「おやっさん、燃え尽きたぜ。真っ白にな」
最後の試合を終えた矢吹ジョーではありませんが、
営業最終日の僕らは、ほぼこの状態でした。
まずランチ営業直前に僕がベンチシートの蓋を閉めようとしたとき、
「はうっ!」
・・・まじか? このタイミングで。
「あ〜、ともこ」
「なに!」
フライパンを忙しく振りながら彼女が返事をしてきました。
「すまないんだけど、白湯をくれるかな?」
「え? いま?」
「ああ、大至急なんだ」
僕はファーストエイドパックからフルセットの薬を取り出し、
「どうしたの? え? 腰やっちゃったの?」
「うん。ちょいとヤバイ」
「そんなの急にやんないでよ!」
「といわれても予約なんてできないよ」
「大丈夫?」
「薬を飲んで30分間、様子を見てみる」
こうして超忙しい時間帯に僕がペナルティボックス入り。
ランチ営業時間が1時間半後に迫っています。
今日はすべて予約で満席。
今さらキャンセルはできません。
しかし、戦力50パーセントダウンじゃどうにもならない。
僕は祈るような気持ちで薬が効き始めるの待ちました。
そして30分が経ち、
「どう? やれそう?」
「ん〜・・・前傾姿勢を避ければ何とかなる・・・と思う」
こんな調子でキックオフ。
ひやひやしましたけど、
幸いノーサイドまで走り切ることができました。
そして片づけを終えて帰宅したのは27時過ぎ。
僕らはシャワーも浴びず、布団にもぐり込んで文字通りの爆睡!
目覚めたというより意識が戻ったのは日も高い10時過ぎでした。
久しぶりに目覚ましをセットせずに寝たのですが、
さすがにまだ疲れが取れません。
とぼとぼ店まで来てコーヒーを飲み、
朝食を食べてもなんだか力が入らない。
そこですぐアパートに戻り、再び爆睡。
次に気が付いたのは夕方です。
しかしこんな時でも食欲を失わないのが僕らの体質。
しっかり夕食を食べて21時前にまたもや爆睡。
こうして食事+爆睡を1日中繰り返した今朝は、
ようやく普通の人間に戻りました。
今日から12月15日の物件明け渡しに向け、
少しずつ片づけを始めます。
やどかり人生の僕らにとって引っ越しは慣れたものですが、
お店の移転は初めて。
また新たな挑戦の始まりです。
えーじ