2022年03月29日

日本仕入れツアー その6 最終回

昨日は17時30分ごろ、東京に戻って参りました。

2年半ぶりの旅。
それも原点回帰の国内旅行です。

バックパックを背負い、野方を出発したときは、
なんか、心身ともに再スタート!って気分でした。
僕にとってルートは勝手知ったものだったとはいえ、
初めての部分も多かったですからね。

それから旅の勘を取り戻すという点でも良かったと思います。
やっぱり普段の生活とは違うので、
頭の切り替えが必要なのですよ。

そこで見えてきたのは、
アップデートしなければならない課題の山。
何といっても今回は24年ぶりの自動車旅行だったでしょ?
車は僕と同じロートルのジムニーですから問題なかったのですが、
振り回されたのは地図です。

今回、初めてスマホのカーナビを使ってみたら、
これがもう案内しているんだか迷わせているんだか、

「ん? こっちに行くのかい?」
「あ! 急にルートが変わったよ!」
「え? どっち?」
「えっと、えっと・・ああっ! 元に戻った!」

こんな調子で急に方向が変わったり、意味不明な遠回りになったり、
しまいには自転車しか通り抜けられないような路地に誘導され、
キレた僕がスイッチオフ!

まぁ、確かに紙地図にはない便利さがありますし、
海外では荷物の量を減らさなければなりませんから、
ここは初心に戻って学習ですね。

あと、有料道路を使っていてETCの普及率にも驚きました。
以前は「一般」の方がほとんどで、1、2車線のみETCだったのが、
いまや場合によってはETCしかない料金所があるとは!

そこで帰る早々調べ始めているのは、ぐり丸のアップデートです。
彼は僕と同じ、完全アナログ型。
自動車の26歳といえば人間なら倍の52歳くらいでしょう?
ウインドウだって筋肉養成タイプの体育会系なんですよ。
(特に閉めるときが重い)
しかし、ある程度の近代化をしないと下道しか走れなくなってしまいます。

ともあれ、移動手段の選択肢が増えたことはラッキーでした。
東京に移住して以来、
バイクと自動車とは縁のない生活になっていましたから、
(普段は使わないし、維持費がべらぼうだし・・・)
たまに山に行こうかな? と思っても、腰が引けていたのですよ。

そんなわけで柴又のととら亭が落ち着いたら、
また国内でのアウトドアも楽しみたいと思っています。
(キャンプやスキーも行きたいねぇ・・・)

End

えーじ

sionomisaki_us.jpg
(本州最南端の潮岬にて)

See you on the next trip!
posted by ととら at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年03月27日

日本仕入れツアー その5

そして最後の晩の滞在地は・・・

名古屋です。

今朝は8時にチェックアウトし、向かったのは多治見。
美濃焼きの里です。
それから午後は少し南下して瀬戸へ。

走行距離は160キロメートルほどでしたが、
陶磁器店を20軒くらい回ったので、さすがに草臥れました。

しかしながら、これだけ回って収穫はゼロ!
ハードルが高いスープ碗はともかく、
濃い色の7寸の平皿やカウンターに置く花器は、
すぐ見つかるだろうと楽観していたのですけどね。

やっぱり僕らはこだわりが強いので、
平皿ひとつとっても、色、質感、サイズ、値段、
食器洗浄機対応のAND条件をすべて満たすとなると、
手洗い鉢のときのように「これだ!」とは、
なかなかならないのですよ。

ま、これもまた旅の出会いでしょうか。
ととら亭を再開する前に、
次は益子町や笠間市あたりでリベンジしたいと思ってます。

明日はこの旅の最終日。
東名高速をひたすら東に向かって東京へ。

ん〜・・・
外国から帰国便に乗る時とは、またちょっと違う気分です。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年03月26日

日本仕入れツアー その4

で、今夜いる場所は・・・

滋賀県の八日市町です。

今日は仕入れの本番。
和歌山市のビジネスホテルを9時半ごろチェックアウトし、
昼過ぎ、信楽駅前に着きました。

shigaraki_road.jpg
(天気予報では春の嵐になるとなっていましたが、幸い、小雨がぱらつく程度)

shigaraki_station.jpg
(信楽高原鐵道信楽線の信楽駅。終点です)

ここも懐かしかったですね。
14年くらい前、会社員のころ出張で守山を訪れた際、
オフを使って来たことがあったんですよ。
そのとき以来、ともこも僕も信楽焼の大ファンになりました。
ととら亭で使っているコーヒー茶碗も「へちもん」です。

shigaraki_shop.jpg

駅前からこうした焼き物のお店が点在し、
それぞれ品揃いが個性的で、
じっくり見ていると時間が経つのも忘れてしまいます。
(たぬきばかりじゃありませんよ)
しかし、今回は時間制限のある買い物ゲームですから、
のんびりしてはいられません。
次々と足早に商品の棚を見て歩き、仕入れの候補を見つけて行きます。

なかでも最大のターゲットは洗面所の手洗い鉢。
場所が広ければいくらでも選択肢はあるのですが、
残念ながら柴又ととら亭のトイレの横幅は900しかありません。
となると、鉢の奥行は250以内に納める必要があります。
ところがそのサイズだと、よくある円形の鉢では横幅が足りず、
手を洗ってて水が飛び散ってしまうでしょう?
そこで候補は奥行き250以内、横幅300前後の楕円形。

しかしこれがないんですよ〜。
ととら亭のような東京の狭小店舗はターゲットにされていないのか、
どれも直径が350前後はある大物ばかり。
(このサイズを設置できるお店が羨ましいです、ホント)

1軒目、2軒目、3軒目と見て回り、どれも帯に短し、たすきに長し・・・
ようやくあった! と思いきや、色がイメージどおりでなかったり、
形がイマイチだったり・・・

む〜、こりゃ次の街へ持ち越しかな?

と半場あきらめかけて入ったお店でともこが、

「えーじ! ちょっと、こっち来て!」

そこで彼女が指差していたのは、楕円形ではなく長方形の手洗い鉢。
色は僕ら好みの釉薬が滲んだ藍色です。
さっそくサイズを測ってみれば奥行き260×幅330。
奥行きが10オーバーですが、
それを補って余りある魅力の一品じゃないですか。

で、恐る恐る値段を見れば42,000円・・・か。
結構するね。

そんな僕らの表情を読んだ売り場のおばちゃんが、
「それなら3割引きにするからね」。

「じゃ、これください!」

こうしてまたひとつ、
柴又ととら亭のパーツが手に入ったのでありました。

明日は仕入れの後半戦。
訪れる街は・・・

to be continued...

えーじ

P.S.
「それ見つけたの、あたしだからね!」

はいはい。

tearai_tomoko.jpg
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2022年03月25日

日本仕入れツアー その3

そして今夜、滞在しているのは・・・

和歌山市内です。

いやはや疲れました。
それというのも紀伊半島は日本最大の半島。
最短距離であれば、
伊勢から和歌山市内まで、ざっと178キロメートル程度なのですが、
折角なので本州最南端の潮岬まで行ってみよう!
さらに景色のいい、
伊勢志摩スカイラインや鳥羽パールロードも絡めてみるか?

iseasama.jpg
朝熊山の朝の景色

なんてやったものですから、
今日の走行距離は437キロメートル!
しかも経費の都合で全部下道!

とはいえバイクに比べれば、ぜんぜん楽ですね。
以前、このルートを同じように走った時は、
20歳代の僕ですら、シャワーを浴びたらもう爆睡!
だったのですよ。

伊勢と同じく、南紀の道も27年前と殆ど変わっていませんでした。
ディティールはさすがに覚えていませんでしたけど、
南伊勢町の美しい入り江や新宮のダイナミックな海岸線は、
見た瞬間にかつての記憶が蘇ってきましたよ。

minamiise.jpg
南伊勢町の風景

kiisakura.jpg
桜が見ごろで道々楽しめました。

shingubeach.jpg
新宮の海

kiimehari.jpg
ここで食べためはり寿司とサンマ寿司
めはり寿司とは塩漬けにした高菜で、
高菜のみじん切りを混ぜたご飯を巻いたもの。
寿司といいつつ酢飯ではありません。

さて、今夜の宿は、
朝食付き駐車場代込みで、一部屋4,660円也のビジネスホテル。
だいぶ年季の入った建物ですが、
こうした鄙びた雰囲気は旅情があって好きです。

久しぶりに旅の空間へ戻れたような気がしてます。

shionomisaki.jpg
太平洋を望む潮岬

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年03月24日

日本仕入れツアー その2

そんでもって、
昨日から僕らはどこにいるのかと申しますと・・・

伊勢です。

え? そこで何を仕入れているんだ?

いや、これはちょっと寄り道と申しますか、
ともこがずっと前から「伊勢に行きたい!」と言っておりまして。
しかしながら、
JRer(ジェアラーと発音)の彼女が青春18きっぷを使って行くには、
ちと乗り継ぎの悪いところなんですよ。

そこで浜松から渥美半島の国道42号線を伊良湖までひた走り、
伊勢湾フェリーで鳥羽に渡ったのです。

iseferry.jpg
(伊良湖港を出発した鳥羽丸)

いやぁ〜、懐かしかったですよ。
と申しますのも、
このルート、ライダー時代に何度か走ったことがありましてね。
浜名湖大橋から海が見えてきたときには、
なんとも言えない気分になりました。

しかし残念だったのは、
伊良湖のフェリーターミナルで名物の大あさりが食べられなかったこと。
時間が早くてまだお店がやっていなかったようでして。
そこで鳥羽に着けばあるかと思ったら、ここもなし。

なぜだ? シーズンなのに・・・

ここで気を取り直して、二見に向かい、
夫婦岩を訪れるのはビギナーのお約束。

伊勢では近鉄伊勢市駅から1キロメートルほどのところにある、
僕らにしては、やや高級なホテルに投宿。
駐車場無料でダブルが一泊二人6,600円なり。
もちろん素泊まりです。

で、初日にさっそく訪れた伊勢神宮の外宮。
それから駅周辺の商店街をぶらぶらと・・・

今日は朝から歩いて内宮まで行き、
(フツーやらないね、トータル20キロ歩きました)
おはらい町通りで食事と仕入れ。

伊勢といえば、まずはともあれ伊勢神宮。
厳かな森の中に鎮座するシンプルな造りの神々の社は、
何度訪れても、
他の神社とは何かが違うオーラを帯びている気がします。

isejingu.jpg
(森と一体化したかのような社)

ホテルの部屋に置いてあった古事記を開き、
(場所柄ですな)
久しぶりに国生みのくだりを読んでいたら、
あまりに人間臭い神々に罰当たりなシンパシーを感じてしまいました。

さて、ガイドブック通りのルートはここまで。
僕らの興味と趣味の核心は、やはり市井の暮らしです。

isekanban.jpg

まずはこのレトロなムードはどうですか?
消えかかっているけど、左に縦書きで「暖房完備」とあります。
古代ならぬ、人間レベルでタイムスリップの始まり始まり。

isestreer.jpg

そしてちょっと路地を入れば、こんな建物がたくさん残っていて。

iseinari.jpg

ひっそりした鳥居をくぐってみれば、京都の伏見稲荷かと見紛う空間も・・・

iseasakichi.jpg

驚いたのは、内宮に向かって適当なルートを歩いていたら、
高級老舗旅館の麻吉の横を通っていたこと。
実は今を去ること30数年前、始めて伊勢を訪れた僕は、
気張ってここで一泊したのですよ。(無謀だねぇ・・・)
はて、麻吉はどこだったっけな?
と思っていたら、まるで導かれたように、ここまで来ていました。
思えば当時で一泊1万2千円くらいした宿代は、
今でも僕の予算の最高記録です。
それでも240年くらい前に建てられたという複雑な構造の建物は、
さながら時の迷宮の趣があり、
そこで過ごした一夜は払った金額以上の経験となりましたけどね。

isemeibutsu.jpg

さて、伊勢といえば独特な郷土料理も忘れてはいけません。
今回はビギナーのともこがいることですし、
王道的に行ってみようと思います。
となればまずはこれ、伊勢うどんと手こね寿司。
日本にうどんは数あれど、伊勢うどんに似たものは他にないでしょう。
ふわっとしつつも中心に微妙なコシを残すうどんに絡む、
出汁がきいたたまり醤油のつゆ。
僕は大好きなんですよ。
そしてカツオのヅケを酢飯に乗せた手こね寿司。
ガリのアクセントが食欲をそそります。
このコンビネーションは鉄板だ。
ちなみにここの「名物あわせ」には「さめのたれ」も付いていました。
これはヨシキリザメなどのサメの干物。
ほど良い塩加減でご飯によし、酒の肴によし。

isesuper.jpg

次の料理に移る前にこれもお見せしましょう。
伊勢のローカルスーパーの「ぎゅーとら」!
このネーミング・・・趣味だ。たまらん。
となるとスーパー評論家のともこも黙っていません。
さっそく入ってみれば、やっぱりあった!
伊勢うどんの生めんとたれ。
こうした街中で感じる郷土色。すばらしいじゃないですか。

iseoasari.jpg

そして僕の期待を裏切らなかったのがこれ、大あさり!
今回は伊勢といえば必ず訪れている「手こね茶屋」で、
僕らを待っていてくれました。
いやはやフェリーターミナルで食べられなかった時には、
どうしようかと思いましたよ。
(ともこにぜひ食べさせたいと思っていたので・・・)
ちなみにこの店、
過去3回はおはらい町通りにある内宮店に行っていたのですが、
今日は五十鈴川沿いにある本店を訪れてみました。
くつろげる小上がりがいい感じです。

isesanmazushi.jpg

そこでいただいたサンマの炙り押し寿司。
これがまたシャリまで絶妙でチョーうまい!
ああ、ここの食事だけでもまた来る価値はある。
ホント、そう思います。

iseakafuku.jpg

そしてデザートは赤福で決まり!
もちろん場所はこれまた五十鈴川沿いの本店でなくっちゃいけません。
しかし店の前は春休みのせいか長蛇の列。
ま、斜前の別館でも仕方ないか・・・
とちょっぴり諦めモードだったのですが、
神々へのシンパシーが奏功したのか、
案内されたのは特等の五十鈴川に面した縁側!
実はこの席、25年ほど前に訪れたとき、座った場所でもあるんですよ。
なんたる偶然。
麻吉といい、赤福といい、僕のことを覚えていてくれたのかな?
ありがとう、伊勢の街!

さて、明日は早起きして移動です。
次なる場所は・・・

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年03月22日

日本仕入れツアー その1

というわけで僕らは今どこにいるのか?

浜松です。

昨日は高崎市にある義母の家で居候中のぐり丸(ジムニー)を引き取り、
そのまま駅の近くで一泊。
ここは安かった! ダブルがなんと4,200円。しかも駐車場付き!

しかし、たいていこうしたホテルにはそれなりの理由が・・・

で、入って納得。
フロントが無人のビッグブラザー型ホテルでした。
入り口すぐのところにキオスク端末風のチェックインマシンがあり、
案内に従って操作すると、
画面上に現れたのは、アーリア系と思しき30歳前後のお兄さん。

子供の騒ぐ声が聞こえていたところからすると、
在宅勤務型のフロントマンでしょうか。
とうぜん鍵はなく、レシートに印字された4桁の数字で開錠する仕掛け。

海外では何度かこうした無人ホテルに泊まりましたが、
ついに日本にも上陸していたのですね。

で、部屋に入ってさらに納得。
作りは明らかに元ラブホじゃないですか。
なんだけど、8階建てのビルのうち、ホテルは2階から4階までで、
それ以上は普通のマンションなんですよ。

40年位前に松本でストリップ小屋の上の木賃宿に泊ったことがありましたけど、
ラブホの上がマンションってのは初めてです。
日本の旅もおもしろいね。

さて、今朝は軽井沢から甲府を経由して静岡に南下する予定が、
雪になりそうなムードが出てきたので、
東京まで戻って東名を西進するプランBに変更。

案の定、関東北部は昼頃からみぞれ交じりの冬に逆戻りだったようですね。
南岸ルートは清水のSAでぱらっとみぞれが降りましたが、
静岡では雨も上がり、いまホテルの窓からは、きれいな夕焼けが見えてます。

さて、ぼちぼちお腹が空きました。今夜は何を食べようかな?
そうだ、浜松といえば宇都宮と並ぶ餃子の街じゃないですか。
ここはスポットでギョーザの取材をしてみましょう。
お店はネットで調べるのではなく、フロントで訊くのが一番。
楽しみだな!

えーじ
posted by ととら at 18:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年03月20日

Back on the road again.

明日から旅に出ます。

といっても飛行機には乗りません。

今回は先日復活させたぐり丸(ジムニー)で、
関西、東海方面へ向かいます。

目的は食器の買い出し。

ととら亭での食器の使い方は、
一般的に見てかなりイレギュラーなんですよ。
和食器を使って外国の料理を盛り付けていますからね。

そこで問題となるのが僕らのイメージに合う食器探し。
東京では合羽橋の食器店をはしごして、
なんとか選び出してはいたものの、
どうしても見つけられなかったものもあります。

たとえばスープ碗。
まさか味噌汁碗で出すわけにはいかないでしょ?
今まで使っていたものもあるのですけど、
これは内側のざらつきが強く、
木の匙がすぐダメになってしまうのですよ。
かといって金属だとやっぱり引っかかってしまうし・・・

また好みは陶器ですが、
これだと食器洗浄機で洗えないものが多い。
さらに家庭で使う一点ものではなく、
1種類につき10皿以上を買うとなれば、
当然コストも考えなければなりません。
(僕がまたよく割るもんでねぇ・・・)

それからトイレの手洗いで使う鉢も買い物リストに入っています。
野方のお店では時間も予算も乏しかったので、
取りあえず付いていればいいかな? なものでした。
そこで今回はしっかり予算を取って、
もうちょっとお洒落なものを入れようと思っています。

というわけで今回の目的地は関西から中部にかけての窯元。
信楽から多治見、瀬戸を周る予定です。

日本を自動車で移動する旅か・・・

20年ぶりくらいだな。

えーじ
posted by ととら at 13:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年03月17日

Think together case3 #1

3月12日のお話の続きです。
実はちょいとディープなテーマなので、タイトルをThink togetherに変え、
皆さんの知恵を拝借させて頂きたいと思います。

僕のシンプルな理解を誤解を恐れず、ざっくり言ってしまうと、
第2次世界大戦の終わりからソビエトの自壊まで、
世界を2分する対立軸は資本主義と共産主義という、
いわば経済の形態の違いにセットされていました。

それが今や中国、ベトナムもこぞって市場経済を導入したとなると、
(これ自体、そもそもイデオロギー上の大矛盾だと思うのですが)
経済システムはグローバルレベルでの大統一が完了し、
残るは同じゲーム上での競争力のみが問題となる・・・

とはならなかったんですね。

先日お話した、
複数政党制国家とヘゲモニー政党制国家の間にある思想上の違いとは、
とどのつまり「自由へのスタンスの違い」だと思うんですよ。

西欧諸国をはじめ、先般のロシア非難決議に賛成した国々では、
自由こそが人類にとって幸福の基盤であるという、
固い信念を持っている人々が多い。

ところがヘゲモニー政党制国家は、この大テーゼに懐疑的なんですよ。
いや、むしろ自由は国家の秩序を乱し、結果的に人民を不幸に貶める、
そう考えているといっても差し支えないでしょう。

自由を制限するあまり、それを人権の弾圧だとする国際社会の非難に対し、
中国はアメリカを筆頭に西欧諸国の治安の悪さをもって反論します。

僕は自由主義に立っていると公言していますが、
かといって、自由を無謬の権利としてまで崇めてはいません。
なぜなら、自由とはある意味、
無秩序の同義語であるという意見に真っ向から反駁するのは難しいから。

たとえば、僕は自由と同じく、
LGBTQの人々の存在と権利を全面的に認める立場を取っています。
しかし、この範囲が人間を越えて、犬や猫など他の動物から、
昨今でいえばAIにまで広げられると、
正直、「いや、それはどうかな?」と首を傾げざるを得ません。

しかし、友人も恋人も、家族だってAIでいい、
だからそれに合わせて民法も改正すべきだ、
という意見を持つ候補者が国政選挙に立候補するまで、
あと10年はかからないでしょう。
(当選するかどうかは別として)

そしてこうした主張をする人から見れば、
リベラルな自由主義を標榜する僕といえども頑なな保守であり、
マイノリティの弾圧者と映りかねないのです。

シンガポールの建国の父、リー・クアンユーはかつて、
「わが国に野党の存在を許す余裕はない」と言い放ちました。
政治活動や報道の規制をはじめとし、
シンガポールが「明るい北朝鮮」とまで揶揄された理由の一つです。

では、国土がたった東京23区程度の面積しかなく、
食料自給率が10パーセント未満なことに加え、
水道水もマレーシアからの輸入に依存する都市国家で、
僕らが理想とするような日本やアメリカ並みの自由を開放していたら、
はたしてアジアの経済を牽引するまでに成長した、
今のシンガポールはあったでしょうか?

自由とは、どうも手放しで称賛できるものではないような・・・
そんな気がしません?

僕がいま皆さんとシェアしたいのは、
無秩序化しない、無責任にならない自由とは想定しうるのか?
という問いです。

100パーセントの自由か100パーセントの規制かという極論に陥らず、
どこで、どのように、どのような理由をもって両者の間に線を引くか?
この議論がウクライナの、ロシアの、ヨーロッパの、中国の、
そして僕たちの世界の差し迫ったミッションなのではないか?

僕はマジでそう考え始めているのです。

えーじ
posted by ととら at 10:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2022年03月15日

WEBエッセイが始まります!

久しぶりに東海教育研究所さんとタッグを組んだWEBエッセイ、
ところ変われば料理も変わる!?
の連載が始まりました!

今回のテーマは料理のルーツです。
ギョーザ本はトルコのマントゥと韓国のマンドゥの話から切り出しましたが、
名前やレシピの類似性から、
「なんか関係があるのでは?」と気付いた料理は少なくありません。

そこで6回にわたり、トンカツやポテトサラダなど、
身近な料理の兄弟たちにスポットを当て、時間と距離を超えた旅に出かけましょう。

第1回目はもはや和食ともいえるラーメンの祖先と思しき、
中央アジアのラグマンをご紹介します。

えーじ
posted by ととら at 11:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年03月12日

善悪の二元論を超えて

新型コロナウイルスと共存する。

その先行きがようやく見えてきたと思ったら、
人間同士の共存が危ぶまれるようになってしまうとは・・・

何とも皮肉な話ですね。

僕らも来春には、
ユーラシア大陸を横断する長い旅に出られるかな?
と考えていたのですが、
どうやらコースの変更を検討しなければならないようです。

ロシアは、ヨーロッパは、いや、僕らの世界は、
どこへ行こうとしているのでしょうね?

1991年、ソビエトの自壊と共に冷戦が終わり、
世界は次のフェーズへと入って行きました。
しかし、それは能天気なハリウッド映画のシナリオとは、
まったく違ったものです。

ひとつの秩序の死は、別の秩序の誕生ではなく、
手に負えないカオスを生み出しただけだった・・・

いまのウクライナのみならず、
イラクやアフガニスタン、レバノンの状況は、
西欧流の秩序の汎用的限界を示しているとしか僕には思えません。

そしてその深まる混迷の中で、
かつての民主主義と共産主義の間にあった対立軸は、
先般のロシア非難決議の分布にも現れているとおり、
複数政党制国家とヘゲモニー政党制国家にシフトしてきました。

今すぐこの暴力を止めなければならないのは、
疑問の余地のないことです。
しかし、力をもって力を制するアプローチは、
新たな問題を生み出すだけでしょう。

当事者が受け入れられる妥協点を探すには、
闇雲に自分の意見を主張し続けるより、
まず相手の立場と考えを理解するのがセオリーです。

たとえばアラブの目線で十字軍やアラビアのロレンスを見るように、
ロシアの目線でワルシャワ条約機構なきあとも残るNATOは、
どのような存在に映っているのか?

そして独立後の数年で、
バルト三国はなぜ、飛び込むようにしてNATOに加盟したのか?
EUに加盟してもなお、
なぜフィンランドは今までNATOに加盟していないのか?
(さすがに今回の事態で手を上げましたが)

安易なナショナリズムに足元をすくわれる前に、
僕らもそれを考えてみるべきかもしれません。

えーじ
posted by ととら at 17:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年03月09日

痛みを知る人

先日の入院初日に薬剤師さんと会ったとき。
僕の手持ちの薬を一瞥した彼女は、

「めまいがあるのですか?」

急に声のトーンが落ちて、僕の目をのぞき込みました。

「いや、3、4年前に2回続けて困ったことがあって、
 それ以来、起こっていないのですが、
 念のためにファーストエイドとして持ち歩いているんですよ。
 いつ、どこでなるか分かりませんから」
「実は私もメニエールなんですよ」
「え? そうなんですか!」
「仕事中になっちゃったこともあって」
「それは大変でしたね。
 僕は良性頭位性めまいだったみたいで、寝ていれば大丈夫でしたが、
 メニエールだとそれでも回っちゃうでしょ?」
「ええ、もうひどかったですね・・・」
「きついよねぇ、あれは」

賢人なら痛みや身体的な不自由さを、
本を読むなり相手を見るだけで分かるのでしょうけど、
僕ら凡人は、自らの体験を持って学ぶしかありません。

でも、だからこそ病気やけがの痛みや、行動の制限、
失敗による挫折感などは、単純に悪いだけではなく、
他人へのやさしさとシンパシーを教えてくれる、
先生でもあるんですよね。

そういえば、先のめまい事件で病院にいたとき、
親身になって接してくれたのは経験者の看護師さんだったし、
あとでアドヴァイスをくれたのも同じ悩みを持つ旅人だったな。

自分の身をもって痛みを学び、他人の痛みを知る。

これって、もしかしたら、
学校のお勉強や仕事のスキルより、ずっと大切なことなのかもしれない。
たとえば、思いやりとか、やさしさ、
それから、人を好きになる気持ちみたいに。

えーじ
posted by ととら at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年03月06日

10年ぶりのW復活

ようやく腰の安全装置がかかった昨日、
1週間延期していた自動車を引き取りに、
ともこの実家がある高崎市まで行ってきました。

修理をお願いしていたのは、
信越本線の群馬八幡駅から徒歩20分ほどのところにある、
スズキアリーナトヨナガ高崎八幡。

ものがものだけに、今回、依頼先は慎重に選んだのですよ。
と申しますのも、
義父の形見のジムニーは、初年登録が平成9年のE-JA22W型。
それがまた10年間、車庫で眠っていたのですからね。
御年26歳の状態をたとえるなら復活前の宇宙戦艦ヤマト。

しかし僕の心配は杞憂だったことがすぐわかりました。
相談を始めてすぐ、店長さんの状態報告や修理提案を聞くうちに、
「ああ、ここなら安心だ!」という確信が得られてきたからです。

電話では何度もやり取りしていましたが、
昨日お会いしてみて更に納得。
店長さんはどう見ても同世代じゃないですか。
どおりで修理方針にギャップがなかったわけです。
話をしていて、
バイク仲間の整備工場で機械をいじっていたころを思い出したのも、
なるほど、という感じでした。

「久しぶりに車らしい車を修理できて、工場も盛り上がっていたんですよ」

うんうん、わかりますとも。
最近、道路を走っているのは自動車、バイクを問わず、
ほとんど半分家電品ですからね。
(この型のジムニーは本当の「パワー」ウインドウでもあります。
もちろんマニュアルトランスミッション)

そこでこれまた2012年1月以来、
久しぶりにハンドルを握る僕も新しいものに接するのではなく、
かつて体で覚えたことを思い出せばOK。
人間、自動車ともに10年ぶりの公道走行です。

最初はアクセルのリアクションやクラッチの繋がり具合に、
「お? よよよ?」となりましたが、
ともこの実家が近付いてきたころには、
お互い次第に馴染み始めました。

grimaru.jpg

僕らは彼を、色と形のイメージから「ぐり丸」と命名。
まだともこの実家に居候中ですが、
ここ1カ月間以内に柴又へ連れてくるつもりです。

あ、もしかしたらその前に、
これまた久しぶりの国内旅行に出るかも?

春ですからね。

えーじ
posted by ととら at 13:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年03月03日

静かな記念日

今日は12回目になるととら亭の誕生日。
僕らの独立記念日でもあります。

例年なら「野方でノガーダ!」っと、
お客さまとも一緒にお祝いが始まるのですが、
今年はアパートの小さな部屋でしめやかに。

思えば独立して以来、お店を休んでいた期間は多々あれど、
ととら亭が存在しないのは初めての経験です。

いや、正確にいうと存在しないのではなく、
僕らのイメージの中だけにあるってことかな?

それでも大分育ってきましたよ。
柴又駅のホームからだって3階部分が見えるくらい。
(1階がととら亭で、2、3階が住居)
面構造の板材で全体が覆われましたから、
ビジュアル的にも「お〜、家が建ちつつある」って感じ。

そんなこんなで、タスクもだんだん増えてきました。
今日も朝から病院で術後の抜糸。
その足で柴又に向かい、電気関連の打ち合わせと、
1次、2次工事関係者の現場顔合わせ。
さらに近くの不動産屋さんに周って駐車場の契約です。
(柴又では仕入れで市場に行くこともあるため、自動車を復活させたのです。
そのお話はまたいずれ・・・)

千代田線で行き来するときは西日暮里で山手線に乗り換えるんですけど、
あそこのホームに佇んでいると、なんか感無量って気分になります。

と申しますのも、
二人だけの隠密プロジェクト、TRePの対外活動を始めたのは、
北欧の取材旅行から戻った2018年7月のこと。
酷暑のなか、最初に不動産会社を周ったエリアのひとつが、
谷根千で知られる千代田線の根津、千駄木界隈。
(それだけでも僕らが最初、
まともな経済観念を持っていなかったことの表れですな)

大汗をかきながらも、次々つれなく断られ続け、
「はぁ・・・この先どうなるんだろ?」と途方に暮れていた場所が、
JR西日暮里駅のホームなんですよ。

あれから3年7カ月・・・
実に、ああ、実に困難な道のりでございました。
(それがまだ終わっていないというのもお約束ですが・・・)

僕はナルシーな性格ではありませんが、
これまでに4回、心から自分と相棒を褒めたことがあります。
最初は2009年の7月、
長い旅路の果てにマチュピチュを目の当たりにしたとき、
次が2010年2月、イメージの中のととら亭が形になったとき、
3度目が2017年にギョーザ本がリリースされたとき、
そして4度目がいま、JR西日暮里駅のホームに佇んでいるときです。

ですから今夜はいろんな意味でのお祝い。
まだこの長い旅が終わったわけではありませんけど、
大きな区切りがついたということで、
ちょっと一息つきたいと思います。

乾杯!

えーじ
posted by ととら at 20:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2022年03月02日

追加接種完了!

昨日の夕方、
ふたりして新型コロナワクチンの追加接種に行ってきました。
場所は前回と違いますが、同じく徒歩で行ける範囲の病院です。

交互接種の方が抗体価が高いそうなので、
今回打ったのはモデルナ製。
片や副反応も強いと聞きましたが、はてさてその結果は?

一夜明けて、僕はファイザーの2回目とほとんど同じでした。
接種した箇所が「ちょっとぶつけたかな?」ていどの鈍痛と、軽い頭痛くらい。
発熱は朝の平熱プラス1度くらいだったので、37度を越えていません。

それよりシビアなのは椎間板ヘルニア。
もっとも危険な朝の30分間をクリアするために薬を飲んだら、
副反応の方もほぼ消失しました。
(ともこいわく、年齢なりだから、だそうで・・・)

可哀想なのは彼女の方です。
早朝4時ごろ、ひどい悪寒で体温を測ると37.6度。
まだまだ上がりそうだったので、カロナールを服用させました。

ところが8時に起きると熱はさらに上がって38.4度に。
腕だけではなく、体の節々が痛むそうで、11時半現在、まだ沈没中です。
(ともこいわく、これも年齢なりだから、だそうで・・・)

というわけで、先日の膝の手術や椎間板ヘルニアでは、
彼女が僕をアシストしてくれていましたが、
今日は立場が逆転しています。

思えばこういうの、僕ら夫婦には珍しくないんですよ。
25年以上も一緒にいると、いろんなことが起こります。
皆さまご存知のとおり、僕は整形外科のロイヤルカスタマーですし、
ともこはともこで大病を数回経験していますからね。
(入院回数は僕が上ですが、
合計日数は彼女がダブルスコアで引き離しています)

「支えあって生きる」というのは結婚式のスピーチで定番ですけど、
僕らの場合、例えではないのですよ。
これまで幾度となく、
字義通りに、僕がともこを支えて階段を下ろしたり、
彼女が布団から体を起こす僕を支えてくれたりしたことがありました。

旅をしている最中に、どちらかがダウンし、
(2019年のトルコでは二人がほぼ同時に!)
看病から助けの手配をするというのも珍しいことではありません。

まぁ、夫婦というより、パートナー、旅の相棒というのは、
そんなものなんですよ。

さて、そろそろお昼。
トーストを焼いて、ルームサービスに行ってきますか。

えーじ
posted by ととら at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年03月01日

とある春の光景

ご心配をおかけしましたが、
なんとかレッドゾーンからは遠ざかりつつあるようです。
さすがに昨日の外出はハラハラしましたけどね。
念のために普段より一時間早く起きて、
フルドーピングの後、体のウォームアップ。
それからコルセットをがっちり締めて、
万が一の折り畳みストックまで持っての出動となりました。

遅れに遅れているTRePもいよいよ実務の段階に入り、
現場での調整対応や駐車場の手配、
また役所での手続きが始まっています。
そんな渦中で時限爆弾の心配もしていましたから、
野方駅に戻ってきたころにはどっと疲れが出て・・・

やれやれ・・・心労とはこのことだな。
さっさとアパートに帰って一息つこう。

とホームからエスカレータに乗ろうとしたとき、
上り側で小さな男の子を連れたお母さんが目に留まりました。
見ると、男の子は発車する電車に向かって一心に手を振っています。

ああ、子供は乗り物が好きだからな。

すると通り過ぎる最後尾の車両で、
その子に向かって手を振る人影が・・・

「あ〜っ! ほら、しんちゃん!
 車掌さんが手を振ってくれてるよ!」

車掌さんは通り過ぎても振り返り、
その子に手を振っています。
男の子もまたずっと手を振り続けていました。
電車が見えなくなるまで。

お互い、名前は知らず、
マスクで顔もよく分からなかったでしょう。
それでもこの一瞬のドラマは、
彼らの、今日一日のハイライトになったと思います。

へぇ〜・・・やるね、あの車掌さん。

商店街の雑踏を縫いながら、
僕はさっきまでの疲れをすっかり忘れていました。

えーじ
posted by ととら at 11:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記