2023年05月20日

ととら亭の音

時代は変わったんだなぁ・・・

この齢になると、そう思うことが少なくありません。
最近痛感したのは、
新しいととら亭を創っていたときのオーディオ機器に関してです。

かつてのようには売ってないんですよ、
CDプレーヤーやアンプ、スピーカーが。

名門オンキヨーの経営破綻など、
寂しいニュースが流れるなか、イヤな予感はしていましたが、
いざ久しぶりにアキバへ行けばオーディオ機器の専門店は激減し、
量販店での売り場も隅っこの方へ小さく追いやられていたではないですか。
(メイドさんとゲームの街になっちゃったのね・・・)

当然、陳列されている機器も層が薄く、
5万円〜10万円の中堅機は特に品薄状態。
なんとかDENONのPMA-390REを中古でゲットし、
ため息交じりで家路についた僕でありました。

ととら亭はクラブやジャズ喫茶ではありませんが、
野方時代から音にはそれなりのこだわりを持っていました。
そこで要のスピーカーは、会社員時代に自宅で使っていた、
スウェーデンのaudio pro社製、Cinema C2を設置。

speaker_230520.jpg
(15年以上鳴らして程よく枯れたマイルドな音)

これはその製品名のとおり、AVシステムのLRで使うもので、
カタログ上は低域を受け持つセンタースピーカーとのセットになっています。
しかし、ショップで試聴したところ、JBLの4312M2などよりむしろ、
大音量で鳴らせない日本の住宅環境にはいいじゃないですか。

そしてととら亭で使うにも、
周波数特性は100Hz〜20kHzといたってナローですけど
レストランで流れるメインの音楽はお客さまの会話ですから、
それを補助する意味で十分です。
(低域が出過ぎると疲れますしね)

それに、これは案外知られていないことですが、
高出力アンプに大口径スピーカーを繋ぎ、しょぼいボリュームで鳴らすより、
CDプレーヤーのアウトプットをアッテネータで落とし、
低出力アンプと小口径スピーカーをドライブさせた方が、
ずっといい音になるのですよ。

そうした点でCinema C2はととら亭程度の規模のレストランに、
最適なスピーカーだったのです。

また、もうひとつ、音作りの点で、
オーディオマニアでさえ見落としがちなポイントがあります。
それは、部屋の大きさと構造、そして壁の材質が持つ、
サウンドの決定要素としての役割。

野方時代から来ていらっしゃるお客さまから、
「前より音が良くなったね」としばしば言われますが、
それもそのはず、ホールをそういう特性に設計していたのですよ。

人間はスピーカーからの直接音だけではなく、
壁で反射した音も同時に聴き、それが臨場感を作り上げています。
音は一般的に並行する壁に当たると反射を繰り返しながら減衰しますが、
この余韻が伸びると、
いわゆる「エコーがかかったみたい」な音に聞こえるんですね。
(正しくはリバーブレーション)

柴又のととら亭のホールは野方時代に比べ空間が広がり、
並行して対面する壁が多いため、
以前より強くリバーブがかかっているのですよ。
それで臨場感が強調され、「いい音になりましたね」となったわけです。

spsystem_230520.jpg
(音の反射を考えて、高い位置に設置したスピーカー)

とまぁ、うんちくを述べましたが、
こういうネタ、実は女性にウケないんですよね〜。
と申しますのも、どうしたわけか、
昔からオーディオマニアは男性と相場が決まっているのです。
少なくとも僕は、アンプやスピーカーを熱く語る女性に、
これまで会ったことがありません。
(Audio Unionのお客さんもおじさんばかりだし)

え? でも、ととら亭の音はいいと思う?

であれば、
マニアなおじさまも報われるというものでございます。

えーじ
posted by ととら at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記