2021年05月31日

幸せのちょっと一振り

時短営業で21時前には店を出ますから、
最近はアパートで夕食を摂ることが多くなりました。
そんな僕らの献立は8割がたが和食です。

レストランをやっていると、
3食すべからく旅の料理を食べていると思われがちですが、
さすがにこの齢なので、寝る前の食事は軽くしているのですよ。

そこで活躍しているのがこれ。
一休堂の京七味。

chillipowder.jpg

京都といえば原了郭の黒七味がよく知られていますけど、
近くでは手に入りにくいので、スーパーで買える京七味が活躍中。

実はこれ、きっかけになったのは昨年10月の入院生活なのです。
入院といえば悩みの種の筆頭が食事。
しかし、しょうがないよねぇ・・・
の一言で運命を甘受する僕ではありません。

新型コロナの影響で病棟に軟禁状態となる16日間。
どうせならなるべく楽しく過ごしたい。
そこでどうすればいいのか?

答えは七味トウガラシでした。

まず病院の名誉のために申し上げますと、
僕が食べていた病院食はけして不味いものではありませんでした。
しかし、ちょっとした工夫で、よりおいしく食べられるのではないか?
そう気付いたのがその前に入院した3月のとき。
キーは味の輪郭にあったのです。

病院食はおしなべて薄味ですが、
これは僕の好みでもあるのでノープロブレム。
しかし何かこう塩味とは異なるパンチが欲しい。
でもって献立のほとんどは油を使わない和食。
となれば七味トウガラシの出番でしょ!

そんなわけで、16日間、
いろんなものにこれを振りかけて食べていたのです。
そうしたらこの風味が忘れられない病院の味となってしまいました。
おいしかったな、うん。

与えられた条件下でいかに楽しむか?

僕はこういうのが得意なんですよ。

えーじ

P.S.
ホントは食べ物の持ち込みはNGです。
よい子の皆さんはまねしないように!

P.S.2
といいつつ、ほかに洋食系アップグレードのための、
マヨネーズやマスタード、
それにトッピング用の常温保存可能なウズラの卵やチーズ、
あとデザートのフィナンシェやパウンドケーキも密輸していました。

ま、整形外科ですからね!
posted by ととら at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年05月28日

生き残りをかけて

東京都の非常事態宣言は6月20日まで延長・・・か。
やぁ〜っぱり、こうなりましたね。

というより、7月23日のオリンピック開催前に、
僕ら『悪の飲食店』が無罪放免される可能性はほぼなく、
このまま最低でも、
7月20日までは何らかの規制下に置かれるんでしょうね。
(下手をすればパラリンピックが終わる9月5日まで)

そうすれば開催期間中にドカァ〜ンとなったって、
小池さんも「ここまでやってたんですから!」と、
エクスキューズできますから。

ああ、人柱ならぬ店柱。

とまれ僕らのような従業員のいない小規模飲食店は、
保証の範囲内で何とかやって行けますけど、
事業規模の大きいところや、
間接的でも深刻な影響を受けている業界はたまらんでしょう。

今日も小用で出かけた際、
シャッターの落ちた新宿のサブナードを見ていたら、
いたたまれない気分になりました。

ほんと、これどうにかなりませんかね?

やっぱりワクチンを打ちまくるしかないのかな?
でも、接種券を配っても肝心のその先がジャムってるんじゃ、
まだまだトンネルの出口は見えない。
そうなると持久力のないところから消えてゆくのか・・・

ととら亭も実際、防戦一方です。
時短営業プラスお酒ダメでは、手足を縛られて海に放り込まれ、
「さぁ、泳いでみろっ!」ってなもんなんですよ。

というわけでディフェンス第2弾として、
6月2日(水)〜6月22日(火)のあいだは、
以下の営業スケジュールでしのごうと思います。

bsche202106.gif

Let us keep on SURVIVE!

えーじ
posted by ととら at 17:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年05月26日

気持ちは分かるんだけど・・・

東京都が非常事態宣言を延長するそうな。

ん〜・・・気持ちは分かるんですけどね、
こと飲食業に限っていうと、
モロ営業や闇営業する店が地滑り的に増えちゃうと思うんですよ。

野方に限ってでさえ、
現時点でモロ営業する店が増えてきています。

あ、ジャーゴンじゃ分かりませんよね。
『闇営業』は、ひよこの隠れん坊みたいに、
半分シャッターを降ろしたり、
遮光カーテンで店内が見えないようにして20時以降も営業している店。
『モロ営業』は堂々とフツーに営業している店。
もちろん両方とも飲酒OK。

昨年4月の非常事態宣言の時と比べても、
その数はだいぶ多くなっています。

なぜか?

おカネです。

その裏事情はふたつ。

まず言わずもがな、保証してもらえる金額が、
通常の売り上げを下回り、従順に要請(命令)を受け入れると、
経営が行き詰ってしまう場合。
これは5店舗以上のチェーン店展開している事業規模のところや、
銀座、赤坂、六本木など、
高額のキャッシュフローで回している店が該当しやすいですね。

そしてもうひとつが今回目立ってきたケース。
20万円から30万円の過料を払っても、『通常』営業した方が儲かる場合。
これはある意味、通常並みではなく、通常以上に儲かるんですよ。
なぜなら他の競合店がみな休業している中で開けるんですから、
待ちかねたお客さんが大挙して押しかけるので。

するとここで別の連鎖反応が起こり始めます。

おとなしく要請に従って休業している居酒屋Aの隣の居酒屋Bが、
モロ営業した結果、普段はそれほど集客していないにもかかわらず、
連日、満員御礼の大盛況!
で、それを見ていた居酒屋Aの経営者はどう考えるか?

やるでしょうねぇ。

そこで彼、彼女の頭に浮かぶ理由は3つ。

1.あれだけ入れば協力金をふって過料を払っても十分利益が出る。
2.モロ営業してもクラスターが発生していない(ように見える)。
3.オリンピックができるくらい『安全』なんだから心配ない。

こうして『赤信号、みんなで渡れば怖くない』式に、
来月からモロ営業店が増えて行く。

ここでまじめな方は憤慨して言うでしょう。

「けしからん! 東京都はもっと厳しく取り締まるべきだ!」

これもまた仰ることは分かります。
でもね、できないんですよ。

この勝負、明らかに行政の方が分が悪い。

いくら国家規模の防疫が目的とはいえ、
モロ営業をしている店がやっているのは、
そもそもこれまで普通にやってきたことですし、
罪悪感を伴う殺人や窃盗ではありませんから、
感覚的にも悪いことをしているという認識は薄い。
いや、むしろ正しいことをしていると思ってもおかしくない。
経済的にはその通りなんだし。

さらに保証が不十分なケースでは、
行政命令で倒産させるんですから、
行政側も胸を張ってやれる仕事じゃないでしょう。

そしてとどめはやっぱりオリンピック。

命のためにステイホーム!
でもオリンピックはやりますよ〜、安全ですから!

ってダブルスタンダードは、
どう逆立ちしても説得力がない。

「10人しか入れないおいらの店が今まで通り営業しちゃ危険で、
 外国人を何万人も集めた国際運動会は安全だと?
 ふざけんじゃねぇ!」

ってなっちゃいますよ。
いくら毎日PCRテストするとかなんとか言っても。

そんな背景があるからか、
先日、ととら亭にも見回り隊の方がいらっしゃいましたけど、

「ちゃんとやってますか? あ、アクリル板が小さいじゃないですか!
 明日までに指定サイズのものと交換してください。
 消毒薬も最低あとふたつは増やさないとだめです!」

なんて上から目線の方ではありませんでした。
事実は真逆で、

「大変な状況で本当にご苦労さまでございます」
「アクリル板はスペースの都合上、この程度のものしか置けないんですよ」
「いえいえ、もうこれで十分です」
「まぁ、うちみたいな規模の店だとこれくらいしかできなくてね」
「いやもう完璧です! 問題ありません。
 このポスターを併置した消毒薬の置き方なんてすばらしい!
 こういうのが大切なんです。参考例として写真を撮ってもいいですか?」

と、ひたすら低姿勢。
『見回り隊』というより『行政アンケート調査』みたいな感じ。

ん〜・・・ほんと、小池さんには難しい局面になってきましたね。

え? ととら亭はどうするんだ。

うちはモロ営業も闇営業もしません。
ただあんまり無茶を言われるようになったら考えますけどね。
僕もまた羊じゃないもんで。

えーじ
posted by ととら at 15:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年05月24日

善と悪のその先へ

ニュースのヘッドラインに『紛争』の文字があると、
どうしても目に留まってしまいます。

それは僕たちにとって遠い世界の話ではなく、
昨年の暮れから続いたアゼルバイジャンとアルメニアの紛争のように、
かつて訪れた場所であり、
かつ、これからも訪れるであろう場所でもあるから。
(ときには出会った人たちの顔も思い浮かびますし・・・)

そしてもうひとつ気になるのが、
そうした紛争がおしなべて善悪の二元論で語られていること。

たとえば今でいうと、
イスラエルとパレスティナの紛争が連日のように報道されていますが、
そのほとんどが圧倒的軍事力を背景としたイスラエルの『無差別』攻撃の非難か、
『テロリスト集団』である、
ハマス(武装闘争を是とするパレスティナの政党)
の原理主義と暴力性の非難に軸足を置いたものでしょ?

僕は個人的にそのどちらの立場も取ってないんですよ。
いや、正確にいうと取れないのです。

なぜなら、
ハマスがどうして過激な武装闘争をやめないのか?
そのハマスがなぜ選挙でときにパレスティナ自治政府の与党となりえたのか?
アラビア半島を構成する国々はどのようにして『建国』されたのか?
イスラエルとはどういう国なのか?
そしてイスラエルを『建国』したユダヤ人とは、
世界各地で歴史上どのような扱いを受けてきたのか?

ここまでコンテクストを広げると、
む〜・・・と、うならざるを得ないから。

2年前、レバノンを訪れた際、僕は旅をするリスクの説明で、
「あそこはもめ事のデパートなんですよ」と言いましたが、
補足するならそれは何でもあるという意味を超えて、
その何でもあるものが独立しているのではなく、
密接に絡まりあっている、ということなんですよ。

ですから目の前の事実だけを切り取って、
自分たちの価値観に基づいた善悪二元論のジャッジを下したところで、
何も解決しないどころか、
火に油となる可能性が高いと僕は考えているのです。

反対にコンテクストを広げたレベルでの熟考は、
ともすれば他者の問題の解決に貢献できるだけではなく、
たとえば、日韓、日中、日露関係など、
自ら抱えた問題の解決にも役立つのではないか?

意見が対立した時、
暴力的な解決方法を正当化する最もポピュラーな理由(言い訳)が、
相手(加害者)が完全に間違っており、
自分たち(被害者)が完全に正しいという極端な善悪二元論です。

故にこれを携えて紛争に介入すると、
一見、調停が目的のように見えても、結果的には参戦状態に陥り、
泥沼をより深めることにしかなりません。(よね?)

紛争の解決にはどれだけ双方の動機(理由)を掘り下げられるか、
その洞察力と理解力、
そして両者への共感する気持ちがキーなのではないか?

ま、かくいう僕にそのスキルが欠けているから、
む〜・・・と、うなっちゃってるんですけどね。

えーじ
posted by ととら at 09:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年05月22日

ワクチン打ちたいんですけどね・・・

ワクチンを打つにも、
まず越えなければならないハードルが予約取り。

僕らはこういうのに慣れているので何てことはありませんが、
離れて暮らす義母の予約を代行しようとしていた矢先に流れたのが、
ワクチン予約システムのバグについての報道。

その後は官業双方に分かれた非難合戦が繰り広げられていますけど、
元SEの立場から言うとですね、

これはメディアさんがNGですよ。

なぜか?

僕は法律の専門家ではないので違法性うんぬんは分かりませんし、
報道の自由や国民の知る権利について風呂敷を広げる気もありません。

ただ単純に、システム運用をやっていた経験から言うとですね、
ペネトレーションテストを運用側に無断でやるというのは、
システム運用上ありえない話です。

しかもそのテストはサービス提供中に抜き打ちでやっており、
かつ、そのサービスはコンサートやレストランの予約システムではなく、
国家レベルで緊急性の高いものでしょ?

ペネトレーションテストは場合によって、
システムの状態に深刻な影響を及ぼすことがあります。
ですからやる場合は、
運用側、テスト実行側で事前に綿密な打ち合わせを行い、
サービスを提供していない時間帯を選んで、
最悪、システムがダウンした場合の対策(体制も)を準備して、
慎重にやらなければならないものなんですよ。

今回の無断ペネトレーションテストは、
ランダムな番号を入力する程度のものでしたが、
(もしかしたら他にもやったかもしれませんが・・・)
こうした無謀な行為が正当化され、
より危険な攻撃、
たとえばSQLインジェクションや、
バッファオーバーフローなどをしかけるようになると、
場合によっては本当にサーバーがダウンしてしまう可能性があります。

また、これみよがしな情報公開のタイミングも、
公益に反したものだと言わざるをえないでしょう。
なぜならシステム側がパッチを当てる前に攻撃方法を公開してしまうと、
愉快犯が便乗してあれこれ攻撃を仕掛けはじめ、
予測不能の2次的な問題を引き起こす可能性が高まるからです。

ですから抜き打ちペネトレーションテストは論外としても、
バグを見つけた場合はまず運用側にそれを伝え、
パッチを当てた後に、どうしてもやりたいなら情報を公開する。
これがある意味、ネット上のITシステムを扱うルールなのです。

というわけで、今度はいちユーザーの立場で申し上げますと、
今、このワクチン予約システムで大切な作業をしようとしていますので、
メディアの皆さま、そこのところをご承知おきくださいませ。

えーじ
posted by ととら at 10:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年05月20日

ワクチン打ちますか?

先日、中野区の区報に、
新型コロナウイルスワクチンの接種案内が載っていました。
それによると僕らの申請は6月28日からだそうで。

思っていたよりだいぶ早いですね。
僕はてっきり年末までに打てたらラッキーかな?
くらいに考えていました。

で、皆さんはワクチンを打ちますか?

僕らは打ちますよ〜。
迷いなく、躊躇なく。

と申しますのも旅の食堂という仕事上、
感染リスクを抑えずして物事は先に進みません。
渡航先によっては、
これからワクチンパスポートの提示を求められるかもしれませんしね。

それにそもそも僕らはワクチン漬けなんですよ。
だってインフルエンザワクチンは毎年打っているし、
南米やアフリカへ行くとなれば、
B型肝炎、C型肝炎から黄熱病まで、
これまでがんがん打っていましたから。

今さらそのひとつに新型コロナが加わったところでノープロブレム!

ワクチンのブランドは選べないそうですが、
個人的にはファイザー製がモデルナ製がいいですね。
抗体獲得率の高さもさることながら、
mRNAワクチンの仕組みにはちょっと感動しました。

すごい技術ですね。

mRNAといえば、
リボソームでたんぱく質を合成する生体分子コマンドじゃないですか。
非常にもろい物質ゆえにドラッグデリバリシステムの問題から、
基礎研究の段階で頓挫していたという話もありましたが、
なんと実現していたとは!

原理的には新型コロナウイルスに限らず、
他のウイルスのワクチンにも応用できるので、
これからは製造の手間と時間のかかる生ワクチンに代わって、
mRNAワクチンが主流になってくるのかな?
(ほかの病気の治療にも使えるんじゃないかしらん?)

接種場所のリストを見たら、
ちょうどインフルエンザの予防接種でお世話になっている、
すぐ近くの病院も載っていました。
こういうのはちゃっちゃと終わらせて、
いい加減、この足踏み状態から先に進みたいものです。

えーじ
posted by ととら at 15:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年05月18日

謎の名店・・・?

旅の食堂などという得体のしれない仕事をしていると、
たまにメディアの方からお声がけを頂くことがあります。

それはたいてい、
「××テレビのものなのですが・・・」
という一本の電話から始まるんですよ。

そしてオファーの概略を聞いたあと、
企画書を送って頂き、打ち合わせをしてから撮影。
(いきなり撮影の場合もあります)

ここでたぶん、
皆さんが意外と思われるのは僕らの立ち位置でしょう。

簡潔に言ってしまうと、僕らは素材なんですよ。

ですから最初の電話のとき、僕が必ずするのが、
『ととら亭という素材で何を描こうとしているのですか?』
という質問。
次に『で、僕らは何をすればいいのですか?』

ある意味、放送を見るまで、
僕らに分かっていることはそれだけ。

確かに撮影される立場ですから、
何を喋って、何を撮影されたかは知っています。
しかし、それが最終的にどう表現されるのかは、
まったく分からないんですよ。

実は今日の24時から、
テレビ東京の『チマタの噺』にちょろっと出ます。
その予告文がなんと、
『約70か国を旅して世界中の料理を出す謎の名店』

つ、ついにととら亭も謎の名店になったのか!

こうした異業種リミックスのおもしろさは、
僕らのイマジネーションから生まれたものが、
他者によって別物に変わること。

『旅の食堂』改め、
『謎の名店』となったととら亭とはどんなものなのか?
僕らも楽しみに見たいと思います。

えーじ
posted by ととら at 12:31| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記

2021年05月16日

チャンスを待ちながら

20日ぶりに昨日からディナー営業を再開しました。
といっても『20時閉店、お酒は出せず』のままですけどね。

しかしながら、
待っていてくれたお客さまの顔を見ると、
これもひとつの正解なんだな、そんな気もしてきます。

これまでも何らかの制約の下でととら亭を運営したのは、
公私ともに初めてではありませんからね。

与えられた条件下でベストを尽くす。

思えばこれは旅と同じでした。
受け身で悪天候やトラブルをしのぎつつ、
チャンスを見計らって能動的に突破する。

ともあれ、今回はどこにそのチャンスがあるのか?

そうか、待つというのも大切な戦略のひとつでした。

これは僕の苦手とするところなので、
訓練も兼ねて辛抱強くやって行きたいと思います。

えーじ
posted by ととら at 16:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年05月13日

時代の流れを感じて

ジェンダーは文化的なものなので、
同じ国の中でも変化して行きます。

僕の身近な経験に照らしても、
たとえば、男女どちらがデートをリードするかとか、
恋愛の告白はどちらがするかなど、
世代間の違いに気付いたことが少なくありません。

なかでもととら亭を始めて気付いたのは、
それが食生活にまで及んでいるということ。

最も大きな変化は食事の量ではないでしょうか?
僕が30歳になるまでの頃に比べると、
男性の食事量はかなり減ったと思います。

ととら亭ではお客さまの年齢、性別、体格に応じて、
料理の量を変えることがあるのですが、
あるとき、20歳代の男性ふたりがランチにいらっしゃったので、
ライスを大盛にして出したら、
ふたりとも残していってしまいました。
しかもこれはレアなケースではなく、
40歳代以下の世代では、顕著な傾向になっているのですよ。

そして逆もまた然り。

先日のランチタイムで。
20歳前後の女性がひとりでカウンターに座りました。

ん? 最近ときどき見かけるひとだな。

彼女は料理が出ると、スマホは脇に置き、
食べることに集中します。ながら食べはしません。

へぇ、最近の若い子にしちゃ珍しいじゃないか。

いつも物静かな様子なので、僕はあまり声をかけませんでした。
そんな彼女が箸をおき、不意に・・・

「あ、あの・・・」

・・・・?

どうしたのかと顔を向けると、
はにかみつつ、意を決したように、

「ご飯のおかわりって、できるのですか?」

体の大きい男の子がご飯を残し、
スレンダーな女の子がおかわりする。
こんなところにもジェンダーの変化がみられるんですね。

「さっきと同じくらいでいいですか?」
「はい!」

おいしそうにご飯を食べる彼女を横目で見つつ、
僕は身近な時代の流れを感じていました。

えーじ
posted by ととら at 16:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年05月10日

自由と不自由の間で

バックパッカーと言えば、
フリースタイルの自由な旅で知られていますが、
意外とあれこれ制約があるのですよ。

こと、お役所系や制服組との関りにもなると、
100パーセント相手の言いなりにならざるをえません。
特にビザの取得や入出国については、
「こりゃ何の意味があるの?」なことでもやらねばなりませんし、
スケジュールにしても、完全に相手に合わせて、
指定された時間に、指定された場所へ、
指定されたものを持って行くしかない。

交渉の余地なし!

そうした意味では、
コロナ騒動下の飲食店経営も同じようなものがあります。

皆さんもご存じのとおり、非常事態宣言が延長されましたよね。
ま、これは予想していたので驚くにはあたりませんけど、
僕の懸念材料は、
今回の対策の効果が芳しくなかったことと、
オリンピック開催までもう2か月ほどしか日にちがないこと。

『開催』と大書きされた壁へ突き進むチキンレースは、
一見フェアでも実は壁の材質が違うという、
生々しい政治と経済の裏事情が隠されています。

ブレーキをかけずに突っ込んでも、バッハ会長が激突するのは紙の壁。
菅首相のはモルタル製。
丸山五輪相と山下JOC会長、
東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本会長のはベニヤ板。
みなさん、それほど大けがはしません。(特にバッハさんは)

ところが小池都知事を待っているのは本物のコンクリート。
(WHOのテドロス事務局長は棄権ですな)

この材質(結末)の違いを各ドライバーは、よぉ〜く知っているでしょう。
そこで話がマクロからミクロに戻ります。

あの小池さん(ある意味、僕らの親分)がこのまま黙って、
ひとりでコンクリート壁に突っ込むと思います?
僕ら都内で規制下にあるすべての事業者を巻き込んで、
菅首相の車に体当たりをかますくらい平気でやるんじゃないかな?

と深読みした僕が描いているワーストシナリオは、
今回の延長の先に待っているのが6月1日からの通常営業ではなく、
さらに厳しい規制、たとえば店内営業禁止なんですよ。
そしてその先はオリンピックが終わるまで営業停止。

そんなわけで、
最初は今月末までディナー休業を継続しようかしらん?
と思っていましたが、ワーストシナリオが的中した場合、
せっかく始めた南米料理特集も、たった3日で終了になってしまいます。

そこで5月15日(土)から、ディナー営業を再開することにしました。

しかしながら現在の酒類販売禁止、20時閉店という、
厳しい規制下にあることは変わりません。
このハードルを越えるために、メニューは特集を中心に絞り込み、
ご入店可能人数の制限もかけての営業となりますことをご了承ください。

はぁ〜・・・先は長く、険しいですな。

P.S.
詳しくは5月の営業スケジュールをご覧ください。

えーじ
posted by ととら at 18:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年05月07日

寝た子を起こされて その3

ご存じの通り、ととら亭は狭いお店ですから、
お客さまがご来店されたときには、自ずと荷物に気を配ります。
とりわけサイズが大きかった場合は、
安全に置けるようアシストが欠かせません。

そこで毎回、はっと思うのが楽器のケース。

その大きさと形から、
何が入っているのか大抵わかるんですよ。
バンドを渡り歩くこと20年余、音楽歴は40年以上ですからね。

でも最初は見て見ぬふりをしています。
それも意識的に。
なぜならこれがまた寝た子を起こすのが分かっていましたので。

しかし自分の本質に抗うことは難しいものです。
結局「トロンボーンですか?」とか、
「ビオラですね?」なんて話しかけてしまって、
自ら墓穴を掘ってしまう。

むぁ〜、僕もプレイしたいっ!

この強い誘惑はお店だけではなく、
CDの仕入れでお茶の水に行ったときも感じています。
あの街には古本屋や中古CD屋だけではなく、
楽器屋がたくさんあるでしょ?
分かっちゃいるけど、
ついショーウィンドウの前で足を止めちゃうんですよ。

お、スペクターのベースか・・・スルーネックのEuro4。
ナチュラルフィニッシュで格好いいなぁ・・・
ちょっと試奏させてもらおうかな?
いや、いかん!
あ、ゴダンのGrand Concertだ!
ソリッドボディにナイロン弦のクラシックタイプ。
シングルカットアウェイでハイポジションも弾きやすそう。
あれ、欲しかったんだよな〜。
いや、いかん!いかん!

ってな具合に・・・
後ろ髪引かれるとはまさにこのことで。

またベースやギターをプレイしたいと思いつつも、
スタジオに入る時間はないし、
なによりアパート暮らしじゃ練習もままならない。

と、諦め続けて11年。
先日の夕方、
アパートの仕事部屋で音楽を聴きながら読書していたとき、
ふと机の上で埃をかぶっているミキサーに目がとまりました。

はぁ・・・こいつもずいぶん使ってないな。
電源入れたらちゃんと動作するかしらん?
壊れちゃってるかもなぁ。

ん? ちょっと待てよ・・・
今ならスタジオはともかく、
アパートで楽器を弾くくらいの時間はあるじゃないか。
もちろんアンプを鳴らすんじゃなく、
(そんなことしたら追い出されちゃう)
ベースをラインでミキサーに入れて、
ヘッドフォンでモニターするなら問題ないはずだ。

ってわけでヘッドフォンは・・・どこにしまったっけ?
あ、あった! ・・・
うげ、なんじゃこりゃ? イヤーパッドがボロボロじゃん。
そりゃそうだよな、もう10年以上つかってなかったんだから。
ええい、しょうがない。

で、amasonで発注した、
ヤマハのスタジオモニターヘッドフォンが今日とどきました。
さっそくベースをチューニングしてミキサーに繋ぎ、
ヘッドフォンへのアウトプットを上げてみると・・・

おぉ〜っ! 久々だぜ、このビッグなサウンド!
涙が出てきた、うう。

さすがに生楽器は鳴らせられませんけど、
エレキ系なら生音はペンペンいってるだけだから、
お隣さんには聞こえません。

そんじゃドラムはスマホもミキサーに繋いで、
ダウンロードしたリズムマシンアプリで・・・
ふんふん、いいじゃない?
練習程度ならこれで十分だ。
こうして時短営業で早く帰れた日のお楽しみができました。
今度はエレキギターとキーボードも復活させようと思ってます。
ふふ・・・

bass202105.jpg
愛用のベースは Fender の Jazz Bass で5弦のフレットレス仕様。
弦はローBを足しています。
サーキットはアクティブでプリアンプ内蔵。
ぱぉぱぉいい音します。うん。
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2021年05月04日

寝た子を起こされて その2

ととら亭を始めて・・・
いや、東京に引っ越して以来、
できなくなったことのもうひとつがツーリング。

オートバイに乗る時間がないだけではなく、
東京の住宅環境、とりわけ僕のような懐事情では、
駐車場からして確保するのが難しい。

そんなわけで長年つれ添った愛車のBMW−R100GSは、
ブルーシートに包まれて実家で眠ること20年。

なのに!

「この前、Kawasaki Ninja H2 を買っちゃったんですよ」

なんてことを言う人がいるんですよね〜・・・
う・・・うらやましい!

そこで最新型のバイク談議で盛り上がってしまったのですが、
聞いた内容はまさに驚愕の連続でした。
端的に申しますと、
もはや現代のオートバイは電気仕掛けの精密機器!
バイクにUSB端子が付いているなんて、
最初は冗談かと思いましたよ。

計器パネルは総デジタル。
ABSや自動制御のフューエルインジェクターは当たり前。
もちろんライトはすべてLED。
ガソリンタンクのリザーブ機能もなし。
さらにギア車にもかかわらず、
クラッチを握らずシフトチェンジできるとは・・・

こうなるともう、
いきなりキーを渡されて「さぁ、乗ってみろ!」と言われても、
僕にはエンジンをかけることすら出来ないかもしれません。

え?
あそうか、最近では自動車にキーなんてないんでしたっけ?

ハーレーだってキックでエンジンをかけられるぜ!
なんて鼻息あらく言えたのは、もう数十年前のことなんですね。

しかし、あんまり複雑化と高機能化が進むと、
いざ「動かん!」となったとき、
ライダーはなんにもできなくなるんじゃないかしらん?

僕が国内を走り回っていたころは、
修理工場どころか、
ガソリンスタンドすらない区間が30キロ以上ある地域を、
単独で走ることもあったので、
キャブレターやチェーンの調整から、
プラグやヒューズ、バルブ、エンジンオイル、
各種ワイヤーの交換なんてのはDIYが当たり前でした。

そうそう、大型バイクでも起こすだけではなく、
押しがけする身体能力も必要だったんですよ。
(押しがけって分かります?)

まぁ、こういうスパルタンな乗り物だったから、
売れなくなっちゃったのかな?
今では販売台数が全盛期の1/4まで落ち込み、
わずかな売り上げを支えているのは、
僕と同世代のおじさんばっかりだそうで。

そういえば Kawasaki Ninja H2 を買った方も、
僕とほぼ変わらない年齢でした。
(MADMAX、インターセプター、
グースのZ1なんて単語に反応しましたからね)

あ〜、今日みたいな五月晴れの日に、
潮風を受けながら西湘バイパスを走り、
箱根のターンパイクから伊豆スカイラインと繋いで弓ヶ浜を目指す。

気持ちいいだろうなぁ・・・

わが青春のワンシーンでございます。

えーじ
posted by ととら at 14:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年05月02日

寝た子を起こされて その1

うぁ〜、キャンプに行きたいっ!

って、唐突にすみません。

ととら亭ではお客さまとの話で、
寝た子を起こされるようなことが時折ありまして。

連休初日の昨日は天気が良かったでしょ?
そこで「これからキャンパーデビューです!」
なんて方とお話していたら、
国内をオートバイで旅していた頃を思い出してしまいました。

ルートにもよりますけど、
たとえば当時住んでいた横浜を出発して、
東北、北海道を巡るツーリングだと、
約2〜3週間の旅行期間のうち概ね2/3はキャンプになります。

直接的な理由は旅費の節約でしたが、
キャンプ自体も楽しいんですよ。
と言っても、
たぶん、皆さんが想像されるような内容ではないと思いますが。

まず、シーズンオフを狙っていましたから、
キャンプ場はがらがら。
僕以外、誰もいないなんてのも珍しくありませんでした。
この場合、ホラー系に弱い人はダメでしょうね。
ときには嵐の夜に、山の中のキャンプ場でひとりぼっち・・・
ん〜、肝試しにはもってこいです。

それからキャンプ場以外でキャンプすることもしばしばありました。
もちろん私有地や公園で勝手にテントを張るのは違法ですから、
誰にも迷惑をかけないよう、展望台の下とか、
林道などの空き地で危険がないことを確認して一泊したのです。
(痕跡を残さないレベルの後片付けも必須です)

一人ぼっちで過ごす、静かなテント泊の一夜は大好きでした。
お供は文庫本とノートだけ。
当時のことですから、スマホはおろか携帯電話すら持っていません。
それでも退屈したことなんてなかったですよ。
たとえ荒天で数日足止めされたときでもね。
楽しかったなぁ。

ちなみに装備は移動手段で選んでいました。
オートバイで移動しているときは2〜3人用の3ポールクロスドームテント。
これはもう一本ポールを入れて、
ブーツ置き場や炊事スペースにもなる前室が作れましたから居住性抜群。
山を登るときは居住性より軽量化が求められるので、
シンプルな1〜2人用の2ポールクロスドームテント。
いずれもメーカーはICI石井スポーツでゴアテックス製です。

火器はオートバイの場合、燃料のガソリンをそのまま流用しますので、
米軍御用達のM1950という赤ガスでも使えるタフなしろもの。
プレヒートはポンピングした後、
生ガスをちょっと噴き出させて火をつけるという過激な仕様でした。
これ、今ではプレミアがついているんじゃないかな?
トレッキングではプリムスのチタン製ガスカートリッジタイプ。
これは軽くて小さいし、カセットコンロ感覚で便利です。

ツーリングでもトレッキングでも、
キャンプサイトに着いてテントを張る場所を決め、
設営が終わると、何ともいえない、ゆったりした気分になります。

それからシンプルでもキャンプで作る食事はおいしいですよ。
夏はスパイシーな炒め物、
それ以外のシーズンはスープなど煮物が中心でした。
基本的に一汁一菜。それで十分。
コンロの火を止めると、辺りはし〜んとしてね、
その静寂の中で食べるのです。
見上げれば満天の星空。

今は基本的に宿泊りのバックパッカーですけど、
原点のスタイルはこれなんですよ。
(実はともこもそう)

またこうした旅がしたいなぁ・・・。

えーじ
posted by ととら at 10:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記