2021年11月15日

Dance with bad luck.

お客さまの年齢層が比較的に高いととら亭ですが、
ここ最近は20歳代の方もだいぶ増えてきました。

そんな彼、彼女たちと話をすることは、
子供のいない僕にとって、
(まさに子供がいたらそれくらいの年齢ですから!)
どこか外国にいるような気分にさせられることがあります。

まず気付くのが『違い』。
僕たちは同じ2021年の『現在』に生きていますけど、
その感じ方は大きく異なっています。
ときにはまったく違っているといってもいい。

そしてそれは僕が彼らと同じ年齢だった頃とも違う。
(スマホやSNSなんてなかったですしね)

ところが話が進んで行くと、
次第に違いのベールが薄れて行くのを感じ始めます。
それはどこか人間の普遍性ともいえるものかもしれません。

ある人は進路で悩み、
またある人は転職でつまずき、
若くして離婚や死別という深い悲しみに直面している人もいる。

ここでふと気づいたことがあります。
彼らは僕を何か特別な位置にいると思っているのではないか?

そう、僕はまさに人生のOBとして、
彼、彼女たちが悩んでいる問題を卒業し、
一種の完成された、
理想的な立場にいるかのように考えられている節があるのです。

ここで苦笑されるのはご同輩でしょう。

いわずもがな、
人間、何歳になっても悩みや苦悩が尽きることはありません。
ただその対象が違っているだけ。

確かに僕はいま、学校の成績や就職、結婚について悩んではいません。
しかし、若者諸君は、
1年間で同じ手術台の上に2回のぼる不安はまずないだろうし、
離れて住む高齢の親を心配することもないでしょう?

僕らをイライラさせ、不安にさせ、怒りを爆発させるものごとは、
まるで海辺に打ち寄せる波のようにやってきます。
そしてそれは僕たちが生きている限り、
何歳になってもなくなることはありません。

え? そんな身も蓋もないことを若者に言ったのか?

いや、だからこそね、こう付け加えているんですよ。

僕が高い代償を払って身に着けたのは、
そうした不運、不幸に真っ向からケンカを仕掛けるのではなく、
(勝ち目はありませんし)
むしろ手を差し出して、一緒にダンスすること。

Dance with bad luck.

踊り方のコツさえ覚えれば、
あとはまぁ、たいてい何とかなるものです。


えーじ
posted by ととら at 16:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記