふたりでお腹いっぱい食べて、
概ね3バーレーンディナール前後。(約1,200円)
これがけっこうおいしい!
ビリヤニやカレーを食べてもだいたい同じくらいのコストです。
ま、こういう小さなローカル食堂は、
ハエがぶんぶんで、たいていトイレもありませんけどね。

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僕らが投宿しているホテルに近いケバブ横丁

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バーレーン風スパイシーお好み焼き(?)のマハヤワ

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ジョージェケバブ
これと上のマハヤナにミネラルウォーターを合わせて約1,500円
一人当たり750円で済んでしまいます。

おっと、それから産油国のもうひとつの目立った特徴がこれ。

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ベイエリアに林立する奇抜な形のビル群。
もっとも有名なのはドバイのブルジュ・ハリファでしょうか。
ここバーレーンでも負けじと、
「中はどうなってるのかしらん?」な建物がいくつかあります。

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あ、それと見る人を圧倒する巨大なモスクも定番ですね。

しかし、これらの英華を誇る国々が、
ほんの100年足らずの歴史しか持っておらず、
(最も早かったバーレーン油田でさえ採掘に成功したのは1932年)
それがまた極端なモノカルチャーに支えられているだけだと思うと、
(しかも富は棚ボタ型だし)
なんとも脆い砂の城を見ているような気分になるのは僕だけかしらん?
実際、昨日歩いたムハラク地区はFor Sale For Rent物件の他、
すでに廃墟になった空き家が目立っていましたし。

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いま住んでいるのは・・・

オイルマネーの枯渇と同時に仕事をなくした移民が去り、
電力を中心としたインフラが機能不全に陥れば、
40度を超える厳しい夏をどのように乗り切ったらいいのか?
いや、今は水道をひねれば出てくる水でさえ、
そのほとんどは電力に頼った海水浄化装置で得ているものでしょう?

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都市の生命線、水

ん〜・・・そう遠くない未来に、
僕らはひとつの文明が滅ぶ姿を目にするのかもしれません。
それでもなお、
世界の超富裕層はドバイの高級不動産を買い漁っているそうな。

「人間の賢愚は大金を手にしたときの使い方で分かる」
とは誰の言葉だったかな? ねぇ、トランプさん?

余計なおせっかいかもしれませんが、
アラビア半島が第2のソドムとゴモラにならないことを祈ってやみません。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 03:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月03日

第25回取材旅行 その4

Assalamu alaikum!
(アッサラーム アライクム!(こんにちは!))

僕らは昨日の12時過ぎ、バーレーンのマナーマに到着しました。

flightmap_bh.jpg

例によってクウェートの出国からバーレーンの入国までは出たとこ勝負。
やるべきことは空港までの移動、航空会社のチェックイン、保安検査、
出国手続き、ボーディング、入国手続き、バゲッジクレーム、税関、
そしてホテルまでの移動というのが一連の流れなのですけど、
そのディティールはホント、行ってみなければ分からないのですよ。

たとえば「その1」でお話したクウェートのVISA取得。
(というか「入国料」の支払い)
ほんの数か月前に通過した旅人のブログでは、
イミグレフロアのVISAブースが開いており、
そこで取得していたようです。
ところが僕らの場合は・・・だったでしょ?

こうして何の前触れもなく、ころっと変わってしまいますから、
事前に情報があったとしても、結局、参考程度にしかならないのですよ。

ちなみにクウェートの出国では入国時に発行されたVISAが回収され、
なぜかこの段階で顔写真の撮影と指紋のスキャンが行われました。
ん〜・・・なんの意味があるのかしらん?

そして同じく入国料型VISAのあるバーレーンは、

「わぁ、新しくてきれいな空港だね」
「で、さっそくVISAなんだけど、どこへ行けばいいんだ?」
「VISAって表示はどこにもないよ」

こんなときは訊くのが早道。
そこでさっそく近くを通りかかった警察官に、

「すみません、VISAはどこで取得するのでしょう?」
「ああ、イミグレのブースですよ」

とな?

で、取りあえずフツーにブースへ行くと、

「ようこそ、パスポートとクレジットカードを」

はぁ〜、そういうわけね。
こりゃ、まさしく名実ともに「入国料」でした。
で、お代はひとり2,000円なり。

バゲッジクレームではすぐバックパックが出てきて税関もスルー。
あっさりとアライバルロビーに出てきた僕らでした。
そして最後のステップがタクシー。(バーレーンも鉄道はありません)

「ほぉ〜ら、やっぱりいない」

booking.comの予約画面には、
アライバルゲートのところで名前を表示して待っていてくれと、
書いておいたのですけどね。
そこでまたWhat's UPを繋げば、
「カーパーキングビルのレベル1まで来てください」とな。

やれやれ・・・

見ればご丁寧にその場所まで行く写真まで送ってきています。
しかし、そこへ着くと・・・

「いないじゃん」

しかも次に着信したメッセージは、これまたお約束の、

「Where are you, Sir?」

はぁ〜、まったく・・・

で、レベル1ゲートの入り口で手を振っているともこの写真を撮り、
送信! すると、

「I'm coming!」

じゃないでしょ〜。

1分後にやってきたのはフツーのタクシー。
ドライバーは南西アジア系(たいていバングラかパキスタン)で、

「Have you waited long?」

さんきゅうべりまっち。

こんな調子でホテルを目指した僕らでした。

mainroad_bh.jpg
空港からホテルまではこんな道路を走って20分くらい

to be continued...

えーじ

atcafe_bh.jpg
チェックインしたら近くのカフェでお疲れさま
posted by ととら at 03:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月01日

第25回取材旅行 その3

旅程5日目にして取材は順調です。

毎回苦労するのが、
事前に調査対象料理をリストアップしていても、
それを提供している飲食店がなかなか見つからないこと。
少なくとも同じ料理を別の店で3回食べてみないと、
その本質を理解するのは難しいのですよ。
これが何かとすんなりいかなくてね。
それが今回、幸運にも第1ターゲットの料理から見つかりまして。

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Gaboot

これは珍しい、中東のギョーザともいえるガボート。
他では見かけたことがなかったので、
どうやらクウェート料理と言えそうです。
内容もユニークで、
グリーンドライレーズンとネギを小麦粉の生地で包み、
スパイシーかつ、ほんのり酸味の効いたラムシチューで煮込んだもの。
皮はもちもちで厚く、ニョッキに近い食感です。

gaboot02_kw.jpg
ガボートを分解したところ

3店それぞれのバージョンを比較してみた結果、
シチューの具材やソースの味付けに若干の差異はあったものの、
ダンプリングの中身にグリーンドライレーズンとネギを入れること、
シチューの具材にラムを用いること、
風味はカルダモンとクミン、ターメリックで付けること、
そしてドライライムで酸味を加えることが共通していました。
これまで各地で20種類近いギョーザを探してきましたが、
なかでもこれは異色の存在です。

それから中東のぶっかけ飯ともいえるシャブジー。

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Sabzi

豆と肉、葉菜をスパイシーなカルダモン風味のソースで煮込み、
ライスを添えて食べるもの。
肉抜きのベジタリアンバージョンもありました。
全体的にやさしい味わいですが、
グリーンペッパーソースで辛み足すと個人的にはかなりイケると思います。

それから余ったパンを無駄にしないよう考えられたと思しきタシュリーブ。

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Tashreeb

一説によると、サウジアラビアのメッカで生まれた古い料理らしく、
かのマホメットをして最高の料理と言わしめたそうな。
発想と調理方法はパンの文化圏で共通例が見られ、
イタリアのリボリータなどはそっくりですね。
しかしながらパンを煮込むソースはご当地柄スパイシー。
バージョンによってはラムやチキン、シーフードを入れることもあり、
なかなかボリュームがありました。

そして甘みが強すぎて敬遠しがちの中東スイーツで、
パレスチナのクナーファと並び、例外的に僕らが飛びついたデーツケーキ。

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Dates Cake

しっとりしたデーツ入りのスポンジに、
ピーナッツかキャラメルのソースを添え、熱々を頂きます。
これは南アのマルバプディングと並び、
ととら亭でもウケること必至でしょう。

さて、そんなこんなで短いながらも密度の濃い取材を終え、
明日は午前中にバーレーンのマナーマへ移動します。
そこでクウェートの最後を飾るのはこの風景。

sunset_kw.jpg

先ほど港で見ていたアラビア湾に沈む夕日です。
いかがです? 美しいでしょう?
僕らは旅に出たとき、
どこかでこうして日が沈むのをゆっくり眺めることにしているのです。
世界遺産など、有名観光地も結構ですが、
こうして太陽が沈むひとときを静かに味わうなんて、
東京の日常ではなかなかできませんからね。
ある意味、僕らの旅のハイライトのひとつなのですよ。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 03:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月31日

第25回取材旅行 その2

今日のクウェートシティは晴れ。
というか、場所がら天気予報はず〜っと晴れ。
気温は最低が10度、最高が20度と、
東京の4月中旬の陽気といったところでしょうか。
朝、近くのカフェに行ったときはちょっと肌寒かったくらい。
空気が乾燥しているため、とても過ごし易いです。

blueportview_kw.jpg

日本との時差はマイナス6時間。
僕がこれを書いているのは現地時間9時35分ですから、
日本は15時35分というわけですね。

クウェートといえば日本では湾岸戦争で知られた国ですが、
あれから35年たった今、市内の中心部を見る限り、
戦争の痕跡はまったくありません。
立ち並ぶ高層ビル群がおしなべて新しいことから、
街全体が「再開発」された感じですけどね。

nightview_kw.jpg

鉄道はなく、完全な車社会。
そのせいか歩行者のことはあまり考慮されておらず、
道路を渡るなら気合と体力が必要です。
ま、そもそも歩道をてくてく歩いていたのは、
一部の労働者と僕らくらいでしたが。

人口構成も湾岸諸国のご多分に漏れず、
クウェート人は45パーセントくらい。
ブルーカラーの殆どは、他の国のアラブ人かインド、ネパールなど、
南西アジア諸国出身の外国人です。
(僕らが入国したときも、
ネパールからの集団就職組と思しき女性たちが列を作っていました)
経済は極端な石油中心のモノカルチャーのため、
スーパーマーケットに並ぶ商品はほぼすべてが輸入品。
食料自給率なんて10パーセント未満ではないかしらん?

それから、今回の出発にあたり、
異口同音に聞いた「大丈夫ですか?」の治安ですが、
この2日間に限って言うなら東京と何ら変わりません。
反対に、日本での生活より強く感じたのが人々のフレンドリーさ。
東洋人の旅行者が珍しいからかな?
とにかくそこかしこで声をかけられます。
昨日1日だけでも何人から挨拶されたか覚えていないくらい。
当然、飲食店のスタッフもおしなべてラブリーで、
とても親切なのですよ。

たとえば昨日のランチで入ったローカル食堂で。
思ったとおり、英語のメニューがなく、
さて、どうしたものかと考えていたら、
スタッフのお兄さんが片言の英語で説明してくれました。
そこでありついたのが、こんな料理。

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アラブ風のキーマと、フムス、
そしてシュクシャカと思しきスクランブルエッグ。
これをピタパンと一緒に頂くのですが、そのおいしいことといったら!

そこへ不意にやってきたのが、
ともこの後ろのテーブルで食事をしていた若いご夫婦のご主人。
彼も片言の英語でがんばり、

「どこから来たのですか?」
「日本ですよ」
「やぁ、そうですか、いつか仕事で行けたらと思ってます。
 ここの食事はいかがでしたか?」
「どれもすごくおいしかったです。僕らは中東の料理が大好きでして」
「それはよかった!
 で、クウェートは初めてでしょう?」
「ええ」

続けてスマホを取り出し、

「メモできますか?」
「・・・?」
「僕の電話番号を教えますので、
 もし滞在中に困ったことがあったら、いつでも連絡してください」

こうして彼は最後に名前を告げて去っていったのですが、
本当のサプライズはこのすぐ後でした。

「おいしかったね!」
「ああ、お腹いっぱいだ。食べすぎちゃった。
 じゃ、ここはキャッシュで払ってくるよ」

とキャッシャーに行くと、
さっきのスタッフが何やら意味深な笑顔を浮かべています。

「シュクラン(どうもありがとう)。 会計をお願いします」
「終わりました」

・・・? 言葉が通じてないのかな?

僕はもう一度、「Check, please」と繰り返すも、
彼はまだその表情のまま、「It's dune.」

「いやいや、僕はまだお金を払っていませんよ」
「ええ、お金は彼が払いましたから」
と走り去ろうとする自動車を指差したではないですか。

あいやぁ〜、気付かない間にご馳走になってしまったとは!

その後、彼の電話番号あてにWhat's Upでお礼のメッセージを送ると、

「いや、お礼には及びません。
 クウェートのホスピタリティを知っていただきたかったでけですよ」

との短い返信が。

僕らが取材先の料理を可能な限りリアルに再現しようとする思いは、
現地でのこうした経験に後押しされているからなのですよ。
ささやかな恩返しとして・・・ね。

さて、今日も頑張って料理を探しに行きますか!

to be continued...

えーじ

withpeople_kw.jpg
ローカル食堂のスタッフたちと。
中央の彼はスリランカ出身で、来月に里帰りするとのこと。
Have a good trip!
posted by ととら at 01:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月29日

第25回取材旅行 その1

Assalamu alaikum!
(アッサラーム アライクム!(こんにちは!))

僕たちは予定どおり現地時間、昨日の午前10時5分に、
クウェート国際空港に到着しました。

というと、無難な振り出しに聞こえますが、
例によって「想定外が想定内」は僕らの旅のお約束。
そこをお話する前に、まずは時計を27日(月)の夜に戻しましょうか。

青砥駅を発着するスカイライナーの時間が微妙なため、
(16時〜18時間がすこんと抜けているのですよ)
チェックインの3時間前に成田空港第2ターミナルへ。

ここで余裕を持ったのは、もうひとつ理由があります。
それは食事。
成田空港第2ターミナルは出国してしまうと、
飲食店が極端に減ってしまうのですよ。
しかもほとんどの店のラストオーダーは21時。
くわえて値段の高さは外国並みときているでしょ?
そこで早めに行って、選択肢が多く、
値段も妥当な出国前のお店でゆっくりディナー。

これ、外国の空港に行くと毎回思うのですが、
日本の国際空港って、なんでこうも飲食店が少なく、
その営業時間が短いのでしょうね。
ま、成田空港は24時間営業でないから仕方ないにしても、
羽田空港で夜間や早朝のフライトのときは、かなり不便なんですよ。
以前、ホットドッグくらい齧って行こうか、と思ったら、
僅かに開いているお店に乗客が殺到し、
40分並んで買ったことがありました。
以来、こういう時間帯の場合はコンビニのサンドウイッチが定番です。
せっかくの旅の始まりに、さみしい話ではないですか。

さて、そんな思いを吹き飛ばしてくれたのが機内食。
今回お世話になったカタール航空さんの、
以前と変わらない、
いや、それを越えるホスピタリティーには感激しました。
日本発の便にもかかわらず、
出てきたチキンビリヤニのおいしさといったら、

airmeal_qa.jpg

ふたりして思わず「こ、これはっ!」とうなる本格派じゃないですか。
機内食ケータリング企業の努力は並々ならぬものがありますね。

と、感動しつつも食べ終わった僕らはこれまた予定どおり気絶。
気が付けば、着陸2時間半前の朝食です。
そしてこれまた眠さを理由にパスしちゃ後悔する、
おいしいパンケーキのスウィートポテトピューレ添え。
こうして12時間30分のフライトタイムもあっという間に過ぎたのでした。

久しぶりのハマド国際空港は10周年記念でイベント中。
以前の不便な離れ小島型ターミナル群を知る身としては、
まさしく10年一日でしょうか。

airport_qa.jpg

謎のイエローベアーが鎮座する近未来型空港は、
そのファッショナブルなデザインもさることながら、
機能的に充実しており、
何より飲食店が豊富なところがいいですね。

で、クウェート国際空港です。
着陸した滑走路はいかにも中東らしい、埃っぽく殺伐とした様子。

airport_kw.jpg

そしてターミナルに入ったところで予想どおりの展開に・・・

「え? なんだこりゃ、出発ゲートじゃん」

そう、一般的にはボーディングブリッジを渡り、
ターミナルに入ったら、「Arrival」なり「Transit」のサインに従って、
通路を進んで行くでしょう?
ところがそこはお店が立ち並ぶ出発ゲートのフロア。
こういうのは以前トランジットで通過したコスタリカやパナマなど、
中米の空港であったきり。

で、ごちゃごちゃした中から「Arrival」サインを見つけ出し、
そこへ向かったときに目に入ったのが「VISA Insurance」のサイン。
しかし「おや?」と思いつつ「Arrival」サインに導かれて階下へ。

「あれ、どこでVISA代を払うんだろう?」

そう、クウェートのVISAは審査型ではなく、
エジプトやオマーンと同様の単純な入国料の支払いなのですよ。
自販機で印紙を買うとの情報もありましたが、
そんなものはどこにもありません。

「お、あそこにVISAカウンターがあるぞ!」

と近寄ってみれば、ブースの中は誰もいない。
そこで通りがかった警察官に、

「すみません、VISAはどこで申請するのですか?」
「上のフロアです」

なんと! さっき見かけたショップ街の前にあったところか!
で、そこへ戻ると入り口に申請手順が書いてあり、

1.整理券を取る
2.パスポートを自分でコピーする
  (その表示の左横にボロいコピー機がありました。無料)
3.申請用紙に記入する
  (右側に記入台あり)

次に窓口へ行って並んだら、フロアにいたスタッフが、

「番号が表示されますから座ってお待ちください」

なるほどブースの上には役所や銀行の窓口よろしく、
整理券番号が表示されています。

しかし番号は僕らのものより大きい数字。
どうやら申請用紙の記入に手間取っていたら、
スキップされてしまったようです。
そこで整理券を取り直してリトライ。

窓口でパスポート、パスポートのコピー、申請用紙、
クレジットカードを出し、料金はひとり9ドルとのこと。
やがてパスポート情報が記載されたA4の書類を渡され、
スタンプをポン。
さらにパスポートにも入国スタンプが押されていました。
で、「レシートを下さい」といえば、
「紙が詰まりました」とジャムったターミナルを見せられて終了。

さんきゅうべりまっち。

次にその書類を持って隣のブースへ行けば、
素早くスタンプの有無だけ確認して、
別の丸形スタンプを押したかと思うと、
「下へ行ってください」

visa_kw.jpg

う〜む、イミグレへ行くのはいいのだけど、
パスポートはすでに入国スタンプが押されているから、
意味があるのだろうか?
エジプトやオマーンでは、支払い証明書かシールをもらい、
それをイミグレで出してスタンプを押されたけど、
ここはどうなってるんだ?

と、並んでみれば、僕らと同じ運命だったと思しき白人旅行者が、
巡回している警察官に何かを尋ね、
普通はありえないイミグレブースの間にある隙間のような通路を抜け、
ノーチェックで行ってしまったじゃないですか。
案の定、僕らもさっきの書類を見せると、
「バイバイ!」の一言で以上終了。

遅れて着いたバゲッジクレームでは、
既に僕らが乗った便のターンテーブルは終了しており、
哀れなふたつのバックパックは部屋の隅に積み重ねられていました。

とまぁ、こんな具合で入国の流れというのは前情報が乏しく、
結局のところ、現場で臨機応変に切り抜けるしかないのですよ。

そうしてようやくアライバルフロアに出た僕らですが、
「待っていた」のは、
予約していたタクシーのドライバーが「待っていない」逆説的状況。

ったくもう! とWhat's Upでコンタクトしようとしたら、
国際空港なのにフリーのWIFIがないじゃん!
がっでむ! と毒づいて電話回線経由でインターネットに接続し、
メッセージを送ろうとしたら、どういうわけか通信エラー。
さなばびっち! と暴言レベルを上げれば先方からWhat's Upのコールがあり、
「Hello!」といえども応答なし。「Can you hear me?」と続ければ、
向こうは向こうで「Hello. Hello. Where are you, Sir?」と繰り返すばかり。
まざ〜ふぁ×××!とついにF系で通信を切り、
再度こちらから電話でコールするも、今度は呼び出し音が鳴らず。
しかし、ここで向こうからかかった電話に出たら、

「Where are you, Sir?」
「I'm waiting for you in front of the arrival gate!」
「Oh, I see, I see you!」

そういいながら近づいてきたのは30歳代のアラブ系。
こうなると想定していたので、
予約したときに、見つけやすい場所で、
僕の名前を表示していてくれと伝えておいたのですけどね。

ま、ここは中東。
インシャラー(神の御心のままに)の世界ですから、
郷に入れば郷に従うしかないのでございます。
はてさて、これからどうなることやら・・・

to be continued...

えーじ

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posted by ととら at 15:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月27日

第25回取材旅行の準備 その3

取材旅行出発前のドタバタはお約束ですが、
今回はそれにメニュー替えや年末年始の営業も重なって、
いつも通りの寝不足に。

となれば、機内食を食べて気絶するのもシナリオどおりかな?
毎回こんな調子なので、飛行機に乗るとほっとするのですよ。
やれやれ、これでひと段落ついたな、と。

そうなれば、目の前の旅に集中することが出来ます。
今回の渡航先、クウェート、バーレーン、サウジアラビアは、
いずれも初めて行く国ですから、
意識が散漫だと、どこでしくじるかわかりません。
いくら旅慣れていても、油断すればルーキーと同じですからね。
とりわけサウジはこれまで訪れたどの国とも習慣が違うようなので、
両替や食事、公共の場での振る舞いなど、
ちょっとしたことでも要注意。
ま、落ち着いて行きましょう。

今日のフライトは21時55分発。
今回お世話になるのはカタール航空さんです。
ドーハを経由するのは久しぶりだな。
最後はコロナ前のいつだったかしらん?
新しいハマド国際空港はファシリティが充実していて、
トランジットも楽しみなんですよね。
往路の滞在時間は4時間あるから、ゆっくり様子を見れるかな?

それでは行ってきます!

えーじ
posted by ととら at 09:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月26日

それぞれの正解

「次はベトナムに行くんですよ」
「この前、トルコへ行ってきました」

ととら亭は旅の食堂。
となれば、自ずと旅人たちが集まってきます。

「9月にニュージーランドへ行こうと思って」
「もしかしたら仕事でモルドバへ行けるかも」

その彼、彼女たちから聞く、それぞれのストーリーは、
いつも新鮮で、期待に満ちたものばかり。

そして、そのスタイルもさまざまです。
パックツアーに参加される方、
現地の家族を尋ねるという方、
それから僕らのような個人旅行も。

そんな中で、ときおり、
「外国は怖いから・・・」
「英語が話せないから・・・」
とパックツアーに参加することを、
ちょっと後ろめたくおっしゃる方もいます。
そして、続く、
「個人旅行なんて、スゴイですね」というお褒めの言葉。

でもね、旅のスタイルに、
良し悪しも、優劣もないんですよ。
それぞれの人に、それぞれの人生があるように、
それぞれの旅がある。

言い換えれば、旅のスタイルに唯一の正解なんてありません。
あなたの選んだ旅が、あなたの正解なのです。

それは行き先にも当てはまり、
僕らにしても外国の料理を紹介するという手前、
話題は海外に偏りがちですが、
外国専門というわけではありません。
そう、海外旅行だけが旅ではない。

「このまえ行った天草はとっても良かったの」

こう楽しそうに話していた方がいらっしゃいました。
それを受けて、

「いやぁ、長崎はいいですよね!
 僕もライダー時代に何度か行きました。
 特に天草パールラインで見た夕焼けは格別だったなぁ」

さらにそれは遠出に限らず、
住み慣れた街の、歩いたことがない道を散歩することだって、
ひとつの旅になり得るでしょう。
たとえば仕事の帰りにひと駅前で降り、
スマホを見るのではなく、気の向くままに歩いて自宅を目指すとか。
そこにはきっと、何年住んでも気付かなかった、
小さな発見があるはずです。

そして究極的には、
病院のベッドに寝ながら空を見上げ、心の旅ができること。
それは僕にとって、ひとつの理想に他なりません。

そう、それぞれの旅が、それぞれの正解なんですよ。

えーじ
posted by ととら at 15:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月23日

A Farewell to violence and dirty money

学校で教えてくれない歴史とは、
いま、目の前にある現実でもあります。

それは、人類の秩序が平和的な話し合いやフェアな取引ではなく、
暴力と脅迫によって作られ、
次に暴力がお金にとって変わられたという事実。

そしてそれは野蛮な中世の話ではなく、
人類を100回滅亡させてもまだ余る核兵器を作り出した今でも、
秩序が入れ替わるたびに繰り返されている。

その残酷な誕生のプロセスは、
ウクライナやパレスチナで、今まさに進行中です。

これに新自由主義を具現化したアメリカが、
よりスマートに、おカネで参加し始めました。

民族主義の名のもとに憎悪を煽り、
経済的繁栄の御旗を掲げて強欲を賛美する。
そう、隣人も、自然も、
自分の銀行口座の数字に寄与する要素でしかない。

おもしろおかしく生きて行ければいい。
他人なんてどうでもいい社会。

僕たちが望んでいるのは、そんな世界なのでしょうか?

いや、まだ選択肢はある。

僕はそう信じています。

Are you stay with me?

えーじ
posted by ととら at 09:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記