2021年09月28日

お父さんの秘密の時間

っというと、お母さんの場合とは異なり、
何やら歌舞伎町系のむふふなムードが・・・

まぁ、そんなケースもあるかもしれませんけど、
今日の話は違います。

僕が自重筋トレをやっている中野区立大和公園は、
夕方になると幼稚園から小学生までの子供たちでいっぱい。
しかし18時を過ぎれば急にひと気が途絶えて、
ひっそりとしてしまいます。

僕はその頃を見計らって行くのですが、
(そうしないと子供たちが集まってきて大変なんですよ)
時折、木陰のベンチの人影に気づくことがありました。
もう薄暗いし眼鏡をはずしているので顔まではわかりませんが、
どうやらスーツを着た40歳前後の男性のようです。

ん? こんな時間にひとりで何をしてるんだろう?

僕はサーキットトレーニングを続けながら、
ときどきちらっと様子を見ていました。
すると彼はスマホをいじるでもなく、本を読むでもなく、
ただ、ぼ〜っとしている。

そんなことが度々あったある日、
さて、それじゃジョギングに行こうかな?
と筋トレを切り上げた時、彼もまたベンチから腰を上げました。
そして公園を出ると、
すぐ近くのマンションの階段を登り始めたのです。

ああ、あそこに住んでる人なんだ。

僕は走り始めてそのマンションの前を通り過ぎました。
すると頭上から、「ただいま〜」と彼の声が。
そしてそれを追いかけるようにして元気いっぱいの子供の声が、
「おっかえりなさ〜いっ!」

なるほどねぇ・・・そういうことか。

彼もまた儀式のように、自分だけの時間を持っていたのですね。
一日の仕事を終え、夫として、父親として自宅へ帰る前に、
ただの自分自身に戻っていた。

そういえば僕も会社員のころ、週に一度は携帯の電源を切り、
ちょっとリッチなランチを楽しみながら、
「として」という但し書きのない自分に戻っていました。

今ではこうして走っているときが、そうなのかもしれないな・・・

僕は夕暮れの妙正寺川沿いを平和の森公園に向かいながら、
そんなことを考えていました。

えーじ
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2021年09月25日

お母さんの秘密の時間

以前であれば、
1月中旬、4月上旬、9月上旬に、
30歳から45歳くらいまでの女性がひとり、
カウンターで静かに食事をしていることがよくありました。

そしてそれが今はシーズンにかかわりなく見られます。

話しかけてみれば、彼女たちに共通するのは、
高校生未満のお子さんがいる母親であるということ。

そうか〜・・・と僕は深く納得しました。

学校が休みの期間は1日3回の食事の支度があります。
これだけでも結構時間と手間がかかりますけど、
人がいれば家族とはいえ、自分ひとりでいるより、
何かとケアをしなければならないことがあるでしょう。
加えて昨今、専業主婦より共働きの女性が増えています。

そうなると、学校が休みイコール彼女たちは休みなし、
という状況が起こっているのですね。
そしてそれがコロナ禍で常態化してしまっている。

内容こそ違いますが、
同じく休みがなかったブラック飲食業界の僕らも、
これにはシンパシーを感じていました。
(最近はコロナ禍で逆に強制休暇取得状態ですが・・・)

訊けば彼女たちは在宅勤務の合間や、
ご主人が子守の代打をしてくれている間に来ているとのこと。
ですから休日というより、休み時間なのですね。

確かに家庭はすばらしい。
家族と過ごす時間は人生の中心ともいえるでしょう。

しかしたまにはひとりでゆっくり食事を楽しみ、
しばしの間、ぼ〜っとするのも大切なことだと思います。
(ふだん食事を作る立場ならなおさら!)

お母さんの秘密の時間。

僕らもそんな場所を提供し続けて行けたらと思っています。

えーじ
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2021年09月22日

世代を超えて読書の秋

ひとりで料理を待っている間、
ほとんどの人がスマホを眺めている昨今、
ととら亭では読書派が少なくありません。

しかも興味深いことに若手が多いのですよ。

ん? 何を読んでいるのかな?

サーブするときにちらっと見れば、
これまたみんな硬派だね〜。

今日のランチでも20代の青年が読んでいたのはユリイカ。
僕も彼くらいの頃に愛読していた青土社の月刊誌です。

「へぇ、ユリイカじゃないか。
 雑誌が売れない時代と言われているけど健在なんだな。
 おもしろいかい?」
「ええ、でも少し硬い内容なのでつまみ読みですよ」

またある時はカバーに躍るキリル文字が目に入り、

「それ、ロシアの本?」
「あ、ロシア系ウクライナ人作家の本です。
 アンドレイ・クルコフのウクライナ日記」
「ん〜、なんかそそられるね。
 ウクライナはベラルーシ、モルドバと絡めて取材を考えてるんだ」
「現代のウクライナ情勢を理解するにはいい資料かもしれません」
「なるほど、あとでチェックしてみるよ」

こんな具合に若手から本を紹介してもらうこともしばしば。

世代を超えたケースもありました。
ある青年が真剣な面持ちで文庫本を読んでいるかと思えば、
どこかで見たような陰鬱なイラストが・・・

「おや? それ、ラブクラフトかい?」
「え? は、はい」
「クトゥルー神話シリーズ?」
「そうです」
「じゃ、君はポーやボルヘスなんかも好き?」
「え、ええ、まぁ・・・」
「実家の書架には今でもその辺の作品が並んでるよ」

ふ〜ん、まだゴシック小説を読む若者がいるとはね。
てっきりそんな子は絶滅したかと思っていたけど。

こうして若手から紹介されたり、
インスパイアされた本を読むのも視点が変わっていいものです。

そうか、彼らと同じくらいの年頃に、
読んでいた作品を読み返すというのも一興だな。

フィッツジェラルドやサリンジャー、
サローヤンにケルアック・・・
バロウズあたりもいま読んだらまた新鮮かもしれない。

間もなく読書の秋の入り口。
茶色くなった文庫本を引っ張り出し、
青春時代への小旅行を楽しみませんか?

ね、ご同輩?

えーじ
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2021年09月19日

仕事と旅のリハビリテーション

2カ月ぶりにディナー営業を再開しました。

といっても、まだ非常事態宣言の規制下で、
お酒なし&20時閉店のままですが・・・

それでも少しだけ本来の形に戻れたようで、
モチベーションは上がりますね。

特集も南米&エジプト料理特集パート2!

ここはちょっと難しい判断だったのですよ。
通常であれば3カ月ごとに旅のメニューを変えていますが、
南米料理は度重なる規制の影響で、
まだトライしていない方が沢山いらっしゃいました。
しかしながら夏のメニューとして企画したエジプト料理特集は、
リリースできないまま季節は秋の入り口に・・・

ん〜・・・どうしたもんだろ?

と、頭をひねったところで思いついたのがハイブリッド作戦。

地域と文化は大きく違いますけど、
メニューの流れとしては同時にやっても違和感なし。
実際、一昨日からやってみて受けたお客さまの感触は、
予想以上にいいものでした。

特に初登場のダウッド・バシャとバミア・ビ・ラハマは、
一昨年のパート1でリリースなかった隠し玉です。

そういえば今回特集しているエジプトやペルー、チリは、
今どうなっているのでしょうね?
久しぶりに懐かしい料理の香りをかいでいたら、
旅の思い出が蘇ってきました。

海外への扉が開かれるのも、そう遠くないような気がします。

台風一過の秋空の下、
まずは近場の旅から始めましょうか。

えーじ
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2021年09月16日

旅人の特効薬

「な、なんでこうなるの?」

と、絶句することってありません?

え? ない? ホントに?

僕なんざアフリカや南米を旅しているときだけではなく、
日本にいてもしょっちゅうですよ。
(特にコロナ禍が始まってからというもの・・・)

で、場合によっては、

「がっで〜む、さなばびっち!」

と心の中で毒づくこともしばしば・・・
(もっとむかついた時はF系で!)

しかし、短気は損気。
怒ったところで、怒鳴ったところで状況は良くなりません。
そこでそんな時のために、頭を冷やす仕掛けを作っておきました。

scsv202109.jpg

僕のPCの壁紙は旅先で撮った写真です。
それもベストショットのスクリーンセーバー。
(写真は2019年のレバノン)

これを見ると、なんていうんでしょうかね、
人生のパースペクティブを取り戻せるんですよ。
だいたいにして激怒するようなことがあっても、
1カ月もすれば大した問題ではなくなっているでしょ?
それこそ1年も経ったら思い出すことだって難しくなるし。
(少なくとも僕の場合はね)

旅の写真、それも自分が撮ったものだと、
ただ見るだけで、その時の情景が思い浮かんできます。
すると、肩の力がすっと抜けて、
本来の、旅人としての自分に戻れるんですよ。

この目の前のトラブルは、
僕の次の旅にとって何の影響があるのか?
いま必死にしがみついていることが、
次の旅で何の役に立つのか?
シビアに受け止めている問題は、
旅先で出会ったホームレスや難民の問題と比べても、
大きいものなのか?

そう考えているうちに、
僕は野方に居ながらにして旅の空の下にいる。

そしてはっとわれに返って、
もう一度、目の前の問題を見ると、

「ふ〜ん・・・ま、いいんじゃない?」

旅人の特効薬。
こいつは効くんですよ。

えーじ
posted by ととら at 20:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年09月13日

ととらな戦略

さて、どうしたもんだろ?

僕らが何かの問題に直面したとき、
まず検討するのが対応の方向性。
基本的に、ここで二つに分かれるんですよ。

オプションAは教科書的に『ベストを目指す』ので、
リゾートオペレーションと呼んでいます。
オフのときは投資した時間とおカネから、
最大限の楽しさを引き出そうとするでしょう?

しかし、僕らの仕事や旅は、
常にそうした好条件に恵まれているわけではありません。
いや、むしろ逆のケースの方が断然おおい。

そこで現実的なオプションBは、
身も蓋もなく『ワーストを避ける』というもの。
名付けてアフリカオペレーション!

これ、僕らの経験から考えたネーミングでして、
とにかくアフリカでは何ごともすんなり進みませんでしたからね。
(ま、南米や南西アジアも同じようなものでしたけど・・・)

で、当然のことながらコロナ禍におけるととら亭のプランAは、
オプションB、
すなわちアフリカオペレーションタイプとなっています。

去年の今ごろはもうちょっと楽観的で、
ワクチンができれば何とかなるだろう?
くらいの展望を抱いていたのですけどね。
ところがデルタ株の出現でシナリオが変わってしまったでしょ?

これはインフルエンザにたとえると、
さまざまな型のインフルエンザが同時に、
年中無休で流行るようなイメージだと思います。
真面目に予防するならワクチンもタイプを変えて、
打ち続けなくてはならなくなってしまう。

む〜、こりゃ現実的じゃありませんね。

そこで次なるシナリオは治療薬。
インフルエンザも型こそいろいろあれ治療薬はタミフルのように、
共通して使えるものがあります。

そこでワクチンと治療薬のBefore After作戦で、
新型コロナウイルスの脅威をかぜ程度まで低減し、
当面は共存して行く。

現実的な落としどころはその辺じゃないのかな?
と僕は考え直し始めました。

となると、次なる問題は時間です。
そう、この新しいゴールまでは少なくとも、
あと2、3年はかかるかもしれません。

そこで僕らは今どうすべきか?

ん〜、とりあえず、
いきなりマクロな予想からミクロなアクションに話が飛びますけど、
この週末からディナー営業を再開することにしました。
特集は南米&アフリカ料理のパート2です。
もちろん酒なし20時閉店のないないづくしですけどね。

それでもベストを目指すリゾートオペレーションにこだわって、
まともな仕事ができないまま時間を浪費するよりマシなんじゃないか?

うん、ここはいつものように、
柔軟な発想でアフリカオペレーションを進めよう。

僕らはそもそも少人数のゲリラ部隊のようなものですから、
実は正攻法より、
こういうHit and Awayの方が得意だったりするんですよ。

そこで17日(金)から、
南米料理&エジプト料理の2本立てで奇襲をかけます。

さて、そろそろ反撃開始といきますか!

えーじ
posted by ととら at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年09月10日

簡単そうで難しいこと

ととら亭のお客さまは比較的に年齢層が高く、
特に平日のランチタイムは、
皆さん僕より年上の日も珍しくありません。

そんな先輩方と接していて、
先日、驚いたことがありました。

「今が一番いいな!」

過去の経験談を、こう結んだ方がいらっしゃったのです。
御年は88歳。

「年寄にゃ、この暑さはこたえる」とか、
「歯が悪いんで固いものは噛めん」とおっしゃいつつも、
加齢をネガティブに受け取ることなく、
飄々と人生を楽しまれている。

この「今が一番いい」という言葉は、
実にディープな含蓄があるんですよ。

ぱっと聞くと、
一昨日より昨日が、昨日より今日がいいと言っているみたいでしょ?
たとえば昨日より今日の方が銀行残高が増えたとか、
健康になったとか、昇進したとか・・・

ところがこの言葉の本質は、
そうした俗な『進歩主義』ではないのですよ。

これは言い換えると、
『今を生きる』ということなんですね。

え? みんな生きているのは現在しかない?
そうですか?

少なくとも僕なんざ、体は現在にあっても、
頭の中は昨日の失敗を思い出して「あちゃ〜・・・」、
月末の支払いを思い浮かべて「う〜ん・・・」、
万事この調子ですけどね。

それで20年近くメディテーションを続けているのですが、
「お、僕は『いま、ここ』にフォーカスしているぞ!」となっても、
あっという間に「え〜っと、今日のご予約は何時だっけ?」
ってな具合にあっちへふらふら、こっちへふらふら・・・
なかなか先輩のように今この瞬間を楽しむのは難しい。

そんなことを考えていた矢先に、(そう、またしても考えてる!)
先日、また別の先輩から、
「私の人生は今が一番」って言われちゃいました。

The past is already gone, the future is not yet here.
There's only one moment for you to live.

子供の頃には、
体でこれが分かっていたはずなんですけどね。

えーじ
posted by ととら at 21:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年09月07日

楽観論者の悲観論

東京の新型コロナウイルス感染者数がだいぶ落ちてきましたね。
この分だと9月12日は無理でも月末には規制が緩むかな?
めでたし、めでたし・・・

なんですけど、
毎日このグラフとにらめっこしていて、
最近、妙な違和感を覚え始めているんですよ。
とりわけこうしたタイミングで、
「対策が奏功して」なんてフレーズを聞いたりすると。

僕は構造主義者の仏教徒なので、
ものごとを因果律でとらえがちなのですが、
感染者数の推移の説明は、どうも釈然としません。

これってね、
毎回やり玉に挙げられる悪の組織、
僕ら飲食業界や風俗業界、
イベント業者の跋扈でグラフが上がり、
正義の行政が諸悪の根源を規制することでグラフが下がる・・・

本当にそうなのかしらん?

僕が素朴にそう思い始めたきっかけは、
同業者によるモロ営業と闇営業でした。

確かに生活がかかっているとはいえ、
社会的責任を顧みない連中は困ったものです。
しかし見方を変えると、
彼らは疫学的人体実験のボランティアなんですよね。
なぜなら感染力がアップグレードされたデルタ株が蔓延するなか、
やっちゃならねぇ3禁を実践しているのですから。

僕も最初は「あちゃ〜、あれじゃクラスターは避けられないね」
と思っていたのですよ。

ところが!

1週間、いや1カ月が過ぎ、2カ月が過ぎても、
彼らは営業し続けられているじゃないですか!?
それも闇営業の店なんて、
外から見えないようにシャッターを下ろし、
風通しの悪い狭い店内で盛り上がっているんですよ!

もちろん、すべての店が無事に済んでるわけではありません。
野方でも「やっちまった」ところは何軒か聞いています。
しかし、それは要請拒否組全体からみれば、ごく一部なんですね。

なぜ感染しないんだ?
いや、感染しても経路不明にしているだけなのか?

とも考えましたが、お客さんはこれで済んでも、
最も感染リスクの高い店舗スタッフが集団感染した場合、
当然、お店は臨時休業とならざるを得ませんから、
黙っていたってすぐ周囲に知れ渡ります。

しかし、野方、都立家政、高円寺など、
僕らのお膝元を実際に歩いてみた限り、
やっているところは、概ねやり続けられている。

ここで僕は、
「それじゃ、もうみんなで赤信号を渡っちまおう!」
と言っているのではありません。

話を戻すと、感染者数が増減する要因は、
僕らが素朴に信じているシナリオではないんじゃないか?
そう思えてきたんですよ。
つまり、ウイルスは人間の抵抗など意に介さず、
彼ら独自の理由、つまり僕らから見たファクターXに従って、
増減を繰り返している。

これは一見、反対の立場をとる、
懐疑的な陰謀論者にも共通しているのですけど、
僕にはどちらも人間の力を過大評価しているように、
思えてならないんですよ。

人類はウイルスの蔓延を制御できていない。
そして世界規模の陰謀を実行できるほどの技術力と組織力、
資金力を持った組織もまた存在しない。

僕は基本的に楽観主義者ですが、
こと感染者数の増減グラフを見ている時は、
今のところ上のような悲観論しか思い浮かびません。

しかし、どんな状況でも逆転と反撃のチャンスはあるものです。

己の無知と非力を認め、
そこからもう一度やり直してみよう。

僕は個人的にコケた時、よくこのリセット作戦で脱出を試みます。
そしてこれ、意外とうまく行くんですよ。
ま、あくまで実績があるのはミクロな問題だけですけどね。

えーじ
posted by ととら at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年09月04日

困った広告

「ちょっとぉ〜、なに見てんの?」

む〜・・・やっぱり言われたか。

「いや、これを見てるんじゃないよ。
 勝手に表示されてるだけ!」

ま、ともこに呆れ顔で言われるのも仕方ありません。
僕はノートPCでニュースを読んでいただけですが、
画面の1/4に表示されているのは、

女性の下着。

それもむっちりバストや下半身のアップばかり。
これはどう見ても下着の宣伝というより、
下着フェチサイトへの誘導バナーに近いエロさ。

ってことは、
cookieの閲覧履歴からリコマンドされているんですけど、
元リビドーボーイの僕でも、そういう趣味はありません。

ったく、困ったもんだね。

そこでキャッシュをクリアしたら、
『うふん』系は表示されなくなりましたが、
またしばらくすると・・・

「あ〜、またそんなの見てる!」
「違うって!」

しつこいね〜・・・
しかしなんだってこう同じ系統ばかり表示されるんだろ?
リコマンドエンジンの定義がおかしいんじゃないかしらん?

amasonのリコマンド機能は結構いい線いってると思うんですけど、
その他は精度がだいぶ怪しいですね。
加えて最近はえぐい美容系の広告(グロな写真付きの)が増えましたし。

ま、無料サイトですから広告は仕方ありませんが、
僕はこういうのが嫌で、
ブログやウェブサイトにアフィリエイトを貼り付けていないんですよ。

駄文とはいえブログも僕の表現のひとつ。
そこに本人のあずかり知らない広告が表示されるのはねぇ・・・

バナー広告って、
紙媒体では考えられないくらい正確な効果検証ができるんですけど、
あれで『うふんな下着』はいったいどれくらい売れるんだろ?

わからん。

えーじ
posted by ととら at 14:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年09月01日

悲しきブラックボックス

IT稼業から足を洗って10数年が経ちました。

それでもトラブルシューターの悲しい性(さが)ともうしますか、
システムダウン系のニュースが流れると、
つい目が行ってしまうんですよ。

そう、またやっちまいましたね、みずほさん。

1年で6回目ともなると、
さすがの執行部も重苦しい空気に包まれているでしょう。

そしてみずほさんや関係IT企業だけではなく、
長い社歴を持つ他企業の情シスも、
多かれ少なかれ同じ不安を抱えていると思います。

なぜなら明日はわが身の話だから。

みんなこの原因が分かっているんですよ。
そしてその大筋は自社にも十分当てはまると。

その不安の元とは『ブラックボックス』。

長い社歴と前置きしたのは、そこに大きな意味があるからです。
とりわけITではなく、
OAという略語を知っている情シスメンバーがいるような古い組織では、
ブラックボックスの脅威は相当なものになっているはず。

すなわち、
自社で稼働しているシステムの不明部分がそれだけ大きく深い、
ってことなのですから。

で、なぜ大人の組織でこんなことが起こっているのか?
答えはシンプル。

まず、紙とペンの文化からOA化の御旗のもと、
黒船よろしく電算機が会社にやってきました。
そのときはまだ分り易い。
箪笥のように巨大な電算機は聖櫃よろしく電算機室に鎮座し、
そこに入れるのは技術者という限られた神官のみでしたから。

ところがまもなくイントラネット上にクラサバシステムが構築され、
社員ひとりにパソコン1台の時代が到来します。
この辺から今日のブラックボックスに至る悪夢が始まったのですよ。

たとえば最初にシステムAがあったとしましょう。
そこに別のシステムBが連結されます。
そして次はシステムCが、さらにシステムDが繋げられ、
こうして20年もすると社内システムは、
A+B+C+D+E+F+G+・・・
様々なシステムが合体したキメラのようになってしまうのです。
こうなるともはや全体が分かる人は誰もいません。

同じベンダーがすべてのシステムを担当していたなら、
社内の窓口も情シス一本に絞られていたなら、
ここまでひどくならなかったでしょう。

ところが実際はシステムAはA社が、システムBはB社が作っており、
基本的に両社は相手のシステムがよくわかりません。
もちろんひとつのプロジェクトを、
複数のベンダーが分担するのは普通の話ですが、
別の時期に行われた別のプロジェクトのシステムは、
同業者といえどもまさしくブラックボックスなんですよ。

さらに社内でも各部門が勝手にベンダーと話をはじめ、
作ったシステムを既存のシステムとこっそり繋げてしまう。
IPアドレスだって勝手に割り振っちゃう。
力の弱い情シスは指をくわえてただ見ているだけ・・・

こうして悪夢は膨らみ続ける。

みずほ銀行は2002年に第一勧業銀行、富士銀行、
日本興業銀行の分割、合併によって生まれました。
ということは、そこで各行のシステムの統合が行われたとみていい。
これだけでも特大のブラックボックスが生まれる条件を、
十分満たしているでしょう?

ITシステムの黎明期ならともかく、
今のシステムはゼロから開発されるケースなんてまずありません。
先行するシステムを改修するか連結して巨大化するのです。
金融業界で今も古参のCOBOL使いが仕事をしている理由は、
この辺にあるんですよ。

そんなこんなで現場の現実を知る同業者にしてみれば、
みずほさんの事故は起こべくして起こったことであり、
反対に、起こってないところは「よく無事だな・・・」
なんですね。

ではどうしたら、この惨事を未然に防ぐことができるのか?

答えはプログラムならコメント、システムには仕様書など、
第3者が見てわかるレベルのドキュメントを残すこと。

これしかありません。

そんなのジョーシキ、みんなが知っている。
なのになぜできないのか?

理由はふたつ。
お客さんがドキュメント制作費用を渋るから。
(実際けっこうするんですよ)
そしてベンダー側にドキュメントを作る時間がないから。
たいてい少人数で納期ぎりぎりの仕事をやっているので、
ドキュメントはおろかマニュアルすら作るのが厳しい。

こうした悪しき、
いや、悲しき伝統がまだ続いているんだろうなぁ・・・

だから僕は、ITからくりをあまり信用しないんですよ。

えーじ
posted by ととら at 18:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記