2019年04月05日

第17回取材旅行番外編 その2

取材旅行中は基本的に2日に1回ブログをアップしていますが、
時々間隔が開く時があります。

その理由はふたつ。

まず、インターネットに接続できなかったから。

先進国ではあって当たり前となったWi-Fiも、
けして世界標準という訳ではありません。

というか、南米高地の荒野とか北アフリカの砂漠など、
僕たちの守備範囲では携帯電話、いや電気すら、
『圏外』がフツーの場所も珍しくないのですよ。
(ちなみに今ブッキング中の次の取材地もそう・・・)

もうひとつは、ブログが書ける状況ではなかったから。

まぁ、陸路の国境越えでてんやわんや!
ではキーを叩く暇もありませんが、
別の意味で『書ける状態ではない』場合もあります。

この番外編では当時書くに書けなかった、
とあるインシデントをお話しましょう。

あれはトルコ・エジプト取材旅行でのこと。
日本を発った翌日、
イスタンブールで国内線に乗り換えようとしていた僕らは、
セキュリティエリアのベンチに座って、
カイセリへ行く飛行機の出発を待っていました。

そこで僕は最初の異変に気付いたのです。

ともこがおとなしい。

これはフツーではありません。

普段の彼女をご存知の方なら説明不要なように、
彼女は何をするにもエネルギッシュな人です。
日本語で申し上げますと、激しい人なのです。

加えて私事で恐縮ですが、夫婦の会話の方向性は、

ともこ → 僕 90パーセント
僕 → ともこ 10パーセント

なのですよ。

ご来店されたことのある方は、
お店のスポークスマンである僕を見ているので意外かもしれませんが、
僕は元来、いまは亡き健さんのように寡黙な男なのでございます。
不器用ですから・・・

話を戻しましょう。

そのともこがおとなしい。
しかも旅の始まりという、彼女がもっともハイになる局面で、
ほとんど喋らないじゃないですか。

これはおかしい・・・

そこで僕は、
22年余り連れ添った経験から学んだ彼女のプロファイルをもとに、
この状況の分析を始めました。
その結果、彼女がおとなしくなる理由は3つしかない、
という結論に達したのです。
それは・・・

理由1 お腹が空いている
これは該当しません。
機内食を食べてまだ3時間しか経っていない上に、
空腹であれば「おなか空いた!」と、
彼女は必ず自己主張することを忘れない人です。

理由2 怒っている
これも違います。彼女がご機嫌だった日本出発時から、
僕はともこの逆鱗に触れるようなことはしていません。
自己評価では実に良き夫だと思います。
(まぁ、僕が気付かないうちに怒っていることもありますけど・・・)

理由3 体調が悪い
ん? これは・・・心当たりがあります。
記憶を辿ると新宿を出発した成田エクスプレスに乗っていた時から、
彼女は時々咳をしていました。
そこで・・・

「どうしたの? 調子悪い?」
「ん〜・・・寒いの」

僕はここで確信しました。
僕にとって丁度いい気温を彼女は寒いと感じている。
極端な暑がりのともこからは考えられない回答です。

「熱があるんじゃないのかい?」
「うん・・・
 さっきのフライトは毛布を掛けても寒くて寝られなかったの。
 歯ががくがくしちゃうくらい。
 気持ちも悪いし・・・」

あ〜、やっぱりそうか。
原因は分からないけど症状からすると体温は38度を超えているな。
出発まであと40分。
このフライトに乗るなら空港の救護室に行っている時間はない・・・か。

「カイセリまでのフライトは1時間ちょっとだ。
 がんばれそうかい?」
「うん」

さいわい移動中の機内で出たサンドイッチと熱い紅茶で、
彼女の容態は少し良くなって来ました。
しかし、ホテルにチェックインして体温を測ってみると、

「まずいな、38.6度もある」
「え? そうなの? 体はさっきよりずっと楽になったけど・・・
 とにかく成田からのフライトの方がつらかったな」

僕はファーストエイドパックから解熱剤を探し出しました。
手持ちの薬だと、ここまでの高熱に使えるのはカロナールしかありません。

時刻は14時。

薬を飲んでベッドに入った彼女は、すぐ軽い寝息を立て始めました。

出発前はなにかと忙しかったし、
機内でも眠れなかったから疲れもあるだろうな。
とりあえず、これで19時くらいまで様子を見よう。

僕は曇った窓から雪化粧したカイセリの街を見ながら、
この旅のプランBを考え始めました。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 13:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記