2018年02月05日

第15回取材旅行 その12

この旅で周っている3カ国は地理的に隣接しているとはいえ、
文化的にも経済的にも大分違っています。
こういうのはペーパーベースだとイマいちピンと来ないかもしれませんが、
実際に足を踏み入れてみると、
予備知識がなくても肌で感じられることが少なくありません。

そう、モザンビークはスワジランドに比べても、
さらに経済状態が厳しいのですよ。
同じデータ上で見ると、
スワジランドの平均月収約58,000円(171ヵ国中107位)に対して、
モザンビークは約9,700円(同165位)と、
僕たちがかつて訪れたエチオピア約12,000円(同159位)や、
ネパール約21,000円(同141位)よりも低いのです。

もちろんここでは留意すべき点がふたつあります。

ひとつめが『経済格差』。

ジニ係数
(収入不平等指数。数字が大きければ大きいほど格差も大きい)で比較すると、
南アフリカ  63.1パーセント(141ヵ国中第2位)
スワジランド 50.4パーセント(同第18位)
モザンビーク 45.6パーセント(同第37位)

この数字が意味するものは、
先の『平均』月収の数字が実際に当てはまる現実ではなく、
多くの人々が『平均』以下の収入しか得られていない、
ということなんですよ。

たとえばわが日本は、
平均月収約345,000円(171ヵ国中18位)で、
ジニ係数は37.9パーセント(141ヵ国中第73位)。
年収にすると平均4,140,000円!・・・だそうな。

え? そんなにもらってるの!?

っとなった人もいますよね?
(僕も含めて!)

そう、だから『平均』ってのはあんまり当てはまらないんですよ。
そしてこの平均線の上は人数が少なく、下は多い。
残念ながら資本主義社会における所得のピラミッドは、
けして逆三角形にはなりません。
その『高さ』と平均線で区切られた三角形の面積の上下比が、
僕の言う『肌で感じられる違い』を作りだしているような気がします。

で、その『肌で感じられる違い』ですけどね。
国というレベルでいうなら、道路の路面状況と街灯の数、
ゴミの散らかり加減、そして水道と電気の普及度と質です。

日本水準からみると、国の税収が少なくなればなるほど、
道路はデコボコになり、街灯は減り、
ゴミと溢れた下水で腐臭が漂い、停電も増えます。

人で見るなら足元が一番分かりやすい。
靴を履いている人が減り、サンダル履きの人が増えるのです。
そして更に悪化した場合は、サンダル履きの人が減り、
裸足の人が増えてきます。
この変化は大人より子供から先に現れてきます。

また平日の日中にもかかわらず、
若年層の人が手持無沙汰でブラブラしている姿が目立ち始めるのです。

タバコの売り方も目安の一つですね。
先進国なら箱単位で売っているのが当たり前ですけど、
開発途上国では本数単位のばら売りが基本になり、
やがて見かけなくなります。
経済状態がひっ迫すれば、まず嗜好品から削り始めますからね。

ここ、モザンビークのマプトはそうした意味で、
エチオピアのアジスアベバやネパールのカトマンドゥより、
この目安において厳しさが際立っていました。

そこで再び外務省の一般情報を参照すると、
モザンビークは経済成長率こそ3.6パーセントと悪くないものの、
物価上昇率は19.8パーセントに昇り、
失業率に至っては約4人にひとりの24.3パーセントもあるじゃないですか。
貿易だって輸出が33.5億ドルで輸入が84.9億ドルの大赤字ですしね。

こうした状態は物乞いの人たちの属性にもはっきり表れていると思います。
ここまで貧しくない国では、社会的な弱者は、
身体的なハンディキャップを持つ人や女性、子供が中心ですけど、
モザンビークのレベルになると、
20歳代の働き盛りの男性が物乞いをせざるを得なくなってきます。

仕事がないんですよ。

仮にあったとしても、
真面目に働いたところでまともな収入にならない。
今回の3カ国で一番数字の良い南アですら、
黒人の工事作業員の平均月収は約4万円前後と、
一般的な平均収入の半分にも届かないそうです。

昨日の昼、高級住宅地にある公園内のレストランで食事をしていた時、
そこはまさしく、モザンビークの、
いや世界の縮図になっていることに僕たちは気付きました。

お客さんは僕たちを除いて95パーセント以上が白人。
そして働いている人は100パーセント黒人だったのですから。

ああ、僕は日本人に生まれて良かった!

と喜ぶ前に、ふたつ目の留意すべき点もお話しなければなりません。

ここまでのお話はある意味で他人事です。
しかし、僕の駄文にお付き合い頂いている皆さんに、
こう質問させて下さい。

確かにモザンビーク人の収入は、
僕たち日本人の約2.8パーセントしかありません。
逆に言うと、僕たちは彼らの約35倍以上の収入があります。

では、
リッチな僕たちはプアーな彼らより35倍以上しあわせなのでしょうか?

これまた僕が旅を続けていて毎回思うことなんですけどね。
現地で出会う人々のスマイルに接したり、
スマホやパソコン、ゲームマシン相手ではなく、
人間同士が目を合わせて楽しそうに語り合っているところを見ていると、
君たちも早く僕たちみたいになれるといいね!

なんて、とても言えない気持ちになるのですよ。

えーじ
posted by ととら at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記