2019年02月05日

第17回取材旅行 その9

今朝は10時にカイロの安ホテルをチェックアウトして、
鉄道でアレキサンドリアに向かいました。

今は12時22分。
僕らはアレキサンドリア行き89番列車のコーチ9に乗っています。
席のグレードは2等。片道約300円で2時間半の旅です。
車両は結構ゆったりした大きさがありますが、
かなり老朽化が進んでおり、床にはゴミが散乱してることもあって、
インドの鉄道を思い出しました。
エアコンがないので車内はドライサウナに近い状態。
加えてトイレは旧国鉄時代のそれがホテル級に思える恐ろしさ。
便器を覗けば線路がよく見えます。
そして客車のドアが開くたびに車内は公衆トイレの臭いが充満し・・・
という訳で移動中に駅弁を食べるのはお勧めしません。

2等とはいえ一応、指定席にもかかわらず、
自分の席にたどり着くのがひと騒動なのもインド級。
まず、どのプラットフォームから出るのか分からないんですよ。

インフォメーションボード?

そんなものを期待しちゃいけません。
あることはありましたけどね。
僕らの列車のフォーム表示はなし。
そこで例によってAsk and Go作戦の始まりです。

これ、正確に言うと、
Ask and Go Ask and Go Ask and Go Ask and Go.....
なんですけどね。
とにかく訊いた人によって答えが違いますから。
(間違っていても、皆さん悪気はないんですよ)

ようやく一番確度が高そうな10番ホームに辿り着いた僕らは、
ここでも複数の人に行き先を訊いて確認を重ねました。
どうやら間違っていない・・・ようです。

しかし! 列車が来ません。
いや、来ました! これかな? 時間からしてこれだろう!

そこでまた英語を話しそうな人を探して訊くと、
次の便だとのこと。

そして定刻を過ぎること40分。
隣の9番ホームに列車が息を切らせながら滑り込んでくると、
周囲の親切なローカルたちが「これだよ!」と教えてくれました。

めでたし、めでたし・・・

にはまだなりません。
次はコーチ9のシート53,54を探さなくてはならないのです。
どうしてこんなことをしているのかというと、
列車にはコーチナンバーはおろか行き先すら表示がないのですよ。
というわけで席に座るまで延々と Ask and Go を繰り返すしかない。

でもローカルの方たちはおしなべて親切ですからね。
仮に英語が通じなくても、
アッサラームアライクム(こんにちは)と笑顔でチケットを見せれば、
みなさん僕の意図を理解してくれます。

こうしてようやく僕らを乗せた列車は北に向かって出発したのでした。

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さて、それでは落ち着いたところで昨日のトルコ編の続きを再開しましょう。
今日はブルサとイスタンブールですね。

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アダナを離陸した僕らの飛行機が着陸したのは、
新設されたサビハギョクチェン国際空港の国内線ターミナル。
きれいですけど市内へのアクセスはイマイチ。
路線バスで1時間以上はかかります。

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アジア側のカラキョイフェリーターミナルに着いたのは夕餉れ。
どうです、この風景? 旅情を誘うでしょう?
このフェリーは香港のスターフェリーと同じく庶民の足。
20分ほどの小旅行ですが、船内では美味しいチャイも楽しめます。

istanbulnightview02_tr.jpg

お〜、旧市街が見えてきました。
右側に見える細長い光の帯はライトアップされたガラタ橋です。
うっとりする眺めでしょう?

istanbulport_tr.jpg

エミノニュの港に着くと12年前の記憶がはっきり蘇ってきました。
だってバリックエキメッキ(サバサンド)の香りまで、
漂っているんですからね。
懐かしいなぁ。
なんか、帰ってきた〜! って感じがします。

istanbulhotel02_tr.jpg

僕たちが投宿したのはエミノニュの港から徒歩10分ほどの場所にある、
スィルケジ駅のすぐ脇。
この辺は手頃で使い勝手のいいホテルがたくさんあり、
どこへ行くにもとても便利なのです。
もちろん飲食店探しにも不自由しません。

istanbulhotel01_tr.jpg

部屋はご覧の通り東横イン級の狭さ。
しかも5階の部屋でもエレベーターはなし。
毎日いいエクササイズが無料でできます。

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翌日は歩いて懐かしのアヤソフィアへ。
どの方向から見ても端正な美しい造りですね。
対面の要塞のように武骨なブルーモスクとはまったく印象が違います。

istanbulayasofia02_tr.jpg

内部は残念ながら修復作業が行われていましたが、
荘厳な雰囲気はそのまま。
この空間にいるとイスタンブールではなく、
コンスタンティノープルにいるという気持ちになってきます。

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ガラタ橋の袂から望む新市街。
あの辺のお洒落な雰囲気は大好きです。
トレンドに敏感でお洒落なトルコ人の集う場所。

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ここからはオスマン帝国が最初に都をおいたブルサまで、
高速船なら日帰りで行けます。
アジアとヨーロッパを隔てるボスボラス海峡を航行している時は霧が出て、
タイムマシンに乗っているような幻想的なムードに。

brusaiske03_tr.jpg

この街でのミッションは、
ととら亭でも紹介したイスケンデルケバブ発祥の店で、
オリジナルを食べること。
この料理、19世紀後半にメフメトウル・イスケンデル・エフェンディ氏が、
ブルサのヘイケルにある店で考案したといわれています。
ここでは今でも次男の家系の本店と長男と三男の家系の支店が盛業中で、
僕らは二手に分けれてチェックに行きました。
この写真は僕が担当した支店の方。
11時15分の時点では混んでいたものの、すぐに座れましたが、
13時頃もう一度前を通ってみたら長蛇の列が。
本店の方がずっと広いので昼時に行かれる方はそちらをお勧めします。

brusaiske04_tr.jpg

で、これがトルコ料理のひとつとして世界的に広がった、
イスケンデルケバブのオリジナル。
エキメッキを2センチ四方くらいの角切りにして皿に並べ、
その上に薄切りの香ばしいラムケバブを並べます。
そしてシンプルなトマトソースをかけて、
ヨーグルトを添えたものがサーブされるのですが、
テーブル上で溶かしバターをジュワっとかける演出付き。
味はなるほど本家の美味しさでした。
この料理は僕らも様々なところで食べましたが、
オリジナルは意外とシンプルなんですね。
ちなみにこの店、メニューはこれひとつしかありません。
いわゆる専門店です。

istanbulgrandbazaar01_tr.jpg

さてイスタンブールに帰った僕らは次のミッションへ。
まずはこれまた懐かしのグランバザールへ行きましょうか。
ここでの目的はお店でディスプレイするアンティーク探し。
残念ながらお目当てのファティマの手や、
アストロラーベは見つかりませんでしたけど、
ぶらぶら冷かしながら歩いているだけで楽しいですね。
疲れたらお洒落なカフェがたくさんありますから、
甘いチャイかトルココーヒーで一息つきましょう。

istanbulegyptianbazaar01_tr.jpg

驚いたのがエジプシャンバザール。
きれいに改装されて土産物市場化していました。
ん〜・・・これはちょっと残念。
しかしイスタンブールは僕らの期待を裏切りません。
建物を出た脇道は以前と変わらず、
ローカル御用達の店が軒を並べて待っていてくれました。
ここでのミッションは店で使うケバブ用の飾り串をゲットすること。
これは・・・あった! それも手ごろな長さで素敵なのが!
しかも安い。いや、ともこが強烈に値切った結果ですけどね。
(もちろんともこ語で)
店員さんはやれやれ・・・って感じ。
テシェッキュレデリム!(どうもありがとう!)

istanbullocanta01_tr.jpg

イスタンブールでは大衆食堂のロカンタを中心に取材を進めました。
ロカンタとは実に僕ら向きの飲食店で、
ご覧の通り、目で見て料理を選べるのです。
トルコ語が話せなくても指さしオーダーでぜんぜん大丈夫ですから、
トルコに行った際はせひお試しを。
ちなみにとても安いです。
僕らは二人でお腹いっぱい食べて800円くらい。

istanbulmousakka_tr.jpg

何だと思います? これ。
ムサカなんですよ。
昨春のギリシャ料理特集でギリシャバージョンをご紹介しましたが、
ビジュアル的にこれは別物ですね。
でもベシャメルとポテトを除けば材料はほぼ同じなんです。
一番近い味のイメージはアラブ版の麻婆ナスかな?
発祥はアラブなのでこちらの方がオリジナルに近いと考えられます。
とろっとしたナスがとても美味しい。

istanbulsalma_tr.jpg

中東からコーカサス、バルカン半島も含め、
非常に広い範囲で食べられているブドウの葉を使ったサルマ。
この料理の発祥も料理名(トルコ語のサルマク(巻く)が語源)を考えると、
ここがオリジナルと考えられるかもしれません。
他の地域でも同じ名前で呼ばれていますので。
注意すべきは詰め物のドルマの名前が誤用されて根付いた場所もあること。
ギリシャでは同じ料理をドルマダキアと呼びます。
ちなみにドルマはトルコ語のドルマク(詰める)が語源だそうな。
味を比べると、中東、コーカサスバージョンは、
ほぼこのオリジナルに近いですね。
でも日本人の口に合うのは欧州風のギリシャバージョンかもしれません。
確かにアテネのプラカ地区で食べたドルマダキアは絶品でした。

istanbulwaterbridge_tr.jpg

イスタンブールの楽しみ方は無限です。
極端な話、ただぶらぶら歩いているだけでも楽しい。
歴史に興味のある方なら退屈はありえないでしょう。
ほらビザンティン帝国時代の水道橋が、
現代と共存しているんですよ。

istanbulgarata02_tr.jpg

最終日の夜は思い出の新市街へ行きました。
ライトアップしたガラタ塔が美しい。
入り組んだ細い路地にはストリートミュージシャンが、
それぞれのメロディーを奏でています。
中には中央アジアや南米のミュージシャンの姿も。
この街は今でも文化と人種の交差点なんですね。

istanbulairport02_tr.jpg

さぁ、出発はアタテュルク国際空港から。
予想はしていましたが、今回も後ろ髪を引かれての移動となりました。
何度訪れても興味の尽きない街ですね。
そう遠くない未来にまた来るよ。
僕らはそう言い残してカイロ行きエジプト航空MS736便に乗り込みました。
2時間半後の未来には、初めて訪れる国が僕らを待っています。

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お、乗客たちが荷物をまとめ始めました。
そろそろエジプト第2の都市アレキサンドリアに到着するようです。
時刻は14時40分。お腹が空きました。
降りたらまず飲食店を探してかなり遅いランチにしましょう。
ここではもちろん地中海のシーフードがお目当て。
ホテルは・・・また安宿だからなぁ・・・静かなことだけを祈っています。
ここで一泊したら明日はまたカイロに戻り、いよいよこの旅もフィナーレか。
ちょっと寂しくなってきました。

えーじ
posted by ととら at 03:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記