2024年10月01日

第24回取材旅行 その22

Guten Tag!(グーテンターク!)

というと、またドイツに戻ったのか?
そう思われてしまったかもしれませんが、
僕らが滞在しているのはリヒテンシュタインの首都ファドゥーツ。
アンドラ、ルクセンブルクに次ぐ、ヨーロッパの小国のひとつです。

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首都ファドゥーツの遠景

国土の面積は160平方キロメートルで小豆島くらい。
人口は約4万人で、東京都民の1/3。
首都といっても日本でいうなら郊外の新興住宅地といった趣きで、
何とものどかな雰囲気です。

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ファドゥーツの中心を貫くアオイレ通り

ヨーロッパ諸国の歴史は日本に比べると非常に複雑ですね。
国境線の変更や国家の興亡、分裂、合併が繰り返された結果、
国名と民族名が一致していないケースも珍しくありません。
ここ、リヒテンシュタインもまたその例にもれず、
国民のほとんどはドイツ系。
故に公用語はドイツ語なのですよ。

ぶらっと歩いていて不思議だったのは、その経済的な豊かさ。
僕らはスイスのサルガンスからバスで入国しましたが、
(ほんの30分でファドゥーツ着)
その間、低所得者用の住宅をまったく見かけなかったどころか、
どの家もみな立派なこと!
まるで国民全員が社長さんなのかしらん? といった感じ。

一般的には内陸国で地下資源がなく、
人口も少ないと経済は厳しくなるものですが、
アンドラやルクセンブルクも含めて、
ヨーロッパの小国は例外ですね。

まぁ、タネを明かせば、
モナコも含めてタックスヘイブンがそのカラクリの中心で、
いずれも法人数が人口より多いとまでいわれていますけど、
(だからリヒテンシュタインでは、所得税、相続税、贈与税なし)
それでも貿易黒字の数字を見ると、
あながち楽して儲けているだけとはいえない側面もあります。

なかでもリヒテンシュタインが違っていたのは、
中東系、アフリカ系の移民をまったく見かけないこと。
こうしたリッチ国家では、
肉労系の労働者を移民で賄うのがよくある話ですが、
(最近は日本もね)
少なくとも僕らが移動したサルガンス、ファドゥーツ間では、
白人以外が工事現場で働いていることはありませんでした。
(東欧から来た白人系移民の可能性もありますが)

さらにユニークなのが、
国家元首であるハンス・アダム2世の食い扶持。
日本の皇族は僕らの税金で生活していますけど、
リヒテンシュタイン家は自前の資金で悠々自適だそうな。
それもそのはず、どこでどう儲けたのか知りませんが、
彼の資産はヨーロッパの数ある君主の中でもトップクラスの、
約5500億円とは!

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リヒテンシュタイン公の住むファドゥーツ城

ちなみにリヒテンシュタインはEUに加盟しておらず、
通過もユーロではなく、
いろいろな意味で緊密な関係を持つスイスのフランを導入しています。

ここでこの旅の渡航国は14か国目。
それぞれの国を見ていると、
ヨーロッパと一言では括れない違いがありますね。

豊かさとは、いったいどういうことなのか?
そして、豊かだといわれる国が、なぜ豊かであるのか?

冬の入り口の北風が吹くファドゥーツを歩きながら、
僕はまた答えの見えない疑問を考え始めていました。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 19:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記