2015年12月01日

第3回研修旅行 その6

休暇も今日で終わり。
一昨日のマーケットで見つけたTシャツに、
いいことが書いてありました。

To do list

-> Nothing

うんうん、そうなんですよ。
オフというのは「何もしないことをする」のです。

それじゃ夕飯も食べたし、
ホテルに帰ってのんびりしようじゃないか。

シャワーで汗を流し、さっぱりしたら、読みかけの本を出し・・・
はぁ〜・・・いいねぇ、こういうの。

そうして数ページ読み進んだ頃・・・

外で稲光のようなものがピカピカピカ!っと。
それと何故かシンクロして部屋の電気も素早く明滅し始めました。

ん? なんじゃこりゃ?

その数秒後、室内は真っ暗に。

「停電だ。」
「どうしたの?」

僕はキャップライトを取り出して点灯しました。

外ではまた閃光がピカピカっ!
そして微かに人の叫ぶ声がします。

何かおかしい。

そこで窓を開けると、この光景が・・・

fireonhotel.jpg

プラスティックの燃える臭いがここまで届いて来ます。

「火事だ!服を着替えて貴重品だけまとめて!」
「え!」
「落ち着いて!ビーサンではなく靴を履くんだ。」
「はい!」

パスポートや現金などをざっとデイバックに詰め、
着替えるのに1、2分か・・・

「OK?」
「うん!」

もう一度窓の外を見ると、誰かが消火器で火を消そうとしています。

まだ火は回り込んでいないようだな。
でも電気系統だったら別の場所でも燃えている可能性がある。

「準備はできたね?」
「うん!」
「それじゃ僕の後について来て。
 エレベーターはダメだ。非常階段で降りる。」

扉を触り・・・

大丈夫だ、熱くない。
廊下は燃えていない。

問題は電子錠だ。
主電源が落ちている。
ロックアウトされていなければいいけど・・・

レバ―を捻ると鍵が開きました。
内部バッテリーが生きていたな。
OK・・・少しだけ開けて・・・煙は・・・来ていない。

ここでけたたましく非常ベルが鳴り始めました。

「よし!脱出するぞっ!」

館内は真っ暗。
所々から宿泊客の声が聞こえてきます。
パニックにはなっていません。

非常階段は・・あった! あそこだ!
扉は・・・ロックされていない!

「行くよ!足元に気を付けて!」

僕たちが泊まっているのは5階。
暗い階段をキャップライトの灯りを頼りに降りていたので、
何とも長く感じます。
しかしもうすぐ1階・・・ところが・・・

「ちっ!何てこった!」

1階の非常口の前には工事の資材が雑然と置かれています。
そういえばこのホテルは現在改装工事中でした。

消防法違反だぜ。
でも気を付ければ何とか通れなく・・・ないな。

ようやく1階のロビーに出ると、
そこには避難して来た宿泊客がもう20人ほどいます。
みな慌てて逃げて来たのでしょう。
中には上半身裸の男性も。

「ふぅ・・・脱出成功だな。」
「びっくりしたね。」
「ああ、無事でよかったよ。」
「どうなってるんだろう?」
「外で何かが連続して光っていただろう?
 あれは高圧電流がショートしていたんだと思う。
 それで電気系統の何かの装置が燃え始めたんだ。」

ホテルのスタッフは宿泊客と同様に右往左往しています。
何かをアナウンスする様子はありません。

仕方ない。

「この現場の指揮は誰が取っています?」
「シキ?」

person in charge が通じないか。

「何が起こっているのです?」
「外で火災がありました。外なので大丈夫です。」

何故そう分かる?

「僕たちはここにいるべきですか?
 それとも外へ避難するべきですか?」
「ここで大丈夫です。」

「なんだって?」
「彼女たちも何も分かっていないんだよ。
 取り敢えずロビーは安全だ。
 ともこはここで荷物を見ていて。
 僕は火災の状況を見て来る。」
「危ないよ!」
「大丈夫、危険なようなら近付かないさ。」

外に出て建物を回り込むと、さっき火が燃えていたあたりには誰もいません。
薄っすら煙は残っていますが、火の気配もなし。

近付いてみるか。

burnedbox.jpg

どうやら燃えていたのはこれのようです。

電信柱からケーブルを引き込んでいるみたいだけど、
受電装置?
それにしちゃ小さいな。
ん〜・・・

「あ、帰って来た!心配したよ!」
「大丈夫。もう火は消えていた。
 でも誰も何もしていないんだ。」
「誰も?」
「ああ、消防も、電力会社も姿が見えない。」
「どうしよう。」
「あれがすぐ直るとは思えないな。
 ダブーに連絡して泊めてもらうか。」

ところが何回コールしても・・・

寝ちまったみたいだな。
仕方ない。

「取り敢えず小康状態だから、残りの荷物を取って来る。」
「えっ!やめなよ!危ないんじゃない?」
「大丈夫。危険な気配はない。
 このまま何時間待たされるか分からないだろう?
 さっと荷物を取って移動しよう。」
「じゃ、あたしも行く!」
「ダメだ。僕一人の方が動き易い。
 ともこはここで荷物を見ていて。」
「大丈夫?」
「ああ、すぐ戻るよ。」

再びキャップライトを点けて非常階段へ。
煙や物の燃える臭いはありません。

大丈夫だな。

そうしてまた5階まで登り、部屋に戻ると・・・

うん、まだ電子錠は動く。
でも閉じ込められるのは御免だ。
開けたまま荷物を集めよう。

部屋の中も異常ありません。
そこで手早く残りの荷物を集めてバックパックに詰め・・・

よし、これで全部・・・だな。
帰ろう。

外に出て扉を閉めるとロックされました。

OK、長居は無用だ。

3階まで降りたところで、
インド人の宿泊客が非常階段に入ってきました。

「やぁ、大丈夫ですか?」
「はい。」
「僕はライトを持っています。一緒に降りましょう。」
「ありがとう。」

どうやら彼も荷物を取りに来たようです。

「持ってきたよ。」
「あ、帰って来た!ありがとう!
 でね、なんか責任者みたいな人が来て話をしていたの。」
「どの人?」
「カウンターの一番右の女性。」
「OK、話を聞いてくる。」

「状況はどうですか?」
「外で火災があり、電気系統のシステムがダウンしました。」
「僕たちはどうしたらいいですか?」
「ここで待っていて下さい。40分で復旧します。」
「分かりました。」

「なんだって?」
「40分で直るとさ。」
「本当?」
「どうだかね。
 受電装置の一部だとしたら半日はかかると思うけどな。
 しかもさっきまで誰も対応していないし。」
「どうしよう。」
「もうちょっとここで様子を見てみよう。」

再度ダブーに連絡をしましたが・・・

ダメか。こりゃ完全に夢の中だな。

「もう一度さっきの現場を見て来るよ。」

やっぱり同じだ。誰もいない。
どうなってるんだ?

そこへ電気工事業者らしい車が現れ、
降りて来た3名の作業員らしき人が隣のビルに入って行きました。

ようやく騎兵隊の到着・・・か?

ロビーに戻るとやっと責任者らしき女性が話を始めました。

「皆さん、ご迷惑をおかけしております。
 只今電気系統の修理をしておりますので、40分ほどお待ち下さい。」

「何て言ってるの?」
「さっきと同じ。40分で復旧するってさ。」
「そんなに早く?」

取り敢えず様子を見るしかないな。

ホテルのスタッフが椅子を並べ始め、水を配っています。
ようやく組織らしい動きになって来ました。

「暑いね。」
「冷房も止まっているからな。」

そうしてロビーに諦めのムードが漂い始めた時。
突然照明が。

「おお!」
「点いたぁ!」

一番大きな声で喜んだのは、ホテルの責任者でした。

「やれやれ。」
「随分早かったね。」
「ああ、受電装置じゃなかったみたいだな。
 何かのサブシステムが漏電して、
 メインブレーカを落としてしまったのかもしれない。
 そうだとすれば、サブは切り離したままにして、
 メインブレーカを上げれば復電する。」
「お部屋に帰れる?」
「ん〜、もうちょっと様子を見よう。」

そして10分後、責任者に近付き、

「もう部屋に帰れますか?」
「何階です?」
「5階です。」
「それなら大丈夫です。電子錠の確認は終わりました。」
「ありがとう。」
「ご迷惑をおかけしました。」
「いいんですよ。早く復旧して良かったですね。」

「まだ油断はできないから階段で昇ろう。」
「うん、エレベーターに閉じ込められたら大変だもんね。」
「うひ〜、また汗びっしょりだ。」
「帰ったらもう一回シャワーを浴びようよ!」
「もちろんさ。」

とまぁ、お約束のサプライズが今回もありました。

あれ? 今日はオフだったよな。
はぁ・・・

ま、よしとするか。


えーじ
posted by ととら at 03:54| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記