2021年08月07日

僕のトラシュー人生 その5 最終回

電話の障害対応がユーザーの僕から支線のCEへ、
そしてついに基幹側に渡ってしまいました。
こうなるともう僕の出番はありませんから、
後はひたすら連絡を待つだけ・・・

そして約束の2日後。
外出先から野方駅に戻ると駅前にNTTの工事車両が停まっています。

ん? あれはもしやうちの件の修理部隊?

そこでお店の前に行くと、
立哨さんの後ろでマンホールの蓋が開いており、
中では何やらエンジニアさんが奮闘中。

そうか、ととら亭の電話線は電信柱からではなく、
地中のケーブルから伸びてるんだな。
う〜ん、これで直るといいんだけど・・・

そう願いつつ、自宅に戻り、
僕は別のペーパーワークをやっておりました。
そこへ携帯が鳴り・・・

「NTTの者ですが、
 修理が終わりましたのでテストしていただけますでしょうか?」
「すみません、いま現場にはおりませんので、
 30分後くらいになります」
「わかりました。多分これで大丈夫だと思いますが、
 何かありましたら再度ご連絡ください」
「原因は何でしたか?」
「ケーブルの不具合です」
「予備線に分岐する前のところの?」
「そうです」
「暑い中、どうもありがとうございました」

しばらくしてお店に戻り、受話器を上げると・・・

「どう? 直った?」
「お〜、クリアだ。なんのノイズもない」

そのあと1時間ほどネットにアクセスしていましたが、
ADSLのリンクダウンも起こりません。

ふ〜・・・一件落着か。

さて、こんなことを年中やっているもので、
度重なる転職もあながち悪いもんじゃなかったな、
と思うことがよくあります。

と、申しますのも、皆さまご存知のとおり、
僕とともこは転職の達人。
(失業の常習犯ともいいますが・・・)
それも同業ではなく、
たいてい未経験の業種に飛び込んでおりました。

そんなことを繰り返していると、見識のある方々からしばしば、
「キャリアを無駄にするべきではない」と忠告を受けたものです。

しかし、少なくとも僕らの経験では、
過去のスキルが完全に無駄になったことはまずありませんでした。
事実こうして、一見まったく無関係の、
IT稼業と飲食業が結びつくこともありますし、
マーケティングやデザイン、
はてや駄文のもの書きまで役に立つことだってあるのです。

とりわけトラブルシューティングを行う場合は、
(特に孤立無援の外国の旅先で!)
それまでに身に着けたすべてのスキルを総動員!
なんてことも珍しくありません。

そういえばこういう通信系のトラシューは、
安宿のしょぼいWi-Fi環境だとお約束なんですよ。
こういう時にYahooあたりのメジャーなサーバに向かってtracertを打ち、
名前解決がされているか、障害のポイントがAPか、ゲートウェイか、
その先かの切り分けをして、
ゲートウェイから手前ならホテルのフロントへ、
その先だったら諦めて別の場所からやってみるなんてのも、
あの業界にいたからこそ身についたスキルでした。

あ、そうか。
IT稼業ってのは、
トラシューそのものが仕事だったりするんですよね。

次は何が起こるんだろう?
いや、実はもう起こっているんですよ。

「えーじ、給湯器がまたエラーコードを出してるよ!
 表の電源をリセットしてきて!」

はいはい。

End.

えーじ
posted by ととら at 21:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記