
時間を気にせず、この街を歩くのは12年ぶりでしょうか。
どういう食器で料理や飲み物を提供するのか、
開業前は1日かけていろいろなお店をはしごしたものです。
ともこの後ろに写っている田窯さんもそのひとつ。
数ある合羽橋の食器店の中でも異彩を放つ存在として、
僕らは会社員時代から長らく通っていました。
その流れで独立前からいろいろ相談にのっていただき、
デザートの益子焼やコーヒー茶碗の信楽焼きは、
センスのいいOさんのアドバイスによるものなのですよ。
昨日は久しぶりにお会いして、当時の話で盛り上がりました。
ととら亭のコンセプトのひとつは、
外国の料理を和食器で提供するというもの。
これ、食とは文化の混淆や融合であるという特徴を表現する、
意図を込めたつもりなのですが、
いざやってみると、とても難しいことが分かったのです。
たとえば、ただ同じ汁ものだからといって、
スープを味噌汁椀でサーブしたら・・・
変でしょ?
グラタン系にしてもそう。
あれを土鍋で出したらねぇ・・・
ありがちな多国籍料理店のように脈略のない寄せ集めにせず、
ひとつのコンセプトに基づき、
統一感をもってコンパイルするにはどうしたらいいか?
ここはもう、足を使ってさまざまな食器を手に取り、
質感を確かながらイメージを膨らませて行くしかない。
ととら亭のデザインは食器のみならず、
ファサードや店内の装飾にいたるまで、
こんな風に創られたものだったのですよ。
さて、柴又での再スタートに向けてはじめたのは、
幾つかの食器やグラスの見直しです。
野方でもベストを尽くしたとはいえ、
予算や収納場所の制限で、
100パーセント納得していたわけではありませんでした。
そこでこれを機にグラス系のアップグレードと
サーブの仕方も再検討することにしたのです。
へとへとに草臥れて万歩計を見れば2万歩越え!
それでもあれこれイメージを浮かべながら、
合羽橋道具街を徘徊するのは、実に楽しいものでした。
帰りはちょっと足を延ばして、これまた久々の浅草へ。

実はこの街も出店候補地として、
12年前に何度も通った場所なのです。
なんか懐かしかったなぁ。
これもまた原点回帰か・・・
そう、ひとつの旅の終わりは、
次の新しい旅のはじまりなんですよ。
えーじ