誕生日や結婚記念日などの、
お祝いでご来店されるお客さまが少なくありません。
そして、そうした方々を迎える僕らもまた、
お客さま以上のお祝い好き。
というかマニアなんですよ。
誕生日や結婚記念日にとどまらず、
ととら亭の独立記念日から始まり、
プライベートな『出会いの日』や『付き合いはじめた日』など、
1年の間にプライベートな祝日を何日も設けていますからね。
で、それぞれのお祝いの大切なセレモニーがカードの交換。
それからもちろん、ご馳走とスパークリングワイン!
(このための名目という説もありますが・・・)
こうしたお祝いを僕たちは心から楽しむとともに、
とても大切にしているんですよ。
なぜなら平凡な日々の中で忘れがちな、
人生の原点を思い出させてくれますからね。
しかしながら『過ぎたるは及ばざるがごとし』と言われるように、
あんまり増え過ぎると思わぬ問題も起こってきます。
そう、あれは先日の結婚記念日の朝。
ふ〜む・・・
カードを手渡しするんじゃまんねりだな。
なんかこう、サプライズ的な演出が欲しいね。
・・・そうだ、
ともこが大切にしているブタの縫いぐるみがカードを届ける。
これで行こう!
そうして僕はカードと縫いぐるみをバックパックに入れてお店へ。
ともこは僕より1時間前に来て仕込みをしていました。
そこで彼女がこっちに来る前にカウンターに縫いぐるみを置き、
それがカードを持っているかのように立てかけたのです。
しばらくして・・・
「あ、えーじ、おはよう!」
「おはよう」
「今朝はちょっと早かったのね」
「そうかい?」
「・・・ん? とんちゃん、何してるの?
なんでお店に来たの? あれ? なんか持ってる」
僕は気付かないふりをして本を読んでいました。
「・・・? カード?」
ともこは何やら考え込んでいます。
「え?・・・カード?
あ〜っ! たいへんっ!
記念日だ! なんだったっけ? 誕生日? じゃなかった!」
といいつつ僕に救いを求める視線を送り、
「どうしよ! なんの記念日だったっけ?」
「さぁ〜てねぇ・・・」
そしておもむろにカードを封筒から取り出し、
「あ〜っ! ごめん! 結婚記念日だった〜っ!
うぇ〜ん、忘れちゃったぁ!」
Such is my marriage life...
えーじ

とんちゃん
P.S.
かつてはこんなこともありました。
ともこが住み込みでフランス料理の修業時代のこと。
僕の電話が鳴り・・・
「えーじ、今日は何してたの?」
「家でのんびりしてたよ」
「こっちは夏休みで忙しくてさぁ・・・」
と、こんなともこの話が一方的に続き、電話が切れたのです。
そして間もなく再び電話が鳴り・・・
「えーじ、ゴメン! 今日は誕生日だったよね?」
この20数年、わが家はこんなものでございます。