2015年10月29日

僕らの「居場所」と「出番」

2000年9月。
僕たちが北京に行った時のこと。

王府井をぶらついていて・・・

ん〜・・・公衆トイレはないかしらん?

旅先ではよくあることですが、
探すとないのがトイレ。
緊急事態の時は飲食店に入ることもありますけど、
脇道を覘いたら丁度いい場所に・・・

「あ、あった。ちょっとトイレに行って来るよ。」

結構きれいな公衆トイレ。
入り口には二人の男性が並んで立っています。

・・・・?
ああ、有料トイレね。
どうりできれいなわけだ。

そこで少額紙幣を取り出して差し出すと、
左側の男性が受け取り、小さなチケットと釣銭をくれました。

OK。
それじゃ・・・

ところが今度は右側の男性が手を差し出してきます。

・・・・?
お金は払ったよ。

言葉が通じないので、
「・・・?」という表情を浮かべると、
彼はトイレのチケットを指差しています。

・・・・?
これ?

そこでチケットを差し出すと、
彼はその端をもぎり、僕に返してきました。

・・・・?
ああ、そういうことか!

「どう?トイレきれいだった?」
「うん、それより驚いたよ。」

そう、この「効率」とは無縁のヒューマンシステム。
これぞ社会主義じゃないか!

どれだけ人的リソースの省力化が出来るか?
資本主義社会に生きる経営者であれば、実行するか否かは別として、
頭の中では、
どうにかして10人でやっている仕事を7人で出来ないかしらん?
10時間かかっている仕事を7時間でやれないかしらん?
と考えているもの。
その逆はまずあり得ないでしょう。

ところが「失業者のいない」社会では、
究極的なワークシェアが行われていたのでした。

この光景をふと思い出したのが、
僕の通勤ルートで民主党の長妻昭さんのポスターを見かけた時。
そこには、

すべての人に「居場所」と「出番」のある社会

そうか・・・
そうなんだよね。

僕が旧社会主義国や発展途上国を旅していて、
現地の人と話す度に感じるギャップ。

資本主義と効率は骨と肉の関係。
ましてや「むき出しの欲望」を原動力とする市場経済の世界では、
最小限のリソースで最大限の利益を上げることが、
唯一の目標になりかねません。

僕たちが既に片足以上をそこに突っ込んでいる現実は、
「これだけの仕事をこの人数でやらなきゃならないのか!」って、
一度でも思ったことのある人なら、説明不要でしょう。

加えてそこにロボットなんて「便利な」しろものが割って入れば、
尚更、そのベクトルは、
「すべての人に「居場所」と「出番」のある社会」から、
全く逆の方向を向いてしまうのではないのか?

ぶっちゃけ、
それはお金と、能力と、
ぱつんぱつんのスケジュールに適応できる資質が求められる社会。

そう言い切れる気もします。

しかし、ここでゴリッと舵を切って、
公衆トイレの入り口に2人の従業員を配置するような、
ワークシェアを僕たちは受け入れられるのか?

労働量が減るのは、いいことかもしれません。

しかし、減るのは仕事だけではなく、それに紐付く収入も道連れですよ。
だって予算上の人件費枠は、限られていますからね。

「すべての人に「居場所」と「出番」のある社会」

これを望まない人は少ないでしょう。

しかし、その反面、
努力したら、それに応じてご褒美も欲しい。
そう考えるのもまた人情です。

こうしたことって、
地球の裏側の食べ物や資源に依存する僕たちは、
それこそ地球規模で考えるべきなのでしょうけれど、
マクロな話はなかなか難しい。

で、職場という単位で選べるとしたら、
皆さんはどんな選択をしますか?

「競争と格差」?
それとも「仕事と給料の分かち合い」?

ん〜・・・

えーじ
posted by ととら at 15:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2015年10月25日

湯治場のプランB

昨日はランチ、ディナー共に、
旅人たちが集まってくれました。

関西からは古い旅人仲間が、
そして中部や、もちろん都内からも。

秋の好天に恵まれ、皆さん、それぞれ旅の途上。
ととら亭のフロアには、さながら旅人宿のラウンジのように、
バックパックがゴロゴロと。

こんな日には仕事を忘れて、
こちらまで出かけて行きたい気分になりますね。

「やぁ、今回はどちらまで?」
「青森の酸ヶ湯まで行こうと思っています。」
「酸ヶ湯?」

その地名を聞いたとたん、
僕の心は20年以上前へフラッシュバックしました。

青森県と言えば、北海道ツーリングの経由地。
横浜の自宅を出発して、概ね3日目か4日目に通過する所だったのです。

え? 何でそんなに日数がかかるんだ?

懐は乏しかったけれど、時間はたっぷりあった Good Old Days。
東北自動車道が使えず、下道をとことこ走っていたのですよ。

そこまで行くルートは、最短の国道4号線、
新潟から北上する国道7号線、
常磐道から太平洋側に抜けて6号線を上がるなど、
いろいろバリエーションがありましたが、
青森県内に入ってから青森市内までは、ゴールデンコースがただひとつ。

昼頃、十和田湖の人気のない湖畔でテイクアウトしたきりたんぽを食べ、
午後の傾いた日差しの中、奥入瀬沿いを走り、
夕焼けの八甲田へ向かって峠を上ると、
程なく古い湯治場へ到着します。

そこが酸ヶ湯。

ヒバの千人風呂で有名ですが、
国道の反対側に、居心地の良いキャンプ場があり、
八甲田山の登山口でもあって、
ビンボー登山ライダー御用達のポイントでもあったのです。

で、何はともあれ、ヒバの千人風呂ですよ。

なぜか?

あったり前じゃないですか、
「混浴」なんですからね!

旅の途上、古びた湯治場で、美しい女性と旅人の出会い・・・

ん〜・・・これぞ、リビドーライダーの求めるところ。

流石に湯船は男女を分ける境界線がありますが、
打たせ湯などは、まさしく字義通りの混浴。

当然、つまらぬ湯船などはそそくさと出て、
僕が目指すは「出会いの場」。

湯に打たれて数分もすると、ふと人の近付く気配が・・・

閉じていた目を少し開ければ、
僕の前をふっくらした白い足が静かに通り過ぎ、
隣に座ったじゃないですか!

いよぉ〜っし!来たぜ!
これでこそ横浜から遠路はるばる、
800km以上を走って来た甲斐があったってもんだ!

よし、作戦は・・・

この場合、いきなり「裸でナンパ」って奇襲は成功率が低い。
ともすればヘンタイと思われちまう。

まずは、
「こんばんは、いいお湯ですね。」
くらいに伏線を張り、湯から出た後、ラウンジでターゲットを見つけ、
「やぁ、さっきの方ですね。どちらからいらっしゃったのですか?」
ってな感じで間合いを詰め、チャンスを狙う・・・

OK、プランAはこれで行くぜ。

よし、作戦開始!

まるでいま気が付いたかのように顔を上げ、
隣の彼女に顔を向けると・・・

僕より大分、大分、大分年上のお姉さまの、
ウフンな流し目と視線がバチリ。

固まりました。
僕のOSが。

プ・・プランBに切り替えだ。

「コ・・・コンバンワ。」

作戦終了。

そんなことがあったっけ。

ともあれ、いい温泉と静かなキャンプ場、
それにほど良い登山も一緒になった素晴らしい所なのですよ。

また行きたいなぁ・・・

えーじ
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2015年10月23日

第3回研修旅行の準備 その1

料理の取材とは別に出かけている旅。
研修旅行も今回で3回目になりました。

次の行き先は、第1回目と同じくタイ。

え? そんなにタイ料理を勉強しているのか?

ま、第1候補はマカオだったのですけどね。
ポルトガル料理の影響がどの程度残っているのかを調べつつ、
クッキングクラスに入ろうかと思いまして。

ところが昨年、タイのチェンライに移住したアメリカ人の友だちが、
「一体いつになったら来るんだ!?」と矢の催促。

む〜・・・しょうがないねぇ〜・・・
そんな訳で予定を変更。

序にバンコクに住む僕のブラザーにも会ってこようか。

とまれ、このタイ料理。
一度の研修で「なるほどね〜」と合点が行くほど底の浅いものではありません。

前回学んだのは主に中部タイの料理。
タイの文化は、北部、東部、中部、南部に分かれ、
中でも古来、タイ族が住んだ北部には、
より古い食文化が今でも引き継がれています。

そこで探してみれば、
外国人向けのクッキングクラスがチェンライにもあるじゃないですか。

加えてチェンライは東にラオス、西にミャンマーの国境が迫る貿易の街。
バスに2時間も乗れば、両国の国境までアクセスできます。

それでは、タイとはまた異なる食文化が期待できる、
ラオスもちょろっと下見してみようじゃありませんか。

そうして航空券をブッキングしたのがこの8月。

旅行期間は11月24日(火)から12月2日(水)まで。
出発はナイトフライトなので、
ととら亭の営業は11月23日(月)のランチで終了。
再開は帰国して準備に丸一日かかりますから、
12月4日(金)のランチからとなります。

タイにはこれまで5回行っているのですけど、
一番北上したのはスコータイまで。
北端は初めてなので楽しみです。

えーじ
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2015年10月20日

食の原体験 その2(マクドナルド)

唐突ですが告白させて頂きます。

実は僕、マヨラーなのですよ。

流石に50歳も過ぎると、
何でもぷにゅ〜っとマヨネーズをかけることはしなくなりましたが、
それでも「やめなよ〜!」というともこを尻目に、
サンドウィッチやサラダ、焼きそば、時には照り焼きなども、
少々色が変わるくらい、ぷにゅ〜っとやってしまいます。

え? 健康に悪い?

ん〜・・・そりゃそうでしょうけど、
美味しいんですよ。

思い起こせばこの好み、
いつから身に着いたのか心当たりがあります。
それもはっきりと。

あれは僕が小学生の頃。
伊勢佐木町にあったデパート、横浜松坂屋の1階に、
「マクドナルド」というハンバーガーショップが出来たのです。

米軍の居留地に囲まれた本牧で生まれ育った僕にとって、
ハンバーガーやホットドックは、極めて日常的な食べ物で、
今更なにも騒ぐことなどなかったのですが、
父に連れられて行ってみると、
そこには見慣れないものがあるじゃないですか。

それはフィレオフィッシュ。

へぇ、魚のフライのハンバーガー・・か・・・

「お父さん、あれも食べたい。」

そのマクドナルドにはイートインの席などありませんでしたから、
僕たちは立ったまま、
作り立ての湯気が立つフィレオフィッシュを袋から出し、
おもむろにぱくついたのでした。

次の瞬間に訪れた衝撃。

これはうまい!
食べ慣れたハンバーガーとは別物じゃないか!

ぱくっ、もぐもぐ・・・

どうしてこんなに美味しいんだ?

もぐもぐ・・・

そうかっ!分かった!
このソースだ!

もぐもぐ・・・

これは・・・マヨネーズじゃないか!
(タルタルソースだったんですけどね。
まだその違いが分からなかったのですよ。)

それ以来、
我が家の食卓には、醤油やソースと並んで、
マヨネーズが、ででんと置かれるようになったのです。

その後もマクドナルド、いや、マックは実によく食べました。

父が毎日のように買って来てくれたので、
ローティーンの頃は、
僕の体の2/3はマクドナルド製ではないかしらん、
と真面目に思っていたくらい。

しかしながら当時の藤田元社長が目論んだように、
僕はいくら食べても金髪ではなく、若白髪にしかなりませんでしたけどね。

さてさて、マヨネーズはともかく、
最近は油っぽさが苦手になり、
あまりファーストフード系には手を出さなくなりました。

それでも、微妙に形を変えて、
フィレオフィッシュの影響は、僕の中で続いているのかもしれません。

こうしてお話していたら、
何だか久し振りに食べたくなったなぁ・・・

えーじ
posted by ととら at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2015年10月17日

夢から希望へ

時は2013年2月。

場所はチュニジアの首都、
チュニスにある安ホテルの食堂で。
僕たちがパンとコーヒーだけの朝食を食べていた時・・・

「どちらからいらっしゃったのですか?」

隣のテーブルで新聞を読んでいた紳士が話しかけてきました。

「日本からですよ。」
「ああ、日本の方ですか!お仕事で?」
「ええ、東京でレストランをやっていまして。
 チュニジアの料理を調べに来たのです。」
「この国の印象は如何ですか?」
「素晴らしいですね。
 豊かな多様性が自然だけではなく、文化からも感じられます。」
「どうもありがとう。
 日本は民主主義の国でしょう?」
「え? ああ、そうですよ。」
「私たちは今、色々な考え方がある中で、
 その民主主義を学んでいるのです。」

その後、アビブ・ブルギバ通りを歩いていた時にも、
道行く人から突然呼び止められて聞いたのは、
これと全く同じ話でした。

「我々は民主主義を学んでいるのです。」

あれから2年と8カ月が経ち、
僕は彼らの顔を忘れてしまいましたが、
出会ったばかりの外国人に、自分たちの理想を熱く語った口調は、
僕の心に強い印象を残しています。

チュニジア。
アラブの春へと繋がるジャスミン革命が始まった国。

彼らが求めている民主主義とは、
いま、僕たちの国で、
幾分淀んだ空気のようになってしまったものとは違う気がしますが、
全ての人々に自由と平等を、という基本的な理念は、
多分、同じなのでしょう。

僕たちが訪れた時は、世俗派の野党党首が2人暗殺され、
今でも、バルドー美術館やスースのホテルでテロリストの攻撃が行われるなど、
未だに意見の対立を暴力で解決しようとする悲しい事件が続いていますが、
僕は、あの、理想を熱く語った二人の男性を思い出す度に、
民主化の流れを止めることは誰にもできないだろうという、
確信にも似た何かを感じずにはいられません。

2015年のノーベル平和賞を受賞したチュニジア国民対話カルテット。

非常に困難な状況で彼らが取り組んだアプローチからは、
老練な既存の民主主義国家ですら、学べるものがある気がします。

そう、凡人の僕ですら気付いたこと。

それは現実の世界が、
「A or B」ではなく、「A and B」であるということ。

民主主義とは言うなれば、
多元的な共存の世界へ僕たちを導く、ひとつのコンパスなのですよね。

もちろん、
これが完成形でないのは説明の要らないことですけど。

えーじ
posted by ととら at 17:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2015年10月12日

貧相な・・・? 僕ら

しばしばウェブサイトの管理者画面で、
アクセス数や、よく読まれているページをチェックしているのですが、
先日、検索キーワードにこんな言葉が・・・

海外旅行 貧相な格好

・・・?
な、なぜこのキーワードでととら亭のウェブサイトがヒットするのかしらん?

「海外旅行」は分かる。
旅の食堂ですからね。

でも「貧相な恰好」ってのは・・・

まるで僕たちの旅装を何処かで見ていたようじゃありませんか。

時々ウェブにアップする写真でお気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、
何処へ行っても着ている服は、殆ど同じ。
しかもオペラ劇場やドレスコードのあるレストランに入れるシロモノではない。

だからかな?

ま、貧相って評価はあんまりだとしても、
高級というにはほど遠いのも事実。

しかし、言い訳をさせて頂くとですね、
あの恰好は、運べる荷物の量と機能性を熟慮した結果のものなのですよ。

もしかしたら、検索した人は、
旅のセキュリティを心配して調べていたのかもしれませんね、
ととら亭のウェブサイトの内容で参考になったかな?

ケースバイケースなので具体的な話は難しいのですが、
セキュリティに関して言うのなら、
「目立たない恰好」がベストなのですよ。
なるべく周囲に溶け込んで、人の視線を集めない服。
場合によっては手ぶらで腕時計もしない時があります。

それからこれは「目立たない行動」とペアになって、
初めて効果が出てきます。
幾ら地味な恰好をしても、言動で注目されては意味がありませんからね。

とにかく、影の薄い存在であることが、
セキュリティ上、最も好ましいと僕は考えています。

反対に、「トラブルさん、いらっしゃい!」的な例はですね、
見るからに高価なものを身に着けるのは論外として、
兵隊と見紛うアーミールックの男性とか、
「それ水着ですか?」と思われそうなくらい肌の露出度が高い女性。

どちらも街中以前に、
空港で嬉しいくらいトラブル君を引き寄せると思います。
前者は空港の警備員からはテロリストと思われるかもしれませんし、
テロリストからは特殊部隊と思われて真っ先に標的にされるでしょう。
後者は言わずもがな海外巡業中の売春婦と思われても仕方ありません。
実際、そうしたお洒落な方たちが、
イミグレーションで別室に連れていかれたのを何度か見たことがあります。

そうそう、「貧相」も度が過ぎて、
髪と髭はぼうぼう、服はボロボロ、素足にビーサンってのも、
コルカタのサドルストリートあたりならいいかもしれませんが、
空港では反対にとても目立ちます。
シンガポールや元社会主義の国では入国を拒否されるかもしれません。

その場に応じて可能な限り目立たない。

僕はトラブルハンターとして旅をしている訳ではないので、
いつもそれを心がけています。

えーじ
posted by ととら at 16:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2015年10月10日

料理の再現にかける思い その2

「美味しいですね〜!
 やっぱり日本人の味覚に合わせて、
 いろいろアレンジしていらっしゃるからですよね?」

旅のメニューを召し上がっているお客さまから、
今でも時々そんなお言葉を頂戴することがあります。

いや、違うのですよ。

僕たちは可能な限り足し算も引き算もしていません。
もともと美味しい料理なのです。

何も変えずに紹介すること。

頑ななまでにこだわるその理由とは、
僕たちが知った「情報」を伝えることではなく、
僕たちの「体験」を、いま、ここ(ととら亭)で、
皆さまと共有することを目的にしているからなのです。

かつてIT稼業で飯を食っていた僕が言うのも変な話ですが、
はっきり言って、僕は「情報」ってものに、
かなり懐疑的になっておりまして。

特に、現実を装う、その擬態的な性質。

情報は数が集まって来たり、
出どころが社会的なステータスのある人や組織だったりすると、
気が付けばすました顔をして、「現実」という仮面を被り、
僕らの頭の中に居座ってしまいます。

ともすれば、それはただの「知識」でしかないのに、
「体験」にすり替わったりするから始末に負えません。

冷静に考えれば明らかなように、
アメリカに関する本を100冊読破しても、
アメリカに行ったことにはなりませんし、
ポーランド料理のレシピを100種類暗記したとしても、
ポーランド料理を食べたことにはならないでしょう?

とどのつまり、根本的に違うのですよ。

もちろん、一皿の経験は、それ以上でも以下でもありません。

ただ、僕はどんなにちっぽけな料理でも、
それは幻想のゆりかごの中でリアリティを取り戻す、
ひとつの確かなきっかけになり得ると、
結構まじめに信じているのです。

そして、そのリアリティが国境を跨ぐ時、
僕たちは、ちんけなナショナリズム超えて、
地球人としての一歩を踏み出せるのではないのか?

え? 話がマクロになり過ぎてる?

ま、いいじゃないですか。
旅人ってのは、みなどこかしら、
子供っぽい夢を追いかけているものなのですよ。

えーじ
posted by ととら at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2015年10月04日

二ケタ目の快挙

飲食業界とは、冥府魔道の道なり・・・

とまでは言わずとも、
この業界、開業のし易さだけではなく、
淘汰圧の強さもまたよく知られているところ。

個人事業主が開業した場合の店舗3年生存率は、概ね65〜70%。
6年以上は50%以下に下がり、
平均寿命はなんと4年前後と言われています。
エリアによって差はありますが、
多分、皆さんが住む街でも、数えてみれば、
これと同じような数字が出るかもしれませんね。

その中で10年続いた店というのは、同業者の中でも、
ちょいと別格的な存在になります。

それはいわずもがな、
「儲ける」以上に「続ける」ことがいかに難しいか、
当の同業者は肌身で知っていますからね。

10月3日の昨日は、
ととら亭の正面にある味処与太呂さんの開業10周年記念日でした。

凄いですね、10年ですよ。

事業を続ける前に立ちはだかるのは、売り上げ不振だけではなく、
従業員の健康問題から地震や台風などの天災まで、
様々な重大リスクがあります。

それを少ない人数でくぐり抜けて来たのですからね、
運だけで出来ることではありません。

ととら亭は今日で5年と7カ月。
はたして与太呂さんのように、10年後もあるのかしらん?

どうでしょうね、野崎先輩?

えーじ
posted by ととら at 17:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2015年10月02日

料理の再現にかける思い その1

さてさて、
昨日から始まりましたポーランド料理特集。

今回もお約束通り、
詰めの間際にいろいろあっての滑り込みとなりましたが、
何とか予定通りスタートさせることができました。

http://totora.jp/info/infomation.htm

如何でしょう?
一見地味に見えますが、こうした料理こそ、
再現するにあたって、「あれれ?」となると、
なかなか高い壁にぶつかるものなのですよ。

まずはピエロギのフィリング(詰め物)。

数あるバリエーションの中で選んだのは、
キノコのソテーとチーズの組み合わせでした。
これが美味しいんですよ。
ところが、僕の翻訳したレシピで作ってみると。

「う〜ん、上手く行かないよ!」
「どこが?」
「フィリングがべちょべちょで包めないの。」
「べちょべちょ?」
「そう。キノコをソテーするとね、すごく水分が出てくるのよ。」
「絞っても?」
「またじわっと出てきちゃう。
 それに絞ったら美味しさも逃げちゃうよ。
 形が大きければ、まだ何とかなるんだけどね、
 今回はボルシチに入れるタイプだから、
 カップに入れるサイズにしないと。」
「なるほど。」
「挽肉みたいにボテッとした状態を保てればいいんだけどな。」

そして翌日。

「出来たよ!」
「どうやったの?」
「ゼラチンを入れてフィリングの粘度を上げたの!
 そうしたらほら!」
「お〜、状態が全然違うね。」
「小籠包なんかは液状の具をこうやって固めて包むでしょ?
 そのやり方の応用。」

なるほど、このやり方なら、旨みのあるキノコのエキスも、
余すところなく生地の中に閉じ込めることが出来ます。
味見してみてその差は歴然。
僕たちがクラクフのローカルレストランで食べた料理の味が、
しっかり再現できていました。

次のハードルは・・・

「うわ〜・・・また焦げ付いちゃった!」
「カーシャ(ソバの実)?」
「そう。えーじの翻訳したレシピ通り、
 茹でた後、オーブンの予熱で蒸し焼きにすると、
 鍋の底にべったりくっついちゃうよ。」
「要は食べられる食感になっていればいいわけだから、
 煮るだけでもいいんじゃない?」
「だけどさ、そうするとソバかゆみたいな味になっちゃうよ。
 カーシャはあの香ばしさが大切じゃない?」
「確かに。
 食感もべとっとしたものじゃなく、パラパラしていたしなぁ。」
「ん〜・・・どうやったらワルシャワで食べたような、
 味と食感になるんだろう?」
「OK、僕ももう少し調べてみるよ。」

そしてまた数日が経ち・・・

「ねぇ、ちょっと味見してみて。」
「ん? あ、カーシャね、出来たの?」

そこで一口食べてみると、
香りはソバ独特の香ばしさが立ち、食感はパラパラ。

「おお、凄いな!ワルシャワで食べたのと同じだ!」
「ふふ・・・でしょ?」
「レシピの何処を変えたの?」
「大分違うよ。
 まずソバの実を炒るでしょ、そして熱湯で洗うの。
 それを2回繰り返して、今度は水分が飛ぶまで茹でる。
 最後は蓋をしたまま蒸らして下処理を済ませるの。」
「へぇ〜、そりゃまたえらく手間がかかってるね!
 よく考え付いたな、そんなやり方。」
「炊いて蒸らす所のヒントは炊飯よ。
 えーじが調べたポーランドやウクライナのレシピは、
 多分、ソバの実の品種が違うと思うの。
 だから、同じものを使えば問題なかったかもしれないけど、
 日本で手に入るものは結果的に味と食感は同じになっても、
 少し方法を変えないといけないのよ。」
「素材が変われば方法も変わる・・・か。
 確かにその通りだな。」

その他にも、塩加減、スパイスの量、
火の通し方、柔らかさなど、それぞれの料理で微妙な調整を行い、
安定した仕入れから、仕込み、
そしてオーダーが入ってからの最終調理段階を組み上げて、
ようやく迎えた昨日の初日。

いろいろありましたが、
再現性は、ととら亭の大切なコンセプト。
あたら疎かには出来ません。

やっぱり納得したものをお伝えしたかったのですよ。
皆さまのご感想を楽しみにしております。

えーじ
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2015年10月01日

お待たせしました!

予定やら、計画やら・・・
「頭のいい」大人はいろいろ考えますが、
ほんの半日先の未来で自分を待っているものすら、
実のところは、分からないんですよね。

ま、人生、想定外が大前提・・・か。

すみません。
意味不明なお話になってしまって。

とまれ、やっとアップしました。
明日から始まります、ポーランド料理特集!

http://totora.jp/info/infomation.htm

え?
今日からだろう?
あ、そうか、もう日付が変わってるじゃん。

と言う訳で、おやすみなさい。

えーじ
posted by ととら at 02:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記