2025年01月31日

第25回取材旅行 その2

今日のクウェートシティは晴れ。
というか、場所がら天気予報はず〜っと晴れ。
気温は最低が10度、最高が20度と、
東京の4月中旬の陽気といったところでしょうか。
朝、近くのカフェに行ったときはちょっと肌寒かったくらい。
空気が乾燥しているため、とても過ごし易いです。

blueportview_kw.jpg

日本との時差はマイナス6時間。
僕がこれを書いているのは現地時間9時35分ですから、
日本は15時35分というわけですね。

クウェートといえば日本では湾岸戦争で知られた国ですが、
あれから35年たった今、市内の中心部を見る限り、
戦争の痕跡はまったくありません。
立ち並ぶ高層ビル群がおしなべて新しいことから、
街全体が「再開発」された感じですけどね。

nightview_kw.jpg

鉄道はなく、完全な車社会。
そのせいか歩行者のことはあまり考慮されておらず、
道路を渡るなら気合と体力が必要です。
ま、そもそも歩道をてくてく歩いていたのは、
一部の労働者と僕らくらいでしたが。

人口構成も湾岸諸国のご多分に漏れず、
クウェート人は45パーセントくらい。
ブルーカラーの殆どは、他の国のアラブ人かインド、ネパールなど、
南西アジア諸国出身の外国人です。
(僕らが入国したときも、
ネパールからの集団就職組と思しき女性たちが列を作っていました)
経済は極端な石油中心のモノカルチャーのため、
スーパーマーケットに並ぶ商品はほぼすべてが輸入品。
食料自給率なんて10パーセント未満ではないかしらん?

それから、今回の出発にあたり、
異口同音に聞いた「大丈夫ですか?」の治安ですが、
この2日間に限って言うなら東京と何ら変わりません。
反対に、日本での生活より強く感じたのが人々のフレンドリーさ。
東洋人の旅行者が珍しいからかな?
とにかくそこかしこで声をかけられます。
昨日1日だけでも何人から挨拶されたか覚えていないくらい。
当然、飲食店のスタッフもおしなべてラブリーで、
とても親切なのですよ。

たとえば昨日のランチで入ったローカル食堂で。
思ったとおり、英語のメニューがなく、
さて、どうしたものかと考えていたら、
スタッフのお兄さんが片言の英語で説明してくれました。
そこでありついたのが、こんな料理。

localfoods_kw.jpg

アラブ風のキーマと、フムス、
そしてシュクシャカと思しきスクランブルエッグ。
これをピタパンと一緒に頂くのですが、そのおいしいことといったら!

そこへ不意にやってきたのが、
ともこの後ろのテーブルで食事をしていた若いご夫婦のご主人。
彼も片言の英語でがんばり、

「どこから来たのですか?」
「日本ですよ」
「やぁ、そうですか、いつか仕事で行けたらと思ってます。
 ここの食事はいかがでしたか?」
「どれもすごくおいしかったです。僕らは中東の料理が大好きでして」
「それはよかった!
 で、クウェートは初めてでしょう?」
「ええ」

続けてスマホを取り出し、

「メモできますか?」
「・・・?」
「僕の電話番号を教えますので、
 もし滞在中に困ったことがあったら、いつでも連絡してください」

こうして彼は最後に名前を告げて去っていったのですが、
本当のサプライズはこのすぐ後でした。

「おいしかったね!」
「ああ、お腹いっぱいだ。食べすぎちゃった。
 じゃ、ここはキャッシュで払ってくるよ」

とキャッシャーに行くと、
さっきのスタッフが何やら意味深な笑顔を浮かべています。

「シュクラン(どうもありがとう)。 会計をお願いします」
「終わりました」

・・・? 言葉が通じてないのかな?

僕はもう一度、「Check, please」と繰り返すも、
彼はまだその表情のまま、「It's dune.」

「いやいや、僕はまだお金を払っていませんよ」
「ええ、お金は彼が払いましたから」
と走り去ろうとする自動車を指差したではないですか。

あいやぁ〜、気付かない間にご馳走になってしまったとは!

その後、彼の電話番号あてにWhat's Upでお礼のメッセージを送ると、

「いや、お礼には及びません。
 クウェートのホスピタリティを知っていただきたかったでけですよ」

との短い返信が。

僕らが取材先の料理を可能な限りリアルに再現しようとする思いは、
現地でのこうした経験に後押しされているからなのですよ。
ささやかな恩返しとして・・・ね。

さて、今日も頑張って料理を探しに行きますか!

to be continued...

えーじ

withpeople_kw.jpg
ローカル食堂のスタッフたちと。
中央の彼はスリランカ出身で、来月に里帰りするとのこと。
Have a good trip!
posted by ととら at 01:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月29日

第25回取材旅行 その1

Assalamu alaikum!
(アッサラーム アライクム!(こんにちは!))

僕たちは予定どおり現地時間、昨日の午前10時5分に、
クウェート国際空港に到着しました。

というと、無難な振り出しに聞こえますが、
例によって「想定外が想定内」は僕らの旅のお約束。
そこをお話する前に、まずは時計を27日(月)の夜に戻しましょうか。

青砥駅を発着するスカイライナーの時間が微妙なため、
(16時〜18時間がすこんと抜けているのですよ)
チェックインの3時間前に成田空港第2ターミナルへ。

ここで余裕を持ったのは、もうひとつ理由があります。
それは食事。
成田空港第2ターミナルは出国してしまうと、
飲食店が極端に減ってしまうのですよ。
しかもほとんどの店のラストオーダーは21時。
くわえて値段の高さは外国並みときているでしょ?
そこで早めに行って、選択肢が多く、
値段も妥当な出国前のお店でゆっくりディナー。

これ、外国の空港に行くと毎回思うのですが、
日本の国際空港って、なんでこうも飲食店が少なく、
その営業時間が短いのでしょうね。
ま、成田空港は24時間営業でないから仕方ないにしても、
羽田空港で夜間や早朝のフライトのときは、かなり不便なんですよ。
以前、ホットドッグくらい齧って行こうか、と思ったら、
僅かに開いているお店に乗客が殺到し、
40分並んで買ったことがありました。
以来、こういう時間帯の場合はコンビニのサンドウイッチが定番です。
せっかくの旅の始まりに、さみしい話ではないですか。

さて、そんな思いを吹き飛ばしてくれたのが機内食。
今回お世話になったカタール航空さんの、
以前と変わらない、
いや、それを越えるホスピタリティーには感激しました。
日本発の便にもかかわらず、
出てきたチキンビリヤニのおいしさといったら、

airmeal_qa.jpg

ふたりして思わず「こ、これはっ!」とうなる本格派じゃないですか。
機内食ケータリング企業の努力は並々ならぬものがありますね。

と、感動しつつも食べ終わった僕らはこれまた予定どおり気絶。
気が付けば、着陸2時間半前の朝食です。
そしてこれまた眠さを理由にパスしちゃ後悔する、
おいしいパンケーキのスウィートポテトピューレ添え。
こうして12時間30分のフライトタイムもあっという間に過ぎたのでした。

久しぶりのハマド国際空港は10周年記念でイベント中。
以前の不便な離れ小島型ターミナル群を知る身としては、
まさしく10年一日でしょうか。

airport_qa.jpg

謎のイエローベアーが鎮座する近未来型空港は、
そのファッショナブルなデザインもさることながら、
機能的に充実しており、
何より飲食店が豊富なところがいいですね。

で、クウェート国際空港です。
着陸した滑走路はいかにも中東らしい、埃っぽく殺伐とした様子。

airport_kw.jpg

そしてターミナルに入ったところで予想どおりの展開に・・・

「え? なんだこりゃ、出発ゲートじゃん」

そう、一般的にはボーディングブリッジを渡り、
ターミナルに入ったら、「Arrival」なり「Transit」のサインに従って、
通路を進んで行くでしょう?
ところがそこはお店が立ち並ぶ出発ゲートのフロア。
こういうのは以前トランジットで通過したコスタリカやパナマなど、
中米の空港であったきり。

で、ごちゃごちゃした中から「Arrival」サインを見つけ出し、
そこへ向かったときに目に入ったのが「VISA Insurance」のサイン。
しかし「おや?」と思いつつ「Arrival」サインに導かれて階下へ。

「あれ、どこでVISA代を払うんだろう?」

そう、クウェートのVISAは審査型ではなく、
エジプトやオマーンと同様の単純な入国料の支払いなのですよ。
自販機で印紙を買うとの情報もありましたが、
そんなものはどこにもありません。

「お、あそこにVISAカウンターがあるぞ!」

と近寄ってみれば、ブースの中は誰もいない。
そこで通りがかった警察官に、

「すみません、VISAはどこで申請するのですか?」
「上のフロアです」

なんと! さっき見かけたショップ街の前にあったところか!
で、そこへ戻ると入り口に申請手順が書いてあり、

1.整理券を取る
2.パスポートを自分でコピーする
  (その表示の左横にボロいコピー機がありました。無料)
3.申請用紙に記入する
  (右側に記入台あり)

次に窓口へ行って並んだら、フロアにいたスタッフが、

「番号が表示されますから座ってお待ちください」

なるほどブースの上には役所や銀行の窓口よろしく、
整理券番号が表示されています。

しかし番号は僕らのものより大きい数字。
どうやら申請用紙の記入に手間取っていたら、
スキップされてしまったようです。
そこで整理券を取り直してリトライ。

窓口でパスポート、パスポートのコピー、申請用紙、
クレジットカードを出し、料金はひとり9ドルとのこと。
やがてパスポート情報が記載されたA4の書類を渡され、
スタンプをポン。
さらにパスポートにも入国スタンプが押されていました。
で、「レシートを下さい」といえば、
「紙が詰まりました」とジャムったターミナルを見せられて終了。

さんきゅうべりまっち。

次にその書類を持って隣のブースへ行けば、
素早くスタンプの有無だけ確認して、
別の丸形スタンプを押したかと思うと、
「下へ行ってください」

visa_kw.jpg

う〜む、イミグレへ行くのはいいのだけど、
パスポートはすでに入国スタンプが押されているから、
意味があるのだろうか?
エジプトやオマーンでは、支払い証明書かシールをもらい、
それをイミグレで出してスタンプを押されたけど、
ここはどうなってるんだ?

と、並んでみれば、僕らと同じ運命だったと思しき白人旅行者が、
巡回している警察官に何かを尋ね、
普通はありえないイミグレブースの間にある隙間のような通路を抜け、
ノーチェックで行ってしまったじゃないですか。
案の定、僕らもさっきの書類を見せると、
「バイバイ!」の一言で以上終了。

遅れて着いたバゲッジクレームでは、
既に僕らが乗った便のターンテーブルは終了しており、
哀れなふたつのバックパックは部屋の隅に積み重ねられていました。

とまぁ、こんな具合で入国の流れというのは前情報が乏しく、
結局のところ、現場で臨機応変に切り抜けるしかないのですよ。

そうしてようやくアライバルフロアに出た僕らですが、
「待っていた」のは、
予約していたタクシーのドライバーが「待っていない」逆説的状況。

ったくもう! とWhat's Upでコンタクトしようとしたら、
国際空港なのにフリーのWIFIがないじゃん!
がっでむ! と毒づいて電話回線経由でインターネットに接続し、
メッセージを送ろうとしたら、どういうわけか通信エラー。
さなばびっち! と暴言レベルを上げれば先方からWhat's Upのコールがあり、
「Hello!」といえども応答なし。「Can you hear me?」と続ければ、
向こうは向こうで「Hello. Hello. Where are you, Sir?」と繰り返すばかり。
まざ〜ふぁ×××!とついにF系で通信を切り、
再度こちらから電話でコールするも、今度は呼び出し音が鳴らず。
しかし、ここで向こうからかかった電話に出たら、

「Where are you, Sir?」
「I'm waiting for you in front of the arrival gate!」
「Oh, I see, I see you!」

そういいながら近づいてきたのは30歳代のアラブ系。
こうなると想定していたので、
予約したときに、見つけやすい場所で、
僕の名前を表示していてくれと伝えておいたのですけどね。

ま、ここは中東。
インシャラー(神の御心のままに)の世界ですから、
郷に入れば郷に従うしかないのでございます。
はてさて、これからどうなることやら・・・

to be continued...

えーじ

boarding_qa.jpg
posted by ととら at 15:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月27日

第25回取材旅行の準備 その3

取材旅行出発前のドタバタはお約束ですが、
今回はそれにメニュー替えや年末年始の営業も重なって、
いつも通りの寝不足に。

となれば、機内食を食べて気絶するのもシナリオどおりかな?
毎回こんな調子なので、飛行機に乗るとほっとするのですよ。
やれやれ、これでひと段落ついたな、と。

そうなれば、目の前の旅に集中することが出来ます。
今回の渡航先、クウェート、バーレーン、サウジアラビアは、
いずれも初めて行く国ですから、
意識が散漫だと、どこでしくじるかわかりません。
いくら旅慣れていても、油断すればルーキーと同じですからね。
とりわけサウジはこれまで訪れたどの国とも習慣が違うようなので、
両替や食事、公共の場での振る舞いなど、
ちょっとしたことでも要注意。
ま、落ち着いて行きましょう。

今日のフライトは21時55分発。
今回お世話になるのはカタール航空さんです。
ドーハを経由するのは久しぶりだな。
最後はコロナ前のいつだったかしらん?
新しいハマド国際空港はファシリティが充実していて、
トランジットも楽しみなんですよね。
往路の滞在時間は4時間あるから、ゆっくり様子を見れるかな?

それでは行ってきます!

えーじ
posted by ととら at 09:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月26日

それぞれの正解

「次はベトナムに行くんですよ」
「この前、トルコへ行ってきました」

ととら亭は旅の食堂。
となれば、自ずと旅人たちが集まってきます。

「9月にニュージーランドへ行こうと思って」
「もしかしたら仕事でモルドバへ行けるかも」

その彼、彼女たちから聞く、それぞれのストーリーは、
いつも新鮮で、期待に満ちたものばかり。

そして、そのスタイルもさまざまです。
パックツアーに参加される方、
現地の家族を尋ねるという方、
それから僕らのような個人旅行も。

そんな中で、ときおり、
「外国は怖いから・・・」
「英語が話せないから・・・」
とパックツアーに参加することを、
ちょっと後ろめたくおっしゃる方もいます。
そして、続く、
「個人旅行なんて、スゴイですね」というお褒めの言葉。

でもね、旅のスタイルに、
良し悪しも、優劣もないんですよ。
それぞれの人に、それぞれの人生があるように、
それぞれの旅がある。

言い換えれば、旅のスタイルに唯一の正解なんてありません。
あなたの選んだ旅が、あなたの正解なのです。

それは行き先にも当てはまり、
僕らにしても外国の料理を紹介するという手前、
話題は海外に偏りがちですが、
外国専門というわけではありません。
そう、海外旅行だけが旅ではない。

「このまえ行った天草はとっても良かったの」

こう楽しそうに話していた方がいらっしゃいました。
それを受けて、

「いやぁ、長崎はいいですよね!
 僕もライダー時代に何度か行きました。
 特に天草パールラインで見た夕焼けは格別だったなぁ」

さらにそれは遠出に限らず、
住み慣れた街の、歩いたことがない道を散歩することだって、
ひとつの旅になり得るでしょう。
たとえば仕事の帰りにひと駅前で降り、
スマホを見るのではなく、気の向くままに歩いて自宅を目指すとか。
そこにはきっと、何年住んでも気付かなかった、
小さな発見があるはずです。

そして究極的には、
病院のベッドに寝ながら空を見上げ、心の旅ができること。
それは僕にとって、ひとつの理想に他なりません。

そう、それぞれの旅が、それぞれの正解なんですよ。

えーじ
posted by ととら at 15:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月23日

A Farewell to violence and dirty money

学校で教えてくれない歴史とは、
いま、目の前にある現実でもあります。

それは、人類の秩序が平和的な話し合いやフェアな取引ではなく、
暴力と脅迫によって作られ、
次に暴力がお金にとって変わられたという事実。

そしてそれは野蛮な中世の話ではなく、
人類を100回滅亡させてもまだ余る核兵器を作り出した今でも、
秩序が入れ替わるたびに繰り返されている。

その残酷な誕生のプロセスは、
ウクライナやパレスチナで、今まさに進行中です。

これに新自由主義を具現化したアメリカが、
よりスマートに、おカネで参加し始めました。

民族主義の名のもとに憎悪を煽り、
経済的繁栄の御旗を掲げて強欲を賛美する。
そう、隣人も、自然も、
自分の銀行口座の数字に寄与する要素でしかない。

おもしろおかしく生きて行ければいい。
他人なんてどうでもいい社会。

僕たちが望んでいるのは、そんな世界なのでしょうか?

いや、まだ選択肢はある。

僕はそう信じています。

Are you stay with me?

えーじ
posted by ととら at 09:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月20日

旅という教室

先の長旅についてはいろいろなご質問を頂戴しておりますが、
ちょっと前にお話した「いちばん良かった場所」に次いで多いのが、

何にいちばん苦労しましたか?

僕らの旅の場合、苦労はフツーに付きものですから、
(残念ながら)
今さら1番も2番もないのですけど、
今回、かなり手を焼いたのが旅行シーズンに伴う「大混雑」。
これは想定を大きく上回っておりました。
いやぁ〜、7月から9月のヨーロッパがあんな状態とはね。
とにかくどこもかしこも混んでいて、
出たとこ勝負ではどうしようもありません。

そこで仕方なく、事前に宿や交通手段から、
レストランまでブッキングしまくったものの、
今度はそれが仇となって、
スケジュールは融通の利かないがちがちに。
レンタカーで移動していたときなど、疲れて一泊したくても、
予約した宿のある街まで根性で走らねばならなかったり。

レンタカーといえば、これも大失敗でした。
いや、ディーゼル事件の件ではありません。
ヨーロッパの道路があんなに混んでいるとは知らなかったのですよ。
しかも皆さん、えらいスピードで走っていますから、
よそ者の僕がとろとろやっていると煽られる、煽られる・・・

さらに取材といえば古い飲食店の多い旧市街でしょ?
で、旧市街といえば、文字通り「旧い」街ですから、
道路は現代の自動車ではなく、歩行者や馬車を基準に作られています。
その細く曲がりくねった道を走ることの恐ろしさといったらもう・・・
ボディをこすりそうになるだけではなく、
突然、狭い路地から電動キックボードが飛び出してきたり。
加えてトラムがやたらと走っているじゃないですか。
軌道内を走行中、あれに追いかけられたときなんか、
生きた心地がしませんでした。
ほんと、よく無事故で戻れたものです。

取材そのものでの苦労といえば、
いちばん大変だったのが、お目当ての料理のあるレストランを探すこと。
郷土料理であればどこにでもあるというわけではなく、
場合によっては、街中がファーストフード店ばかりになっていて、
なかなか、ここだ! という店が見つからないのです。
ボスニアやイタリア、モロッコなど、
簡単に探し出せた国もあれば、
イギリスやモンテネグロなど、
かなり難航したケースも珍しくありません。

そして取材といえば、やはり問題だったのが一皿の量。
クロアチアのザグレブで入ったレストランなど、
場合によってはととら亭の量の4倍はありましたからね。
あれはマジできつかった!

そんなこんなで、
とにかく苦労の絶えない4カ月間ではありましたが、
そんな想定外も想定内なのが僕らの旅。
今から思えば、そうしたハードルを乗り越えたプロセスもまた、
いい思い出のひとつです。
次はこれらから学んだ教訓を活かし、
より密度の高い旅をして行きたいと思います。

えーじ
posted by ととら at 00:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月17日

第25回取材旅行の準備 その2

旅の準備といえば、まず渡航先の文化と料理の下調べ、
そして航空券の手配から、
VISAや保険など入出国に関する手続きとなりますが、
忘れてはならないのが体の調整。

僕らの場合、バックパッカーなので、
一般的な旅行より身体能力が求められるのですよ。
なんといってもメインザックの重さが約17キログラム、
サブザックが約8キログラム、
これに挟まれたサンドウイッチマンスタイルで旅をしていますからね。

sandwichmen.jpg

というわけで61歳にして、
筋トレやらジョギングやらやらねばならんわけですが、
体の仕上がりの目安となるのが体重と運動時の心拍数。
いつぞやお話しましたように、僕はもともとひょろひょろ君ですので、
旅の出発前には筋肉量を3キロ前後増やさねばなりません。
なので、もうちょい上げて68キログラム前後を目指しています。

それから階段ダッシュを入れたジョギングで、
最大心拍数を150bpm以下にする。
(体がダレた状態だと180くらい打ってしまう)
これは完全に調整が終わると、安静時に55bpmくらいまで下げられます。
(入院してた時に50くらいまで下がり、死にそうだと思われたことも)

この基準に照らすと、今日現在、出発前10日にして、
仕上がりは65パーセントくらいでしょうか。
このまま続ければ、まぁ、どうにかなるかな?
今回のルートで高地はありませんし、
長距離徒歩移動やフル装備ダッシュなど、
あまり過激なことはやらなくて済みそうなので。
(たぶん・・・I hope so.)

さいわい健康診断の結果は二人ともオールグリーン。
今の年齢にしては上出来でしょう。
これをいつまで維持できるかな?
ん〜・・・ここ4、5年のうちに、
アフリカや南米など、しんどいところはクリアしておきたいなぁ。

旅の食堂などというのは因果な商売でして。
日本にいても、外国にいても、
体が資本なのでございます。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 12:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月14日

第25回取材旅行の準備 その1

長い旅の余韻も冷めやらぬうちから、
パラレルで進めていたのが中東の旅の準備。
当初はもう少し後でと考えていましたが、
昨年末、シリアのアサド政権が崩壊し、
アラビア半島はさらなる混迷の瀬戸際に・・・
そこで急遽、前倒しして行かねば! となったのでございます。

まぁ、圧制者が去って地に平和が訪れた、
こんなハリウッド映画のようなシナリオになればいいのですけどね。
シリア料理は隣国のレバノンと並び、
以前から調べてみたいと思っていましたから。

ところがイラクやリビアの例を鑑みますと、
前政権が封殺していた他勢力同士の権力争いが先鋭化し、
圧制より悪いカオスになってしまうこともじゅうぶん考えられます。
どっちに転ぶかは現時点で誰も何とも言えないでしょう。

今回のルートはカタールのドーハを経由し、
クウェート、バーレーン、サウジアラビアと周るもの。
急がねばと思った理由はサウジで、
シリア情勢には深くイランが関与しており、
イランはイスラエルの宿敵、
イスラエルの宿敵といえば、
パレスチナのハマスやレバノンのヒズボラのほか、
イエメンのフーシ派がおり、
フーシ派はイランと連携してサウジと敵対している。

つまり、シリアというドミノを倒すと、
先に挙げた関係者が連鎖的に反応する可能性があり、
そうなれば地図を見るまでもなく、
アラビア半島全体が危険なムードになる可能性が高いのです。

別の要素として、かつてムスリムに改宗するか、
ビジネスビザを取る以外に入国できなかったサウジが、
いつまた入れなくなるかわからない、というのもあります。
観光ビザを出すようになったのもついこの前、2019年のことなのですよ。
しかも国の全権を掌握するのはたったひとりの王さまですから、
(サルマン・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード国王)
いつまた「やっぱ、やぁ〜めた!」と心変わりするかもしれない。
というわけで、行くなら早いに越したことなし。

期間は1月27日(月)から2月12日(水)の17日間。

はてさて、どうなることやら。
いま以上に不確定要素が増えないことを祈りつつ、
準備を進めて行きたいと思います。

All we need is PEACE.

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 11:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月10日

長い旅を振り返り

ヨーロッパ横断の旅から戻って1カ月。
しかし、本当の区切りがついたのは昨日でした。

旅は実際に現地を移動している期間だけではありません。
その準備から、帰国後の整理を含めて、
ひとつの大きな流れを作っているのです。

とりわけ今回のように生活と仕事が一体化した長い旅は、
さまざまな前後のすり合わせが求められ、
クロスフェードの期間もそれなりに長くなりました。

帰国後のみを振り返っても、
まず日本での生活と、ととら亭の再起動に始まり、
病院巡りによる体調チェック、
今回はそれに旅のメニュー替え(世界のギョーザ特集)と年末年始営業、
最後にもう一度メニュー替え(スウェーデン料理特集)があり、
これらが終わってようやくひと段落となったのです。

もちろんこれが完全に終了という意味ではなく、
フェーズ2として4か月に及ぶ膨大なインプットを取りまとめ、
個別のテーマでアウトプットして行く作業がありますけどね。
これは国内での通常営業とパラレルで進めて行く予定。

で、肝心のフェーズ1の評価ですが、
初めての試みにしては上出来だった、と自己評価しております。
ま、ご存知のとおり、あれこれアクシデントはあったものの、
「想定外は想定内」が僕らの旅。
いずれも基本技である「柔軟な発想と粘り強い行動」で、
何とか切り抜けられましたから。

帰国後から昨日までの期間も、
ゼロからの再起動が10日間でできるか、
感染症が流行るなか健康をキープできるか、
リソースに余裕がない状態で繁忙期を越えられるか、など、
いくつかの不安要素はありましたけど、
結果的にいい形で着地できて、ほっとしております。

これらから得られたフィードバックを活かし、
次の旅をよりブラッシュアップされたものにしたいと思っています。
まずは今月27日スタートの中東3カ国を巡る取材旅行。
シリアの政変を受けて予定をだいぶ前倒ししたため、
かなり忙しい準備となっていますが、
まぁ、何とかなる・・・でしょう。

今年も早々に新しいことへのチャレンジの始まりです。

えーじ
posted by ととら at 09:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月07日

旅の入り口

「海外旅行に行きたいのですけど、お勧めの国はありますか?」

ここ最近、柴又でも30歳前後の若手のお客さまが増えてきました。
そこでしばしば頂くのがこのご質問。

ふ〜む・・・
まだ経験の浅い彼、彼女たちにどこを勧めたらいいだろう?

「そうだね、ちょっとコストは高いけど、北欧はどうだい?」

実際、僕も自分が旅したときに、
ああ、ここはぜひ若い人に来てほしいなぁ・・・
と思ったものです。
なぜなら、この美しい国々という鏡に映った日本の姿は、
きっと既存の印象を変えるだろうから。

日本はG7(主要国首脳会議)の中の一国。
当然、「先進国」だという自負を、
ほとんどの人が持っているでしょう。
しかし、北欧5カ国のリアルな姿を目の当たりにしたら、
そう安穏としてはいられなくなるかもしれません。

一般的に「福祉が進んでいる」という印象は持たれていますけど、
それは氷山の一角に過ぎないのですよ。
経済から、労働の質、教育、人権、政治、医療など、
広い範囲で驚くほど先に進んでいる。
取材前の下調べである程度は把握していたものの、
実際に現地でその現実を垣間見たとき、
これほどまでに引き離されているとは思いませんでした。

たとえばノルウェー人の平均収入は、日本人の約1.6倍。
では彼らが僕らを上回るワーカホリックなのかというと、
労働時間は逆の0.8倍という数字が出ています。
(いずれも2018年に各国のゼネラルインフォを調べたものですが)
確かにデンマークでも17時となるや、続々と人々が帰宅して行く。
まるで「残業」という言葉を知らないかのように。
ちょうど夏至の頃に訪れたスウェーデンでは、
観光客が溢れる書き入れ時にも関わらず、
長期休業に入っているレストランをしばしば見かけました。
(1年で一番いい季節を家族と過ごすために!)
とにかくワークライフバランスが違い過ぎる。

教育もそう。
全員が同じ教育を同時に受けることが「平等のモデル」である日本に対し、
彼らは個々人の学習速度に応じて個別にカリキュラムを組んでいる。
だから自ずと落ちこぼれる確率も低い。

人権に至っては、日本が今ごろ議論しているLGBTQの問題も、
スウェーデンではさっさと半世紀前に差別を禁止する法案を通している。

僕はここで自国を卑下するつもりはありませんが、
たとえば少数民族の言語を人口比率に応じて公用語にしている件だけでも、
沖縄で琉球語を、北海道のアイヌ人口が多い地域でアイヌ語を、
それぞれ公用語にするとしたら、どれくらいの時間がかかると思います?
(そもそもその気はないかもしれませんけど)

繰り返しになりますが、僕は若者に劣等感を植え付けようとして、
北欧を勧めているのではありません。
僕たちはけしてベストではない、と知ってほしいだけ。

それはつまり、成長の余地があるという意味であり、
また、現状の行き詰まりで絶望することはないのだという、
メッセージでもあります。

あ、話がマクロになりました。

そんなわけで、未来への扉のひとつになればいいな、
と思ってやります。

スウェーデン料理特集

ここから君たちの旅が始まりますように。

えーじ
posted by ととら at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月04日

今年の抱負2025

今年の抱負。

これをお仕事風にいうと「事業計画」になりますが、
僕らの場合、予定を線表に落としたところで絵に描いた餅なんですよ。
それと申しますのも、
全体を通して自力ではいかんともし難い要素が多いため、
細かい計画を立てても、
結局、最後は出たとこ勝負になってしまうから。

たとえば先のヨーロッパ横断旅行。
8月5日の出発時をプランAとしますと、
12月9日の帰国時にはプランJになっていたじゃないですか。
そう、計画変更は数えること9回!

詳細はブログ「第24回取材旅行」シリーズに譲るとして、
鉄道やフェリーのストライキによる欠航や、
僕らの体調不良など、
いろいろな理由からルートを変更したり、
ホテルや交通手段の再ブッキングを強いられていたのです。

とはいえ、沈没したり迷走したりしていたわけではありません。
変えていたのはあくまでも手段であって、
旅の目的そのものは、最後までブレませんでしたからね。
今はその成果を少しずつまとめているところです。

さて、このように的を広げたレベルであれば、
今年も旅のインプットに軸足を置いて行きたいと考えています。
まずは今月末の中東3カ国と、
それに続く6月のボルネオ島の取材で外堀を埋め、
9月末から来年1月にかけての中東‐アジア横断で、
ユーラシア大陸の旅を一時終了しようと思っています。

それから忘れちゃいけない旅のフィードバック。
来週の水曜日からスウェーデン料理特集が始まりますが、
年内にその他の新作もリリース予定。

ともあれ、今の国際情勢や気候変動と僕らの健康状態を鑑みますと、
(老朽化が進んでいますからねぇ・・・)
いつ何が起こっても不思議ではありません。

今日のお話がプランAだとしますと、
年末には何になっているのかな?

ん〜・・・
何とかプランCかDくらいでフィニュッシュしたいなぁ。

まぁ、これは希望的観測ですけど。

えーじ
posted by ととら at 07:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年01月01日

仕事始め2025

あけましておめでとうございます!

昨日はフルマラソン、
いや、トライアスロンを完走したような気分と申しますか、
疲労感とともに、心地良い達成感に浸って、
大晦日を過ごしました。

余力を残さずゴールすると、
その結果がたとえ最下位であっても満足できるものです。
やるだけやったということは、
もうそれ以上できなかったということですから。

ととら亭は今日が仕事始め。

今年も最後まで走り切りたいと思います。

えーじ
posted by ととら at 07:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記