ととら亭のお客さまは比較的に年齢層が高く、
特に平日のランチタイムは、
皆さん僕より年上の日も珍しくありません。
そんな先輩方と接していて、
先日、驚いたことがありました。
「今が一番いいな!」
過去の経験談を、こう結んだ方がいらっしゃったのです。
御年は88歳。
「年寄にゃ、この暑さはこたえる」とか、
「歯が悪いんで固いものは噛めん」とおっしゃいつつも、
加齢をネガティブに受け取ることなく、
飄々と人生を楽しまれている。
この「今が一番いい」という言葉は、
実にディープな含蓄があるんですよ。
ぱっと聞くと、
一昨日より昨日が、昨日より今日がいいと言っているみたいでしょ?
たとえば昨日より今日の方が銀行残高が増えたとか、
健康になったとか、昇進したとか・・・
ところがこの言葉の本質は、
そうした俗な『進歩主義』ではないのですよ。
これは言い換えると、
『今を生きる』ということなんですね。
え? みんな生きているのは現在しかない?
そうですか?
少なくとも僕なんざ、体は現在にあっても、
頭の中は昨日の失敗を思い出して「あちゃ〜・・・」、
月末の支払いを思い浮かべて「う〜ん・・・」、
万事この調子ですけどね。
それで20年近くメディテーションを続けているのですが、
「お、僕は『いま、ここ』にフォーカスしているぞ!」となっても、
あっという間に「え〜っと、今日のご予約は何時だっけ?」
ってな具合にあっちへふらふら、こっちへふらふら・・・
なかなか先輩のように今この瞬間を楽しむのは難しい。
そんなことを考えていた矢先に、(そう、またしても考えてる!)
先日、また別の先輩から、
「私の人生は今が一番」って言われちゃいました。
The past is already gone, the future is not yet here.
There's only one moment for you to live.
子供の頃には、
体でこれが分かっていたはずなんですけどね。
えーじ