2020年04月09日

入院日記 パート3 その8

やりましたぁ〜っ!

って、このシリーズはこういう唐突な始まり方が多いな?
でもま、本当なんだからいいか。

いや、6日の月曜日、退院後初の検診に行ったのですけどね、
経過は順調で、あの邪魔な大型装具から解放されたのですよ!

左足にまだ体重はかけられないものの、
膝関節は60度まで曲げられるようになりました。
普通に椅子に座れるだけでもありがたい。
また、シャワーの許可が出たので、
傷をカバーすることなく、そのままお湯が浴びられるのです。

え? 今までどうしてたんだ?

それはですね、
スーパー袋の下を切り、さかさまにして膝まで上げ、
上下の部分にガムテープをリング状に貼って防水。
それでシャワーを浴びてたのですよ。

ま、これは手間なだけでしたが問題は出たあと。
ともこが、び〜っとガムテープを剥がすでしょ?
そう、おかげで僕の哀れな左足はリング状のしましま脱毛状態。

おっと、いいことがもうひとつありました。
検診の前日、松葉杖の使い方でブレイクスルーがありまして。
なんと最初は大変だった通勤も、
登りのある往路(約430m)ですら今日のタイムは8分40秒!
初挑戦が15分でしたから、半分近い短縮です。
しかも疲れはその半分以下。
まじめな訓練は報われるものです。

しかし、ここまでの道のりは遠かった!
そのはじまりが・・・

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「こんにちは、持って来ましたよ」

昼過ぎ、松葉杖を持ったリハビリの先生がやってきました。

「以前に使ったことはあります?」
「いえ、歩行器と車椅子はありますが」
「わかりました。じゃ、これを使って立つところから始めましょう」

僕は頭をデフォルトにフォーマットしました。

初めてのことをする子供に戻るんだ。
相手の言葉に集中し、100パーセント従う。
まずはフォームが大切だ。
ゆっくりやろう。

ベッドに横座りしていた僕は松葉杖を受け取り、
3回深呼吸したあと、ゆっくり腕に力を入れて立ち上がってみました。

「松葉杖は手だけで使うと思っている人が多いのですけど、
 大切なのは脇で固定することです」
「こうですか?」
「そう、体重を掌で支え、杖を脇でしっかり固定して下さい。
 脇からはずれると一挙にバランスが崩れて転倒してしまいます」

なるほど、そいつは気を付けなくちゃ。

「じゃ、僕に貸して下さい。前に移動するところをやってみせますね」

先生はゆっくり松葉杖を僕からよく見えるように持ち、
前に2歩ぶん進みました。
パッと見はとても簡単に思えます。
しかし・・・

「ではやってみましょう」

よ〜し・・・

掌で体重を支え、脇で固定し、体を軽く前に倒して・・・
振り子のように体を振って着地・・・

「いいですよ、もう少し進んでみましょうか」

僕は自分の動きをイメージしながら、
一歩ずつゆっくり病室の外へ向かって進みはじめました。

おっと、こうか? いや、左右のバランスが悪い。
あ、着地が遠すぎるな、もっとショートピッチで!

彼がやったスムーズな動きとはほど遠く、
僕はさながら壊れたR2−D2のようです。

「松葉杖を開く角度は?」
「肩幅よりやや広く」
「フォームはどうです?」
「前傾がちですね、少し胸を張るように、そうそう」
「視線の向け場所は?」
「最初は足元を、慣れてきたら少しずつ先を見るように」

こんな調子でフロアを1周した時には、
額にうっすら汗が浮かんでいました。

ふ〜、慣れていないから結構疲れるね。
でも、大まかな動きは飲み込めたぞ。

「もう1周していいですか?」

僕は目を閉じて呼吸を整え、ゆっくり最初の一歩を踏み出しました。

なんだか初めてスキーをやった時みたいだ。

フォームやピッチなど、さまざまな修正点を意識しながら、
トライアルアンドエラーで少しずつ進みます。

う・・・、着地する右足の踵が痛んできた。
病室用の上履きって買ったばかりで足に馴染んでないんだよな。

2周目が半分にさしかかるころ、
僕はその痛みがだんだん気になって来ました。
そしてもう少しでゴールというところで・・・

「危ない!」

左の松葉杖が脇からはずれ、バランスを崩した僕は一瞬、
手術した左足をフロアについてしまったのです。

いててててて・・・

転倒こそしませんでしたが、
さっきとは違う冷や汗が・・・

「大丈夫ですか?」
「ええ」
「これが一番危ないんですよ」

OK、身をもって理解しました。

「右足の着地はつま先ではなく、踵の方がいいですよ」
「それが踵に痛みがあって、かばってしまって」
「え? ありゃ、血が出てる」
「靴擦れが出来てるのかもしれないな」
「ではベッドに戻りましょう」

ソックスを下げてみれば、
なるほど1円玉くらいの大きさで皮が剥がれ、
血がにじみ出しています。
ナースセンターに行った先生はバンドエイドを持って来てくれました。

そしてしばらく休憩したあと、今度はひとりで練習を再開。

フォームを注意して1周、ピッチを修正しながらまた1周、
視線の位置を変えながらさらに1周・・・

いいぞ、だいぶ動きがスムーズになったじゃないか。
でも靴ずれの他に掌まで痛むのはなぜなんだ?

見れば両掌のグリップが当たる部分に水泡が出来ています。

うへぇ〜・・・血染めのソックスに豆だらけの手ときちゃ、
巨人の星みたいじゃん!

それでも特訓の成果があって、
昨日の遅れをミッション3まで取り戻したぞ。
明日は残るハードル、床からの寝起きと階段の昇降に挑戦だ。
このふたつをクリアすれば退院できる。

to be continued...

えーじ

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松葉杖デビュー!
posted by ととら at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記