2018年12月04日

第6回研修旅行 その6 最終回

インドネシアは近いですね。
昨夜、定刻にングラライ国際空港を離陸したGA880便は、
ほんの6時間23分で成田空港に到着しました。
直行便で行くことが少ない僕らには、
あっという間の空の旅でしたね。

朝8時半。雨上がりの成田はやや暖かい曇り。
飛行機を出るなり時間の流れが加速するのを感じます。
自動化が進んだイミグレーション。
さらにバゲッジクレームに着いたとたん出てきたバックパック。
税関も申告書とパスポートを出してさらっとスルー。
とどめはクレジットカード支払いが可能な自販機で、
成田エクスプレスのチケットを買い、その10分後には新宿へ向けて出発!

ひゅ〜・・・

ま、その良し悪しは別として、
東南アジアの国々でこんなスピーディーな移動はまずありえないでしょう。
優秀なシンガポールのチャンギ国際空港ですら、
もうちょっとペースは遅いと思います。

今回は同じ宿に長逗留だったので、
スタッフのほとんどが顔見知りになりました。

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なかでもよく話をしたのがスカリーニさん。
彼女はここから少し北の田園地域に住み、
スクーターで15分かけて通勤しています。

実は彼女とは前回ここに泊まった時にも会っていたんですよ。
朝食の時間にいろいろ話を聞くのがとても楽しみでした。
素朴な疑問は現地の人に聞くのが一番確実ですからね。

「ウブドはパンも美味しいけれど皆さんも食べるのですか?」
「いいえ。パンはほとんど食べません」
「じゃ、朝食は何を食べるのですか?」
「お粥が多いですね」
「事前に読んだ本によると、
 朝食は前日の残り物を食べることが多いと書いてありましたが」
「朝からすべて作りますよ。バリ人の朝は早いですから。
 3時くらいには起きるんです」

僕が今まで出会ったムスリムやヒンドゥーの話では、
結婚相手を決めるのは父親であり、
子供はその決定に従うしかないそうですが、
バリヒンドゥーもそうなのかと訊くと、彼女は顔を赤らめ、

「私たちは自分たちの意思で相手を選びました。
 主人が私を見染めたのです!」

へぇ〜、そうなんだ。
じゃ、もう少し突っ込んで、カーストについて訊けば、

「バリ島ではカーストによる差別はありません。
 小さなコミュニティーですから」

僕が見たインドの実例を話したら結構驚いていました。
確かに同じヒンドゥーでもインドとはだいぶ違う印象を僕も持っています。

日本にとても興味があり、
いつか行ってみることが夢だと話すフロントの青年に、
日本の何に一番興味があるのか質問すると、

「アニメです!」
「なるほどね〜、日本のアニメは世界的に人気があるからな。
 その中で何が一番好きなの?」
「Naruto! それからドラゴンボールも」

そういえばベトナム系ノルウェー人のダニエルも、
同じようなことを言っていたな。

今回、ウブドを中心に歩き回っていて驚いたのが、
一度も「ニーハオ」や「アンニョンハセヨ」と声をかけられなかったこと。
観光客の国別比率でいえば中国人が圧倒的に多かったものの、
誰一人として間違えて声をかけてきた人はいませんでした。

ソウルでも同じことがありましたが、
あの時と同じように、
「何となく」僕らは日本人だと分かるのかもしれませんね。

もうひとつ強く感じたのは、
彼らの民族的アイデンティティーが、
インドネシア人ではなく、バリ人だということ。
これは宗教的にマイノリティだということもあるかもしれませんけど、
(ヒンドゥー教徒は全体の1.63パーセント)
ちょっと踏み込んだ話をすると、彼、彼女たちからは、
強いバリ人としての誇りを感じることができます。

香港に行った時に、
「われわれは中国人というより、むしろ香港人なんだ」
と言っていたクッキングクラスの先生をふと思い出しました。

経済成長を続けるインドネシア。
バリ島でも2013年に新国際線ターミナルが完成し、
ホテルの林立する南部の変化は目まぐるしいものがあります。
ウブドもやがて、
東南アジアのよくある西洋化された観光地のひとつになってしまうのか?

今回訪れてみて、僕はそれが杞憂に過ぎないことじゃないのか?
と考えるようになりました。

確かにモノの富める日本のような国を
羨望のまなざしで見つめるバリ人は、
若者を中心として少なくないでしょう。
実際、僕らを含めてウブドを訪れる旅行者たちは、
彼らが逆立ちしても手に入らないものを身に着けています。

オレも、ワタシも、あんなものが欲しい。
そう思わなきゃウソだ。

でも、この島が日本のミニチュアのようになることはないと思います。
彼、彼女たちは、たぶん本能的に理解しているんですよ。
僕たちの『豊かなくらし』がタダで手に入ったものではなく、
大切な何かを犠牲にした結果なのだと。

個人的な時間を、家族や親族の絆を、ともに育った幼なじみたちを、
そして民族のアイデンティティを支えるコミュニティを失くしてまで、
観光客たちが持つきらびやかな『何か』を手に入れる意味があるのか?

彼らはけして言葉ではそう語りません。
でも誰もが雄弁に語っているんですよ。

そう、あのゆったりした歩き方でね。

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See you on the next trip!!

えーじ
posted by ととら at 19:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記