ある日、突然、
自宅の有線電話から市外通話がかけられなくなりました。
しかも市外番号にかけようとすると、
契約した記憶のない会社から、
「このサービスを使うには加入してください」
と言われてしまう。
新手のハッキングか?
一瞬そんな疑念も浮かびましたが、
トラブルシューティング(以下トラシュー)を続けて行くと・・・
次の役者はNTTさんね。
僕は116番に電話して、ここまでの経緯を説明しました。
「マイラインをNTTに手動変更すると通話できるのですね?」
「そうなのですよ」
「だとしますと、マイラインの設定が、
楽天モバイルに向けられている可能性が考えられます。
お調べしますので電話番号をどうぞ」
30秒ほどの待ち受け音が流れたあと、
「お客さまのマイライン設定は、
フュージョンコミュニケーションズに向けられています」
「フュージョンコミュニケーションズ?」
僕は記憶を手繰り始めました。
どこかで聞いた名前だな。
確か、そこにマイラインを申し込んだかもしれない。
しかし、申し込みうんぬんを言っているのは楽天モバイルだ。
「もう一度、先方に確認をお願いできますでしょうか?」
まずい。話がループしてきた。
こうなるとたらい回しにされて解決できなくなっちまう。
もう一度、電話する前にファクトを整理して切り分けてみよう。
1.市外局番だけがかけられない。
2.市外局番にかけると出る楽天モバイルに契約記録がない。
3.マイラインをNTTに手動指定するとかけられる。
4.NTT側のマイライン設定は、
フュージョンコミュニケーションズになっている。
それから直近で起こった環境変化は何かあったか?
ん〜・・・そうだ、
5月末でIP電話のサービスが打ち切られたっけ?
自宅のネット環境は今やオールドファッションなADSL。
今年9月末でサービス打ち切りとの連絡があり、
それに先立ってIP電話サービスは5月末で終了していたのです。
・・・?
待てよ、この事案が表面化したのは7月に入ってからだけど、
先月はアパートから市外局番にかけたことはなかったかもしれない。
とすると、
もしかしたらIP電話の打ち切りが何か影響しているのかも?
そういえば6月に、この電話では別の障害が発生していたのでした。
気が付くとADSLモデムのVoIPインディケータが赤で点灯しており、
通話が全くできなくなっていたのです。
その時のトラシューではプロバイダのサポセンに訊いたところ、
ADSLモデムの設定が、
『IP電話を使用する』状態のままになっている可能性があるとのこと。
なるほどモデムにログインしたらその通りでした。
そこで設定を戻して解決。
なんかこれが関係ありそうだぞ。
キーはフュージョンコミュニケーションという社名と、
マイラインを設定した時期だな。
僕はもう一度、楽天モバイルに電話してみました。
「フュージョンコミュニケーションズという社名に、
心当たりはありますでしょうか?」
「はい。以前は別会社でしたら2015年に当社の子会社となり、
社名が楽天コミュニケーションズとなりました」
よし、点と点が一か所つながった!
とするとマイラインを申し込んだ時期と、
IP電話を使い始めた時期を突合すれば、
ヒントが見えるかもしれない。
僕は電話口で相手を待たせたまま、
頭をフルスピードで回し始めました。
そうか!
「それでは次の電話番号で契約があるか確認していただけますか?」
僕が伝えた電話番号とは、
ととら亭を開業して2年後に野方へ引っ越す前、
練馬に住んでいたときのもの。
「ありました」
ビンゴ〜!
「それはどうなっています?」
「2012年の1月に登録されていた電話番号が使用されなくなり、
その後、更新されないので解約されています」
この時期はまさしく引っ越しと符合しており、
引っ越しは同時にIP電話を申し込んだタイミングでもありました。
IP電話はマイラインを経由しないため、
サービスが停止されても通話は問題なくできます。
そういうことか。
僕は礼を言って電話を切り、あらためて116番にかけ直しました。
そして経緯を伝えた後、
「現在マイラインの設定が、
フュージョンコミュニケーションズに向けられていいるのですが、
NTTに変更していただけますでしょうか?」
「1週間ほどお時間がかかります」
「結構です。進めて下さい」
すべては9年前の1月に起こっていたんだ。
マイラインの契約電話番号変更をしなかったことが、
今になって表面化したとは。
こうして謎の『楽天モバイル事件』は解決し、
自宅から普通に市外通話がかけられるようになったのでした。
しかし・・・
to be continued...
えーじ