2021年05月26日

気持ちは分かるんだけど・・・

東京都が非常事態宣言を延長するそうな。

ん〜・・・気持ちは分かるんですけどね、
こと飲食業に限っていうと、
モロ営業や闇営業する店が地滑り的に増えちゃうと思うんですよ。

野方に限ってでさえ、
現時点でモロ営業する店が増えてきています。

あ、ジャーゴンじゃ分かりませんよね。
『闇営業』は、ひよこの隠れん坊みたいに、
半分シャッターを降ろしたり、
遮光カーテンで店内が見えないようにして20時以降も営業している店。
『モロ営業』は堂々とフツーに営業している店。
もちろん両方とも飲酒OK。

昨年4月の非常事態宣言の時と比べても、
その数はだいぶ多くなっています。

なぜか?

おカネです。

その裏事情はふたつ。

まず言わずもがな、保証してもらえる金額が、
通常の売り上げを下回り、従順に要請(命令)を受け入れると、
経営が行き詰ってしまう場合。
これは5店舗以上のチェーン店展開している事業規模のところや、
銀座、赤坂、六本木など、
高額のキャッシュフローで回している店が該当しやすいですね。

そしてもうひとつが今回目立ってきたケース。
20万円から30万円の過料を払っても、『通常』営業した方が儲かる場合。
これはある意味、通常並みではなく、通常以上に儲かるんですよ。
なぜなら他の競合店がみな休業している中で開けるんですから、
待ちかねたお客さんが大挙して押しかけるので。

するとここで別の連鎖反応が起こり始めます。

おとなしく要請に従って休業している居酒屋Aの隣の居酒屋Bが、
モロ営業した結果、普段はそれほど集客していないにもかかわらず、
連日、満員御礼の大盛況!
で、それを見ていた居酒屋Aの経営者はどう考えるか?

やるでしょうねぇ。

そこで彼、彼女の頭に浮かぶ理由は3つ。

1.あれだけ入れば協力金をふって過料を払っても十分利益が出る。
2.モロ営業してもクラスターが発生していない(ように見える)。
3.オリンピックができるくらい『安全』なんだから心配ない。

こうして『赤信号、みんなで渡れば怖くない』式に、
来月からモロ営業店が増えて行く。

ここでまじめな方は憤慨して言うでしょう。

「けしからん! 東京都はもっと厳しく取り締まるべきだ!」

これもまた仰ることは分かります。
でもね、できないんですよ。

この勝負、明らかに行政の方が分が悪い。

いくら国家規模の防疫が目的とはいえ、
モロ営業をしている店がやっているのは、
そもそもこれまで普通にやってきたことですし、
罪悪感を伴う殺人や窃盗ではありませんから、
感覚的にも悪いことをしているという認識は薄い。
いや、むしろ正しいことをしていると思ってもおかしくない。
経済的にはその通りなんだし。

さらに保証が不十分なケースでは、
行政命令で倒産させるんですから、
行政側も胸を張ってやれる仕事じゃないでしょう。

そしてとどめはやっぱりオリンピック。

命のためにステイホーム!
でもオリンピックはやりますよ〜、安全ですから!

ってダブルスタンダードは、
どう逆立ちしても説得力がない。

「10人しか入れないおいらの店が今まで通り営業しちゃ危険で、
 外国人を何万人も集めた国際運動会は安全だと?
 ふざけんじゃねぇ!」

ってなっちゃいますよ。
いくら毎日PCRテストするとかなんとか言っても。

そんな背景があるからか、
先日、ととら亭にも見回り隊の方がいらっしゃいましたけど、

「ちゃんとやってますか? あ、アクリル板が小さいじゃないですか!
 明日までに指定サイズのものと交換してください。
 消毒薬も最低あとふたつは増やさないとだめです!」

なんて上から目線の方ではありませんでした。
事実は真逆で、

「大変な状況で本当にご苦労さまでございます」
「アクリル板はスペースの都合上、この程度のものしか置けないんですよ」
「いえいえ、もうこれで十分です」
「まぁ、うちみたいな規模の店だとこれくらいしかできなくてね」
「いやもう完璧です! 問題ありません。
 このポスターを併置した消毒薬の置き方なんてすばらしい!
 こういうのが大切なんです。参考例として写真を撮ってもいいですか?」

と、ひたすら低姿勢。
『見回り隊』というより『行政アンケート調査』みたいな感じ。

ん〜・・・ほんと、小池さんには難しい局面になってきましたね。

え? ととら亭はどうするんだ。

うちはモロ営業も闇営業もしません。
ただあんまり無茶を言われるようになったら考えますけどね。
僕もまた羊じゃないもんで。

えーじ
posted by ととら at 15:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記