2016年08月27日

贅沢な民主主義

ととら亭は世界を巡る旅の食堂。

僕たちが知った料理の体験をシェアするお店ですから、
いろいろ現地のことをお話することがあります。

今、特集しているのはエチオピア料理。

中には、稀にエチオピアまで行かれたことのあるお客さまも交え、
歴史や宗教、政治など、
よりマニアックな話題で盛り上がったこともしばしば。

その中で、先日話が出たのは、
リオオリンピックのマラソンで銀メダルを取った、
フェイサ・リレサさんのこと。

本来、政治的な活動はご法度のオリンピックで、
あろうことか自国の政府を批判したことは、
掲げた腕を交差させたままゴールするというインパクトも相まって、
大きな話題になりました。

彼が抗議していた政府によるオロモ人への迫害。
実は、今年の2月、僕たちが取材で訪れた時から、
エチオピア南部に位置するオロミア州では、
きな臭いムードが漂い始めており、
事前に情報を問い合わせていた現地の関係者からも、
もしオロミア州を訪れるのであれば、十分注意するようにと、
念を押されていたのです。

幸い、僕たちの滞在中に事件が拡大することはありませんでしたが、
あれから7カ月、状況は悪化していたのですね。
(殆ど報道されないのですよ、日本では・・・)

そういえばここ暫く、
現地の友人たちから電子メールの連絡が入らないな、と思っていたら、
昨日入った連絡によると、
問題の男子マラソンが行われた8月21日あたりから、
アジスアベバでは、政府によってインターネットへの接続が制限されている、
との情報がありました。
ソースが不明なため、真偽は定かではありませんが、
少なくとも、事態が好転していないことは確かなようです。

エチオピアの正式名称はエチオピア連邦民主共和国。
(Federal Democratic Republic of Ethiopia)
ということは、一応、民主主義の国なのですが、
実際は、現政権を握る、全体としては少数派のティグライ族が、
軍と警察の力を背景に、多数派のオロミア族やアムハラ族などを支配する、
結果的封建国家のように見えなくもない、という印象を僕は持っています。

しかしながら、旧約聖書に遡る歴史を持ち、
近年だけでも、1974年の革命による王制廃止と社会主義化、
1991年の内戦による社会主義政権の崩壊、
1993年には沿岸部がエリトリアとして独立してしまうなど、
微妙で複雑な事情は、
言語も異なる80以上の部族が共存する国の和平を、
更にハードルの高いものにしているのも事実でしょう。

ここ10年に渡り、
経済成長率10%台を維持しているにもかかわらず、
国民の平均月収が日本円にして約5,000円と言う、
「奇妙な矛盾」があることの遠因も、
こうした複雑な背景に求められるような気もします。

ん〜・・・

アディスアベバ滞在中、ホテルの部屋に届けられた現地の新聞に、
こんな件(くだり)がありました。

アフリカでは、今でも、民主主義は贅沢品なのだ。

なるほど、そうかもしれません。

えーじ
posted by ととら at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記