2016年07月23日

さらばゲームよ!

世界的に某メーカーのゲームが話題になっていますが、
唐突に告白しますと、
僕はゲームを楽しむという才能を著しく欠いております。

世代的いえば、
ハイティーンの頃にファミコンがリリースされてはいるものの、
友人の家でいじってみても、その面白さがさっぱり分からない。
だから自宅にファミコンはおろか、ゲームボーイすらありませんでした。

思えば、三つ子の魂ではありませんけど、
幼少期からムカつく奴はぶっとばし、
好きな女の子にはすぐ告白しちゃう、
典型的なフィジカル派だったからかもしれません。

しかし、ひとつだけ例外がありました。
それはインベーダーゲーム。
そうゲーセンのハシリとなったあれです。

当時は1ゲーム50円だったでしょうか。
困ったことに、僕たちはあれがやりたくても懐が寂しい。
僕も含めて、そんな悪ガキどもが沢山いました。

そこで手を挙げたのが、切り込み隊長のKH。
高校生であるにもかかわらず、
インベーダー屋(当時はゲーセンではなく、そう呼ばれていました。)
の夜勤のバイトにありついたのです。
しかも場所は、当時の横浜で最も治安の悪い福富町。

よし、これでインベーダーゲームが無料でやれる。

僕たちは夜な夜な家を抜け出し、
原付を駆ってKHのバイト先に集まり始めました。
従業員は彼だけですから僕たちはもうやりたい放題。
お客さん用のジュースをがぶ飲みし、
ほどなく全員が名古屋撃ちをマスターするまでになっていたのです。

やがてこの話が悪ガキどもの間で広がると、
ひとり、ふたりと仲間が増え、
入れ代わり立ち代わり、
いつも7,8人の仲間がたむろっている状態になりました。

そんなある日。
時刻は午前2時を過ぎた頃・・・

よしよし、降りて来い。
お前ら全員、皆殺しだぜ。

名古屋撃ちはインベーダーが目の前に降りて来た所で、
砲台をスライドさせながら1匹1発で撃ち殺す必殺技。
僕はそのタイミングを見計らっていました。
しかしその時、背後から・・・

「君、ちょっといいかな?」

僕はちらっと横に視線を走らせましたが、
テーブルはみな空いています。

「うるさいな!あっちの台が空いてるだろう!」

それで気配が消えたことから、
そのおかしな奴は、別の台に行ったのでしょう。

よし、次の面だ。

ここでまた微妙なタイミングになってきた時、
声からしてまたさっきの奴が、

「君、まだ終わらないかな?」

僕は素早く左右を見回すと、
どのテーブルにも客がいません。

ちっ! どうしてもこの台で遊びたいらしいな。
まったくしつこい奴だ!

僕は一喝してやろうと勢いよく立ち上がり、
振り返りざま、

「うるせぇな! 空いてるところでや・・・」

啖呵を切った僕の目に飛び込んできたのは、
壁に沿って一列にならんでいる仲間たち。
その前には制服を着た警察官が一人立っています。

凍り付いた僕の前で私服の男は黒く小さな手帳を取り出し、
にっこり笑いながら、

「こういうものなんだけどね」

け、警察手帳!?

僕が仲間の隣に並ばせられると、
隣のRKが小声で・・・

「えーじ、お前、大したもんだな。
 デカに啖呵切ったのはお前だけだぜ」

腕っぷしの強さ知られたGTでさえ、

「ホントだ。
 しかもデカをやり込めて一人でゲームを続けるなんて。
 俺もまねできねぇ」

「ふ・・ま、まぁな」

ひゃあ〜、全然気づかなかった!

後で聞いたところによると、
最初に僕が声を掛けられた時、
既に他のメンバーは全員パクられて壁に並ばされており、
広い店内で僕だけが背を向けてゲームに熱中していたそうです。

ん〜・・・知らないというのは恐ろしい。

牧歌的な時代だった所為か、
僕たちは職務質問を受けた後、
「もうしません!」と誓うだけで無罪放免。
しかし、高校生を深夜働かせていたということで、
経営者はお咎めを受けたそうです。

という訳で、無料で遊べる貴重な場所を失った僕らは、
ひとり、ふたりと、ゲームから遠ざかり、
中でも僕は完全に足を洗ってしまったのでした。

えーじ
posted by ととら at 15:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記