2020年04月05日

入院日記 パート3 その7

ヨガです。

え? 藪から棒になんだ?

いや、手術が終わってからの僕の生活を例えると、
一番フィットするのがヨガという表現なんですよ。

試しにですね、左足をまっすぐ伸ばし、
いっさい体重をかけずにトイレまで行って、
用を足してみて下さい。

いかがです?

体重のかかる右足は1分もしないうちにブルブル震え、
初心者バレリーナのように上げた左足はももがつりそうになり、
掴まれるものには何でも手を伸ばしてバランスを取っているうちに、
おかしなポーズになってきたでしょ?

これ、本人はしごく真面目なんですけど、
傍から見ると、かなり変です。

そのシリアスコメディは、病院でこんな風に始まったのでした。

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ん〜・・・よく寝たな。
あの錠剤の睡眠薬は効き目のわりに翌日まで残らないね。
チューバッカのいびきや寝言に悩まされることもなく、
朝までぐっすり熟睡できた。

じゃ、セルフチェックを始めるか。

僕はベッドに寝たまま体を伸ばし、
左足からコンディションチェックを始めました。

足首は回せる・・・手術した膝の鈍い痛み・・・
これは無視できるな。
開脚は・・・開けるけど・・うっ・・閉じる時に痛いね・・・
でも、できないことはない。

問題は腰だ・・・お・・・大丈夫・・・そうだな?
うっ・・・捻るとピリッとくるか・・・まだ安全装置はかかってない。
でも、すぐ爆発するような状態じゃなさそうだ。

ここで電動ベッドの助けを借りながら上半身を起こし、
僕は両腕をベッドに押し付けて体を浮かしてみました。

お、いいじゃないか、なんとか動けそうだぞ!
試しにベッドに横座りできるかゆっくりやってみよう。

両足を伸ばし、右足を右へ、左足も右へ・・・
って、いててて・・・よ、し動いたぞ、こんなもんか?
次は腹筋に力を入れて体を浮かし、同じように右を向く・・・
OK、いいぞ、ここから体を前にずらせば・・・
ほ〜ら、横座りできた!

ここで大きく深呼吸して意識を集中し、
ふたたび腹筋に力を入れて右足一本で立つ・・・

いぇ〜っ! できたぜ〜っ!
すごいぞ、えーじ!

僕は思わずグリコのポーズ。

って調子に乗ってると危ない。
ふらふらしてるし。一回ベッドに座ろう。

そこへ昨日のスパルタ看護士さんが現れました。

「久保さん、どうですか、腰は?」
「お蔭さまで少し落ち着いたようです。
 そこで車椅子を持って来て欲しいのですが」
「え? 大丈夫なんですか?」
「たぶん。あとでゆっくり試してみますよ」

そうそう、こういうのは自分のペースでやった方がいい。
またにっこり笑って「えいっ!」ってのはゴメンだからな。

そして彼女がいなくなったのを見計らって、
さっきのリハーサルどおり、最初のハードルに挑戦してみました。
すると・・・

おおっ! やったぜ、車椅子に無地着地成功だ!
さっそくこのままトイレに直行しよう。
(トイレに行きたかった!)
まず両方のストッパーを解除して、バックでカーテンを抜け・・・
よし、ここで左に車輪を切って・・・OK、前進だ!

車椅子は腰部椎間板ヘルニアで入院した時に仮免まで行った腕前。
あれから6年経ってるとはいえ、体で覚えた技術は忘れないものです。

廊下で別の患者さんを診ているリハビリの先生が目に入りました。

「あれ、久保さん! 乗れたんですか?」
「ええ、ヘルニアが落ち着きまして。
 いま車椅子の練習中です」
「昨日とはまるで別人のようですね」
「みなさんのお蔭ですよ。それでは後で会いましょう!」

さぁ、トイレに急ぐぞ!
膀胱のキャパメーターがレッドゾーンだ!

そこへ早歩きで看護士さんが追い付き、

「ここまでひとりで来てたんですか!」
「ええ、車椅子は以前、乗っていたことがあるんですよ。
 短期間でしたけどね」
「トイレは分かります?」
「はい」
「中に丸椅子がありますから、そこに左足を乗せると楽ですよ」
「ありがとうございます」

トイレのカーテンを閉めた僕は、
深いため息をつきながら、
膀胱のキャパメーターがブルーゾーンに戻るのを感じつつ、
ふたつの高いハードルを午前中に越えられた達成感にひたっていました。

よ〜し、この調子なら昨日の遅れを取り戻せるかもしれない。
そのためには・・・
今日の午後のうちに松葉杖を使っての水平移動をマスターしなくちゃ。

やれるかな?

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記