2021年09月22日

世代を超えて読書の秋

ひとりで料理を待っている間、
ほとんどの人がスマホを眺めている昨今、
ととら亭では読書派が少なくありません。

しかも興味深いことに若手が多いのですよ。

ん? 何を読んでいるのかな?

サーブするときにちらっと見れば、
これまたみんな硬派だね〜。

今日のランチでも20代の青年が読んでいたのはユリイカ。
僕も彼くらいの頃に愛読していた青土社の月刊誌です。

「へぇ、ユリイカじゃないか。
 雑誌が売れない時代と言われているけど健在なんだな。
 おもしろいかい?」
「ええ、でも少し硬い内容なのでつまみ読みですよ」

またある時はカバーに躍るキリル文字が目に入り、

「それ、ロシアの本?」
「あ、ロシア系ウクライナ人作家の本です。
 アンドレイ・クルコフのウクライナ日記」
「ん〜、なんかそそられるね。
 ウクライナはベラルーシ、モルドバと絡めて取材を考えてるんだ」
「現代のウクライナ情勢を理解するにはいい資料かもしれません」
「なるほど、あとでチェックしてみるよ」

こんな具合に若手から本を紹介してもらうこともしばしば。

世代を超えたケースもありました。
ある青年が真剣な面持ちで文庫本を読んでいるかと思えば、
どこかで見たような陰鬱なイラストが・・・

「おや? それ、ラブクラフトかい?」
「え? は、はい」
「クトゥルー神話シリーズ?」
「そうです」
「じゃ、君はポーやボルヘスなんかも好き?」
「え、ええ、まぁ・・・」
「実家の書架には今でもその辺の作品が並んでるよ」

ふ〜ん、まだゴシック小説を読む若者がいるとはね。
てっきりそんな子は絶滅したかと思っていたけど。

こうして若手から紹介されたり、
インスパイアされた本を読むのも視点が変わっていいものです。

そうか、彼らと同じくらいの年頃に、
読んでいた作品を読み返すというのも一興だな。

フィッツジェラルドやサリンジャー、
サローヤンにケルアック・・・
バロウズあたりもいま読んだらまた新鮮かもしれない。

間もなく読書の秋の入り口。
茶色くなった文庫本を引っ張り出し、
青春時代への小旅行を楽しみませんか?

ね、ご同輩?

えーじ
posted by ととら at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記