2023年09月30日

My old friends

先日、同窓会での再会を機に、
古い友人たちが遠路はるばる来てくれました。
前回は短い時間に大勢と会ったため、
あまり話をできなかった人もいましたが、
今回はゆっくり旧交を温められて良かったです。

学生服を着て、
青臭い日々を精いっぱい駆け抜けた彼、彼女も、
それぞれのその後の人生で、
様々な喜びや悲しみを知ったことでしょう。

今ではみな、当時と違う立場で自分の生活を持ち、
60年という歳月の線上で、2023年の世界を生きています。

あの頃の夢、あの頃の希望。
それらはいま手にしているものと違うかもしれません。

でも、それは消えてしまったわけではないのですよ。

古い友人というのは、ただいるだけで、
青春の日々に置き忘れた、自分の原点を思い出させてくれる。
そんな存在なのかもしれません。

な〜んて感慨にふけっていたら・・・

「え〜じ〜! あたしお腹空いた!」
「あ、あめぇ〜、俺のミートボール取るんじゃねぇ!」

はぁ〜・・・変わってない・・・
というか、進歩してねぇ・・・

そう、古き友というのは、こうした存在なのでございます。

えーじ

witholdfriends.jpg
Big hug to all of you!
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2023年09月27日

ととら亭のお家芸


僕らの専門とは何か?

料理?

と言っても漠然としていますよね。

では、「旅の料理」ならどうか?

ん〜・・・
これもまた分かり易そうでいて、掴みどころがない。

だいたい料理業界は、ジャンルでラベリングされているんですよ。
和食、洋食、フランス料理にイタリア料理ってな具合に。

しかし、ととら亭のように「外国全体が守備範囲」となると、
結局、多国籍料理みたいに玉虫色の表現になっちゃう。
どれもしっくりこないんですよね。

とはいえ、広く浅い範囲の中でも、
比較的、掘り下げている対象もあります。

そのひとつがギョーザ。

最初は成り行きだったのですが、
旅先で出っくわしているうちに、
どんどん引きずり込まれてしまいました。

そういえば、これ、柴又ではまだ特集を組んでいませんでしたね。
というわけで、やってみましょう!

世界のギョーザ特集パート6

今回はアゼルバイジャン、韓国、スロバキアでスタートし、
11月にはキルギス、ドイツ、トルコに切り替えます。

たかがギョーザ、されどギョーザ。
一緒に食の謎を追いかけてみませんか?

えーじ
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2023年09月24日

赤のれんに戻って

今日の関東地方は気持ちいい秋晴れ。
ようやく長かった夏も佳境のようです。

そこで、ととら亭も衣替え。

noren01.jpg

のれんを赤に戻しました。

これ、実に思い入れ深いものでして。
ととら亭はそこかしこに僕らのハンドメイド部分や、
独自にデザインしたものがありますけど、
赤のれんはその代表作でもあるのです。

ときは開業前に遡る2009年7月。
屋号を「ととら亭」に決めた僕らはペルーのチチカカ湖を訪れ、
そこで湖上生活を営むウル族の方から、
トトラ葦で作った船のミニチュアを買ってきました。

totoraboat.jpg

そしてこれを元にデザインしたのが、
のれんに染め上げられているロゴなのです。

logoillust.jpg
(クロッキーノートに描いたプロトタイプのイラスト)

実際の作業は、
手描きした人物をスキャナーで取り込んでベクトルデータに変換し、
船はイラストレーターで描いて合成しました。

次に考えたのはショップカラー。
当初は紺やモスグリーン案もありましたが、
最終的に今の「ととらレッド」に決まったのです。

次に入り口の大きさに合わせてサイズを計算し、
印刷物と同じく、のれん屋さんにデータ入稿して作ってもらいました。

noren03.jpg

納品されたときは本当に感動しましたよ。
これは国でいうなら国旗ですし、
僕らの夢の象徴でもありましたから。

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(2010年2月下旬、野方でオープン直前の写真。
まだ「旅の食堂」ではなく「洋食」になっています)

こんな経緯があるゆえに、
赤のれんに戻すことは僕らにとって、
原点に返るという意味でもあるのです。

えーじ
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2023年09月21日

「何を」ではなく「誰が」の世界

好きな人がすることは、いいことばかり目につき、
嫌いな人がすることは、イヤなことばかり目につく。

周りを見渡せば(もちろん自分も含めて!)
これは特殊なケースではなく、
人間の一般的な傾向だと気づくでしょう。

このバイアスは個人を越えて集団意識でも変わりません。
たとえばナショナリズム色の強いメディアは、
当然のことながら中国や韓国、ロシアが大嫌い。
だから記事は相手のイヤな面ばかりを取り上げているでしょ?
(そしてそういう記事が大好物の人もいる。ね、杉田さん?)

これが国家間ともなると露骨なまでに現れてきます。

北朝鮮やイランが核兵器を一発でも持つことは大反対ですが、
子どもを留学させるほど大好きな欧米が、
人類を数回は破滅させるに十分な量の核兵器を持ち、
かつ弾道ミサイルの実射演習、地下核実験を行っても、
それはオーケー!

ロシアがウクライナの政府を転覆させようと派兵したことには、
日本も含めて多くの国々が反対していますが、
アメリカやイギリスが国連決議を待たず、
自らの理由と判断でイラクに侵攻し、
フセイン政権を追い出したことについてはノープロブレム。
結局、大量破壊兵器なんてなかったのにね。

もっというと、ウクライナ難民はどんどん受け入れても、
エチオピア難民は受け入れないでしょ?

このダブルスタンダードをどう説明します?
まさしく、「何を」ではなく、「誰が」なんですよ。

僕はこのバイアスが日本の社会で透明化していることが怖い。

図書館の国際関連蔵書量に著しい偏りが生じているのも、
趣味の問題とは片付けられない不気味さです。
だから中東やアフリカ、南米の政治的混乱も、
「後進国だから」の一言で納得できちゃう。

先進国がなぜ「先進」なのか、考えたことがありますか?

勉強したから? 努力したから?
それとも遺伝的に優れているから?
さぁ〜、どうでしょうね〜・・・

僕らはね、かなり濃い色の色眼鏡で世界を眺めているんですよ。
いや、僕はここでそれを外せ、と主張しているのではありません。
ましてや自分は色眼鏡をかけていないと、
上から目線で威張っているのでもない。

色眼鏡をかけているんだと知ること。

この認識が、マクロでは国際問題に取り組む土台となり、
ミクロでは実のところ、旅を楽しむ秘訣でもあるのですよ。

えーじ
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2023年09月18日

限界を決めるのは

「もう齢ですから・・・」

若者志向の日本人らしいセリフと申しますか、
最近では僕ら60歳代ではなく、40歳代、30歳代、
いや、なんと20歳代の人がこう言うのを耳にしたことがあります。

そしてこのセリフの後に続くのは、
「××××××なんてもうできません」

Wait a minute, pal!

もし皆さんも同じように考えているとしたら、
ため息をつく前に、これをお聞きください。

Rolling Stones "Angry"

1962年(僕が生まれる1年前!)にイギリスで結成された、
ローリング・ストーンズの現行メンバーは、

ミック・ジャガー(ボーカル)1943年7月生まれ 80歳
キース・リチャーズ(ギター)1943年12月生まれ 79歳
ロン・ウッド(ギター)1947年6月生まれ 76歳

18年ぶりの新作「Hackney Diamonds」からのシングル「Angry」が録音されたとき、
少なくともミックとキースは70歳代の後半ですよ。
それがどうです? このパワー!
まるで30年前の曲だと言われても違和感ないでしょう?
(相変わらず金太郎飴的なアレンジだしね)

確かに彼らはロックレジェンドですが、
僕らと同じ人間であることには変わりません。
そこで、

「もう齢ですから・・・」

こんなセリフをもし彼らが聞いたら、きっとこう言うでしょうね。

「小僧、限界を決めるのは年齢じゃねぇ。
 お前自身なんだよ」

えーじ
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2023年09月15日

青春の街で

還暦。
個人的には大きな意味を持たないものの、
一般的にはやはり人生の大きな節目でしょう。
先日、これを記念して高校時代の同窓会が横浜でありました。

僕は地元を出て長いため、こうした集まりどころか、
旧友たちと顔を合わせるのも稀だったんですよ。
そこで今回ばかりは予定を合わせて出席したのです。

場所は山下公園にほど近いメルパルク。
元町や山下公園は僕らがティーンエージャーだった頃の、
定番デートコースでしたが、
メルパルクも地元の結婚式場として幾度となく訪れた思い出の場所。
(僕が所属していたラグビー部のメンバーが二人就職していたし)

ちょっと早めに着いたので、
山下公園をぶらっと歩いていたら、
十数年分の記憶がフラッシュバックしてきました。

かわいい彼女。
アホな悪ガキども。
青臭いことを精いっぱいやった日々。

やがて気分が小僧に戻ったところで会場に入ってみれば、

・・・?
なんだ、このおっさんとおばさんの集まりは?

「えーじ! 久しぶり! 覚えてる?」

僕を現在に引き戻したのは、この声でした。

そうか、僕もまたハーフおじいさんだったな。

僕はしばし声をかけるのも忘れ、周りを見回していました。

ああ、あれはあいつだ。
あの子は? ん〜・・・分からないな。

こうして過ごした2時間は、
ある意味、今まで経験したことのないものでした。

みんな変わったけど、みんな変わらないね。

柴又へ戻る電車の中で、対面に座っていたのは若いカップル。
彼らを見ていて、僕はようやく理解できたのです。

時間は前にしか進まない。
同時にふたつの人生を生きることはできない。
そして、すべてには始まりがあり、
始まったものはいつか必ず終わりを迎える。

僕は彼らに向かって、心の中でこういいました。

諸君。
だから人生ってのは、ばかばかしいくらい素晴らしいんだよ。
まだ分からないだろうけどね。

えーじ

P.S.
ブイン、どうもありがとう。ミツ、料理おいしかったよ。
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2023年09月11日

Keep on living first life.

先日、60歳になりました。

還暦とは、十二支と十干の組み合わせが一巡し、
人生の暦がリセットされる年齢だそうで。
だから赤いちゃんちゃんこは赤ちゃんに戻る意味もあるそうな。

さらに60歳といえば一般的な職業では定年。
そこから先をセカンドライフと称するのも、
的を得た表現なのかもしれませんね。

とはいうものの僕の場合、人生に一巡はなく、
60年前に始まったファーストライフがずっと続いております。
そう、戻ることはなく、直線状に。

それは多分、
ここまで同じ仕事を勤め上げてこなかったことと、
(転職大王でしたからね、ととら亭の13年が最長記録です(更新中))
子どもがいないので、
夫婦の時計が止まったままだからだと思います。

いや、別に若者ぶってるつもりはありませんが、
感覚的には50歳の時や40歳の時と変わらないんですよ。
もしかしたら、
心の一部は未だに30歳代や20歳代と同じかもしれません。

それは格好良く言うと Forever young なのかな?
でも実際は「成長してないので」のような気もします。
だから Boys will be boys の方が近いのかも。

しかし、齢を取ることには肯定的なんですよ。
とりわけ経験を積み、思慮分別をつけることなんかね。

30歳くらいまでの僕は、
それこそ横浜のラオウかデスラー総統だったので、
あれを今でもやっていたらと思うと、本人ながらぞっとします。

それに齢を取ったからこそ見えてきたこともあるし。

たとえば、個人のスペックとされる学歴や職業、職位や年収が、
結局のところ人生においてどんな意味を持つのか?
とか、組織というのが大なり小なりどういうものなのかも。
(それから結婚も!)

いずれも社会に出たばかりの頃には、
誰かの価値観をコピペしただけで、
今と同じ認識は持っていなかったでしょ?
(ね、ご同輩?)

そしてこの認識が本から学べる知識とは別物であることも、
分かっていなかったはずです。
とどのつまり、自分自身で経験しなくちゃ、
分かってないってことすら分からないんですよ。

だから僕が確信しているのは、
たとえばデロリアンに乗って40年前に戻り、
20歳の自分に、

「えーじ、聞け。世の中ってのはな、
 お前が考えているようなものじゃないんだよ」

こう言ったとします。
すると20歳の僕は次のように応えるでしょう。

FxxK off Grandpa!

そう、確実にね。
(どちらも本人なのでよく分かるのです)

というわけで、60歳というのも、
僕にとって特別な意味があるものではありません。
定年も引退もないし、セカンドライフもない。

60年前に始まった、この長い旅を続けて行くだけ。

終わりの日までね。

えーじ
posted by ととら at 00:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年09月09日

His goal, My goal

僕のジョギングコースは北総線の柴又鉄橋まで市街地を南下し、
そこから柴又公園まで河川敷を走って折り返すというもの。

で、柴又公園では、
軽い筋トレとストレッチをやっているのですけどね、
ここ最近は暑さが厳しく、15時半前後なんて時間帯には、
クレイジーなランナーどころか、
散歩している人すらまず見かけません。

が!

柴又公園にはひとりだけいるのですよ。
それも車椅子でそこまで来て、リハビリに励んでいる人が。

彼は右足に装具を付け、
15メートルほどの距離を、ゆっくり往復しています。

その姿を見て、
僕は左ひざの故障で松葉杖をついていた頃を思い出しました。
あのコンディションからきつさを換算すると、
彼の15メートルは僕の500メートルといったところでしょうか。

何往復しているのか分かりませんが、
彼は自分で決めたゴールに向かって、照り付ける日差しの下、
黙々と歩いています。

いつしか僕らは挨拶を交わすようになりました。

「それじゃまた!」

彼を後ろに残して、僕は再び河川敷を走り始めます。
ときにはこの復路がきつい。
疲労ではなく体温が上がり過ぎているんですよ。
最後の土手を乗り越えたころには頭がくらくらしてきて・・・

しんどいな。体が重い。
走るのをやめて、ここから歩いて帰ろうか?

と、もうひとりの自分が囁きます。

しかし、同時に思い浮かぶのが、
同じ炎天下で黙々と歩いている彼の姿。

彼はまだやっているのかな?
僕よりはるかに厳しいコンディションで。

Goddamn Brother!
分かったよ、僕のゴールはここじゃないっていいたいんだろ?

こうして僕はダレたフォームを直し、
もと来た道を走って戻るのです。

I'm on my way to my goal.

えーじ
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2023年09月07日

母という先生

前々回に話したお母さんですけどね、
よく考えてみると、さらにすごい人だな、と思えてきました。

なぜなら、
息子さんが欲しいと言った本を、ぱっと買ってあげるのではなく、
小遣いを溜めさせたということは、
おカネとは何かを知る以上に、
経済観念と、忍耐、そして自分の欲望を制御すること、
これらも合わせて学習できる機会になるからです。

更にその背景にあるのは、
生きる上で本当に大切なことを人は他人の言葉から学べない、
という認めがたい事実。

すなわち、
自発的な行動とその結果こそが最高の教師なんですよ。

それで昔からいうでしょ? かわいい子には旅をさせろって。

まさにそのダイジェスト版をさらっとやったのか?

ん〜・・・ディープだ。

えーじ
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2023年09月05日

おカネとは何か?

毎日、レジ締めをしていておカネを数えていると、
不思議な気分になることがあります。
それは、

何だろう、これは?

そうか、これは僕らが今日一日働いた結果なんだ。
ならば、

おカネとは何か?

あなたは知っていますか?

それを正しく知る早道は、使うことではなく、
大人なら働くか、子供なら貯めるかなんだな。

そうした意味で、前回のブログで登場したお母さんは、
まさしく実践的な教育者でもあったわけです。

やるね。

えーじ
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2023年09月03日

2枚の千円札

先日のランチタイムで。
中学生の兄弟がお母さんと一緒に来店されました。

まもなく料理が出る前に、
兄と思しき少年がレジ前の棚からギョーザ本を手に取り、

「この本をください」

ん? この子がギョーザ本を読むのか?

僕は一瞬とまどいましたが、

「やぁ、どうもありがとう! 1,980円です」

彼は財布から2枚の千円札を取り出しました。

へぇ、珍しいな。
今どきの中学生が本を読むとは。

なんて思っていたら、帰りがけにお母さんが、

「このまえ来たときに、
 息子があの本を読みたいって言い出したんですよ。
 それなら、お小遣いを貯めなくちゃねって話したら、
 少しずつ節約し始めまして」
「え? じゃ、さっきのお金は君が貯めたものだったのかい?」

彼は照れくさそうに頷きました。

レジの中には何枚も千円札が入っています。
そしてそれは、どこで使っても、1枚千円の価値があります。
しかし僕には、彼が払った2枚の千円札には、
他のお札にはない、特別な「何か」があるような、
そんな気がしてきました。

それは多分、1万円札を使い慣れた大人が、
ずっと昔に忘れてしまった、「何か」なんでしょうね。

えーじ
posted by ととら at 09:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記