東京都が非常事態宣言を延長するそうな。
ん〜・・・気持ちは分かるんですけどね、
こと飲食業に限っていうと、
モロ営業や闇営業する店が地滑り的に増えちゃうと思うんですよ。
野方に限ってでさえ、
現時点でモロ営業する店が増えてきています。
あ、ジャーゴンじゃ分かりませんよね。
『闇営業』は、ひよこの隠れん坊みたいに、
半分シャッターを降ろしたり、
遮光カーテンで店内が見えないようにして20時以降も営業している店。
『モロ営業』は堂々とフツーに営業している店。
もちろん両方とも飲酒OK。
昨年4月の非常事態宣言の時と比べても、
その数はだいぶ多くなっています。
なぜか?
おカネです。
その裏事情はふたつ。
まず言わずもがな、保証してもらえる金額が、
通常の売り上げを下回り、従順に要請(命令)を受け入れると、
経営が行き詰ってしまう場合。
これは5店舗以上のチェーン店展開している事業規模のところや、
銀座、赤坂、六本木など、
高額のキャッシュフローで回している店が該当しやすいですね。
そしてもうひとつが今回目立ってきたケース。
20万円から30万円の過料を払っても、『通常』営業した方が儲かる場合。
これはある意味、通常並みではなく、通常以上に儲かるんですよ。
なぜなら他の競合店がみな休業している中で開けるんですから、
待ちかねたお客さんが大挙して押しかけるので。
するとここで別の連鎖反応が起こり始めます。
おとなしく要請に従って休業している居酒屋Aの隣の居酒屋Bが、
モロ営業した結果、普段はそれほど集客していないにもかかわらず、
連日、満員御礼の大盛況!
で、それを見ていた居酒屋Aの経営者はどう考えるか?
やるでしょうねぇ。
そこで彼、彼女の頭に浮かぶ理由は3つ。
1.あれだけ入れば協力金をふって過料を払っても十分利益が出る。
2.モロ営業してもクラスターが発生していない(ように見える)。
3.オリンピックができるくらい『安全』なんだから心配ない。
こうして『赤信号、みんなで渡れば怖くない』式に、
来月からモロ営業店が増えて行く。
ここでまじめな方は憤慨して言うでしょう。
「けしからん! 東京都はもっと厳しく取り締まるべきだ!」
これもまた仰ることは分かります。
でもね、できないんですよ。
この勝負、明らかに行政の方が分が悪い。
いくら国家規模の防疫が目的とはいえ、
モロ営業をしている店がやっているのは、
そもそもこれまで普通にやってきたことですし、
罪悪感を伴う殺人や窃盗ではありませんから、
感覚的にも悪いことをしているという認識は薄い。
いや、むしろ正しいことをしていると思ってもおかしくない。
経済的にはその通りなんだし。
さらに保証が不十分なケースでは、
行政命令で倒産させるんですから、
行政側も胸を張ってやれる仕事じゃないでしょう。
そしてとどめはやっぱりオリンピック。
命のためにステイホーム!
でもオリンピックはやりますよ〜、安全ですから!
ってダブルスタンダードは、
どう逆立ちしても説得力がない。
「10人しか入れないおいらの店が今まで通り営業しちゃ危険で、
外国人を何万人も集めた国際運動会は安全だと?
ふざけんじゃねぇ!」
ってなっちゃいますよ。
いくら毎日PCRテストするとかなんとか言っても。
そんな背景があるからか、
先日、ととら亭にも見回り隊の方がいらっしゃいましたけど、
「ちゃんとやってますか? あ、アクリル板が小さいじゃないですか!
明日までに指定サイズのものと交換してください。
消毒薬も最低あとふたつは増やさないとだめです!」
なんて上から目線の方ではありませんでした。
事実は真逆で、
「大変な状況で本当にご苦労さまでございます」
「アクリル板はスペースの都合上、この程度のものしか置けないんですよ」
「いえいえ、もうこれで十分です」
「まぁ、うちみたいな規模の店だとこれくらいしかできなくてね」
「いやもう完璧です! 問題ありません。
このポスターを併置した消毒薬の置き方なんてすばらしい!
こういうのが大切なんです。参考例として写真を撮ってもいいですか?」
と、ひたすら低姿勢。
『見回り隊』というより『行政アンケート調査』みたいな感じ。
ん〜・・・ほんと、小池さんには難しい局面になってきましたね。
え? ととら亭はどうするんだ。
うちはモロ営業も闇営業もしません。
ただあんまり無茶を言われるようになったら考えますけどね。
僕もまた羊じゃないもんで。
えーじ