僕らは予定どおり、
予定から1日遅れて北マケドニアのスコピエに到着しました。

美しいスコピエの夜景

雑然としていて楽しい旧市街
え? 日本語がおかしい?
確かに。
しかし、バルカン半島に入ったが最後、
「予定どうりではない」のが「予定どうり」なのですよ。
ストをやられまくったイタリア以上にね。
この説明をするには、話を旅の始まりに戻さねばなりません。
ヨーロッパの横断と銘打って、
8月のスペインからアイルランドとイギリスに寄り道しつつ、
東へ進んで参りましたが、
旅のスタイルも変わったもんだなぁ・・・とつくづく思いました。
と申しますのも、
インターネットとスマートフォン、そしてSNSが普及した結果、
旅のデジタル化が急速に進みましたからね。
そのおかげで以前に比べると、旅は大変スピーディかつ便利になりました。
しかし、何ごとも良い面の裏にはその代償がつきもの。
旅のスピードが上がるにつれて、
せっかくの非日常的空間が、仕事並みに気ぜわしくなったじゃないですか。
宿もレストランも早めに予約しないと入れなくなってしまうため、
ヨーロッパが旅行シーズンだった8月と9月は、
1か月くらい先まで段取りを組んでいたのですよ。
そしてそれと同時に人の顔が見えなくもなりました。
たとえばアパートメントを借りる場合、
家主とは基本的にSNSのチャットでやり取りするだけですからね。
加えて、何かわからなくても、人に直接訊くよりスマホで検索でしょ?
そのせいで街を歩き、人に接していた機会が失われ、
ホテルの部屋でPCの画面をにらんでいる時間がドカンと増えました。
こ、これが現代の旅なのか?
と、正直、ため息が出たこともあります。
(あまりにガチなスケジュールだったもんでねぇ・・・)
しかし、ここバルカン半島は違うのですよ。
試しに、GoogleMAP でも Rome2Rio でもいいので、
テッサロニキからスコピエまでの陸路移動手段を調べてみてください。
いかがです? ネットでバスチケットを買えますか?
というより、どこからどう出てるかすらわからないでしょ?
これがアルバニアのティラナからコソボのプリシュティナ行きともなると、
皆目見当もつかないと思います。
そう、バルカンは2024年の今でも、
還暦バックパッカーが育ったアナログ時代のままなのですよ。
そこで昨日、アテネから鉄道でテッサロニキに移動し、
スコピエまでのバスを探してみると、
以前の旅行代理店はもう扱っておらず、説明された別会社に行ってみれば、
閉まってる。
ドアには営業予定が張り出されており、
日曜日は18時から20時までしか開いていないとのこと。
仕方なく懐かしのテッサロニキ駅で4時間粘り、
開いたところで「スコピエまで行きたいのですが」といえば、
「今日はありません」
それじゃってんで翌日の午前便のチケットを買い、
急遽テッサロニキの宿を探すと、
折り悪く、国際映画祭とバッティングしており、
市内は一泊400ユーロを超える高級ホテルすらほぼ空きがない状態。
そこでまた仕方なく14キロ離れた空港まで退却して、
なんとか一夜のホテルに滑り込み。
そして今日、ようやく予定どおり、予定より遅れて、
僕らは7年ぶりにスコピエの地を踏んだというわけです。
ここから先は西ヨーロッパと違い、
着いたバスターミナルで次の目的地までの移動手段を確保し、
次にその街の宿を予約する。
こうして一つずつコマを進める、出たとこ勝負の旅に戻れます。
不便で効率の悪い旅。
ふふ、こうこなくっちゃねぇ。
to be continued...
P.S. おまけです。
懐かしのスコピエバスターミナルは、まったく変わっていませんでした。

7年前、夜行バスで移動する日に僕が熱を出し、
へろへろで座り込んでいたベンチもあのときのまま。
夜に野良ネコ軍団が大暴れするホラーな安宿だってまだありました。
そこでふと思い出したのが取材したレストラン。
もしかしてまだあるかな? と行ってみたら、

Gostilnica Lezet
お、ありました!
ならば北マケドニア再会を祝う食事はここで。
(そういえば当時の国名はまだ「マケドニア」でした)

あっさりしつつもコクのあるビーフスープ

マッシュルームとチキンのレモン風味のカレークリーム煮
いやぁ〜、実においしかったです。
というか、人生ってほんとにわかりませんね。
具合が超わるく、移動前にスープをすするのがやっとだったとき、
まさか7年後にこうしてリベンジできるなんて、
夢にも思いませんでしたから。
うれしかったですよ。
いま、ここで、こうしていられることが。

旧市街で100年以上続く老舗のケバブ屋で