2023年06月30日

第20回取材旅行 その17

僕らがペナン島で滞在しているのは、
世界遺産にも登録されているジョージタウン。

それほど大きな街ではありませんが、
マレーシアという国の複雑な歴史がぎゅっと詰まっています。

たとえば、僕らが宿を転々と変えたリトルインディア。
一歩通りに繰り出せば、インディアンポップスが鳴り響き、
街を彩る極彩色のイルミネーション。
スパイスとお香の香りに包まれて、気分はもうボリウッド!

なんですが、
通りを一本隔てると、そこには漢字の看板が所狭しとかかり、
中華寺院から線香の香りが漂い、
威勢よくウォク(中華鍋)を振る音が響くチャイナタウン。

とうぜん行き交う人々もインド系から華人にがらっと変わります。

さらに次のブロックに入るとモスクがそびえ、
ヘジャブを被った女性が行き交い、
大衆食堂のナシチャンプルからは
インドネシア料理と共通するハーブとスパイスの香りが流れてきます。

こうしてそれぞれの文化が、
地域ごとにくっきりと住み分けられているのですね。

しかし、これはお互いを拒絶しているわけではなく、
微妙に混ざり合っているところに、
マレーシアのマレーシアたる特徴が垣間見えたりもして。

僕らの取材場所である飲食店や市場で、
ローカル同士のやり取りを見ていると、
毎回、時間がたつのを忘れてしまいます。

一例をあげると、華人同士は中国語(福建か海南か分かりませんが)、
インド人同士ならタミル語で話をしているのですが、
人種が違うとマレー語が使われます。(国語なので)
また華人どうしても中国語の会話が難しいケースがあり、
そんなときは英語で話していました。

例によって僕らは一目で日本人と分かるらしく、
この場合、話しかけられる言葉は英語ですね。
あ、昨夜、夜景の撮影をしていたら、
南西アジア系と見られる60歳代と思しき男性から声をかけられました。
最初は何語で話しているのだろうと首をかしげてしまったのですが、
よく聞けばなんと日本語!

彼はアリさんといい、ジョージタウン在住のパキスタン人。

「驚いた。どうして日本語が話せるのですか?」
「30年くらい前ですが、しばらく東京に住んでいましたから」
「東京のどちらに?」
「北千住です」
「えっ!僕らも北千住に住んでいたのですよ!」

なんて話で盛り上がりました。

人種にかかわりなく、
マレーシアではよくいろいろな人に話しかけられます。
皆さん、とても礼儀正しいですね。
大声で自己主張する人は見かけませんし、
公共の交通機関ではきちんと整列します。
それからきれい好きな人が多いですよ。
朝、カフェに行くころには道がすっかり掃き清められていて。
深夜までやっていた露店もきっちり片付けられています。

ん〜・・・20数年ぶりのマレーシア。
すっかり馴染んでしまいました。

to be continued...

えーじ

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アリさんと。
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2023年06月29日

第20回取材旅行 その16

新しい宿にチェックインしてやること。

まずは玄関の場所決めです。
部屋はもちろん土足で入れますが、
いかんせん僕らが歩き回っているところは衛生的にちとヤバイ。
(駅のトイレや市場とか)
そこで入り口付近に「ここが玄関ね!」って具合に靴置き場を決めるんですよ。
そこから上履き用のビーサンに履き替えます。
これが僕らのルール1。

次はパラレルで動いて僕は仕事スペース作り。
電源と机、もしくは机に代用できそうなものを探して、
PCをセットアップします。それから各端末のWi-Fiの設定です。

片やともこは洗濯大会。
高温多湿でバックパックを背負っての移動は、
ちょいとしたワークアウトですからね。
チェックインするころには、
二人とも程よく「サウナから出てきました〜」状態なんですよ。
汚れた状態でベッドに乗らない。
これがルール2。

ここで彼女がじゃぶじゃぶやっている間に、
僕は洗濯物を干すワイヤーを張ります。
部屋の中でカーテンレールやちょっとした出っ張りを使って、
なるべく乾きやすそうなところに設置します。
こういう時のために、
もやい結びと自在結びだけでも覚えておくと便利ですよ。

さて、シャワーを浴びてさっぱりしたら、
(つまり人間に戻ったら)
次は宿の周囲のチェックに出かけましょう。
まずは最寄りのコンビニ探し。
安宿では水の調達が欠かせませんからね。

それから朝食の場所探し。
僕らはパンとコーヒー党なので、これまた最寄りのカフェを探します。
朝食で取材はしませんからチョイスはフリー。
たとえばクアラルンプールでは、

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チャイナタウンのビルの裏にある青空カフェに通っていました。

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気のいい華人のおじいさんが一人でやっていて、
お客さんは常連さんばかり。
流れ者の僕らにも皆さんとてもフレンドリー。

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ここでは蒸しパンにカヤジャムとバターを塗ったものと、
あんまんを食べていました。
どちらも熱々ふかふかでとってもおいしい!
ネルで淹れたコーヒーもグッド!

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こういうカフェでローカルの人たちに囲まれていると、
観光名所を巡るより、旅をしてるな〜って気がしてきます。

ここペナンでのお気に入りはこんなカフェ。
場所はリトルインディアです。

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ちょうど宿の下にあった、これも青空カフェですね。
インド系のラブリーな3人が切り盛りしています。
こうした店の営業時間はたいてい朝7時から昼頃まで。

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中はこんな感じ。
ひっきりなしに常連さんが訪れる繁盛店で、
調理器具や什器の配置がよく考えられていました。
同業者として勉強になります。

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ここでおいしかったのは、カヤトースト。
本場のカヤジャムもさることながらイギリスパンが絶品なんですよ。
引きがあって香ばしくて何とも言えません。
コーヒーももちろんネルの淹れたてでグッド!

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御覧の通り、日本ではありえない歩道を占拠しての青空カフェ。
こうしたところから一日を始めるというのも、
僕らにとっては日常で味わえない、旅の醍醐味のひとつなんですよ。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月28日

第20回取材旅行 その15

一般的な旅行ではやらないと思いますが、
長期滞在中のバックパッカーに付きものなのが「引っ越し」。
場合によっては同じエリア内で宿を転々と変えることもあります。

理由はただひとつ。
それは居心地

と申しますのも、事前に下見をしても、
宿というのは一泊してみないと良し悪しは分からないのですよ。
特に当たりハズレが大きい安宿の場合はね。

最近ではネットで予約しておいて部屋に入ったらびっくり!
なんてことも珍しくないでしょう?
ウェブサイトで表示される写真は、
数十年前のグランドオープンのときのものだったり、
テレビ、エアコン、WiFi、ドライヤー、冷蔵庫完備と謳っていても、
どれもまともに動かない! というのもよくある話です。
昼間は静かでも、夜になると階下のバーが大騒ぎってのも、
珍しいことではありません。

そんな時、あなたならどうします?
え? フロントにクレームを入れる?

ん〜、安宿の場合、22時過ぎには、
フロントが無人になってしまうことがほとんどです。
また、よしんばつかまえたとしても、肩をすくめられてお仕舞いでしょう。
そこで手慣れた旅人は、無駄な争いにエネルギーを使わず、
黙ってお引越しとなるわけです。

実はジョージタウンで僕らも2度の引っ越しをしました。
最初の宿は到着が遅くなるため、予めネットで予約しておいたところ。
スタッフはラブリーで、ただ泊まるだけなら悪くなかったのですが、
いかんせん部屋に物を置く棚や机がなく、
ご覧のとおり、何をするにもベッドの上でやるしかありません。

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こうしてブログを書いたり取材ノートをまとめるには、
小さくてもいいから机か代用となる棚が欲しい。
そこで最初のお引越し。

次はネットで室内を確認し、
ホテルの前まで行って周辺環境をチェックして泊まりました。
ところが!
いざチェックインしてみると、あると書いてあった机や椅子がないばかりか、
荷物を広げる棚もない。

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超広角レンズで撮ったので広く見えますが、実際は12平米しかなく、
荷物を広げた床は足の踏み場にも困る状態。
で、ダメもとで「小さくてもいいから机と椅子を貸してくれないかな?」
とフロントで頼んでみましたが、

「そんなものはありません」

と、つれない回答なので、またしてもお引越し。
ま、ここの宿は壁やドアが厚く、窓のない部屋だったので、
静かに爆睡できた点は評価できたのですけどね。

次はいつものやり方で、ネットであたりを付けた宿を訪れ、

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「こんにちは! ダブルの空きはあります?」
「ありますよ」
「じゃ、部屋を見せてもらえますか?」

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で、部屋の什器や掃除の状態、セキュリティのチェックを済ませて、

「いいですね。それじゃ明日来ます。
 予約はどうしたらいいですか?」
「ネットからしてもらった方が安いですよ」
「分かりました。では後ですぐやっておきますね」

こうして3度目の正直で引っ越した宿の部屋は使い勝手抜群!
部屋も広く、仕事もし易く、お湯もしっかり出て、
これで一泊3,655円はジョージタウン相場でも超リーズナブル。

ま、あまり部屋代をケチらず、一泊5,000円くらい出せば、
こういう手間をかけなくても済むのですけどね。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月27日

第20回取材旅行 その14

コロナ禍の影響で取材旅行に出れなかったブランクは3年半。
再開するにあたり、最も不安だったことは体力の低下・・・

ではなくて、
食べられる量です。

若かりし頃はひょうろひょろながら、
「歩くブラックホール」の異名すら持つ大食漢でしたが、
その僕も間もなく還暦。
当然かつてのようには食べられなくなりました。
(特に脂っこいものがねぇ・・・)

しかし料理の取材には不本意ながらフードファイトの側面があります。
限られた期間内に多くの料理を調べなければならない場合、
とにかくフォアグラのように詰め込み続けなければなりません。

久しぶりだけど大丈夫かしらん?

これが出発前に一番気になっていたことでした。
しかし、ラッキーだったのは、取材地が東南アジアだったこと。
料理の量は日本とほとんど同じですからね。

と、安心したのも束の間。
プラナカン料理がこれほど種類に富み、
店舗や地域の差が大きいとは予想していませんでした。

こうなると一皿の量は多くなくても、かなりの数を食べねばならないのです。
そんなわけで腹八分目のヘルシーな日常から、
エネルギー充填120パーセントの過酷な取材に飛び込んだ次第でございます。
今回はその努力の成果をちょろっとお見せしましょう。

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オタオタ

これはマラッカの夜市でお見せした料理のペナンバージョン。
マレーのオリジナル版、マラッカ版に比べてムースのように柔らかく、
辛味を押さえ、バイマックルの爽やかな香りが強調されています。
ペナンではかなり洗練された印象をうけました。

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ポピア

ニョニャの春巻き、ポピアは地域差が少なく、
マラッカ、クアラルンプール、イポー、ペナンでも、
大体同じものでした。場所によってはこれを揚げ、
ホッケンポピアもしくはポピアゴレンとして出していたところも。

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ロバック

以前、シンガポール料理特集で紹介したンゴーヒャンのバリエーション。
湯葉でポークのひき肉を巻き、油で揚げています。
タレは甘いケチャップマニスよりチリソースが多かったですね。

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パイティー

米粉で薄い生地を作り、小さなカップ状に成型したものを揚げ、
ポピアの中身に近いものを詰めた、ちょっとお洒落な前菜。
これもチリソースを添えて頂きます。

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ウダンルマックナナス

マラッカのプラナカン料理店では定番の料理。
エビとパイナップルをココナッツミルクとスパイスのソースで軽く煮込んだもの。
甘味、うま味、辛味が絶妙に調和した傑作です。
この料理は店ごとの差が大きいのも特徴でした。
食べ比べてみるのも面白いと思います。
バリエーションとしてイカを使ったソトンルマックナナスもおいしいですよ。

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ペルットイカン

イポー以北ではウダンルマックナナスが姿を消し、代わりに現れるのがこの料理。
ペルットイカンは直訳すると「魚の肝」なんですが、その実体は、
ハーブ風味の魚介のスパイス煮込み。
これまたミントを中心とした複雑な香りと、
隠し味的に使われているパイナップルの仄かな甘味、
それに魚介の旨味とアクセントの辛味が複雑に絡まりあい、
ひとつのマスターピースとなっています。
名前となっている魚の肝の塩漬けはちょっぴりしか使わないので、
ほとんど分からないかも。

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アッサムぺダス

マレーシア南部生まれの料理と言われていますが、
今ではペナンでも食べられます。
酸味と辛味が絶妙にマッチしたタイのトムヤムとはまた違う、
強烈なパンチ系のスープ料理。
マラッカではクレイポットで出す専門店もあり、
中身も魚介からチキン、ビーフとさまざま。
ペナンではこれが洗練されて、よりマイルドなタイプが楽しめました。

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カリーニョニャ

ニョニャ版のカレー。タイのゲーンカリーに近い気もしますが、
ナンプラーを使っていないので、また違った印象です。
多分、皆さんの意表を突いたのは、
このカレーより画面左側の青いごはんではないでしょうか?
これはナシクラブといい、バタフライピーという花で着色したもの。
香りや味があるわけではありませんから、
目をつむって食べれば普通のご飯と変わりません。
ま、確かにビジュアルのインパクトはありますけどね。

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アヤムポンテ

プラナカン版の鶏肉じゃが。甘い醤油風味でシイタケも入っているため、
一瞬「和食か?」と思うかもしれません。
ハーブやスパイスが苦手な方にもお勧めです。

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チキンレンダン

レンダンと言えばパダンなんですけど、
それをより洗練させたのが、プラナカンバージョン。
店によっては後述するチキンキャピタンと同一化しているケースもあり、
料理が地域と時期により、収斂したり分化する例のひとつかもしれません。
一般的には汁気が少なく、ココナッツフレークとフライドオニオンでコクを出し、
辛味とスパイス感を押さえた穏やかな料理です。

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ニョニャラクサ

この取材旅行を思いついたきっかけが、このラクサと呼ばれる麺料理でした。
最初に知ったのはシンガポールラクサでしたが、
これはどうもニョニャラクサに最も近いのではないかと思います。
他にもペナンのアッサムラクサなど様々なバリエーションがあり、
まさに日本でいうところのラーメンのような料理です。

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ニョニャフライドチキン

マレー料理の特徴のひとつがココナッツをさまざま形で利用すること。
それもココナッツのフレークやミルク、ジュースにとどまらず、
黒糖とはまた違ったコクのある甘味のパームシュガーは、
欠かせない食材のひとつです。
これはカラッと揚げた手羽先に、パームシュガーのソースを絡めたもの。
日本でも唐揚げはブームですが、
このフライドチキンはありそうでない料理でした。

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カピタンチキンカリー

カピタンとはキャプテン(船長・リーダー)が転訛した語といわれ、
なにゆえ船長カレーなのかは未だ諸説紛々のようですが、
プラナカンの間で生まれたということについては見解が一致しているそうで。
食べたか限りではニョニャカリーに近いケースや、
チキンレンダンとほぼ一緒の場合もあり、
この3つの料理は明確な境界線がないか曖昧なのかもしれません。
呼称もアヤムカピタンとなっていたこともありました。

さて、ざっと代表的なプラナカン料理をご紹介しましたが、いかがです?
どれもおいしそうでしょう?
いや、実際に美味しいんですけどね。

話を戻すと取材をきつくしているのは、
調査の軸がこれ一本ではないからなのですよ。
実際はプラナカン料理に限らず、
マレー系、インド系、中華系それぞれの料理も調べているので、
夜、ホテルに帰りつくころにはもうお腹ぱんぱん。
ん〜・・・こういう仕事は30歳代のころにやるべきだったかな?
明日もがんばらねば!

to be continued...

えーじ

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プラナカン料理大好き!
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2023年06月26日

第20回取材旅行 その13

どきっ!

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先日のこと、イポーでこんなお店のサインが目に入りました。

ん〜・・・これまたこの旅の行く末を暗示しているのかしらん?

まぁ、旅に限らず、
僕らの人生そのものが基本的にプランBなんですけどね。
(プランC、D、で、とほほなEなんてことも・・・)

そして残念ながら、
僕の悪い予感はたいてい当たってしまうのです。

「まだ来週だけど、
 ハジャイからバンコクまでのアクセスを押さえておこうか?
 金曜日の夜となると混んでるかもしれないからね」
「夜行列車だっけ?」
「そう。確かネットでも予約できたと思うんだ」

そうして予約サイトを探し出し、2等寝台のリクエストを出してみました。
まもなく電子メールで回答が届き、

「うげ、満席だって!マジですか?」
「え〜っ、どうしよ?」
「1週間以上前でも空席がないとはね。
 しょうがない、1等でもう一度リクエストしてみるよ」

ところがその回答も、

「ありゃダメじゃん」
「週末だからかな?」
「ん〜・・・何らかの繁忙期に当たっているのかもしれない」
「日にちをずらしてみる?」
「といっても前倒ししたらペナンでの取材日数が少なくなってしまうし、
 後ろ倒しだと何かあった時に復路の飛行機に乗れなくなる可能性がある」

僕らはスケジュール表を見ながら暫し考え込みました。
こういう時は優先順位を見直して、
何を取り、何を捨てるか見極めるしかありません。

「今回の取材のターゲットはプラナカン料理。
 で、そのメインとなる取材地がマラッカとペナンだ」
「ハジャイで調べるタイ南部の料理は次点だよね」
「そう。ってことは」
「ハジャイをスキップしてバンコクへ行く?」
「となるとその手段は・・・空路だ」
「ペナン島に空港ってあったっけ?」
「ああ、確か南部に国際空港がある。
 そこから飛べば2時間もかからずバンコクに着くはずだよ」

ここでまた調べてみると、

「あった、ペナン発、バンコク行き。
 着陸空港は・・・おお、懐かしのドゥムアン空港じゃないか」
「時間は?」
「ん〜・・・これまたナイトフライトだな。
 18時55分発で1時間の時差を跨いで19時25分に着く」
「それなら無理はないね」
「ふぅ、それじゃこれで行くか?」
「タイはまたゆっくり行けばいいじゃん。
 それにプランBの方が取材時間を多く取れるでしょ?
 ジョージタウンは美味しいものがいっぱいだからさ」
「確かに。失うものがあれば、得られるものもあるってことか」
「じゃ、決まりね!」

というわけで、イポーの前兆はまんまと当たり、
僕らの取材ルートはプランBとなったのでありました。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月25日

第20回取材旅行 その12

占いというのは、
あながち単なる似非科学ではないのかもしれない。

そんなことを薄っすら感じながら今回の旅は続いています。

昨日もあれからちょっとしたトラブルはあったのですけどね、
「お〜っと、始まったかな?」と思いきや、
「あれ? 抜けちゃった!」って具合に活路が開けまして。
予想に反し、想定より30分くらい早く、
ジョージタウンの安宿にチェックインできたのでした。

たとえば22時30分ごろ、バターワース駅に着いた時のこと。

「さぁ〜て、宿まで小一時間はかかりそうだから、
 さっさとタクシーを捕まえて移動しよう」

そうホームから改札までくると、出て正面はすぐ壁になっており、
バス、タクシー、フェリーのサインは左へ行けとなっています。
しかし左側は照明がほとんど消えており、
反して明るい右側に乗客たちはこぞって進んで行くじゃないですか。

「・・・? なんでみんな右側に行くんだ?」
「でもタクシーのサインは左になってるよ」
「よし、素直に従ってみるか」

そう進み始めてみたものの、イヤな予感は増すばかり。
なぜって誰もこっちに来ないんですよ。
しかも駅なのに非常灯くらいしか点いてない。

「ちょっと不気味だな」
「怖いね。やっぱり戻ろうか?」
「いや、もう少し進んでみよう」

そう歩き始めて間もなく、後ろから足音が近付いて来ました。
誰かがこちらに向かって走って来ます。

な、何だ?

振り返ると薄暗い通路の奥から人影が・・・
よく見ると女性のようです。
彼女は僕らと同じ、さっきの列車の乗客なのでしょう。
かなり慌てた様子で僕らに追いつきました。

こんな時も旅は道連れ。
僕らは3人で先を急ぐことにしました。
ところが歩き出してすぐ、透明なガラスの自動ドアが目の前に・・・
彼女がすぐ前に立ちましたが、ドアは沈黙したままです。
僕がセンサーに手をかざしてみても、まったく反応しません。

「ロックされてるの?」

ドアの向こうはさながら閉店後の商業施設の通路のようです。
どうみてもこの建物は閉まっている。
万事休す。
彼女はべそをかいたような顔になりました。

BGM: Theme of Mission Impossible

そこで僕はもしやと思い、両手でガラスドアをぐいっとやれば、

「あ!開いた!」
「行こう!」

3人は小走りに薄暗い通路を進んで行きます。
右側の窓の外には停車中のバスが見え始めました。

「バスターミナルみたいだよ」
「ああ、でも運行中には見えないな。どれも電気が消えている」
「もう終わっちゃったのかな?」
「ん〜、どうだろ?もうすぐ23時だからな。
 でもここまで来たんだ。行けるとこまで行ってみよう」

まもなく右側に明かりの点いた連絡通路が見えて来ました。
そして近付くと、突然、二人の警備員が現れ・・・

ヤバ・・・ドアをこじ開けて入ったからな。
不法侵入でしょっ引かれるかも?

僕はとっさに笑顔を浮かべ、大きな声で、

「やぁ、こんばんは! タクシー乗り場はどっちっすかね?」

あっけにとられた警備員は、きょとんとした顔で左側を指さしています。

「あ〜りがと!」

ここで彼女はバスの方へ向かって走って行きました。
僕らはその反対側を見ると、そこには明かりの点いたタクシーカウンターが。

「ジョージタウンまで行きたいんですけど」
「それじゃ62リンギットです」

ふぅ〜・・・どうやらこっちでよかったようです。

とまぁ、こんな具合に、一瞬冷やっとしながらも、
僕らの旅は進んでいるのでございます。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 17:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月24日

第20回取材旅行 その11

昨日はルーターがハングしたようで、
インターネットに接続できませんでした。
ま、こういう宿ではよくあることなんですけどね。

さて、取材旅行レポート「その11」にして、
ようやく本題の料理の話をしたいと思います。

まずは最初の取材地、スマトラ島のパダンから、
積年のテーマだったパダン料理です。

インドネシア料理はナシゴレンやガドガドなど、
日本のエスニックレストランでもお馴染みの料理がありますけど、
島ごと、地域ごと、
そして民族ごとに独自の食文化が育まれた経緯から、
一言では括れない多様性に満ちています。

その中でもひときわ目立っているのが、このパダン料理。
今ではインドネシアだけではなく、
シンガポールやマレーシアにまでパダン料理屋があり、
国境を超えて愛されているのです。

僕たちがこの料理を偶然知ったのは、
20年近く前にジョグジャカルタを訪れたときでした。
以来、いつか本場で食べてみたいと思っていたのですよ。

さて、うんちくはこれくらいにして、
お店に入ってみましょうか?

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店構えはこうして様々ですが、
共通しているのは入り口に料理が並べられており、
どんなものがあるか一目で分かるようになっていること。

パダンでは敢えてパダン料理と書いていないところが殆どでしたけど、
(当たり前か?)
他の場所では大抵「Masakan Padan(パダン料理)」と大書きしてあります。

オーダーの仕方は3種類。
本場では小皿に乗せられた様々な料理がテーブルに運ばれ、
食べた物だけ課金されます。
全部ちょっとずつ摘み食いというのはダメ。

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もしくは鍋やバットにある料理を指さして取ってもらうか、
まず手渡されるナシ(ご飯)のお皿に自分で盛るか。
これらの場合も料理の種類とその品数によって値段が変わります。

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お会計はその流れでするときもあれば、食べ終わってからするときもあり、
料金はおおむね今のレートで一人600円前後でしょうか。
コスパはとても良いと思います。

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料理の種類は豊富で、肉(チキンが多くムスリムなのでポークはなし)、
魚、鶏卵、豆腐、野菜など様々あり、味付けも多様です。
選びようによってはベジタリアンの方にもいいでしょう。
特徴は他のインドネシア料理と同じく、
ハーブやベラチャンなどの発酵調味料を使ったソース、
サンバルが全体にわたって使われていることと、
ココナッツミルクとトウガラシが欠かせないことでしょうか。
インドとアラブの影響をより強く受けている地域でもあることから、
カレー風味の料理もたくさんあります。

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なかでも有名なのは、
パダン版スパイシービーフシチューともいえるレンダンサピ。
これは焦げ茶色のものと、明るい黄色のものがあり、
一般的によく知られているのは前者の方。
以前、ととら亭でもご紹介したことがありましたね。

今回の取材で分かったのは、パダン以外の場所のパダン料理屋も、
けして本場に劣るものではなかったということ。
つまり、バリ島やジャワ島、
またシンガポールやマレーシアで食べたパダン料理と、
現地の料理に大きな差は見られなかったのです。
まぁ、そう名乗るからには、
どこに行ってもそれなりの味が求められているということでしょうか。
こと料理に関しては料理屋が多いだけに、
みなさん厳しそうですからね。

さて、今日は20時36分の列車でペナン島に向かいます。
何事もなければ、日付が変わるころには、
ジョージタウンの宿にチェックインしているでしょう。
そう、これまた「何事もなければ」・・・ね。

to be continued...

えーじ

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パダン料理大好き!
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2023年06月22日

第20回取材旅行 その10

僕らを乗せたETSは、
定刻を少し過ぎた12時半ごろイポー駅に到着しました。

「今回の移動はスムーズだったね!」

な〜んて言っていると、やって来るのが・・・

「ここで明後日のバターワース行きチケットも取っておこう」

とチケットブースに行った途端、

「その日の空き席は、もう20時36分発しかありません、
 並んで座れる席もないので離れて座ることになります」

とな!

別々に座るのはいいとして、
午前中の便で出る予定が10時間ずれか・・・
となると、バターワース駅着が22時22分。
そこからフェリーでジョージタウンへは・・・
もう船が出ていない・・・
ということは遠回りしてタクシーで橋を渡るしかないのか。
結果的にホテルのチェックインは24時前後・・・
む〜・・・

というわけで、

調整事項A
イポーのホテルに土曜日の20時までいられるよう延泊の交渉。

調整事項B
ジョージタウンのホテルのチェックイン時間を14時から24時に変更依頼。

ってわけだな。

こんなことをつらつら考えつつ、炎天下の1100メートルを歩き、
ようやくイポーのホテルに来てみれば、

えっと、ここはスタッフ不在のビッグブラザー型ホテル(※)だったな。
まず入り口のテンキーにWhat'sUpで送られてきたパスワードを入力し・・・
お、開いた。
次は階段を上ってカウンターの横にある白いキーボックスに、
これまたWhat'sUpで送られてきた数字を入力し・・・
お、開いた。
で、中に入っている僕の名前の書いた封筒の中のキーで部屋に入・・・

「・・・? おい、空っぽだぞ」
「ふぅ〜、暑かったね。早く部屋に入ってシャワーを浴びようよ」
「ない」
「どしたの?」
「鍵が入ってないんだ」
「え〜っ!」
「ったく、これだからビッグブラザー型のホテルは困るんだ」

と、毒づき始めたところへ現れたのがルームメイクのお兄さん。

「こんにちは! 予約してるえーじですけど・・・」
「え? 鍵がないんですか? ん〜・・・どうしたんだろう?」

そこで僕はドアが開いている隣の部屋を指さし、

「こっちは入れないんですか?」
「あ、こっちはまだ掃除が終わってなくて」
「それじゃ荷物を置いて1時間ほど外に出てますよ」
「分かりました。それじゃ、この部屋を最初に掃除しておきますね」

やれやれ。
ま、とりあえずこれでチェックインできたな。

そうしてカフェで一息入れ、戻ってから、

さて、次は延泊の交渉だ。週末だけど部屋は空いてるかな?
とチャットを始めると、

「延長ですね、分かりました。空きがあるかすぐ確認しますので、
 念のために今いらっしゃる部屋番号を教えてください」
「1Bですよ」
「え!?1Bですか?1Aではなくて?」
「そう」
「大変申し訳ないのですが、
 今夜のうちに1Aに移って頂けませんでしょうか?」
「今夜って、いますぐ?」
「できれば・・・」

なんか僕が間違えて入ったように思われてるな。

そこで事情を説明すると、

「すみません。ご不便をおかけしました。
 移動は明朝でも結構です。必要であればお手伝いに参ります」

って、それには及ばないんだけど、キーはどうするんだろ?

そこでもう一度キーボックスを開けてみれば・・・

「おお! キーがある!」
「きっと、あの後で入れに来たんだよ」

「で、肝心の延泊の件は?」
「大丈夫です。
 しかし、あいにく移動後の部屋と別の部屋しか空いていません」
「ということは?」
「また移動していただくことになります」

3泊するホテルで3回の移動・・・か。

「Okay,moving is my life. No problem at all」

で締めくくった一日でございました。

to be continued...

えーじ

P.S
で、寝ようとしたら、またメッセージが入り、

「遅い時間に失礼いたします。
 当方のマネージャーが予約を調整し、
 そのままの部屋で明日もご宿泊いただけるようになりました。
 移動は土曜日のみで大丈夫です」

Oh, that's sounds good to me!

※ ビッグブラザー型ホテル
セルフチェックインもしくはオートチェックイン式のホテルのこと。
フロントがなく常駐しているスタッフもいない。つまり無人のホテル。
予約確定後、電子メールかSNSで、
入館方法と入室方法のインストラクションが送られてくる。
無人のため、居室を除く全館に監視カメラが設置されているので、
ジョージ・オーウェルの近未来小説「1984」に登場する、
監視システムのビッグブラザーをもじり、僕が命名した。
安さが魅力だが、こうしたトラブルが起こると結構面倒である。
posted by ととら at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月21日

第20回取材旅行 その9

さっき日本を出て初めて東京の天気をチェックしました。
今週中は梅雨空が続き、気温もそれほど上がらないようですね。

クアラルンプールはちょうど東京の真夏という感じです。
僕らは初日から赤道直下の街だったので、
暑さにはすっかり体が慣れましたけどね。
毎日、いい汗をかいています。

今日は夕方すごいスコールがあって、気温がぐっと下がりました。
埃っぽかった街が雨に洗われて、ちょっときれいになった感じ。

焼けたアスファルトが濡れる臭いをかぐと、
南国にいるんだなぁ・・・という気がしてきます。

とはいえクアラルンプールは大都会で、進出している日系企業も多く、
なんと僕がかつて在籍した会社の商業施設まであったりして、
過去と現在が混ざり合ったような印象ですね。
20年ほど前に一度だけ来たことがあるのですが、
覚えていた場所はまったくありませんでした。

今日でクアラルンプールでの取材は終わり。
明日09:50発のETSでイポーに向かいます。
今回のルートは出発地のパダンから帰国ポイントのバンコクまで、
海路と陸路で少しずつ北上して行くというもの。

ま、天気予報によれば、
気温は逆に上がって行きそうなんですけどね。
明日のイポーは晴れ時々曇り、夕方ところにより雷雨。
最高気温は32度だそうな。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月20日

第20回取材旅行 その8

いやぁ〜、さっぱりしました!

日本を出て以来、
8日ぶりにお湯のシャワーを浴びたのですよ!

え? 今までどうしてたんだ?

水です。

パダン、マラッカともに、
ダブルで一泊3,000円くらいのホテルに泊まってたのですけどね。
(つまりひとり一泊1,500円)
東南アジアでこのくらいの値段だと、
まずお湯の出るシャワーは付いていません。
ま、気温が気温ですからあまり気になりませんが、
やっぱりお湯だとさっぱり感が違います。

さて、そういう価格帯のホテル。
たぶん、移動手段に次いで、
一般的な海外旅行とは大きく違う要素なのではないかな?
安い宿泊施設は基本的にローカル用。
そしてローカル用ということは、
ファシリティがその地域の生活様式にフィットしたものですからね。

たとえばパダンのホテルのトイレには、
トイレットペーパーがありませんでした。

ルームメイク係が忘れたんだろう?

いや、インドネシアは「左手水洗式」文化圏。
ですから用を済ませたお尻は左手で水を使ってきれいにします。
マニュアル式ウォシュレットといったところでしょうか。

僕らは手持ちのトイレットペーパーを使い、
スーパーの袋を簡易汚物入れにしていましたけどね。

マラッカの宿は観光地だけあって外国人の宿泊が想定されていたので、
同じ価格帯でもトイレットペーパーがありました。

今いるクアラルンプールの安宿は、
先の2軒とは変わって、いかにもバックパッカー御用達という感じ。
移動や食事の利便性はとてもいいのですが、とにかくうるさい。
2階にある僕らの部屋の窓を開けると下は大きな交差点なんですよ。
自動車の騒音以外にも窓の外にはエアコンの室外機がずらっと並んでおり、
その作動音だけでも、
飛行機内にいるのと同じくらいの騒音レベルになっています。

で、こうした安宿に泊まるときの必需品とは?

耳栓です。

なんとチェックインしたらタオルの上に置いてありました。

さんきゅうべりまっち。

それではそうした安宿がどんなところか、
ビジュアルに説明しましょう。
まずはパダンから。

Hangtuah01_id.jpg
外観はこんな感じ。ざっと築40年前後でしょうか。
中に入るとカビとタバコの臭い、
それに食べ物の臭いが混ざった、安宿特有の臭いがします。
英語はほとんど通じません。

Hangtuah03_id.jpg
中庭に面した部屋は大きな道路の交差点という立地にもかかわらず、
意外と静かでした。ベッドはボヨヨんベッド。腰が痛くなります。
エアコンはフィンが崩壊していましたが、とりあえず涼しくはなりました。
Wi-Fiはどこがボトルネックか調べませんでしたが遅いです。

Hangtuah04_id.jpg
これがインドネシア式トイレ。(便座は西洋式です)
けっこう広いので、便器の貯水タンクの上にトイレットペーパーを置いたまま、
シャワーが浴びれました。全体的に掃除は大雑把です。
日本レベルの清潔感を求めるなら、
たぶん一泊6,000円以上は出さないと難しいでしょう。

cozy01_my.jpg
変わって次はマラッカの宿。
ここは新しいですね。築4年以内くらいではないでしょうか。

cozy02_my.jpg
トイレも日本と比べてトイレットペーパーが流せない以外は大差ありません。
ただしあまり広くないので、
トイレットペーパーはシャワーからいちばん離れたところに置かないと、
濡れて使い物にならなくなってしまいます。
また、右上に写っているのが初めて見るタイプの電気式温水器。
使い方が間違っていたのか、マックスにしても水のままでした。

cozy03_my.jpg
部屋は狭く殺風景ながらも機能的で、よく考えられています。
バックパッカーの旅がよく分かっているオーナーさんなのでしょう。
中心からやや離れた場所にしたので、ナイトマーケットの期間も静かでした。
同じブロックに朝食用のいいローカル御用達カフェがあり、
機会があればまた泊まりたい所です。

さて、最後は今、クアラルンプールで投宿している安宿です。
(一泊ダブルルームが約2,700円)

birdnest01_my.jpg
外観はこんな感じ。
よくあるパターンで雑居ビルの1階は画面右側、
ブルー部分の入り口しかありません。
ドア左横のテンキーに暗証番号を入力して開錠します。

birdnest02_my.jpg
そしてこんな階段を上ると狭いフロントがあり、

birdnest05_my.jpg
その先は狭くて暗い廊下が伸び、
僕らの部屋はそのどんずまりの5号室。

birdnest03_my.jpg
ご覧のとおり12平米ほどの狭い部屋ですが、天井高が3メートルほどあり、
電源が近い仕事用のスペースもあるので、短期滞在には十分です。
問題は先にお話した騒音。昨夜は深夜に道路工事まで始まり、
普通の聴覚の人には耳栓をしても眠れる状況ではありませんでした。
そこで対策は、睡眠導入剤!
こういうケースを考えて旅のときは常備しているのですよ。
もうひとつの問題は臭い。
掃除で使った洗剤が残っているのか、部屋だけではなく、
建物中に鼻を突く薬品の臭いが充満しています。
これは蚊取り線香を焚いて、臭いの上書きで対応。
こうして悪い条件も柔軟な発想でクリアして行くわけです。

birdnest06_my.jpg
3階はこんなルーフトップカフェになっていました。
無料のコーヒーや紅茶が楽しめます。
こうした解放的な空間でまったりしながら他の旅人と話ができるのも、
安宿の特徴でしょうか。
昔はこういう場所に情報ノートがあり、
ずいぶん役立ったものです。

明日はイポーの宿を予約する予定です。
はてさて、どんな宿か?
こういうのも旅の楽しみのひとつなんですよね。

to be continued...

えーじ

P.S.

cozy04_my.jpg
そうそう、ムスリムが多い国では、
こうしたサインを部屋の中で見かけることがあります。
なんだか分かります?
これ、アザーンのお祈りのとき、
メッカの方向を知るためのものなんですよ。
キブラと言って、
Kiblat とか Arah Kiblat と書いてあります。
posted by ととら at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月19日

第20回取材旅行 その7

長い旅をしていると、
思わぬご褒美に出っくわすことがあります。
ここマラッカでは、
ちょうど週末のナイトマーケットに当たったのですよ。

最も盛り上がるといわれる19時過ぎに飛び込んでみれば、
そこはもう期待を超えた、
光と音と臭いと人種のカオスでした。

jonkerstreet_my.jpg

jonkerstreet02_my.jpg

いやぁ、いいですね! これぞアジアって感じ。
変てこりんな日本もどきの寿司やたこ焼きなんかも売っていて、
冷かしながら歩いているだけでもサイコーにおもしろい。

しかしお仕事です。

こうした場所にも、
皆さんにご紹介できるプラナカン料理があるのではないか?
そこでいろいろ物色してみれば・・・

popia00_my.jpg

おっと、ともこが何かを見つけて買いに行きましたよ。

popia01_my.jpg

お〜、これはポピアといって春巻きの一種ですが、
プラナカンバージョンはちょっと違います。
米粉で作った生春巻きの皮ではなく、
小麦粉を使ったクレープのような生地で、
スパイシーな切り干し大根風の具が巻いてあります。
ん〜・・・なるほど。
ハーブとガーリックの香りが絶妙で、
ちょっと甘めのタレとピーナッツがいいアクセントになっています。
これはととら亭で前菜として出せるかも?

次は・・・

otaota00_my.jpg

怪しげな「ともこ語」で何を言ってるのかと思えば・・・

otaota02_my.jpg

ほ〜、オタオタじゃないですか。
これはスパイシーな魚介類のすり身をバナナの葉で包んで焼いたもの。
なになに、エビと魚バージョンが売っていたので、魚の方を買ってきた?
これはまたイケますねぇ〜。
同じ練り物でも日本のものとはまったく違います。
熱々で食べるのがまたおいしい。
こりゃ、ビール党にお勧めの一品ですね。

こんな風にレストラン、屋台を問わず、
おいしいものがあると聞けば、どこへでも出かけて行ってるんですよ。

さて、今日はこれからバスでクアラルンプールへ移動します。
難易度は低いので気が楽ですけど、こういう時こそ注意しなければ。

to be continued...

えーじ

otaota01_my.jpg
otah-otah
posted by ととら at 08:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月18日

第20回取材旅行 その6

近くて遠い国、マレーシア。

日本人の僕らにとって、
その国がどれくらいの精神的な距離にあるのか?
それを知る簡単な方法があります。

答えは図書館の蔵書量。
つまり国内で発行された書籍の数に、
日本人の「興味」がはっきりと表れているのですよ。

たとえばヨーロッパ。
フランスやイタリアに関してなら国単位ではなく、
それこそ地域や街単位でいくらでも本は出ています。

ところがアフリカや中東、南米の書架に行ってみて下さい。
ブルキナファソやイエメン、コスタリカの本を探すのは、
かなり苦労されるでしょう。
たいていアフリカ、中東、南米など、
大陸や広い地域がぜんぶ十把一絡げにされてしまっていますから。

僕らが今いるマレーシアも、
そうした興味の外の一国だと今更ながらに知ったのは、
出発前に参考図書を探していた時のことでした。
なんと明石書店のエリアスタディーズですらマレーシア版がないとは!
(シンガポール版はあるのに)
amasonで検索しても、
ヒットするのは個人の旅行記かガイドブックばかり。
今回役に立ったのは、かなり古い文献ですが、
弘文堂の「もっと知りたいマレーシア」でした。

さて、僕らが今いるその縁遠い国の都市のひとつ、
マラッカとはどんなところか?
敢えて日本でたとえるなら京都みたいな街でしょうか。
それというのもマレーシアの成り立ちは、
15世紀初頭に成立したマラッカ王国に遡るといわれているからです、

その後、東南アジア貿易航路の要衝だったことが災いし、
ポルトガル、オランダ、イギリスの侵略を受け、
最後は日本が暴れまわり(泣ける・・・)、
戦後の混沌の中でマレー系を中心とした統一運動を経て、
僕が生まれたのと同じ、1963年に現在のマレーシアが誕生します。
(なんかシンパシーを感じるな)

しかしながら古い宗教施設が点在しているわけではなく、
オランダ広場の周辺に、スタダイス、セント・ポール教会、
サンチャゴ砦などがあるだけで、ちょっとマカオに近い印象かな?
(この辺が世界遺産になっています)

僕らが上陸したのは、
オランダ広場のすぐ南西側にあるマラッカ川のフェリーターミナル。
そこから西側に並ぶブロックの端にある安宿が取材の拠点です。

さて、そのマレーシアの料理とは?
それをお話しする前に、この国の民族構成を知らねばなりません。
現在はマレー系が約70%、中華系約23%そしてインド系約7%。
それぞれのエスノグループが地域的に住み分けしており、
個別の食文化を守り続けています。

今回、僕たちが目を付けたのは、その接点で生まれた、
いわば食文化のハイブリッド料理。
マレー系女性と中華系男性の婚姻で始まった家系をプラナカンといい、
男性はババ、女性はニョニャと呼ばれています。
この名を冠したプラナカン料理、
もしくはニョニャ料理を主に調べているのですよ。

飲食店は目抜き通りのジョンカーストリートを中心に集まっており、
そのレベルの高さこそが、
おそらく現在のマラッカの魅力となっているのではないか?
そう、まさしく美食の街と言って過言ではないところなのです。

実際、この3日間、食べ歩いた限りでは、おいしい料理がありすぎて、
どれを紹介するべきか迷ってしまう状態。
ここから紐解くと、同じく美食で知られるシンガポールは、
マレーシアのミニチュア版と言えなくないかもしれません。

ディープな食の探求は続きます。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 00:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月17日

第20回取材旅行 その5

何から話したらいいんだろう?

旅の途中、キーボードに向かうたびに、
僕は毎回そう思ってしまうのですよ。

と申しますのも、あまりに中身が濃すぎて、
絞り込むのが難しくなってしまうから。

昨日もパダンからドゥマイ、
マラッカへの移動をダイジェスト版でお話しましたが、
実際は他にもいろんなことが起こっていました。

その何を伝えたらいいのか?
いや、とどのつまり僕は何が言いたいのか?

ん〜・・・僕らの専門はもちろん料理なんですけど、
旅で最も強く印象に残るのは、人との出会いなんですよね。
今回もこんなことがありました。

移動の途中、立ち寄ったローカル食堂に入ると、
同乗していた大学生の女の子が、
「こっちへどうぞ」と手招きしています。

彼女は片言しか英語は話せませんでしたが、それでも十分。

僕らは食欲がなく、熱い紅茶だけが飲みたかったので、
「ミンタ ティー ドゥア」と頼みましたがお店のお兄さんは「・・・?」
そこで察した彼女は、
「紅茶ですか?」
「ええ、熱い紅茶が欲しいんだけど」
「それならテ ハングァと言います」
その会話を聞いていたお兄さんは苦笑していました。
なるほどね。

そこから日本語とインドネシア語、英語が飛び交う会話に。
挨拶から自己紹介まで、お互いの言葉で教えあいます。
印象的だったのは、

「「グッドバイ」は「さようなら」ですよね?」
「よく知ってますね」
「私たちは小学生の時にこんな歌を習うのです」

そういうと彼女は澄んだ声でやさしく歌い始めました。

「さよなら、さよなら、サンパイ ジュンパ」

「へぇ〜、日本語が歌詞に入っているのですか?」
「ええ、これはお別れの歌なのです。
 インドネシア語で「また逢う日まで」を「サンパイ ジュンパ」といいます」

まだ暗い早朝、車がドゥマイの彼女の家に着いた時、
「私のことを忘れないでください」と言って僕らの手を握り、
それをそっと額に押し付けた彼女の声がまだ僕の耳に残っています。

君のことは忘れないよ。
もう2度と会うことはないかもしれないけど。

日本を出てまだ6日。
こんな出会いと別れがもうたくさんありました。

僕がなぜ、伝えることを迷ってしまうのか、
何となくお分かりいただけましたでしょうか?

sampai jumpa.jpg
sampai jumpa

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 00:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月16日

第20回取材旅行 その4

スラマッシヤン!(こんにちは!)

心配しました?

僕らは無事、マレーシアに入国し、
今、最初の目的地のマラッカに投宿しています。

ま、無事と言えば無事なんですけど、
例によってこれは「終わりよければすべて良し」のお話。
時間を一昨日の16時に巻き戻すとですね・・・

約束通りに現れたのは、6人乗りの新しいセダン。
なるほどチケットを見ればExectiveと書いてあるじゃないですか。
旅の道連れはローカルのおじさん2人と、21歳の大学生の女の子です。
うち2人がある程度、英語が話せたので、
道々いろんな話ができました。

と、ここまでは良かったのですが、
乗り込んだドライバーはプロのトランスポーターという感じで、
シートに座るなり細かく位置を合わせ、
自己紹介も軽く走りだしました。
そう、ハンドル捌きはまさしくプロ。
迫りくる追っ手をまくかのように、次々と先行車両を追い抜いて行きます。
それもブラインドコーナーをものともせず。

さらに危機感を盛り上げたのは、
エンドレスで鳴り続けるラウドなインドネシアンポップス。
おかげで手に汗握る13時間に及ぶナイトドライブは仮眠もままならず、
未明のドゥマイに着いた頃には、くたくたになっていた僕らでした。

しかしここが終点ではありません。
次はフェリーのチケットをゲットしなければならないのです。
ところがフェリー会社は7時にならないと開かず、
料金もいくらか分からないじゃないですか。
そこでカードが使えない場合に備え、
近くにあった高級ホテル前のATMで再度インドネシアルピーを引き出し、
オープンと同時にカウンターへ。

案の定、ガイドブックにあったマラッカ→ドゥマイの料金から、
だいぶ値上がりしていました。
追加で引き出していなかったら半分以上足りませんでしたね。

ここから無料のシャトルバスでフェリーターミナルへ。
最後は出国手続きを済ませて乗船です。

こう書くと決まったコースの双六を進めるかのような印象を、
持たれるかもしれませんが、
すべては分からないところから始めるので、
実際は「次はどうすればいいんだ?」でひとつずつ調べながら、
ルートを切り開いて行くのですよ。

現場だと、僕はネットを検索するより、
その場で人に訊いてしまう方が圧倒的に多いですね。
繰り返しになりますが、「正しい」外国語を話す必要はありません。
大切なのはまず現地語で挨拶。そして話を聞いたらまた現地語でお礼。
終始スマイルを忘れずに。
この方法でそっぽを向かれたことは今のところなし。

話を戻しましょう。

乗り込んだスピードボートは、
かつてマカオ、香港間で乗ったものと同じようなタイプ。
マラッカ海峡は波が穏やかなので、発進するなり僕らはブラックアウト。
気が付けば2時間の航路の終盤に差し掛かっていました。

不自然な姿勢で寝ていた所為か、体は節々が傷み、汗でべとべと。
軽い脱水症状と寝不足でいい感じにボロボロです。

さて、終点までもうちょい。がんばろう!
気力を振り絞ってマレーシアのイミグレーションへ。
それと税関の手荷物検査をささっと抜け、
予約しておいた宿までは炎天下を徒歩10分。

やっと着いたぁ〜っ!

っと、バックパックを部屋に放り込んだ僕らは、
目抜き通りのジョンカーストリートを目指し、
銀行で軍資金のリンギットをゲットしたのち、
19時間ぶりの食事にありついたのです。

ああ、めでたし、めでたし・・・

メニューは定番のチキンライスとローストポークのスィートソースかけ。
それからスパイシーな空心菜の炒め物。
いやぁ、美味しかったのなんのって。

最後は再びホテルに戻ってシャワーを浴び、
(つまり異臭を放つ物体から人間に戻り)
ベッドに倒れ込めば数秒でまたブラックアウト。

こうしてこの旅最大の難関を超えたのでありました。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 17:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月14日

第20回取材旅行 その3

例によって、何かとプランB、もしくはCが続いていますが、
取りあえず取材は順調に進んでいます。

写真を交えたパダン料理のレポートはまた後日にして、
今日はこれから長距離の移動なんですよ。
昨日、ドゥマイまでの移動手段を手配したでしょ?
出発が16時。到着は明朝4時なので、まんま12時間の長旅です。
スマトラ島の山脈を超える約465キロメートルのルート。
どんな車が来るんだろう?

そしてドゥマイに着いたらフェリーのチケットの手配。
最後が出国手続きと乗船です。
何事もなければ明日の今ごろはマレーシアに入国し、
マラッカでの取材を始めている頃でしょう。
何事もなければ・・・ね。

というのも、ドゥマイの情報が全然ないのですよ。
対岸のマラッカは世界遺産にも登録されてるせいか、
いろいろ個別に本まで出ていますけど、
ことドゥマイについては、ほとんど何も資料がない。
朝の4時じゃ、まだ暗いしどこも開いてないので、
フェリーターミナルで時間をつぶそうかな?

ま、こんなルートは一般的な観光では取りませんからね。
パダンだって殆ど外国人は見かけないし。

それではシャワーを浴びてさっぱりしてから出発しますか。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 15:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月13日

第20回取材旅行 その2

一夜明けて、パダンにおける最初のミッションは・・・

もちろんパダン料理!

なんですけど、その前にやらなければならないことが。
それはマラッカへのフェリーが出ている、
ドゥマイまでの移動手段を確保!

これがどうもハードルが高い。
出発前にネットで調べた限り、はっきりしたことが分かりません。
それというのも、
いろいろな路線が発着しているバスターミナルなる場所がパダンにはなく、
散在するバス会社の営業所が個々のターミナルを兼ねているのですよ。
でもって各社とも外国人の乗客がいないのか、
ウェブサイトなんて気の利いたものは持ってない。

そこでまず、ホテルのフロントで英語が話せる、
たぶん唯一のスタッフである女性に、

「ドゥマイ行きのバスが出ているバスステーションを教えてください」

彼女がしばし思案したのち、僕に見せたスマホの画面には、
ひとつの会社の住所と電話番号が。

「ありがとう。ではそこまで行きますからタクシーを呼んでくれます?」

ほどなくやってきたのはタクシーではなく、普通の乗用車。
UBERみたいなものですね。
そして10分も走らないうちに僕らが着いたのは、
事前に僕も調べた記憶のあるバス会社の営業所でした。

ドライバー君には待っていてもらってさっそくオフィスへ。

「こんにちは、どなたか英語を話す方はいらっしゃいますか?」
「あ、少しなら私が話せます」
「良かった! 実は・・・」

と要件を伝えれば、

「あいにく当社にはドゥマイ行きのバスはありません」
「え!そうなんですか? 困ったな。
 どこから出ているか心当たりはありませんか?」
「ここみたいな大型バスではなくミニバンだと思いますが、
 会社は知りません」

そ〜ら、来た来た。

僕らはタクシーに戻り、

ん〜・・・いきなりプランBなんだけど、
彼もインドネシア語しか通じないんだよな。

僕はうろ覚えのフレーズで事情を伝えましたが、

分かったかな?

彼はしばしスマホをいじってから電話で誰かと話し始め、
おもむろに車を発車させました。
5分も走らないうちに着いたのは、バス会社ではなく雑貨屋です。

ん? やっぱり伝わっていなかったか・・・

と思いきや、
その店の脇を見ると、宝くじ売り場程度の大きさの小屋があり、
そこのドアに書いてある文字はなんと「Padang -> Dumai」。
中にいたのはおじいさんが一人だけです。

ここでバスチケットがゲットできるのかしらん?

オラン ドゥア
(僕らは二人)
サヤ プルギ ク ドゥマイ ベトゥ
(明日、ドゥマイに行きたい)
ブラパ?
(幾らですか?)

僕のサバイバルインドネシア語ではここまでが限界です。
しかしこうした旅で求められるのは、
正しい語学力ではなく柔軟な発想。
学校のテストじゃありませんからね。

日にちの確認はカレンダーを指さし、
料金はスマホのカレンシー計算機を使い、
発車時刻と到着時刻の確認は壁の時計を指さしてバグース!(Good!)

とまぁ、こんな具合に駒を進めた僕らでした。

そう、こうやって取材地を巡り、帰国ポイントのバンコクを目指すのが、
この旅のスタイルなんですよ。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月12日

第20回取材旅行 その1

スラマッマラン!(こんばんは!)

電車を2本、飛行機を3本、
そしてタクシーを乗り継いで足かけ26時間、
僕らはスマトラ島中西部の街、パダンに着きました。

もわっとした南国の風、混沌とした臭いに包まれて、
飛行機を出るなり、「来たぜ〜」って感じ。

出発前に見てもらった占いによれば、
大きなトラブルはないとのことでしたが、
取りあえず初日はジャカルタからパダンへのフライトが1時間遅れ、
ミナンガバウ国際空港のATMでキャッシュカードが飲み込まれたくらいで、
確かにビッグプロブレムは起こりませんでした。

あ、キャッシュカードはわざとエラーになるよう操作したら、
吐き出してきたので大丈夫。

羽田からバンコクまでのフライトは半分くらいが日本人だったかな?
でも、バンコクからジャカルタは10人もおらず、
ジャカルタからパダンまでは日本人はおろか、
外国人すらほんの数人しかいませんでした。

それもそのはず、パダンは観光地ではありませんからね。
そうなると英語もバリ島のようにはいきません。
空港とホテルはかろうじて通じましたが、
それ以外はミネラルウォーター1本買うにも、
「なんちゃってインドネシア語」で話します。

で、ホテルはいかにも東南アジアの安宿風。
いやがうえにも旅の気分が盛り上がってきました。
(ダブルで約3,000円だから、いい方なんですけどね。
かなりボロイです)

ホテルに着いたのは現地時間19時50分。
(日本との時差はマイナス2時間だから日本時間21時50分)
さっそくインド洋に面した通り沿いの、
ローカルシーフードレストランに行ってきました。
この雰囲気がまた東南アジアの地方都市って感じで最高!
エアコンなんてありませんからね。
こうして地元の人たちを観察しているだけで、
文化の多様性をひしひしと感じることができるんですよ。

さて、エコノミークラスの旅で程よく草臥れましたから、
今夜はシャワーを浴びて爆睡と行きましょう。
明日はまた次のミッションが待っていますからね。
それではおやすみなさい。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月11日

第20回取材旅行の準備 その4

旅行前は何かとバタバタするのがお約束ですが、
今回はパタパタ程度で終わり、
比較的余裕を持っての出発となりました。

というか、出来ないことは出来ないと割り切り、
帰国してからやればいい!
と開き直っただけなんですけどね。

さて、ぼちぼち京成線で羽田空港に向かいます。
フライトは日付が変わって00:20テイクオフ。
まずはタイ国際航空でバンコクへ。
そこでトランジットしてジャカルタでインドネシア入国。

次はスマトラ島のパダンからお話ししますね。
それでは行ってきます!

えーじ
posted by ととら at 19:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月10日

その一言のために

旅の・・・食堂?

分かり難さでは野方時代から定評のあるととら亭。
それでも月日が流れるうちに、

へぇ〜、現役の旅人がやっている店なんだ。

と知られるようになりました。

それがここ柴又でも間もなく1年。
取材旅行に出る前に、
「いってらっしゃい」と言ってくれる方々が現れ始めました。

嬉しいですね。

野方時代からの人たち。
柴又で出会った人たち。

そうした方々の声に支えられながら、
僕らは旅をしている気がします。

明日の夜から、
僕たちはまた遠い国まで行きますが、
心の中にはいつもそれぞれの方から頂いた、
「いってらっしゃい」の声があります。

そして「ただいま」と一言いうために、
僕らは帰って来るのですよ。

えーじ
posted by ととら at 09:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月07日

次の旅の運勢は

昨日の定休日。
久しぶりに新宿駅の東口で献血に行ってきました。
そこで採血が終わり、お茶を飲みながら休んでいると、

「ちょっとお話してもいいでしょうか?」

現れたのは受付にいた女性です。

「ええ」
「あの、今日はイベントをやっておりまして、
 もしお時間がありましたら、ぜひ」
 
・・・? イベント?

彼女の視線を追うと、隅のブースに「占い」の看板が。
なんでも無料で見てくれるそうな。
実は僕、占いって初めてだったのですよ。
そこでこれも何かの縁と思い、

「それじゃ、お願いしようかな?」

占い師は40歳代中ごろの落ち着いた女性。
まずは手相を見ながら、僕の性格や経歴を語り始めました。
それが驚いたことに、
「ゼロから作ることは得意で、変化に乏しい維持が苦手」とか、
「決断力に優れ、協調性に欠ける」、
「本人の意思とは関わりなく、リーダーを任される」など、
初対面とは思えないレベルで言い当てたではないですか。

へぇ〜、大したもんだな。

そこで、これから行く旅のアドバイスをお願いしてみました。
彼女が次に取り出したのはタロットカードです。

手慣れたカードさばきで素早くシャッフルし、
最初に提示されたカードは・・・

Death and Rebirth(死と再生)!

おいおい、いきなりDeathですか?

「いや、悪いカードじゃありませんよ」

そしてその隣にはHremit(隠者)。
いろいろ並べて曰く、

「予定変更はありますが、大きなトラブルはなく、
 奥さまと力を合わせて進めば、いい旅になるでしょう」

なるほど。
それではいつも通りに旅すればいいのね。

5日後に出発するインドネシア、マレーシア、タイを巡る旅。
取りあえず、幸先のいい知らせでスタート・・・

かな?

えーじ

P.S.
いま全型で血液が不足しているそうで。
皆さんもできたら献血にご協力を!
献血ルームのまったりした雰囲気も気分転換にいいですよ。
posted by ととら at 09:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月03日

理屈より直感

昨日。正午の葛飾区の天気予報では、
夕方から風は強まるものの、雨は小降りになるとのことでした。
しかし、時計が17時を周るころには土砂降りとなり、
傘がほとんど用をなさない状態に。

あ〜こりゃ、やっぱり誰も来ないな。

と、アーリークローズを前提に暖簾を出しましたが、
心のどこかに引っかかるものが。

すると19時少し前、常連さんを伴った3名のお客さまが、
強風と豪雨のなか、ご来店されたではありませんか。

いやはや、やっぱり開けて正解でした。

嵐の晩にやっとこさ着いたレストランが臨時休業だったら、
ほんと、がっかりしてしまいますからね。

だから状況とプロファイリングの結果が「誰も来ない」でも、
直感は「いや、もしかしたら」と囁いていたのかな?

やっぱり最後は理屈より直感なんですね。

えーじ
posted by ととら at 09:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年06月02日

商売は心理戦

犯罪捜査で使われるプロファイリング。
実はこれ、FBI捜査官の専売特許ではなく、
僕らお天気商売従事者なら日々やっていることなんですよ。

たとえば今日のように台風が接近している日。
僕らの選択肢は3つあります。

1.通常通り営業する。
2.時短で営業する。
3.休業する。

はてさて、どれを選択するべきか?

営業すれば少なからず売り上げが入る可能性が生まれますけど、
集客しなかった場合は水光熱費だけではなく、
準備したモノと時間が無駄になるかもしれません。

かといって、
休業してしまえば損失リスクこそゼロになりますが、
売り上げが入る可能性もゼロになってしまいます。

そこでお客さまの心理を読むのですよ。

今どき、ほとんどのお客さまは昨夜から今朝にかけて、
天気予報をこまめにチェックしているでしょう。
くわえて主だったニュースがないため、
メディアはこぞって、
「災害級の大雨」とか「災害の危機迫る」という調子で、
危機感を盛り上げてくれています。

そして東京の台風のピークは明日の早朝。
ということは、ここから深夜にかけて、
時間が経つほど天候は荒れてくる。
たぶん、交通機関の混乱を想定し、
早期退社を促す企業も少なくないでしょう。

となると、多くの人のたどり着く結論は、
「早くうちに帰ろう!」

ですよね?

というわけで、僕らの結論もまた「臨時休業する」にするべきか?

と二人して思案したのですが、
もし「帰宅しても食べるものがないし」というお客さまが、
「ととら亭に寄ってさくっと食事をしてから帰ろう」と思い、
せっかく雨の中をやって来たのに閉まっていたら・・・

そう考えて「う〜ん・・・」となってしまいました。

もちろんこの場合、そんな人が5人も10人もいるとは考えられません。
しかし、人数の問題ではなく、
一人でもいるかいないかという気持ちの問題なんですよ。

雨の中で張り紙をみて佇む人。
それを知らず、安全な家の中でくつろいでいる僕ら。
じゃあねぇ・・・

で、最終判断は「時短営業」となりました。
通常通り18時に開けて、どなたもいらっしゃらなければ、
20時にアーリークローズします。

どなたさまもお気を付けて。

えーじ
posted by ととら at 12:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記