2022年10月31日

Old but New

今日で10月も終わり。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?

僕らは柴又での再スタートから3カ月余りが経ち、
仕事もだいぶスムーズになりました。

そこで考えているのが年末年始の営業予定。

柴又は野方と違い、観光地でもあります。
とりわけ帝釈天を巡る年末年始の人出は、
商店街の先輩がた曰く、年間最大のイベントだそうな。

はてさて、そこで1年生のととら亭はどうすべきか?

ただいま二人であれこれ意見を出しつつ、
検討を続けています。
たとえば店頭に屋台を出して、僕が謎のトルコ人に扮し、
「メッチャウマイヨ〜っ!」とケバブを売るとか。

それとも大晦日のカウントダウンから、
元旦の朝までオールナイト営業?

ま、老朽化した体を鑑みつつ、
11月前半には1月末までのスケジュールを発表する予定です。

それからパラレルで進めている取材旅行の再開。

このまま何ごともなければ、
1月下旬にはウォームアップで、
バリ島のウブドに行こうと思っています。
しかしこのところの円安はどうにかならんかしらん?
ま、予算は例によってしょぼいので、
何十万円も損をするわけではありませんが、
割高感は否めませんからね。
(黒田さん、頼みますよ!)

柴又から出発するのも初めてです。
成田、羽田空港ともに、
アクセス特急を使えば1時間ちょいで行けますから、
野方のときよりだいぶ楽ですね。

国外に出るのは3年ぶりか。
本来の自分たちに戻り、新しいスタート。
変わっているようで変わっていない。

こうして僕らの旅は続いて行くのでございます。

えーじ
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2022年10月28日

もののふたちのノーサイト

毎朝、ざっとニュースサイトを閲覧していますが、
政治欄の読後感は大抵、「なんだかなぁ・・・」なもの。
しかし先日、秋晴れの朝にふさわしい内容がありました。

それは野田元首相による安倍元首相への追悼演説。

政敵に贈る言葉としての体裁をとっていましたが、
行間からにじみ出ていたのは、
同じ方向を向いて進んだフェローへの哀悼だったような気がします、

それというのも、そもそも論でいうと、
政党は敵同士になっちゃダメなのですよ。
(なれ合いも困りますが)

なぜならお互い究極の目的は、
「この国を良くしよう」でしょ?
違いは「良いの定義」と、「そのための方法」だけじゃないですか?
けして相手は親の仇ではありませんからね。

僕が野田元首相の言葉からくみ取ったのは、
先日お話した50プラス1型民主主義を超える希望でした。

繰り返しになりますが、
数で押し切るだけであれば、結果はヘゲモニー国家と変わりません。

しかし、合意形成型民主主義は、
多数派だけの意見が通るのではなく、
少数派の意見を組み込む懐の深さがあります。
たとえば、

「この法案は多数決の結果によって通させてもらいます。
 しかし、少数派のあなたがたもそれぞれ有権者の代表でしょう。
 ならば可能な範囲で、
 あなたたちの意見を取り入れる議論をしませんか?」

ここにあるのは「我々か彼らか」のOR思想ではなく、
「我々と彼ら」というANDの発想です。

妥協とは敗北の結果ではなく、共存の条件であり、
社会的生物である人類が生存するために不可欠な叡智なのですよ
政治的議論がこの認識を欠いて行われる限り、
僕らの民主主義はいつまでも勝者の論理の先へ進むことができず、
少数派の居場所はやがてどこにもなくなってしまうでしょう。

野田元首相の言葉からは、少なくとも何人かの政治家が、
このヴィジョンを持ちつつあることを感じられたような気がします。

政治にも勝ち負け以外の選択肢はある。
僕ら個人の人生と同じようにね。

えーじ
posted by ととら at 10:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年10月25日

書の香り

前から疑問に思っているのですけど、
本とネットの読み物の違いって何でしょうね?
言い換えると図書館とネットカフェの違いとは?

僕は「これだ!」と断言できないのですが、
感覚的には明らかな違いを感じている。

端的に言ってしまいますと、
図書館や書店の書架を前にしたときのワクワク感が、
スクリーン上のブックリストを前にしたときには感じられないのですよ。

どうしてだろ?
両方とも同じ文字と画像の情報なのにね。

そういう意味では、
読んでいる時の感じも違うんですよ。

紙の本のページを繰っているのと、
タブレットやスマホの画面をスクロールしているときでは、
同じ読書をするにしても別物のような気がします。

電気仕掛けは、どうも意識が散漫になるというか、
なんか集中力に差が出ているような。
読破した満足感も少ないし。
ま、Kindleペーパーホワイトならともかくhtmlのテキストだと、
いろいろ「便利な」仕掛けやら広告やらが賑やかで、
さながら駅で立ち読みしているようなものですからね。

そうか、それとディスプレイには匂いがないんだ。
ほら、図書館や古本屋に入った時に感じる、
あのインクの香りというか、かび臭ささというか・・・

たとえばこれ。

oldmagazine.jpg

この前ゲットした晶文社の「季刊同時代演劇」創刊号と第二号。
最初の発行日は1970年2月10日です。
開封して目次を開いたときの微かな匂いに惹かれて、
思わず鼻を近付けてしまいました。
なんか、半世紀にわたって封印されていた空気が、
ふっと解き放たれたような・・・

僕はけして古書フェチではありませんが、
こうしたレアものを手にすると、
読む前にあれこれ弄り回してしまいます。

夜が長くなりました。

たまには電気ガジェットのスイッチを切って、
紙の本と向き合うのも乙なものです。

えーじ
posted by ととら at 15:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年10月22日

Discover my town

ヤドカリ人生の僕らはパートナー歴四半世紀の間に、
横浜から文京区小石川、足立区北千住、練馬区中村南、
中野区野方、そしてここ、
葛飾区柴又と6カ所の街に住んでいました。

いずれも自分たちで選んだ街でしたから、
お気に入りの飲食店やのんびりできた公園など、
楽しかった思い出がたくさんあります。

しかし、
新しい住処を探して不動産屋さんを周っているうちに気付いたのが、
渋い顔をして「この街はねぇ・・・」というネガティブな評価の多さ。
ことテナント物件を探して都内を彷徨っていたときは、
阿佐ヶ谷、吉祥寺、荻窪など、
僕らの予算では出店の難しい(つまり羨ましい)ところですら、
「それほど良くないよ」との声をよく聞きました。
それもそのほとんどが地元生まれの方から。
そしてオープンからたった3カ月しか経っていない柴又でも、
「何でまたこんなとこで?」と幾度となく聞かれたではないですか。

ん〜・・・どうしてだろ?

私感ですけど、柴又は住むのにとてもいいところです。
こと4丁目は駅に近いし、(ととら亭からは歩いて1分だし)
選択肢こそ少なくても日常品なら徒歩3分圏内でみな揃います。
それに静かで治安もいい。
近所の人はみな顔見知りで、
ちょっと外に出れば「おはようございます!」
「涼しくなりましたね?」なんて声をかけあって。
病院も近くに各科が一揃いありますしね。

それとビジネス的にも悪くありません。
(悪かったらそもそも移転しませんよ)
ま、業種と業態にもよりますが、
ととら亭のような小規模家族経営飲食店であれば、
この厳しい経営環境下でもぼちぼちやって行けるでしょう。
足るを知るライフスタイルならノープロブレム。

思うにホームタウンの過小評価は、
慣れから来ているのかもしれませんね。
ここで新鮮な視点を取り戻すのにお勧めは街歩きです。

最寄りの駅から各駅停車の電車に乗って、
ぶらっと出かけてみませんか?
あとはサイコロを振って運任せで降りてみる。
そしてそこから2〜3駅の間を歩いてみましょう。

道に迷うのは大歓迎。
(だからスマホの電源は切ってね!)

閑静な住宅街や鄙びた商店街もあれば、
騒音に包まれた幹線道路沿いもある。
そこに立ち並ぶ家々を見て、
もし自分がここに住んでいたら、
どんな生活をしているか想像してみるのです。

それから途中で見つけた公園で休憩し、
いい感じのお店を探してランチも楽しみましょう。

そしてあまり疲れないうちに帰路につき、
最寄りの駅のひとつ手前で下車して、
最後のひと区間も歩いて帰るのです。

するとほら、住み慣れた街が、
いつもと少し違って見えてくるでしょ?

そとは秋晴れ。
お散歩にこんなふさわしい日はないじゃないですか。

ね?

えーじ
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2022年10月21日

ネットの情報なんてね

と僕が斜に構えているのは皆さまご存知のとおり。

無害なエンタメ系は別として、
ことニュースや何らかの重要な判断に使う場合、
ブログや各種SNSにとどまらず各国の国営メディアですら、
「ふぅ〜ん、あっそ〜・・・」
と字義通りには受け取りません。

その理由は?

今日は金曜日。
ととら亭はランチ休です。

で、例によって僕は3階で仕事をしていると、
下から何やらともこの話声が。
そこで降りてみたら・・・

「どしたの?」
「今日はランチお休みなのにお客さんが来ちゃって」
「あらら、営業予定を見てなかったのね」
「それがね、ホームページを見たら、
 今日のランチは○印になってたって言うのよ。
 おかしいわね!」
「え? ○印になってたって?」
「うん」
「いまちょうど11月のスケジュールをアップしようとしてたとこなんだ。
 10月分も確認してみるよ」

そこで僕は仕事部屋へ駆け上がり、
10月の営業予定を開くと・・・

うげげ! 間違ってるじゃん!

それも2カ所。

10月21日(金)のランチが休みなのに○印になってて、
翌22日(土)が営業日なのにお休みになってる!

ふ、ネットの情報なんてね。

これが僕のネットの情報を信用しない、
最大の理由でございます。

えーじ

P.S.
先ほどご来店されたお客さま。
大変失礼いたしました。
以後気を付けます。

P.S.2
「えーじ、11月11日のディナー営業欄が空欄になってるよ」
「うげげっ!」
posted by ととら at 13:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年10月19日

話すべき相手

先日終わった安倍元首相の国葬。
この件を巡ってはさまざまな議論が起こりましたけど、
なかには前向きなものもあったのではないか?
と僕は考えているのですよ。

それは「話すべき相手」が見えてきたこと。

これまで社会的な問題意識の高い人は、
「政治を変える!」や「自民党を壊す!」
というスローガンを謳うのが常でしたが、
どうやらこれが反対に、
「政治が変わらない」大きな原因なのではないか?
そう気付き始めた人が増えてきたような気がしません?

言い換えれば、
私利私欲で社会を牛耳る悪徳政治家に立ち向かう、
自由と正義の民衆・・・というステレオタイプが、
政治を、いや、社会を変えられない遠因のひとつなのではないか?

そう、ここで抜け落ちているのは、
スーパーヴィランとされる悪徳政治家といえども、
合法的な選挙で選ばれたのだという事実。

さらに日本は代表民主制ですので、
その悪徳政治家は、
数千から数万人の意見を代表する人物でもある。
けして中世からデロリアンでやってきた世襲君主ではない。

ですよね?

なので、「岸田首相、けしからん!」
と国会前でシュプレヒコールをあげても効果は薄い。
なぜなら岸田さんを選挙で当選させた人々が地元で、
「いやいや、文雄君、それでいいんだよ」と言っているのですから。

ここから考えると、話すべき相手は政治家というより、
むしろ同じ市民なのではないか?
国葬を巡っては、賛成派と反対派が街頭でにらみ合ったでしょう?
双方ともに政治家ではなく、同じ市民です。
答えはその狭間にあるんですよ。(ように僕には見える)

そしてその観点に立てば、自ずと次のルールも見えてきます。

それは多数決の49パーセント側に入ったら自分の意見は通らない、
ということ。
これこそ僕らが採用している50プラス1型民主主義の原則ではないですか?
君主制ではなくてもイヤな意見を押し付けられることはある。
この点では民主主義国家もヘゲモニー国家も大差はありません。
違いは結果ではなく、決定プロセスにしかないのです。

このシビアな現実を直視できず、
49パーセント側が「横暴だ!」と決議をひっくり返し、
自前の正義によって自分たちの意見を押し通した場合、
少数派の意見が全体を制することになってしまう。

すると、あれれ?
少数派が社会のルールとなったら・・・
これじゃ自由と正義という名の絶対君主制じゃん!

こうした皮肉な逆転現象も起きかねない。

もし僕らが今の政治や社会に不満を持つのであれば、
話すべきは議員バッチを付けた人ではなく、
それを付けさせた人々、
すなわち意見を異にする隣人こそが相手なのではないか?

だってほら、どんな強権を振るう政治家も、
選挙に落ちればただの人なのですからね。

えーじ
posted by ととら at 09:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年10月16日

ととら亭のある暮らし

流行に疎い僕らも、
遅ればせながら「在宅勤務」となりました。

正確に申しますと、
「通勤」は2階から1階に降りるだけ。
ほんの数秒です。
野方時代に比べて天候を気にすることもなく、
何と楽になったことか。

また、生活と仕事の場が密着したため、
ちょっとした空き時間を使って、
雑用をこなせるようになったのも便利ですね。
仕事の効率はだいぶ上がったと思います。

と、ここまでは一般的な共通点。

大きな違いは自宅にととら亭が「付いている」こと!
そう、お店を貸し切りで1日3食を食べているのです。

ま、これは野方時代もお店に住んでいるようなものでしたから、
同じといえばそうなのですけど、
さすがにパジャマ姿で、というわけにはいきませんでした。

それが柴又のお店では、
シャッターを下ろすと外から中がまったく見えないため、
朝はパジャマのまま、ぼ〜っとコーヒーが飲めますし、
夜は風呂上がりの状態でくつろぐこともできます。
こうしていると、
どこかのホテルか旅館に泊まっているような気分にもなりますね。
ほら、ひとっ風呂浴びて、浴衣のまま食堂に来たような。
(駅に隣接しているから、さしずめステーションホテルってところか?)

さらに僕の立場からすると、レストランを貸し切りで、
専属のコックさんに料理を作ってもらっているのですから、
こりゃもう贅沢の極致。

まだまだ雑務に追われる日々ではありますが、
僕らはこんな風に小さな日常も楽しんでおります。

えーじ
posted by ととら at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年10月13日

秋の入り口で

柴又での営業も、まもなく3カ月。
ぼちぼちこの街でのリピーターさんが増えてきました。

ディナータイムでそうと分かるのは、
まず着席直後の行動です。

初めての方は店内をきょろきょろ。
しかしリピーターさんが真っ先に見るのは、
黒板メニューですからね。

「今日のスポットメニューは何だろう?」

こうして僕がメニューブックを持って行く前に、
どれとどれを食べるのか、
あらかた戦略を練っているのでしょう。

そしてオーダーの最後で忘れないのがデザート。

黒板には数種類のデザートが書かれていますが、
残りが少ない場合もあります。
そんな時に「食後にオーダーしよう」とのんびりしていると、
「すみません、タッチの差で売り切れました」
「が〜ん!」
となりかねない。
そこで最初に確保しておこうというわけです。

こうした変化を見ていると、
ととら亭が少しずつ柴又にも溶け込みつつあるんだな、
そうしみじみ思います。

深まり行く秋。

僕たちにとっても新しい季節の始まりです。

えーじ
posted by ととら at 17:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年10月10日

僕のお気に入りキャラクター

あれは野方時代のある静かなディナータイムで。
カウンターに座った女性たちがこんな話をしていました。

「ほんと、ぬいぐるみってカワイイよね〜!」
「特に自分のお気に入りだと、
 いろんなところに連れて行きたくなっちゃう」

そこから話題はキャラクターにおよび、

「子供の頃なんてさ、
 キティちゃんグッズはマストアイテムだったし」
「あたしはキキとララ!」
「あれ〜? こういう話だとえーじさんは静かね」
「さすがに興味ないでしょ?」

ここで僕はワイングラスを拭く手を止め、

「いや、そんなことはないよ」
「え〜っ! ぬいぐるみ持ってるんですか?」
「まさか! 持ってないけどさ、
 お気に入りのキャラクターはあるんだ」
「なになにそれ?」
「といっても君たちは知ってるかな?」
「昭和の時代の?」
「おいおいG.I.ジョーじゃないぜ。
 今でも普通に見られるものでね。
 だけど日本じゃ一般的ではないかも」
 
「じゃ、外国のキャラクター?」
「そう」
「なんだろ? ディズニー関係?」
「違うよ。知ったのは機内食でさ」
「機内食?」
「ああ、機内食でたまに、
 小さなチーズやバターが付いているだろう?」
「うん」
「そこに描かれていたキャラクター。
 それがお気に入りなんだ」
「え〜、何それ? どんなの?」
「笑ってる赤いウシ」
「はぁ? 名前は?」
「知らない」

ここで彼女たちは気合を入れて画像検索を始め、

「キーワードはなんだろ?」
「笑うウシだから・・・laughing・・・cow?」

「え? な、なにこれ〜!」

laughie.jpg

「おお! そいつだ!」
「あたしも見覚えがある。
 外国のスーパーマーケットのチーズ売り場で見たかも」
「こ・・・こんなのがお気に入りなんですか?」
「うん」

ま、確かにこのキャラじゃ乙女心をくすぐることはないでしょうな。
でも、もしこいつのぬいぐるみが売っていたら、
僕は買ってしまうかもしれません。

なぜか?

この吉田戦車さんですら思いつかないセンス。
能天気でとぼけた笑顔。
こんな顔を見ていると目の前の問題や悩みが、
どれもくだらなくなってくると思いません?

ちなみに僕はこいつをLaughie(ラフィー)と呼んでいます。

えーじ

P.S.
このチーズ、今日のディナー用に買ってもらいました。
これで心身ともに3連休の疲れが癒されることでしょう。
posted by ととら at 16:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年10月08日

後ろ向きの強み

この秋、3度目の3連休。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

新型コロナ騒動もなし崩しのフィナーレとなりつつある昨今、
ぼちぼち遠出をしようかな?
という方もいらっしゃるかと思います。

観光地でもある柴又は、ようやく商機を取り戻しつつあり、
さぁ、ここから復活だ!
と気合が入ったところで出鼻をくじく秋の冷たい雨。

それも最初は台風、次が長雨、
そして今度も空模様はぐずついて、
ため息交じりで空を見上げる同業者は少なくないでしょう。

ともあれ僕は、それほど悲観していません。

なぜか?

慣れているからです。
こういうの。

何といっても2010年3月の野方デビュー時には、
何日も雨に祟られ、開店景気とは無縁のスタート。
さらに春が遅れ、4月の中旬に雪おろしをする始末。
夏は酷暑で日中の商店街はゴーストタウン化。

ようやく1年もったと喜んだの束の間、
1周年記念フェアを始めて1週間もしたら311。

呪われたか?

とも思いましたが、
今にしてみれば、厳しい飲食業界で生き残る、
一種のトレーニングだったのかもしれません。

身に付いたのは、
足るを知り、独立の初心を見失わないという、
なんともセコい、ととらスタイル。

でもね、瞬間的な好景気に浮ついて、
いたずらにあれこれ手を出しても、
結局もてあますだけなのですよ。

そうした意味で僕らはこの12年間、
何も変わっていないのかもしれません。

現代ビジネスの教科書では、
なんとも後ろ向きな話なのですけどね。

えーじ
posted by ととら at 15:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年10月05日

とある背中のひと押し

noren1005.jpg

旅の食堂

どんな飲食店だか分からない。

ととら亭

何の意味かも分からない。

さらに、

fasade1005.jpg

中が見えず、実に入りにくい店構え。

それにも関わらず、
暖簾をくぐっていらっしゃる方のきっかけは、
実際、僕らも知りたいところです。

そこで興味深かったのは、
先日のディナータイムにお一人でご来店された女性から聞いたお話。

なんでもととら亭のすぐ近くにあり、
取引先でもある八百勝さんで買い物をしていたときのこと。

「これもらってくね〜っ!」
「まいど〜っ!」

と商店街に響き渡る声でやり取りしていたともこが、
そのままその怪しげな店に戻るの見て、
ととら亭の人だと知ったそうな。

で、あんな明るい元気な人がやっているなら、
店はうさん臭くても、ぼったくりレストランや、
ご法度の風俗店ではないだろう。

「そんなわけで入ってみました!」

とな。

ん〜、そういうきっかけもあるのですね。

「え〜っ! じゃ、あたし、
 買い物に行くなら八百勝さん以外でも元気よくしなくちゃ!」

と気を良くして、
今日も買い物に出かけけたともこさんでした。

えーじ
posted by ととら at 15:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年10月02日

The end of TReP

ととら亭移転計画。
TReP(Totoratei Replace Project)

構想7年、制作3年に及んだ僕らの壮大なプロジェクト、
いや冒険の旅は、マスタースケジュール上、
柴又での営業再開をもって終了しました。

しかし、気持ちの上での、本当の終わりは昨夜、
柴又のととら亭を実際に創った方々とのパーティ。

具体的な、このお店の誕生は、2019年の8月に遡ります。
あれは僕がネットで不動産売買情報を検索していたとき。
ふと、駅から徒歩1分、近隣商業地域の物件が目に留まったのです。
しかも値段が破格!(僕らが買えたくらいですからね)

その場所が柴又でした。

実際に検討しはじめた晩の興奮は今でも忘れられません。
土地の形状から簡単な平面図を描き出し、
いろいろ試しているうちに空が白み始めていましたからね。

その時に描いたデザインが、
基本的に現在の自宅と、ととら亭のベースになっているのです。

しかし、それはあくまで、
PCのスクリーン上に映された画像でしかありません。
それを現実の形にするだけではなく、
さまざまな角度から改良を加え、
いま、皆さんを迎える完成形にするには、
多くの専門家の努力と協力が不可欠でした。

だから感覚的には、
僕らがおカネを払って家を建てた、店を作った、というより、
建ててもらった、創ってもらった、という感じなのですよ。

野方のととら亭が引き渡しのとき、
12年近く使った店とは思えなくらいきれいだといわれたのも、
同じように、
いろいろな人に創ってもらった、だから大切にしなくては、
という気持ちがあったからに他なりません。

そうした、いわば恩人の方々へのお礼をもって、
このプロジェクトは本当の終わりを迎えることができる。

trepparty.jpg

どうもありがとうございました。
皆さんが作ってくれたこの店を、
これからずっと大切にして行きます。

ともこ & えーじ
posted by ととら at 15:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記