2014年07月31日

第8回取材旅行 その15

帰国して早1カ月。
いけませんね、記憶が薄れないうちに、
最後に訪れたアルメニアの料理をご紹介しなくては!

まず、ざっくりアルメニア料理の特徴をまとめますと、
個人的にはアゼルバイジャンの料理に近い印象を持ちました。
アルメニアの方が聞いたら怒るかもしれませんが、
アゼルバイジャンに近いというより、
影響を受けた文化が共通しているのでしょうね。
古くは中央アジア、ペルシャ、トルコ、グルジア、レバノン、
そして近代ではロシアの食文化を取り入れ、
それが緩やかに現地の自然環境や宗教と習合し、
独自の料理を作り上げて行った、と考えるのが自然な気がします。

さてさて、それでは、

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シャワルマ Shawarma

のっけからファーストフードで失礼!
でも理由があるのです。
シャワルマひとつにも多くの歴史が含まれているのですよ。

シャワルマとはアラブ圏におけるドネルケバブの別名。
実はトルコとアラブの関係って、今でも微妙なんですよね。
オスマントルコに占領されていた時の恨みつらみだけではなく、
独立する時に欧米列強の力を借りたことが、
奇怪な国境線を始め、パレスティナ問題など、
とんでもない代償と結び付いてしまいましたから。
そこで食文化は取り入れても、
言葉まではまかりならんってことなのでしょうか。

え? アルメニアはイスラム国家ではない?
そう。ではなぜシャワルマと呼んでいるのかというと、
アララト山周辺の国境紛争や、
オスマントルコ時代に起こったアルメニア人大虐殺の問題が微妙に影を落とし、
アラブとは別の意味で、
トルコとの関係がギクシャクしているからなのかもしれません。

そして興味深いことがもうひとつ。
このシャワルマ、チキンやマトンではなく、ポークなのですよ。
イスラム国家以外の国でもドネルケバブ屋やシュワルマ屋をやっているのは、
殆どがイスラム教徒ですから、ポークバージョンを食べる機会はまずありません。
意外とレアな素材なんですね。
で、肝心の味の方は・・・やっぱり美味しい!

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タブーレ tabouleh

どのレストランでも見かける、
ブルグル(引き割小麦)とパセリをたっぷり使った定番的なサラダ。
そう、2012年の夏にご来店されたお客さまは、
もうお気付きかもしれません。
これはヨルダン料理特集の時に取り上げたメニューのひとつ。
しかし、元は同じでも微妙に違うのですよ。。
レバノンで生まれたこの料理がそれぞれどのように変化したのか、
比べてみるのも一興です。
アルメニアではトマトペーストが加わり、
酸味とほのかな甘みが増して、また別の味わいを楽しめました。

aveluksalad.jpg
アヴェルクサラダ Aveluk Salad

アヴェルクとはスイバのこと。
これをグルジア風にガーリックとクルミのペーストで和えたもの。
山菜を思わせる酸味と風味にペーストがコクを添え、
ワインのお供にもいい感じ。

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イシリコフタ Ishli kofta

形はレバノンのキッビによく似ていますがフライではなく、茹でてあります。
食感が異なる2種類の挽肉を2層に形成して茹でたミートボール。
外周にはブルグルも入っていました。
レモンを絞ってさっぱりと頂きます。

lhamajoon.jpg
イハマジョーン lhamajoon

アルメニア風のミニピザと言えば当らずとも遠からずかな。
薄い生地にクミンが香るラムの挽肉を挟み、
ぱりっと焼き上げたもの。
アゼルバイジャンのクタブにも近い感じがします。

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ペリメニ Perimeni

アルメニアの取材で残念だったのは、
アルメニアバージョンの餃子と思われる、マンティに出会えなかったこと。
名前からしてトルコのマントゥが伝わったものと考えていましたが、
行った先々のレストランで誰に訊いても「ありません」とつれない返事。
やっぱり仲が悪いからかしらん?

その代りと勧められるのがこれ、ロシアの餃子のペリメニ。
見ての通り、日本人が知るところの水餃子で、中身はグルジアのヒンカリとほぼ同じ。
食べ方はスメタナと呼ばれるサワークリームを付けるのがロシアンスタイル。

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ドルマ Dolma

中央アジアからバルカン半島まで広く分布する、葡萄の葉で肉や野菜、コメを包んだ料理。
その名の語源はトルコ語の「詰める」を意味する「dolmak」ですが、
最も古い文献に登場するのはペルシャでのこと。
ここアルメニアでは、ざっくり切ったラム肉がぎっしり入っており、
酸味もまろやかで、とても美味しかったです。

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サルマ Salma

これは去年の秋から冬に、ととら亭で食べたような・・・と思った方は正解です。
そう、ルーマニア版ロールキャベツとしてご紹介したサルマーレのオリジナルは、
トルコのサルマですが、これは音もそのままアルメニアに伝わったバージョン。
お米を入れるところはオリジナル通り。但しスパイスは殆ど使っていません。

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プロフ Plov

アゼルバイジャンでもご紹介しましたね。
これは長粒種の米とナッツ、ドライフルーツを油で炒めたシンプルなもの。
羊は入っていません。
もしかしたらこのレシピがペルシャ(イラン)のオリジナルに一番近いのかもしれません。
いつか是非、現地で食べてみたいですね。

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スパス Spas

酸味の強いカスピ海ヨーグルトを使った温かいスープ。
ヒヨコマメがたっぷり入っていてボリュームたっぷり。
これとパンだけでお腹いっぱいになってしまいます。
アゼルバイジャンのドゥヴガと近縁ですが、ハーブは使っていません。
この違いが面白い。

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エチミアジン風コフタ Echmiadzin's Kofta

世界最古の教会が残る街、エチミアジンの名を持ったミートボール。
ぶりっとした食感と味は、
なんとなくボローニャソーセージを思わせるものがありました。
茹でたミートボールを切り、溶かしバターとパプリカを添えて頂きます。
写真では伝わらないかもしれませんが、これもかなりのビッグサイズ。

khashlama01.jpg
カシュラマ khashlama

アルメニア風のあっさりした煮込み料理。ポトフにちょっと似ていますが、
フレッシュプラムがコロッと入っていたのは意外な驚きでした。
レモンとはまた異なる酸味と甘い香りが、いいアクセントなのですよ。
肉は羊、うずらなど様々。
滋味あふれるスープがまた絶品なので、残さず最後まで頂きます。

quailnoodle.jpg
うずらとアルメニア風パスタ quail and noodle

蒸し煮した柔らかいうずらがアルメニア風のパスタに乗っています。
主役はうずらなのでしょうけど、パスタの量がご覧の通りのスーパーサイズ。
くにっとした食感のこのパスタ、長さは15センチくらいに切ってあり、
ちょっとそばがき風の素朴な味がします。

yrvrestaurant01.jpg

最終日のレストランでは、なぜかこんなに広い個室へ案内されました。
折角のチャンスなのに、庶民派の僕らは端っこでこじんまり。

そんなこんなで、今回の取材旅行も最後まで食べまくりました。
どれも美味しかったですよ。
できれば全部、ととら亭でご紹介したいくらいなのですけどね。
これから料理を絞り込み、試作して、
お披露目できるのはキューバ料理の後だから秋口かな?
お楽しみに!

えーじ
posted by ととら at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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