2017年08月02日

作れても作れない料理 その3

「よく旅先で食べただけの料理を再現できますね!」

旅のメニューを召し上がっているお客さまから、
しばしばこんなお言葉を頂戴することがあります。

僕たちが現地で触れた感動を可能な限り正確に再現するのは、
確かに骨の折れる仕事です。
しかし、それ以上に難しいのが、
安定した品質でスピーディーに料理を提供するラインを作ること。
極論かもしれませんが、
これこそが家庭と飲食店の違いと言い切れるかもしれません。

計算された仕込みと周到に行われた準備。
客席からはまったく見えない地味な部分ですが、
これなくしてととら亭の料理がテーブルに並ぶことはないのです。
そしてこの段取りが、
ランチとディナーをきっぱり分けている理由でもあります。
そう・・・

「ランチタイムに旅の特集メニューを食べられませんか?」

こうしたご要望をよく頂くのですが、
これまた僕らの回答は「すみません・・・」。

ランチはお客さまの滞在時間が短いので、
ディナー以上に提供スピードが求められます。
まさか昼休みに来られたお客さまを、
料理が出るまで30分も待たせるわけにはいかないでしょう?
ですから調理手順も速度に合わせて最適化しているため、
作れる料理は自ずと限定されてしまうのです。

そしてその準備を夜12時過ぎまで店にいた人間が、
朝8時前に店に入って始めるので、(ブラックだなぁ・・・)
素材こそ冷蔵庫にあっても、
突然「ディナーメニューを作ってくれませんか?」と言われて、
「かしこまりました〜!」とはなりようがないのです。

もし、いつでも今のグレードの料理をすべて提供できるようにするとしたら、
僕らの労働時間は既にレッドゾーンを振り切っているので、
「雇わず雇われず」のととらポリシーを破って、
助っ人を呼ぶしかないでしょう。

そうなると人件費が価格に転嫁され、
メニューに載っている値段は、
いわゆる『野方価格』ではなくなってしまいます。
ま、『銀座価格』とまではならないでしょうけどね。

この辺、
いろいろとバランスを取るのが難しいところなんですよ。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 21:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記