「えーじさんの野望って何ですか?」
先日、こんなご質問を頂きました。
ん〜・・・野望ねぇ・・・
やっぱり、ミシュランの星を取って銀座に移転し、
ニューヨークやパリに支店を出す・・・
なんてないし。
ぱっと思い浮かんだのは、
夫婦そろって旅を続けること・・・かな?
え? 地味すぎる?
でも、旅が地球規模になると、
けっこう大きな話になってくるのですよ。
たとえば僕らが行った国の数は現在70数カ国ですが、
この数字だけでも国連加盟国の1/3程度しかありません。
さらにアメリカやロシアなど面積の広い国になると、
たかだかニューヨークやサンクトペテルブルクに1週間いたくらいで、
「知ってます」とはとても言えないでしょう?
そうなると、
「僕らは世界中を旅してきました!」と胸を張るには、
少なくとも3回くらい生まれ変わって続けていなければ、
無理だということが分かります。
地球は Google Earth で見るよりずっと大きい。
そして旅は大容量のシステムと、
高速化されたネットワークで構成された情報の堆積ではなく、
五感を通して感じる経験に他なりません。
だからその場に行くしかない。
というわけで、
「どれだけ遠くまで行けるか?」が、僕らの野望なのでございます。
えーじ
2023年02月27日
2023年02月25日
ローテク社会からのメッセージ
取材をしていて、
ときおり料理以外のものに感銘を受けることがあります。
たとえば先日のバリ島でパダン料理店に入ったときのこと。
店内を見回していて、ふと思わぬメッセージが目に入りました。

字が小さいので抜粋したのがこれ。
Forreign visitors and domestic guest
If you are satisfied tell your friends
If you are not satisfied
let our employes know
thank you for your patronage
Happy travel and see you again.
意訳しますと、
外国から訪れた方と国内のお客さまへ
もしあなたが(当店に)満足したのであれば、あなたのお友だちに伝えて下さい
(そして)もし満足しなかったならば、(それを)従業員に知らせて下さい
ご愛顧をありがとうございます
楽しいご旅行を、そして、また会いましょう。
ん〜・・・飲食店のスタッフとお客の間に限らず、
人間関係たるもの、かくあるべし。
ハイテクが生み出した闇の中で、
匿名の罵詈雑言が飛び交う昨今、
ローテクの社会からこんなメッセージが発せられるとは。
そうなんだよね。
おいしいパダン料理を頬張りながら、
僕はそんなことを考えていました。
えーじ
ときおり料理以外のものに感銘を受けることがあります。
たとえば先日のバリ島でパダン料理店に入ったときのこと。
店内を見回していて、ふと思わぬメッセージが目に入りました。

字が小さいので抜粋したのがこれ。
Forreign visitors and domestic guest
If you are satisfied tell your friends
If you are not satisfied
let our employes know
thank you for your patronage
Happy travel and see you again.
意訳しますと、
外国から訪れた方と国内のお客さまへ
もしあなたが(当店に)満足したのであれば、あなたのお友だちに伝えて下さい
(そして)もし満足しなかったならば、(それを)従業員に知らせて下さい
ご愛顧をありがとうございます
楽しいご旅行を、そして、また会いましょう。
ん〜・・・飲食店のスタッフとお客の間に限らず、
人間関係たるもの、かくあるべし。
ハイテクが生み出した闇の中で、
匿名の罵詈雑言が飛び交う昨今、
ローテクの社会からこんなメッセージが発せられるとは。
そうなんだよね。
おいしいパダン料理を頬張りながら、
僕はそんなことを考えていました。
えーじ
2023年02月21日
寅さんと僕
木賃宿(きちんやど)って知ってます?
昨今は簡易宿泊所と名を変えましたが、
そういうと寿町や山谷のドヤを想像してしまうかもしれません。
ドヤは長期滞在型、木賃宿は一時型なので、
用途がちょっと違うんですよね。
かといって安宿といえば、
バックパッカーズの和訳になりつつあるようなので、
僕は敢えて古語のまま、木賃宿と呼んでいます。
さて、この宿、どういうところかと申しますと、
簡単にいえば、一般的に相部屋で安く泊まれる宿のこと。
たいてい襖で仕切られた大部屋に雑魚寝するシステムで、
宿泊客は観光旅行者ではなく、ほとんど行商人ですね。
(山頭火の旅日記にもよく出てきます)
僕は旅費を行商で稼いでいたわけではありませんが、
手軽さと懐事情から、しばしば木賃宿に泊まっていました。
さて、街から街を渡り歩く行商人といえば、
柴又のシンボル、寅さんもそのひとり。
もちろん彼は架空の人物ですが、
もし実際に存在していたら、
どこかで会った可能性もあるのではないか?
そんな風に思うことがあります。
寅さんの生年月日は一説によると昭和15年11月29日。
ということは、僕の23歳上。
「ほい、ちょっくら御免なさいよ。
荷物をここに置かせてもらいますからね・・・
お、こいつは驚いた!
髪が長いから女とばかり思っていたら、
あんた、男じゃねぇか!」
「え? ああ、ずいぶん切ってないもんで」
「最近はそういうのがファッションってのかい?」
「いえ、おカネを節約しているだけです」
「なんだ散髪代もないのか、しけたやつだね〜。
で、お兄ちゃん、ここで何をしてるんだ?」
「仕事を辞めて、オートバイで旅をしています。
おじさんは?」
「俺かい? 俺はまっとうに働いているよ」
「じゃ、出張ですか?」
「シュッチョウ? あ、ああ、びじねすまんってやつだからな。
全国を飛び回って、いろいろ忙しいんだ」
「格好いいですね。本社は東京?」
「おお、葛飾区の柴又だ。帝釈天って知ってるか?
その参道でダンゴ屋や印刷会社なんかを手広くやってる。
ま、仕事は叔父夫婦と妹に任せてるがな」
「実業家ですか、チェーン展開してるなんてすごいですね。
僕は無職なんで、帰ったらまた仕事を探さなくちゃ。
柴又はまだ行ったことがありません」
「おめぇ、名前は?」
「久保えーじです」
「俺の姓は車、名は寅次郎ってんだ。
仕事に困ったらいつでも柴又のホンシャに来な」
「本当ですか?」
「ああ、お前は筋が良さそうだから、
海外支店の総支配人なんてどうだ?」
「ありがとうございます!」
そして数週間が流れ・・・
「御免ください」
「はい、おひとりさん?」
「あ、いえ、仕事で来ました。
車社長はいらっしゃいますでしょうか?」
「え? 仕事? ちょ、ちょっとお待ちください」
「ねぇ、あんた!
髪の長いスーツを着た人が来て車社長に会いたいって」
「はぁ? 車社長? また寅のやつがなんかやったんじゃ・・・
さくら! 寅はまだ寝てんのか?」
「ちょっと!お兄ちゃん!起きてよ!」
「うるせぇな・・・なんだよ。
俺は遅くまで仕事していて疲れてんだ」
「仕事って、御前様のとこで飲んでただけでしょ!
若い人がお兄ちゃんを訪ねてきてるのよ」
「若い人? 女?」
「違うわよ。髪の長いスーツを着た男の人」
「知らねぇなぁ・・・留守って言ってくれ」
「ダメよ。下で待たせてるんだから」
「ったく、人気者はつらいよ。
ゆっくり寝かしてももらえねぇとは」
「あ、こんにちは!えーじです!
仕事をしに来ました。
外国は得意なんで、いつでも出張できます」
「え? あんた、誰?」
「誰って、ほら、宿毛の木賃宿で一緒だったえーじですよ!
ダンゴ屋の海外支店を展開するって言ってたじゃないですか」
「海外支店? 寅、おめぇ、そんなことを言ったのか?」
「あ! 思い出した! 長髪のオートバイ野郎か!」
「はい!」
「バカだね〜、本当に来やがった」
「お兄ちゃん、どういうこと?」
「ちっ、しょうがねぇなぁ・・・
おいちゃん、今日からこいつを頼むよ」
「お、おい! 頼むって、うちには他人を雇う余裕なんか・・・」
「そんな冷てぇこというなって!
この頭を見てよ、ほら!
散髪代もないやつを黙って帰すわけにもいかないだろ?
どうせ帰りの電車賃もないんだろうし。
んじゃ、とりあえず店の前の掃除でもしてもらうか。
おっと、前だけじゃだめだ、向こう三軒両隣も忘れちゃいけねぇよ。
世のなか付き合いってのが大切だからな。
おう、さくら、箒とチリトリ!」
「そ、掃除・・・ですか? あの〜、海外出張の件は・・・」
「ったく、これだからせっかちな若者は困るんだ。
千里の道も一歩からって言うだろ?」
「はぁ・・・」
と、こんなことになっていたかも・・・
えーじ
P.S.
ちなみにととら亭の由来は寅さんではなく、こちら。
昨今は簡易宿泊所と名を変えましたが、
そういうと寿町や山谷のドヤを想像してしまうかもしれません。
ドヤは長期滞在型、木賃宿は一時型なので、
用途がちょっと違うんですよね。
かといって安宿といえば、
バックパッカーズの和訳になりつつあるようなので、
僕は敢えて古語のまま、木賃宿と呼んでいます。
さて、この宿、どういうところかと申しますと、
簡単にいえば、一般的に相部屋で安く泊まれる宿のこと。
たいてい襖で仕切られた大部屋に雑魚寝するシステムで、
宿泊客は観光旅行者ではなく、ほとんど行商人ですね。
(山頭火の旅日記にもよく出てきます)
僕は旅費を行商で稼いでいたわけではありませんが、
手軽さと懐事情から、しばしば木賃宿に泊まっていました。
さて、街から街を渡り歩く行商人といえば、
柴又のシンボル、寅さんもそのひとり。
もちろん彼は架空の人物ですが、
もし実際に存在していたら、
どこかで会った可能性もあるのではないか?
そんな風に思うことがあります。
寅さんの生年月日は一説によると昭和15年11月29日。
ということは、僕の23歳上。
「ほい、ちょっくら御免なさいよ。
荷物をここに置かせてもらいますからね・・・
お、こいつは驚いた!
髪が長いから女とばかり思っていたら、
あんた、男じゃねぇか!」
「え? ああ、ずいぶん切ってないもんで」
「最近はそういうのがファッションってのかい?」
「いえ、おカネを節約しているだけです」
「なんだ散髪代もないのか、しけたやつだね〜。
で、お兄ちゃん、ここで何をしてるんだ?」
「仕事を辞めて、オートバイで旅をしています。
おじさんは?」
「俺かい? 俺はまっとうに働いているよ」
「じゃ、出張ですか?」
「シュッチョウ? あ、ああ、びじねすまんってやつだからな。
全国を飛び回って、いろいろ忙しいんだ」
「格好いいですね。本社は東京?」
「おお、葛飾区の柴又だ。帝釈天って知ってるか?
その参道でダンゴ屋や印刷会社なんかを手広くやってる。
ま、仕事は叔父夫婦と妹に任せてるがな」
「実業家ですか、チェーン展開してるなんてすごいですね。
僕は無職なんで、帰ったらまた仕事を探さなくちゃ。
柴又はまだ行ったことがありません」
「おめぇ、名前は?」
「久保えーじです」
「俺の姓は車、名は寅次郎ってんだ。
仕事に困ったらいつでも柴又のホンシャに来な」
「本当ですか?」
「ああ、お前は筋が良さそうだから、
海外支店の総支配人なんてどうだ?」
「ありがとうございます!」
そして数週間が流れ・・・
「御免ください」
「はい、おひとりさん?」
「あ、いえ、仕事で来ました。
車社長はいらっしゃいますでしょうか?」
「え? 仕事? ちょ、ちょっとお待ちください」
「ねぇ、あんた!
髪の長いスーツを着た人が来て車社長に会いたいって」
「はぁ? 車社長? また寅のやつがなんかやったんじゃ・・・
さくら! 寅はまだ寝てんのか?」
「ちょっと!お兄ちゃん!起きてよ!」
「うるせぇな・・・なんだよ。
俺は遅くまで仕事していて疲れてんだ」
「仕事って、御前様のとこで飲んでただけでしょ!
若い人がお兄ちゃんを訪ねてきてるのよ」
「若い人? 女?」
「違うわよ。髪の長いスーツを着た男の人」
「知らねぇなぁ・・・留守って言ってくれ」
「ダメよ。下で待たせてるんだから」
「ったく、人気者はつらいよ。
ゆっくり寝かしてももらえねぇとは」
「あ、こんにちは!えーじです!
仕事をしに来ました。
外国は得意なんで、いつでも出張できます」
「え? あんた、誰?」
「誰って、ほら、宿毛の木賃宿で一緒だったえーじですよ!
ダンゴ屋の海外支店を展開するって言ってたじゃないですか」
「海外支店? 寅、おめぇ、そんなことを言ったのか?」
「あ! 思い出した! 長髪のオートバイ野郎か!」
「はい!」
「バカだね〜、本当に来やがった」
「お兄ちゃん、どういうこと?」
「ちっ、しょうがねぇなぁ・・・
おいちゃん、今日からこいつを頼むよ」
「お、おい! 頼むって、うちには他人を雇う余裕なんか・・・」
「そんな冷てぇこというなって!
この頭を見てよ、ほら!
散髪代もないやつを黙って帰すわけにもいかないだろ?
どうせ帰りの電車賃もないんだろうし。
んじゃ、とりあえず店の前の掃除でもしてもらうか。
おっと、前だけじゃだめだ、向こう三軒両隣も忘れちゃいけねぇよ。
世のなか付き合いってのが大切だからな。
おう、さくら、箒とチリトリ!」
「そ、掃除・・・ですか? あの〜、海外出張の件は・・・」
「ったく、これだからせっかちな若者は困るんだ。
千里の道も一歩からって言うだろ?」
「はぁ・・・」
と、こんなことになっていたかも・・・
えーじ
P.S.
ちなみにととら亭の由来は寅さんではなく、こちら。
2023年02月17日
思わぬところに
ある日、ともこがお店の前で掃除をしていると・・・
「あれ? ここにこんな店があったっけ?」
「こんにちは」
「ととら亭・・・確かこの名前は・・・
あの、野方に同じ店がありません?」
「ええ、同じお店ですよ」
「やっぱり! あっちはどうしてるんですか?」
「もうありません」
「えっ!?」
「去年の7月に移転したんですよ。
閉店したのは一昨年の11月末ですけど」
「なんと!
それじゃこれからここまで来なくちゃいけないのか!」
思わぬところへ西武新宿線沿い在住の方が、
そしてまた、思わぬところにととら亭が。
旅の出会いというのは、そういうものかもしれません。
えーじ
「あれ? ここにこんな店があったっけ?」
「こんにちは」
「ととら亭・・・確かこの名前は・・・
あの、野方に同じ店がありません?」
「ええ、同じお店ですよ」
「やっぱり! あっちはどうしてるんですか?」
「もうありません」
「えっ!?」
「去年の7月に移転したんですよ。
閉店したのは一昨年の11月末ですけど」
「なんと!
それじゃこれからここまで来なくちゃいけないのか!」
思わぬところへ西武新宿線沿い在住の方が、
そしてまた、思わぬところにととら亭が。
旅の出会いというのは、そういうものかもしれません。
えーじ
2023年02月13日
ととら亭 完全再起動完了!
長いトンネルをついに抜けました。
移転が終わり、旅に戻って完全再起動完了です。
それもかつてのととら亭ではなく、
新しいととら亭として。
野方時代、ゼロから作り上げたスタイルが完成したとき、
それはある意味で、
そのスタイルの限界が見えた瞬間でもありました。
それを乗り越えるにはどうしたらいいか?
その答えが柴又のととら亭だったのです。
これが実に困難なプロセスでしたから、
ウブドの風に吹かれたときは、
新店舗の完成を超える感動でした。
鳥は空へ、魚は水へ、そして旅人は旅へ、
それが自然な姿です。
僕らもまた、本来の自分に戻りました。
地図もガイドもなく、
手探りで進む旅はサプライズの連続でしたが、
振り返り見て、
ようやく「ああ、このルートで間違ってなかったんだ・・・」と、
ひと心地ついたところです。
ここからまた、
新しい旅の一歩を踏み出したいと思います。
えーじ
移転が終わり、旅に戻って完全再起動完了です。
それもかつてのととら亭ではなく、
新しいととら亭として。
野方時代、ゼロから作り上げたスタイルが完成したとき、
それはある意味で、
そのスタイルの限界が見えた瞬間でもありました。
それを乗り越えるにはどうしたらいいか?
その答えが柴又のととら亭だったのです。
これが実に困難なプロセスでしたから、
ウブドの風に吹かれたときは、
新店舗の完成を超える感動でした。
鳥は空へ、魚は水へ、そして旅人は旅へ、
それが自然な姿です。
僕らもまた、本来の自分に戻りました。
地図もガイドもなく、
手探りで進む旅はサプライズの連続でしたが、
振り返り見て、
ようやく「ああ、このルートで間違ってなかったんだ・・・」と、
ひと心地ついたところです。
ここからまた、
新しい旅の一歩を踏み出したいと思います。
えーじ
2023年02月08日
第19回取材旅行 その8 最終回
「そんなことまで調べるんですか?」
取材や料理の説明が宗教の話にまで及ぶと、
多くの方が意外に思うようですね。
しかし、食文化は多かれ少なかれ宗教と結びついており、
その関係を無視して個々の料理を理解することは、まずできません。
今回、僕たちが訪れたバリ島はその典型的な例のひとつ。
インドネシアはムスリム人口が世界最大の国として知られていますが、
それはクリスチャンや中華系を除くと、
基本的にお酒とブタ肉料理がNGであることを意味します。
ところがバリ島のマジョリティーはヒンドゥー教徒。
そこでインドネシアであるにもかかわらず、
例外的にお酒が飲めてブタ肉料理がポピュラーなのですよ。
(しかもおいしい!)
また、その反面、他の地域で食べられているウシ肉料理は、
少数のムスリムやクリスチャンの地域を除いて見かけません。
この視点からひも解いて行くと、先日お話したパダン料理とは別の意味で、
バリ料理のユニークさが楽しめるのではないかと思います。
それでは蘊蓄はここまでにして、具体的な料理を見て行きましょうか。
バリ島のワルン(ローカル食堂)に入って何を食べていいか分からないときは、
まずこれを注文してみましょう。

ナシチャンプル
これは料理名が字義通りの説明になっていて、
ナシ(ご飯)+チャンプル(ごたまぜ)、
つまりいろいろなおかず添えのご飯のこと。
内容に決まりはなく、季節折々の料理や、
そのワルンの得意料理が何種類かご飯に添えられています。
ちょっとずつ味見してみたいときには打って付けのメニュー。
ちなみにお気付きと思いますが、
マレー(インドネシア)語の「チャンプル」は、
音、意味ともに沖縄のそれと同じで、
語源は前者ではないないかとの説が有力のようです。

ソトアヤム
これも和訳すると捻りのない名前で、
ソト(スープ)+アヤム(トリ)でチキンスープとなります。
しかし、その味わいは複雑かつディープ。
具だくさんでもあるので、これとご飯で一食にしてしまう人も。

ナシゴレン
全国的な定番料理で読者の方もご存知ではないでしょうか?
ナシ(ご飯)+ゴレン(炒める)ということで、インドネシア風チャーハンです。
味付けがインドネシア定番調味料のケチャップアシン(塩味醤油)か、
ケチャップマニス(甘口醤油)なので、本家の炒飯とは一味違います。
そういう意味ではクラッシュピーナッツと干しエビを添えないから、
タイ料理のカオパッツとも違うな。
またメキシコのサルサに似たソースのサンバルを添えると、
味が引き締まってさらにパンチが効いて来ます。
目玉焼きを乗せ、エビせんを添えるのがお約束。

ミーゴレン
ナシゴレンと並んでポピュラーな料理。
ミー(麺)+ゴレン(炒める)ということで、インドネシア風焼きそばです。
味付けがナシゴレンと同じなので、日本のソース焼きそばとはまるで違います。
これもたいていエビせんが付いて来ます。

アヤムゴレン
ここまで来ると名前からどんな料理かお分かりになるでしょう。
そう、アヤム(トリ)+ゴレン(炒める)でチキンソテー?
いや、惜しいですね。
ゴレンには揚げるの意もあり、フライドチキンのことです。
見かけはまさしく鶏のから揚げですが、日本のそれとはちと違い、
まずターメリックやレモングラスを入れたお湯でトリ肉を下茹でし、
それに衣を付けて揚げています。
調味料に直漬けする日本のそれより薄味で、竜田揚げに近いかな?
しかし、これもサンバルを添えるとまさしくインドネシアの味に。
ご飯もビールも進みます。

サテリリ
バリ風チキン焼きつくね。
実はガドガドと並んで2016年にととら亭で紹介したことがある料理です。
日本のつくねとは大きく異なり、
カッファーライムの爽やかな香りが食欲をそそる一品。
ココナッツフレークが使われているところもインドネシアっぽいですね。
これはシーフードバージョンもあります。

カリアヤム
もう説明は要らないでしょう。
さらっとしていてコクのあるココナッツ風味のインドネシア風チキンカレー。
タイのゲーンカリーとはナンプラーとパクチーの香りがない点で別物です。
この差は料理全体にも当てはまり、
タイ料理との似て異なるコントラストを醸し出しています。
では、バリ料理の香りの中心は何かというと、
カッファーライム(タイ名はバイマックル)ですね。
これがパクチーに変わって香りの中心となっています。

白身魚のサンバルマター添え
サンバルは家庭の数だけあるともいわれていますが、
大きく分けるとメジャーな幾つかにまとめられます。
生の野菜やハーブを使った非加熱のサンバルムラーはバリ島の定番で、
白身魚からチキンまで焼いた料理との相性は抜群。
また、この料理はしばしばココナッツミルクを使って炒めた、
青菜がお供になっており、この3つを一緒に食べると、とてもおいしいです。
ちなみに現地ではマヒマヒという魚がよく使われていました。
これはポリネシア一帯でシイラを指す言葉だそうな。

バビグリン
ここでバリ島ならではの真打登場。
バビ(ブタ)+グリン(回転させる)の字義通り、豚の回転丸焼きです。
(画面中央の四角いのがパリパリのブタの皮)
食べ方は、肉をそぎ切りにして、野菜の和え物やサンバルを添えるのですが、
一見豪快でいて、混ぜると極めて繊細な味わいになります。
この微妙なバランスがバリ料理の神髄なのではないか、
と僕は頬張りながら考えていました。

デザート
バリ島にはもち米とココナッツ、
パームシュガーを使ったさまざまなデザートがありますが、
ぜひトライして頂きたいのがココナッツのアイスクリームと、
フレッシュフルーツジュース。
取り立ててインドネシア限定ではないものの、
現地ではポピュラーで、レストランでもたいていメニューにあります。
フレッシュフルーツジュースのお勧めコンビネーションは、
マンゴーとライム。
ねっとりした甘さと爽やかな酸味が絶妙のバランスですよ。

インドネシアのお酒
ビールといえばコクのあるラガーのビンタンビール。
それをもうちょい軽くしたバリハイビールも暑い昼下がりにぴったりです。
またバリ島で作られているHATTEN WINEもお勧め。
きりっと冷えたドライなロゼは、スパイシーなバリ料理と相性抜群です。
気のせいか、行くたびに美味しくなっているような。
とまぁ、ざっと取材した一部をご紹介しましたが、
いかがです? どれもおいしそうでしょ?
そう、実際おいしいんですよ。
タイ料理やベトナム料理と素材は共通している部分があっても、
食べれば大きく異なるインドネシア料理。
そこで不思議なのが、
なぜ東京でインドネシア料理店が減ってしまったんだろう?
以前、新橋と銀座にあったインドネシア・ラヤさんには、
ずいぶん通ったものでしたが、
気が付けば両店とも閉店してしまっていました。
ま、だからこそ、ととら亭で紹介する意義があるのかもしれません。
まだいつどれをやるか決めていませんが、お楽しみに!
End
えーじ
取材や料理の説明が宗教の話にまで及ぶと、
多くの方が意外に思うようですね。
しかし、食文化は多かれ少なかれ宗教と結びついており、
その関係を無視して個々の料理を理解することは、まずできません。
今回、僕たちが訪れたバリ島はその典型的な例のひとつ。
インドネシアはムスリム人口が世界最大の国として知られていますが、
それはクリスチャンや中華系を除くと、
基本的にお酒とブタ肉料理がNGであることを意味します。
ところがバリ島のマジョリティーはヒンドゥー教徒。
そこでインドネシアであるにもかかわらず、
例外的にお酒が飲めてブタ肉料理がポピュラーなのですよ。
(しかもおいしい!)
また、その反面、他の地域で食べられているウシ肉料理は、
少数のムスリムやクリスチャンの地域を除いて見かけません。
この視点からひも解いて行くと、先日お話したパダン料理とは別の意味で、
バリ料理のユニークさが楽しめるのではないかと思います。
それでは蘊蓄はここまでにして、具体的な料理を見て行きましょうか。
バリ島のワルン(ローカル食堂)に入って何を食べていいか分からないときは、
まずこれを注文してみましょう。
ナシチャンプル
これは料理名が字義通りの説明になっていて、
ナシ(ご飯)+チャンプル(ごたまぜ)、
つまりいろいろなおかず添えのご飯のこと。
内容に決まりはなく、季節折々の料理や、
そのワルンの得意料理が何種類かご飯に添えられています。
ちょっとずつ味見してみたいときには打って付けのメニュー。
ちなみにお気付きと思いますが、
マレー(インドネシア)語の「チャンプル」は、
音、意味ともに沖縄のそれと同じで、
語源は前者ではないないかとの説が有力のようです。
ソトアヤム
これも和訳すると捻りのない名前で、
ソト(スープ)+アヤム(トリ)でチキンスープとなります。
しかし、その味わいは複雑かつディープ。
具だくさんでもあるので、これとご飯で一食にしてしまう人も。
ナシゴレン
全国的な定番料理で読者の方もご存知ではないでしょうか?
ナシ(ご飯)+ゴレン(炒める)ということで、インドネシア風チャーハンです。
味付けがインドネシア定番調味料のケチャップアシン(塩味醤油)か、
ケチャップマニス(甘口醤油)なので、本家の炒飯とは一味違います。
そういう意味ではクラッシュピーナッツと干しエビを添えないから、
タイ料理のカオパッツとも違うな。
またメキシコのサルサに似たソースのサンバルを添えると、
味が引き締まってさらにパンチが効いて来ます。
目玉焼きを乗せ、エビせんを添えるのがお約束。
ミーゴレン
ナシゴレンと並んでポピュラーな料理。
ミー(麺)+ゴレン(炒める)ということで、インドネシア風焼きそばです。
味付けがナシゴレンと同じなので、日本のソース焼きそばとはまるで違います。
これもたいていエビせんが付いて来ます。
アヤムゴレン
ここまで来ると名前からどんな料理かお分かりになるでしょう。
そう、アヤム(トリ)+ゴレン(炒める)でチキンソテー?
いや、惜しいですね。
ゴレンには揚げるの意もあり、フライドチキンのことです。
見かけはまさしく鶏のから揚げですが、日本のそれとはちと違い、
まずターメリックやレモングラスを入れたお湯でトリ肉を下茹でし、
それに衣を付けて揚げています。
調味料に直漬けする日本のそれより薄味で、竜田揚げに近いかな?
しかし、これもサンバルを添えるとまさしくインドネシアの味に。
ご飯もビールも進みます。
サテリリ
バリ風チキン焼きつくね。
実はガドガドと並んで2016年にととら亭で紹介したことがある料理です。
日本のつくねとは大きく異なり、
カッファーライムの爽やかな香りが食欲をそそる一品。
ココナッツフレークが使われているところもインドネシアっぽいですね。
これはシーフードバージョンもあります。
カリアヤム
もう説明は要らないでしょう。
さらっとしていてコクのあるココナッツ風味のインドネシア風チキンカレー。
タイのゲーンカリーとはナンプラーとパクチーの香りがない点で別物です。
この差は料理全体にも当てはまり、
タイ料理との似て異なるコントラストを醸し出しています。
では、バリ料理の香りの中心は何かというと、
カッファーライム(タイ名はバイマックル)ですね。
これがパクチーに変わって香りの中心となっています。
白身魚のサンバルマター添え
サンバルは家庭の数だけあるともいわれていますが、
大きく分けるとメジャーな幾つかにまとめられます。
生の野菜やハーブを使った非加熱のサンバルムラーはバリ島の定番で、
白身魚からチキンまで焼いた料理との相性は抜群。
また、この料理はしばしばココナッツミルクを使って炒めた、
青菜がお供になっており、この3つを一緒に食べると、とてもおいしいです。
ちなみに現地ではマヒマヒという魚がよく使われていました。
これはポリネシア一帯でシイラを指す言葉だそうな。
バビグリン
ここでバリ島ならではの真打登場。
バビ(ブタ)+グリン(回転させる)の字義通り、豚の回転丸焼きです。
(画面中央の四角いのがパリパリのブタの皮)
食べ方は、肉をそぎ切りにして、野菜の和え物やサンバルを添えるのですが、
一見豪快でいて、混ぜると極めて繊細な味わいになります。
この微妙なバランスがバリ料理の神髄なのではないか、
と僕は頬張りながら考えていました。
デザート
バリ島にはもち米とココナッツ、
パームシュガーを使ったさまざまなデザートがありますが、
ぜひトライして頂きたいのがココナッツのアイスクリームと、
フレッシュフルーツジュース。
取り立ててインドネシア限定ではないものの、
現地ではポピュラーで、レストランでもたいていメニューにあります。
フレッシュフルーツジュースのお勧めコンビネーションは、
マンゴーとライム。
ねっとりした甘さと爽やかな酸味が絶妙のバランスですよ。

インドネシアのお酒
ビールといえばコクのあるラガーのビンタンビール。
それをもうちょい軽くしたバリハイビールも暑い昼下がりにぴったりです。
またバリ島で作られているHATTEN WINEもお勧め。
きりっと冷えたドライなロゼは、スパイシーなバリ料理と相性抜群です。
気のせいか、行くたびに美味しくなっているような。
とまぁ、ざっと取材した一部をご紹介しましたが、
いかがです? どれもおいしそうでしょ?
そう、実際おいしいんですよ。
タイ料理やベトナム料理と素材は共通している部分があっても、
食べれば大きく異なるインドネシア料理。
そこで不思議なのが、
なぜ東京でインドネシア料理店が減ってしまったんだろう?
以前、新橋と銀座にあったインドネシア・ラヤさんには、
ずいぶん通ったものでしたが、
気が付けば両店とも閉店してしまっていました。
ま、だからこそ、ととら亭で紹介する意義があるのかもしれません。
まだいつどれをやるか決めていませんが、お楽しみに!
End
えーじ
2023年02月07日
第19回取材旅行 その7
日本の皆さま、こんにちは!
僕らは予定どおり、
昨夜24時少し前に柴又へ戻りました。
今回の旅はウォームアップということで、
スリルとサスペンスを避けた場所にしたものの、
移動は何かと気忙しい内容になりました。
航空券の高騰(2018年比でほぼ倍額!)から、
時間繰りの厳しい価格優先ルートにしましたからね。
航空券の価格といえば「エコノミーか?ビジネスか?」
という文脈で語られることが殆どですが、
それに加え「直行便か?乗り換えか?」や、
到着、乗り換え、到着時間が「楽か?余裕なしか?」という要素もあるんですよ。
たとえば今回のバリ島を例にとりますと、
成田から直行便のあるガルーダインドネシアを使えば、
11時出発、17時40分到着ですから、その前後の移動を逆算すれば、
7時30分に自宅を出て19時ごろウブドに着くこととなります。
(2018年11月の場合)
無理がなくて楽でしょ?
これが今回は8時20分出発となり、自宅を出たのがまだ暗い5時。
トランジットタイムは1時間(一般的な限界)しかない上、
乗り換え地のチャンギ国際空港では、
ターミナル2着のターミナル3発でしたから空港内は競歩移動。
で、ングラライ国際空港着が19時05分ということは、
ウブド着は21時過ぎ。
飲食店が閉まるのは殆どが22時ですから、
何かの事情で到着が遅れると、
夕食はコンビニで、ということになります。
復路も同様で10時20分発のフライトということは、
8時20分までにチェックインしなければならず、
渋滞を考えれば7時にホテルを出なければなりません。
従いましておいしい朝食をキャンセル。
さらにチャンギ国際空港に遅れて到着したため、
(次便のボーディングタイムに到着!
ま、こういうのはよくあることですが)
長いターミナル間はほぼジョギング状態。
(僕がなぜトレーニングを欠かせないか分かるでしょ?)
とどめが羽田着で、21時40分ということは、
入国手続きやバゲッジクレームでもたもたしていると、
帰りの電車を逃してしまうのです。
今回は柴又まで帰れる最終が22時53分発。
高砂までが23時37分でした。
ま、こんな感じで同じエコノミークラスでも、
移動の内容に天地の差がでますけど、
これを直行便の価格との差額と照らし合わせてどう評価するか?
それが個々人の判断となるわけです。
ともあれ、全体を通して、とてもいい旅でした。
シンガポール航空さんにも大変お世話になりました。
復路の機内食もおいしかったです。
特にバリ島、シンガポール間で出たラクサ(※)にはびっくり!
まさかこれが機内食で出るとは。
まさしく僕らの旅の予告編でしたね。
さて、次の最終回は、
バリ島の料理をビジュアルにご覧いただきましょう。
to be continued...
えーじ
※ ラクサ
マレー半島の広い範囲で日常的に食べられている麺料理。
地域によって大きく特徴が変わるところは、
日本のラーメンみたいなものかな?
僕らが知っているのは濃厚なエビの出汁が効いた、
カレーココナッツミルク風味のシンガポールバージョンですが、
これの発祥地はペナン島だとマレーシア人のお客さまから教わりました。
というわけで、6月の取材はスマトラ島のパダン料理と、
マラッカやペナン島などマレー半島のラクサということになったのです。
楽しみだ〜!
僕らは予定どおり、
昨夜24時少し前に柴又へ戻りました。
今回の旅はウォームアップということで、
スリルとサスペンスを避けた場所にしたものの、
移動は何かと気忙しい内容になりました。
航空券の高騰(2018年比でほぼ倍額!)から、
時間繰りの厳しい価格優先ルートにしましたからね。
航空券の価格といえば「エコノミーか?ビジネスか?」
という文脈で語られることが殆どですが、
それに加え「直行便か?乗り換えか?」や、
到着、乗り換え、到着時間が「楽か?余裕なしか?」という要素もあるんですよ。
たとえば今回のバリ島を例にとりますと、
成田から直行便のあるガルーダインドネシアを使えば、
11時出発、17時40分到着ですから、その前後の移動を逆算すれば、
7時30分に自宅を出て19時ごろウブドに着くこととなります。
(2018年11月の場合)
無理がなくて楽でしょ?
これが今回は8時20分出発となり、自宅を出たのがまだ暗い5時。
トランジットタイムは1時間(一般的な限界)しかない上、
乗り換え地のチャンギ国際空港では、
ターミナル2着のターミナル3発でしたから空港内は競歩移動。
で、ングラライ国際空港着が19時05分ということは、
ウブド着は21時過ぎ。
飲食店が閉まるのは殆どが22時ですから、
何かの事情で到着が遅れると、
夕食はコンビニで、ということになります。
復路も同様で10時20分発のフライトということは、
8時20分までにチェックインしなければならず、
渋滞を考えれば7時にホテルを出なければなりません。
従いましておいしい朝食をキャンセル。
さらにチャンギ国際空港に遅れて到着したため、
(次便のボーディングタイムに到着!
ま、こういうのはよくあることですが)
長いターミナル間はほぼジョギング状態。
(僕がなぜトレーニングを欠かせないか分かるでしょ?)
とどめが羽田着で、21時40分ということは、
入国手続きやバゲッジクレームでもたもたしていると、
帰りの電車を逃してしまうのです。
今回は柴又まで帰れる最終が22時53分発。
高砂までが23時37分でした。
ま、こんな感じで同じエコノミークラスでも、
移動の内容に天地の差がでますけど、
これを直行便の価格との差額と照らし合わせてどう評価するか?
それが個々人の判断となるわけです。
ともあれ、全体を通して、とてもいい旅でした。
シンガポール航空さんにも大変お世話になりました。
復路の機内食もおいしかったです。
特にバリ島、シンガポール間で出たラクサ(※)にはびっくり!
まさかこれが機内食で出るとは。
まさしく僕らの旅の予告編でしたね。
さて、次の最終回は、
バリ島の料理をビジュアルにご覧いただきましょう。
to be continued...
えーじ
※ ラクサ
マレー半島の広い範囲で日常的に食べられている麺料理。
地域によって大きく特徴が変わるところは、
日本のラーメンみたいなものかな?
僕らが知っているのは濃厚なエビの出汁が効いた、
カレーココナッツミルク風味のシンガポールバージョンですが、
これの発祥地はペナン島だとマレーシア人のお客さまから教わりました。
というわけで、6月の取材はスマトラ島のパダン料理と、
マラッカやペナン島などマレー半島のラクサということになったのです。
楽しみだ〜!
2023年02月06日
第19回取材旅行 その6
旅の時間の流れは速いですね。
7日間の旅もあっという間に最終日となってしまいました。
明日は朝7時にチェックアウトして、
タクシーでングラライ国際空港に戻り、
10時20分発シンガポール行きの便で帰路につきます。
予定通り行けば、21時40分ごろには羽田空港に着いているでしょう。
移転や新型コロナ騒動など、
この数年間、公私ともにいろいろありましたが、
今回の旅でようやく僕らの人生も、元の軌道に戻せたようです。
ウブドの湿った風に吹かれて、気持ちがすっかり切り替わりました。
ですから終わりというより、新しい始まりという感じかな?
世界は広く、美しい。
そして驚きと、美味しいものに満ちている。
だから旅も続いて行くのでしょう。
それでは次は真冬の東京から!
えーじ
to be continued...
7日間の旅もあっという間に最終日となってしまいました。
明日は朝7時にチェックアウトして、
タクシーでングラライ国際空港に戻り、
10時20分発シンガポール行きの便で帰路につきます。
予定通り行けば、21時40分ごろには羽田空港に着いているでしょう。
移転や新型コロナ騒動など、
この数年間、公私ともにいろいろありましたが、
今回の旅でようやく僕らの人生も、元の軌道に戻せたようです。
ウブドの湿った風に吹かれて、気持ちがすっかり切り替わりました。
ですから終わりというより、新しい始まりという感じかな?
世界は広く、美しい。
そして驚きと、美味しいものに満ちている。
だから旅も続いて行くのでしょう。
それでは次は真冬の東京から!
えーじ
to be continued...
2023年02月05日
第19回取材旅行 その5
今回の旅の目的は複数あり、
それをざっと割合でソートしますと、
40% TReP(ととら亭移転プロジェクト)完了のご褒美
30% 旅の勘の取り戻し
20% バリ料理の取材
10% 次の取材の予備調査
こんなところでしょうか。
なぁんだ、取材と言いつつ7割は遊んでるんじゃん。
と言うなかれ。
ちゃんとやることはやっているんですよ。
(ま、確かにのんびりさせて頂いておりますが・・・)
そこで自己弁護、
いや、まじめなお仕事の一部をちょろっとご覧いただきましょうか。
話は20年ほど前に遡ります。
ジャワ島の遺跡、ボルブドゥールやプランバナンを訪れた際、
ジョグジャカルタで偶然パダン料理のローカル食堂に入ったんですよ。
これがかつて知ったインドネシア料理のいずれとも異なり、
ピリ辛でスパイスが効いていて、そのうまいことといったら。
以来、バリ島を訪れても一度はパダン料理を楽しんでいたのですが、
いつか発祥地であるスマトラ島のパダンに行って、
本場のものを食べてみたい! そうずっと思っておりました。
そこで計画したのが次の旅。
今年の6月にジャワ島からスマトラ島に渡り、
陸路でパダンを目指します。
(英語はぜんぜん通じそうもないし、
ローカルバス移動だからいろいろ起こるだろうなぁ・・・)
この事前調査として、バリ料理取材の傍ら、
ウブドにあるパダン料理店をはしごしていたのです。
インドネシアはハイパー多民族国家で、
言語の違う民族が280以上もおり、
それぞれが独自の食文化を持っていると言われています。
しかしながら、料理は一般的にナシ(ご飯)の一言で表されているなか、
唯一パダン料理だけが特別に「ナシ パダン」、
もしくは「マサカン パダン(パダン料理)」と地名を冠しているそうな。
つまりインドネシア人にとっても特別な位置づけなのですよ。
それじゃ、一緒にお店に行きましょうか?

なるほど、ファサードには必ず「Masakan Padang」と表記されていますね。
分かりやすいです。

店内はこんな感じ。
お店によって規模や内装は異なりますが、基本的にローカル向けなので、
欧米的な要素はなく、もろインドネシアというムード。

オーダー方法も変わっていて、
台湾の自助餐やベトナムのコムビンサンと同じく、
最初はライスだけが盛ってあるお皿を手渡され、
並んださまざまな料理の中から好きなものを好きなだけ自分でよそい、
レジで会計してもらいます。
お店によっては食べ終わってからレジで自己申告しますが、
僕らは料理名が分からないので、先に会計しておきました。
不安なら写真を撮っておくのもいいでしょう。

料金はローカル価格。
4種類のおかずをよそっても概ね350円くらいでしょうか。
2品だけなら物にもよりますが250円ほどだと思います。
野菜料理が豊富でベジタリアンの方にもお勧め。
ランチに合わせて料理を作っていますから、
行くならお昼がベストです。
夕方になると人気料理は売り切れて品数が少なくなってしまいますし、
(あんまり追加で作らないみたい)
常温保存なので、暑い季節は衛生的にも微妙になってきますからね。
(ハエがたからないように薄いカーテンが閉められているところも)
パダンのあるインドネシア最西端のスマトラ島は、
文化的にインド、アラブの影響が強く、それが料理にもはっきり表れています。
また、ジャワやバリなど他の島に比べて辛味が強めで、
コリアンダーなどパウダー系のスパイスを多用するのも特徴のひとつですね。
食べ方の基本は手食。
(手洗いボウルが出されますので飲まないように!)
しかし僕らは一見して外国人と分かりますから、
たいてい黙ってスプーンとフォークを出してくれます。
どの店もテイクアウト客がひっきりなしに訪れ、
好みのおかずを器用に包んでもらって持ち帰っていました。
今日は実質上の現地最終日。
午前中は雨が降っているので取材内容の取りまとめ会議です。
どんな形でリリースするかまだ決めていませんが、
旅の成果を楽しみにしていてくださいね。
to be continued...
えーじ

パダン料理大好き!
それをざっと割合でソートしますと、
40% TReP(ととら亭移転プロジェクト)完了のご褒美
30% 旅の勘の取り戻し
20% バリ料理の取材
10% 次の取材の予備調査
こんなところでしょうか。
なぁんだ、取材と言いつつ7割は遊んでるんじゃん。
と言うなかれ。
ちゃんとやることはやっているんですよ。
(ま、確かにのんびりさせて頂いておりますが・・・)
そこで自己弁護、
いや、まじめなお仕事の一部をちょろっとご覧いただきましょうか。
話は20年ほど前に遡ります。
ジャワ島の遺跡、ボルブドゥールやプランバナンを訪れた際、
ジョグジャカルタで偶然パダン料理のローカル食堂に入ったんですよ。
これがかつて知ったインドネシア料理のいずれとも異なり、
ピリ辛でスパイスが効いていて、そのうまいことといったら。
以来、バリ島を訪れても一度はパダン料理を楽しんでいたのですが、
いつか発祥地であるスマトラ島のパダンに行って、
本場のものを食べてみたい! そうずっと思っておりました。
そこで計画したのが次の旅。
今年の6月にジャワ島からスマトラ島に渡り、
陸路でパダンを目指します。
(英語はぜんぜん通じそうもないし、
ローカルバス移動だからいろいろ起こるだろうなぁ・・・)
この事前調査として、バリ料理取材の傍ら、
ウブドにあるパダン料理店をはしごしていたのです。
インドネシアはハイパー多民族国家で、
言語の違う民族が280以上もおり、
それぞれが独自の食文化を持っていると言われています。
しかしながら、料理は一般的にナシ(ご飯)の一言で表されているなか、
唯一パダン料理だけが特別に「ナシ パダン」、
もしくは「マサカン パダン(パダン料理)」と地名を冠しているそうな。
つまりインドネシア人にとっても特別な位置づけなのですよ。
それじゃ、一緒にお店に行きましょうか?

なるほど、ファサードには必ず「Masakan Padang」と表記されていますね。
分かりやすいです。

店内はこんな感じ。
お店によって規模や内装は異なりますが、基本的にローカル向けなので、
欧米的な要素はなく、もろインドネシアというムード。

オーダー方法も変わっていて、
台湾の自助餐やベトナムのコムビンサンと同じく、
最初はライスだけが盛ってあるお皿を手渡され、
並んださまざまな料理の中から好きなものを好きなだけ自分でよそい、
レジで会計してもらいます。
お店によっては食べ終わってからレジで自己申告しますが、
僕らは料理名が分からないので、先に会計しておきました。
不安なら写真を撮っておくのもいいでしょう。

料金はローカル価格。
4種類のおかずをよそっても概ね350円くらいでしょうか。
2品だけなら物にもよりますが250円ほどだと思います。
野菜料理が豊富でベジタリアンの方にもお勧め。
ランチに合わせて料理を作っていますから、
行くならお昼がベストです。
夕方になると人気料理は売り切れて品数が少なくなってしまいますし、
(あんまり追加で作らないみたい)
常温保存なので、暑い季節は衛生的にも微妙になってきますからね。
(ハエがたからないように薄いカーテンが閉められているところも)
パダンのあるインドネシア最西端のスマトラ島は、
文化的にインド、アラブの影響が強く、それが料理にもはっきり表れています。
また、ジャワやバリなど他の島に比べて辛味が強めで、
コリアンダーなどパウダー系のスパイスを多用するのも特徴のひとつですね。
食べ方の基本は手食。
(手洗いボウルが出されますので飲まないように!)
しかし僕らは一見して外国人と分かりますから、
たいてい黙ってスプーンとフォークを出してくれます。
どの店もテイクアウト客がひっきりなしに訪れ、
好みのおかずを器用に包んでもらって持ち帰っていました。
今日は実質上の現地最終日。
午前中は雨が降っているので取材内容の取りまとめ会議です。
どんな形でリリースするかまだ決めていませんが、
旅の成果を楽しみにしていてくださいね。
to be continued...
えーじ

パダン料理大好き!
2023年02月04日
第19回取材旅行 その4
野方時代からの読者の方には説明不要ですが、
この旅から「ととら亭の取材旅行って?」の方のために、
今日は僕らがどんな宿をどのように選んでいるのか、
お話したいと思います。
まず場所は料理の取材ですから、
自ずと飲食店が集まっている繁華街になります。

遅くまで自動車やバイクが行き交うモンキーフォレスト通り
たとえば今回は王宮前のラヤウブド通りから、
モンキーフォレスト通りを300メートルほど南に下ったあたり。
ここならウブドのもろ中心ですので、
メジャーなレストランもローカル食堂も歩いて行ける範囲に、
ひと通り揃っています。
しかし、そこで問題になるのが騒音。
バイクの爆音だけではなく、
飲食店のライブ演奏から酔っぱらいの雄叫びまで、
通り沿いは耳栓なくして眠れる環境ではないのですよ。
しかし、こんなわき道を入って行くと・・・

どん詰まりは表通りの喧騒が噓のようにひっそりとしています。
ここなら取材の利便性と安眠が両立するでしょう。
そんなところで見つけたのがこのホテル。

バリヒンズー教の寺院を思わせる重厚なファサードと中庭。
古いけれど手入れが行き届いた建物は清潔で、
スタッフもみなラブリー。
部屋の広さは申し分なく、さらに選択肢が多く美味しい朝食も付いて、
ダブルルームが一泊約4,700円! 一人当たり何と2,350円なんですよ。
ま、僕らの予算はだいたいこんなものでして。

とある日の朝食(ナシゴレンとバリ風パンケーキ)
最近はbooking.comなどを利用することが増えましたけど、
いちばん得意なのは、その場で飛び込んで交渉すること。
「こんにちは、ダブルかツインは空いてます?」
「ありますよ」
「いくらですか?」
「540,000ルピア(約4,700円)です」
「朝食は付いてます?」
「はい」
「じゃ、部屋を見せてもらえますか?」
そこで部屋に入り、窓やドアの鍵がきちんとかかるか?
バスルームのお湯は出るか? トイレの水は流れるか?
そして火災のときに脱出しやすいか? をささっと確認し、
すべてがOKであれば、
「どうもありがとう。
いい部屋ですね。ここに泊ります」
となります。
ちなみに周辺の治安に問題がないのかも大切なチェックポイント。
人通りはあるか? 夜間の照明はあるか?
ゴミは散らかっていないか? 小便臭くないか?
怪しげな連中がたむろっていないか?
いくら安くても、これらの条件をパスしていない場所の宿には、
基本的に泊まりません。
(ときには選択肢がないときもありますが)
それからネット上の匿名情報は参考程度にはしても、
手放しで受け入れることはありません。
あくまでも信用するのは自分の目と耳で確かめたことだけです。
今回、ウォームアップにウブドを選んだのは、
かつて4回訪れており、政情、治安、
衛生の問題をいずれもクリアしていたからなんですよ。
もちろんおいしい料理があることも大前提ですけどね。
長いブランクの後でいきなりスリルとサスペンスに満ちた旅を始めるのは、
ちょいとリスキーだと思いまして。
ここは僕らが泊った限り、とてもいいホテルでした。
Narasoma Homestay & Retreat
No 35 Gang Beji Jl Monkey Forest Ubud, 80571
to be continued...
えーじ

部屋の前のテラスにて
この旅から「ととら亭の取材旅行って?」の方のために、
今日は僕らがどんな宿をどのように選んでいるのか、
お話したいと思います。
まず場所は料理の取材ですから、
自ずと飲食店が集まっている繁華街になります。

遅くまで自動車やバイクが行き交うモンキーフォレスト通り
たとえば今回は王宮前のラヤウブド通りから、
モンキーフォレスト通りを300メートルほど南に下ったあたり。
ここならウブドのもろ中心ですので、
メジャーなレストランもローカル食堂も歩いて行ける範囲に、
ひと通り揃っています。
しかし、そこで問題になるのが騒音。
バイクの爆音だけではなく、
飲食店のライブ演奏から酔っぱらいの雄叫びまで、
通り沿いは耳栓なくして眠れる環境ではないのですよ。
しかし、こんなわき道を入って行くと・・・

どん詰まりは表通りの喧騒が噓のようにひっそりとしています。
ここなら取材の利便性と安眠が両立するでしょう。
そんなところで見つけたのがこのホテル。

バリヒンズー教の寺院を思わせる重厚なファサードと中庭。
古いけれど手入れが行き届いた建物は清潔で、
スタッフもみなラブリー。
部屋の広さは申し分なく、さらに選択肢が多く美味しい朝食も付いて、
ダブルルームが一泊約4,700円! 一人当たり何と2,350円なんですよ。
ま、僕らの予算はだいたいこんなものでして。

とある日の朝食(ナシゴレンとバリ風パンケーキ)
最近はbooking.comなどを利用することが増えましたけど、
いちばん得意なのは、その場で飛び込んで交渉すること。
「こんにちは、ダブルかツインは空いてます?」
「ありますよ」
「いくらですか?」
「540,000ルピア(約4,700円)です」
「朝食は付いてます?」
「はい」
「じゃ、部屋を見せてもらえますか?」
そこで部屋に入り、窓やドアの鍵がきちんとかかるか?
バスルームのお湯は出るか? トイレの水は流れるか?
そして火災のときに脱出しやすいか? をささっと確認し、
すべてがOKであれば、
「どうもありがとう。
いい部屋ですね。ここに泊ります」
となります。
ちなみに周辺の治安に問題がないのかも大切なチェックポイント。
人通りはあるか? 夜間の照明はあるか?
ゴミは散らかっていないか? 小便臭くないか?
怪しげな連中がたむろっていないか?
いくら安くても、これらの条件をパスしていない場所の宿には、
基本的に泊まりません。
(ときには選択肢がないときもありますが)
それからネット上の匿名情報は参考程度にはしても、
手放しで受け入れることはありません。
あくまでも信用するのは自分の目と耳で確かめたことだけです。
今回、ウォームアップにウブドを選んだのは、
かつて4回訪れており、政情、治安、
衛生の問題をいずれもクリアしていたからなんですよ。
もちろんおいしい料理があることも大前提ですけどね。
長いブランクの後でいきなりスリルとサスペンスに満ちた旅を始めるのは、
ちょいとリスキーだと思いまして。
ここは僕らが泊った限り、とてもいいホテルでした。
Narasoma Homestay & Retreat
No 35 Gang Beji Jl Monkey Forest Ubud, 80571
to be continued...
えーじ

部屋の前のテラスにて
2023年02月03日
第19回取材旅行 その3
今のバリ島は雨季。
といっても日本の梅雨のようではなく、
基本は曇天で、ときおり日差しが差したり雨が降ったり、という感じ。
気温も22度から29度の範囲なので、東京の夏とはかなり違います。
3階の部屋にいると風が入ってくるのでエアコンを使わなくても、
気持ちいいですね。
さて、旅の楽しみといえばアクティビティや食事などいろいろありますが、
僕の場合、ローカルや他の旅行者との会話は欠かせません。
何かとチャンスがあれば、「どちらからですか?」とか、
「景気はどう?」という具合に話しかけてみるのですよ。
そこで得られる情報は、
メディアやネットの匿名情報よりずっと信頼できますからね。
たとえばこの3日間でもローカルと話していて、
興味深い話がだいぶ聞けました。
タクシードライバーやホテルのスタッフに訊けば、
観光客はまだあまり帰って来ていないとのことです。
日本人はどうですか、と続ければ、
同じように「あんまりねぇ・・・」と元気のないご返事。
確かに街をぶらついていても、
日本人はおろか、アジア系そのものが少ないですね。
そのせいか、ツーリストインフォメーションは閉鎖されており、
ケチャやジェゴグのライブもほとんど行われていないので、
公演スケジュールは手に入りませんでした。
意外だったのは、1年くらい前までコロナ禍であるにも関わらず、
ロシア人が大勢いたという話。
しかしウクライナ戦争が勃発し、移動が難しくなったせいか、
今はまったくいなくなってしまったそうな。
なるほどスラブ系の言葉が耳に入ったのは今のところ1回だけで、
それも、もしかしたらロシア人ではなく、
ブルガリアなどの南スラブ系かもしれません。
コロナの感染拡大防止はまったく行われてないです。
マスクをしている人はローカルにごく少数いるだけで、
それも理由は排気ガス対策でしょうし。
(とにかく交通渋滞がひどいので)
それからお店の入り口に消毒用アルコールはなし。
全体的にもう過ぎた話のようです。
そこで気になるローカルの医療ですが、
それは日本と同じく治療費、ワクチン接種費ともに国費で賄われており、
感染した場合の不安はないとドライバーのお兄さんは言っていました。
(小学生のお子さん2名と奥さんの4人暮らし)
物価の上昇は日本と同じで、
とりわけ輸入品の小麦は2倍以上の値上がりだそうです。
石油も同様で「ドライバーにはキツイっすよ」と渋い顔でした。
とまぁ、不景気な話が続きましたが、
市井の人々の表情は以前と変わらず朗らかです。
バリ島は家族や村単位でのセイフティネットがきめ細かいせいか、
それとも価値観の置き所が僕らと違うからか、
笑顔で「景気悪いけど、まぁ何とかやってますよ」という感じ。
こういうのも多くを望み、結果として多くを失う先進国の人々には、
魅力的に見えるのかもしれませんね。
to be continued...
えーじ
といっても日本の梅雨のようではなく、
基本は曇天で、ときおり日差しが差したり雨が降ったり、という感じ。
気温も22度から29度の範囲なので、東京の夏とはかなり違います。
3階の部屋にいると風が入ってくるのでエアコンを使わなくても、
気持ちいいですね。
さて、旅の楽しみといえばアクティビティや食事などいろいろありますが、
僕の場合、ローカルや他の旅行者との会話は欠かせません。
何かとチャンスがあれば、「どちらからですか?」とか、
「景気はどう?」という具合に話しかけてみるのですよ。
そこで得られる情報は、
メディアやネットの匿名情報よりずっと信頼できますからね。
たとえばこの3日間でもローカルと話していて、
興味深い話がだいぶ聞けました。
タクシードライバーやホテルのスタッフに訊けば、
観光客はまだあまり帰って来ていないとのことです。
日本人はどうですか、と続ければ、
同じように「あんまりねぇ・・・」と元気のないご返事。
確かに街をぶらついていても、
日本人はおろか、アジア系そのものが少ないですね。
そのせいか、ツーリストインフォメーションは閉鎖されており、
ケチャやジェゴグのライブもほとんど行われていないので、
公演スケジュールは手に入りませんでした。
意外だったのは、1年くらい前までコロナ禍であるにも関わらず、
ロシア人が大勢いたという話。
しかしウクライナ戦争が勃発し、移動が難しくなったせいか、
今はまったくいなくなってしまったそうな。
なるほどスラブ系の言葉が耳に入ったのは今のところ1回だけで、
それも、もしかしたらロシア人ではなく、
ブルガリアなどの南スラブ系かもしれません。
コロナの感染拡大防止はまったく行われてないです。
マスクをしている人はローカルにごく少数いるだけで、
それも理由は排気ガス対策でしょうし。
(とにかく交通渋滞がひどいので)
それからお店の入り口に消毒用アルコールはなし。
全体的にもう過ぎた話のようです。
そこで気になるローカルの医療ですが、
それは日本と同じく治療費、ワクチン接種費ともに国費で賄われており、
感染した場合の不安はないとドライバーのお兄さんは言っていました。
(小学生のお子さん2名と奥さんの4人暮らし)
物価の上昇は日本と同じで、
とりわけ輸入品の小麦は2倍以上の値上がりだそうです。
石油も同様で「ドライバーにはキツイっすよ」と渋い顔でした。
とまぁ、不景気な話が続きましたが、
市井の人々の表情は以前と変わらず朗らかです。
バリ島は家族や村単位でのセイフティネットがきめ細かいせいか、
それとも価値観の置き所が僕らと違うからか、
笑顔で「景気悪いけど、まぁ何とかやってますよ」という感じ。
こういうのも多くを望み、結果として多くを失う先進国の人々には、
魅力的に見えるのかもしれませんね。
to be continued...
えーじ
2023年02月02日
第19回取材旅行 その2
真冬の東京から常夏のバリ島へ。
寒暖の差が激しい移動をした翌日のミッションはただひとつ。
Do nothing.
そう、環境適応に最も有効なのは、
あれこれ動かず、のんびりしていることなのですよ。
雨季のバリ島はそれほど暑くないとはいえ、
飛行機を降りた瞬間に感じた湿度と温度はやはり別世界でしたからね。
そこで到着の翌日は午前中いっぱい、
ホテルの部屋で本を片手にぼけ〜っとしていました。
(好きだなぁ・・・こういうの)
お仕事は軽くランチからスタート。
アイデア探しにまず王宮脇道のイブオカで、
バリ名物、バビグリン(ローストポーク)をオーダー。
ここは以前も通ったところなんですけど、
もう一度、視点を変えれば何か見つかるかな、と思いまして。
サンバルがマッチしたざく切りのローストポークを頬張っていたら、
取材の勘が戻ってきたと申しますか、
ふむふむ、なるほどこの手があったか・・・
と思わずスイッチが入り、
それじゃ行ってみよう! な気分に。
しかしここはぐっと堪えてすぐホテルに戻り、
シャワーを浴びたらお昼寝です。
ん〜、こういうの、東京の生活ではあり得ませんね。
しかし、環境適応には食事と水分補給、それに睡眠が欠かせません。
僕はベッドに転がるなり、秒殺で爆睡していました。
気が付けば夕方。これで体調はばっちりです。
気温も下がってきたので僕らは街に繰り出しました。
王宮を中心とした半径200メートル圏内は、
思ったよりコロナのダメージが少なかったですね。
それでもよく見ると、以前訪れたお店がつぶれており、
中心から離れるにつれ、For Rent の看板が目立ってきました。
やっぱり3年間は長かったか・・・
それにまだ全面的に世界経済が復活したわけではありませんし。
でも、たくましいバリ人のことです。
この苦境を乗り越えて、
ウブドの街も遠からず往年の活気を取り戻すことでしょう。
ディナーで入ったこれまたお気に入りの一軒で、
ローカルバンドの演奏を聴きながら、
僕はウブド市場がリニューアルオープンし、
お客さんたちが戻った街の情景を思い浮かべていました。
to be continued...
えーじ
寒暖の差が激しい移動をした翌日のミッションはただひとつ。
Do nothing.
そう、環境適応に最も有効なのは、
あれこれ動かず、のんびりしていることなのですよ。
雨季のバリ島はそれほど暑くないとはいえ、
飛行機を降りた瞬間に感じた湿度と温度はやはり別世界でしたからね。
そこで到着の翌日は午前中いっぱい、
ホテルの部屋で本を片手にぼけ〜っとしていました。
(好きだなぁ・・・こういうの)
お仕事は軽くランチからスタート。
アイデア探しにまず王宮脇道のイブオカで、
バリ名物、バビグリン(ローストポーク)をオーダー。
ここは以前も通ったところなんですけど、
もう一度、視点を変えれば何か見つかるかな、と思いまして。
サンバルがマッチしたざく切りのローストポークを頬張っていたら、
取材の勘が戻ってきたと申しますか、
ふむふむ、なるほどこの手があったか・・・
と思わずスイッチが入り、
それじゃ行ってみよう! な気分に。
しかしここはぐっと堪えてすぐホテルに戻り、
シャワーを浴びたらお昼寝です。
ん〜、こういうの、東京の生活ではあり得ませんね。
しかし、環境適応には食事と水分補給、それに睡眠が欠かせません。
僕はベッドに転がるなり、秒殺で爆睡していました。
気が付けば夕方。これで体調はばっちりです。
気温も下がってきたので僕らは街に繰り出しました。
王宮を中心とした半径200メートル圏内は、
思ったよりコロナのダメージが少なかったですね。
それでもよく見ると、以前訪れたお店がつぶれており、
中心から離れるにつれ、For Rent の看板が目立ってきました。
やっぱり3年間は長かったか・・・
それにまだ全面的に世界経済が復活したわけではありませんし。
でも、たくましいバリ人のことです。
この苦境を乗り越えて、
ウブドの街も遠からず往年の活気を取り戻すことでしょう。
ディナーで入ったこれまたお気に入りの一軒で、
ローカルバンドの演奏を聴きながら、
僕はウブド市場がリニューアルオープンし、
お客さんたちが戻った街の情景を思い浮かべていました。
to be continued...
えーじ
2023年02月01日
第19回取材旅行 その1
スラマッマラン!(Selamat malam(こんばんは!))。
昨夜21時ごろ、僕らは無事にバリ島のウブドに着きました。
結局、あれこれやっているうちに徹夜明けで出発した僕は、
電車や飛行機が動くたびに断続的に気絶。
はたとわれに返ったのは、経由地のシンガポールに着陸するところでした。
3年2か月ぶりの海外とあって初心に戻り、
羽田空港に着いたところから先入観を捨てて進みましたが、
羽田の出国手続きは、
最初の入り口で行われていた航空券のチェックが自動化された以外、
何も変わっていませんでしたね。
いやぁ〜、出発ロビーに入ったときは感無量でしたよ。
コロナにまつわる缶詰め状態は3年間を超えましたし、
移転後の柴又から出発するのもこれが初めてでしょ?
あ〜・・・やっとここまで来たんだな、という感じ。
そうなると狭いエコノミークラスもパラダイス。
子供のようにはしゃぎたくなりました。
今回お世話になったのはシンガポール航空。
アジアではサービス、セイフティレートの両面でトップクラスとはいえ、
この厳しい3年間でどうなったのか、と気になっていましたが、
その心配は杞憂に終わりました。
機内食もエコノミークラスでさえ美味しかったですよ。
2回4種類食べて、どれもハズレなし。
いや、そう言っちゃ失礼だ。
チャンギ国際空港からングラライ国際空港までのフライトで出た軽食は、
歯ごたえの残ったペンネとトムヤム風味のビーフンで、
思わずお代わりしたくなるうまさだったのですから。
さて、気になるコロナ禍のフライトですが、
機内はマスクの着用を求められました。
しかし空港では自由で白人系の旅行者はほぼ全員ノーマスク。
しっかりマスクをしているな、と思えばもちろん韓国人と日本人。
本国と思しき中華系は出にくい状況なので、
今回のルートではまったくといっていいほど見かけませんでした。
外務省によるとングラライ国際空港では入国の際に、
ワクチンの接種証明とPeduliLindungiへの登録が求められるとのことでしたが、
ふたを開ければパスポートを見せただけで、にっこりWelcome!
あ、その前にVOA(VISA On Arrival)の支払いがありました。
(2018年にはなかったけどな)
これはVISAという名目の単なる入国料で、
オマーン、エジプト、アルメニアなどでも払ったことがあります。
それにしてもその高いこと! ひとり概ね4,600円ですよ!
ふたりで9,000円超はイタイね。
ま、お世話になるドネーションということにしておきましょうか。
もうひとつ変わっていたのが税関申告。
これがカード式から電子式になっていたのですが、
イミグレを抜けてバゲッジクレームで荷物を受け取り、
さぁ、着いたぞ! と意気込んだところで、
Have you done customs declaration? と来たじゃないですか?
で、ああ、申告書をここで書くのね、と思って指差された方へ行くと、
待っていたのは書類ではなくデスクトップパソコン。
これに入力してQRコードをプリントアウトするのか。
ま、それならそれでいいんですけど、
このシステム、インドネシア語と英語しか対応していません。
個人旅行でこういうのに不慣れな人は戸惑うかも。
4年ぶりのウブドはほとんど変わっていませんでした。
馴染みだったお店も健在で、ほっと一安心。
でも王宮前の市場がリノベーション中だったのは、
ちと残念だったかな。
あの雑然とした雰囲気が好きだったのでね。
部屋にバックパックを置いたころには時計が21時半を回り、
そろそろお店も閉まり始める時刻。
僕らは取り急ぎ、一番近いモンキーフォレスト通りにある、
お気に入りのカフェワヤンに滑り込み、
テンペのレンダンと定番のナシチャンプルを注文。
身も心も大満足のうちに宿へ戻ったのでした。
to be continued...
えーじ
昨夜21時ごろ、僕らは無事にバリ島のウブドに着きました。
結局、あれこれやっているうちに徹夜明けで出発した僕は、
電車や飛行機が動くたびに断続的に気絶。
はたとわれに返ったのは、経由地のシンガポールに着陸するところでした。
3年2か月ぶりの海外とあって初心に戻り、
羽田空港に着いたところから先入観を捨てて進みましたが、
羽田の出国手続きは、
最初の入り口で行われていた航空券のチェックが自動化された以外、
何も変わっていませんでしたね。
いやぁ〜、出発ロビーに入ったときは感無量でしたよ。
コロナにまつわる缶詰め状態は3年間を超えましたし、
移転後の柴又から出発するのもこれが初めてでしょ?
あ〜・・・やっとここまで来たんだな、という感じ。
そうなると狭いエコノミークラスもパラダイス。
子供のようにはしゃぎたくなりました。
今回お世話になったのはシンガポール航空。
アジアではサービス、セイフティレートの両面でトップクラスとはいえ、
この厳しい3年間でどうなったのか、と気になっていましたが、
その心配は杞憂に終わりました。
機内食もエコノミークラスでさえ美味しかったですよ。
2回4種類食べて、どれもハズレなし。
いや、そう言っちゃ失礼だ。
チャンギ国際空港からングラライ国際空港までのフライトで出た軽食は、
歯ごたえの残ったペンネとトムヤム風味のビーフンで、
思わずお代わりしたくなるうまさだったのですから。
さて、気になるコロナ禍のフライトですが、
機内はマスクの着用を求められました。
しかし空港では自由で白人系の旅行者はほぼ全員ノーマスク。
しっかりマスクをしているな、と思えばもちろん韓国人と日本人。
本国と思しき中華系は出にくい状況なので、
今回のルートではまったくといっていいほど見かけませんでした。
外務省によるとングラライ国際空港では入国の際に、
ワクチンの接種証明とPeduliLindungiへの登録が求められるとのことでしたが、
ふたを開ければパスポートを見せただけで、にっこりWelcome!
あ、その前にVOA(VISA On Arrival)の支払いがありました。
(2018年にはなかったけどな)
これはVISAという名目の単なる入国料で、
オマーン、エジプト、アルメニアなどでも払ったことがあります。
それにしてもその高いこと! ひとり概ね4,600円ですよ!
ふたりで9,000円超はイタイね。
ま、お世話になるドネーションということにしておきましょうか。
もうひとつ変わっていたのが税関申告。
これがカード式から電子式になっていたのですが、
イミグレを抜けてバゲッジクレームで荷物を受け取り、
さぁ、着いたぞ! と意気込んだところで、
Have you done customs declaration? と来たじゃないですか?
で、ああ、申告書をここで書くのね、と思って指差された方へ行くと、
待っていたのは書類ではなくデスクトップパソコン。
これに入力してQRコードをプリントアウトするのか。
ま、それならそれでいいんですけど、
このシステム、インドネシア語と英語しか対応していません。
個人旅行でこういうのに不慣れな人は戸惑うかも。
4年ぶりのウブドはほとんど変わっていませんでした。
馴染みだったお店も健在で、ほっと一安心。
でも王宮前の市場がリノベーション中だったのは、
ちと残念だったかな。
あの雑然とした雰囲気が好きだったのでね。
部屋にバックパックを置いたころには時計が21時半を回り、
そろそろお店も閉まり始める時刻。
僕らは取り急ぎ、一番近いモンキーフォレスト通りにある、
お気に入りのカフェワヤンに滑り込み、
テンペのレンダンと定番のナシチャンプルを注文。
身も心も大満足のうちに宿へ戻ったのでした。
to be continued...
えーじ