2021年09月10日

簡単そうで難しいこと

ととら亭のお客さまは比較的に年齢層が高く、
特に平日のランチタイムは、
皆さん僕より年上の日も珍しくありません。

そんな先輩方と接していて、
先日、驚いたことがありました。

「今が一番いいな!」

過去の経験談を、こう結んだ方がいらっしゃったのです。
御年は88歳。

「年寄にゃ、この暑さはこたえる」とか、
「歯が悪いんで固いものは噛めん」とおっしゃいつつも、
加齢をネガティブに受け取ることなく、
飄々と人生を楽しまれている。

この「今が一番いい」という言葉は、
実にディープな含蓄があるんですよ。

ぱっと聞くと、
一昨日より昨日が、昨日より今日がいいと言っているみたいでしょ?
たとえば昨日より今日の方が銀行残高が増えたとか、
健康になったとか、昇進したとか・・・

ところがこの言葉の本質は、
そうした俗な『進歩主義』ではないのですよ。

これは言い換えると、
『今を生きる』ということなんですね。

え? みんな生きているのは現在しかない?
そうですか?

少なくとも僕なんざ、体は現在にあっても、
頭の中は昨日の失敗を思い出して「あちゃ〜・・・」、
月末の支払いを思い浮かべて「う〜ん・・・」、
万事この調子ですけどね。

それで20年近くメディテーションを続けているのですが、
「お、僕は『いま、ここ』にフォーカスしているぞ!」となっても、
あっという間に「え〜っと、今日のご予約は何時だっけ?」
ってな具合にあっちへふらふら、こっちへふらふら・・・
なかなか先輩のように今この瞬間を楽しむのは難しい。

そんなことを考えていた矢先に、(そう、またしても考えてる!)
先日、また別の先輩から、
「私の人生は今が一番」って言われちゃいました。

The past is already gone, the future is not yet here.
There's only one moment for you to live.

子供の頃には、
体でこれが分かっていたはずなんですけどね。

えーじ
posted by ととら at 21:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記