2016年04月20日

もうひとつのごめんなさい

「ちょっと聞いてよ!」

先日の定休日、買い物から帰って来たともこがご立腹の様子。

「さっきね、あそこのお店でテイクアウトをお願いしたの。
 で、ちょっと別の買い物をしてから取りに来ますって言って戻ったらさ。」
「戻ったら?」
「すごくむっとした声で、まだ出来てないよ!だって!」
「怒ってたの?」
「そう! なんであたしが怒られなきゃならないの?
 その上、更に10分位待たされたんだからね、ひどくない?」
「そいつは災難だったな。で、どうしたの?」
「それがさ、あんまり強く出れなくて、
 はい、って言って、そのまま黙って待ってたの。」

「そうか〜。じゃあ許してあげようよ。」
「え? どうして?」
「今頃さ、その店員さん、後悔していると思うよ。」
「後悔?」
「うん。怒っていたのは、ともこにではなく、
 何か別のことだったのさ。
 忙し過ぎたり、何か自分でミスをした直後だったりして、
 不機嫌だったんだと思うよ。」
「でも、あたしは関係ないじゃん。」
「その通り。だから彼は今、とても後悔しているんだよ。」
「・・・?」
「イライラしていて、つい言葉が荒くなっちゃったんだな。
ま、八つ当たりってやつさ。
 それなのに、ともこは反撃しなかっただろう?」
「何か失敗をしでかしたとき、人はえてして真っ先に自分の正当化を試みる。
 だから、ともこが反撃していたら、そのネタを彼に与えたことになっただろう。」
「そうかな?」
「でも君はそうしなかった。だから彼は自分の言動の正当化が出来ない。
 そうなると膨らんでくるのは罪悪感さ。」
「でも謝らなかったよ。」
「そう、だから許してあげるんだよ。
 彼は今、誤るチャンスを逃したことも含めて後悔しているんだから。」
「そっか。」
「僕たちだってよくあることじゃないか。
 ついひどいことを言っちゃった後で、正当化しようとして上手く行かず、
 結局、後悔する。」
「うんうん。」

「試しに買ってきたものを見てごらんよ。」
「ちょっと待って・・・あ、美味しそう!」
「だろう?
 もし、彼が言った直後に後悔していなかったとしたら、
 そんな丁寧な仕事はしないんじゃない?」
「そうだよね。」
「だからさ、それが彼の、ごめんなさい、なんだよ。」
「そっか。なんかあたしも気が晴れて来た。」
「OK、じゃ、仲直りだな。」

ま、よくあることじゃないですか。

えーじ
posted by ととら at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記