2017年02月01日

気持ちと気持ち

先日、へぇ〜っと思ったニュースがありました。
それは『焼き鳥の食べ方』。

焼き鳥は『串から外して食べるべからず』なんですね。

温かい状態で食べるのが身上の料理ですから、
串から外し、冷めた皿の上に置けば、
みるみるうちに冷たくなって不味くなる。

そして焼き鳥を提供する店は一般的にオープンキッチンですから、
作り手は、その残念な食べ方を目の当たりにしてしまう。

当然、気持ちはがっかり・・・

この作り手側がした心情の吐露に対する反応は、きっぱり二分されたそうです。

A.どう食べようがお客の勝手
B.なるほど、次は串に刺したままがぶっと食べよう


あなたはどっちですか?

僕は基本的にAでいいと考えています。
だから、ととら亭でお客さまに、
「その料理はそんな風に召し上がらないで下さい」
と言ったことは一度もありません。

でも、ホンネはB。

開業して間もない頃、こんなことがありました。
質のいい秋鮭が入荷し、スポットでグラタンをやってみた時のこと。
カウンターに座ったお客さまがこれを注文し、

「すみません、タバスコはありますか?」

僕は一瞬躊躇しましたが、賄いで使っていたもの出したのです。
するとそのお客さまはグラタンの表面が真っ赤になるほど、
タバスコを振りかけたではないですか。
それも味見もせずに。

ありゃ〜・・・

お客さまは、美味しそうにそれを召し上がっていました。

先の意見でA派の方であれば、これでハッピーエンド。
しかし、そのグラタンを作ったともこの表情を見た僕は、
この一件以降、お店でタバスコを出すことはやめました。

あそこまでオリジナルを破壊して食べるのであれば、
プロの料理人が時間をかけて手作りしたものでなくても、
冷凍食品で十分ニーズは満たせる筈です。
言い換えれば、ととら亭に来る理由はありません。

ゴーマンに聞こえますか?

しかし、この話は、
皆さん全ての立場に当てはまると僕は考えているのですよ。

たとえばあなたが、教師やパフォーマーなど、
人前で話や演技をするのが仕事だとしましょう。

で、あなたの仕事中に最前列のお客さんの殆どが、
お喋りをしていたり、居眠りしていたら、どう思います?

ああ、別に構いませんよ、おカネはもうもらっていますから。

ホントに?
ではその割り切り方で、
より良いものを作ろう! より素晴らしいパフォーマンスを目指そう!
なんてモチベーションをキープできます?

日本は資本主義の国です。
おカネなくして仕事はあり得ません。
しかし、文化、ひいては文明を支えているもの、
それはおカネよりむしろ、
送り手と受け手の気持ちなのではないでしょうか?

え? また話がマクロになって来た?

では最後に、これだけは言えるということで締めましょう。

ととら亭は間もなく開業8年目に入ります。
ここまでこの仕事を続けて来れたのは、
多くのお客さまが『おカネを使ってくれた』からではありますが、
それ以上に、『僕たちの気持ちに気持ちで応えてくれた』からに他なりません。

もしそうでなかったら、たとえ儲かっていたとしても、
ともこも僕も、早々に移店するか、別の仕事を始めていたことでしょう。

国であろうが、街であろうが、組織であろうが、
小さなレストランであろうが、
人の営みを支えるために欠かせないもののひとつが、
かかわりあう人々の『気持ち』なのではないか?

ととら亭に限らず、自分がやって来た色々な仕事を振り返っても、
僕にはそう思えてならないのです。

えーじ
posted by ととら at 18:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記