朝8時半。
僕が出勤するときの野方の街はデンジャーゾーン。
そんなお話をしたことがありましたけど、
先日、ついにこの11年4カ月の間、
起こらなかったことが現実となったのです。
それは・・・
自転車が止まってくれました!
誰もが忙しいこの時間に、
たっぷり踏切で止められていた自動車や自転車は、
そら恐ろしいスピードで細い道路を走り抜けて行きます。
そう、誰もが忙しい。誰もが急いでいる。
にもかかわらず、
自転車に乗っていた30歳前後の女性が止まってくれたのです。
服装と持ち物からして彼女も出勤途中だったのでしょう。
他の人たちと同じように踏切で待たされ、
先を急いでいたに違いありません。
しかし、みんながわき目もふらずに走り抜けて行くなか、
彼女だけが止まって、僕が道を渡る数秒を待ってくれた。
「どうもありがとう!」
そういった僕に彼女は微笑みだけを返し、
また走り出して行きました。
豊かさとは何なのか?
それは高級車や財布の厚みが表すものではなく、
こうした小さな自己犠牲と思いやりなのではないか?
僕はそんなことを、
名も知らない彼女から教えてもらったような気がしました、
えーじ