2018年12月09日

忘れられた歌

先日、ウブドのラヤ通りを歩いていたら、
はっと目を引くカップルが目に飛び込んできました。

推定年齢75歳前後の白人男女。
二人とも背中の半分くらいまで垂れた長髪、
その髪を額に留める色褪せたバンダナ、
日に焼けた肌にタトゥー、
無国籍風のサイケなファッション・・・

彼らはまさしく、
ベトナム反戦映画などで登場するヒッピーじゃないですか!
いやぁ〜、久しぶりに会いましたね、先輩!

そう、バンコクのカオサン通りが『健常化』した昨今、
バックパッカーの始祖ともいえるヒッピーたちの一部は、
ウブドに流れつつあるのかもしれません。

今でこそたんなる貧乏旅行の1スタイルになってしまったバックパッカーですが、
そもそもは既成秩序た対する、
カウンターカルチャーの傍流として生まれたものなんですよ。

つまり格好良く言うと、旅のスタイルのひとつではなく、
反骨的な『生き方』そのものだったんですね。

その先輩たちも高齢化が進み、
最近はかつて聖地とまで言われたネパールのタメヤン地区や、
インドはカルカッタのサダルストリート、ゴア、
モロッコのマラケシュでも、だいぶ少なくなってしまったようです。

この辺の話は、あまり日本で馴染みのないことかもしれません。
海外旅行が一般化したのは円の為替相場が変動制になり、
バブリーな経済の後押しがあってからですし、
なにより欧米と比較して旅行という文化そのものが希薄でしたからね。
日本人バックパッカーの魁は、欧米に遅れること10年、
今の年齢でいうと60歳以下ではないでしょうか。

精神性においても共通するものがあると思います。
日本でも学生運動はありましたけど、
暴力的な方向に流れてシンパと社会的な共感を失い、
やがて残党も出る釘は打たれるように、
敵対した体制に飲み込まれてしまいました。
(あ〜、いちご白書をもう一度・・・)

その後のステージに『しらけの世代』が上がり、
インターネットの普及と共に『仮想現実の住人たち』にバトンが渡ったいま、
金銭的な節約以上の何かをバックパッカーに求めても、
無理な相談なのかもしれません。

「若僧、おめぇらに何も期待しちゃいねぇよ」

深く刻まれた皺の奥から、
ボブ・ディランのような鋭い眼光で、
彼はそう言っていたような気がしました。

風に吹かれて

あの歌の歌詞を読んでも、
心に感じる人は減ってしまったんだろうなぁ・・・

特にいまの日本では。

えーじ
posted by ととら at 17:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記