2015年12月11日

皮肉な結果の裏側で

先月はバンコクに住むブラザーのダブーと、
東京、バンコクの両方で会うことが出来ました。

ととら亭で会った時は僕が仕事中だったので、
あまりゆっくり話てもいられなかったのですが、
バンコクでは久し振りに膝を交えてあれこれ語り合えました。

彼は僕の丁度ひと回り下。
ネパールのカトマンドゥで生まれ育ち、大学を卒業後、ロンドンに留学。
その後、ニューヨークで働き、結婚を機にバンコクに住むという、
僕ら以上に波乱万丈の人生を送っています。

そうした彼の視線は、
時に僕の予想しなかった角度で色々な状況を捉えており、
しばしば、はっとさせられることがあります。

今回もタイの政治状況について質問したところ、
こんな意見が返って来ました。

「タイの最近の政治状況はどうだい?」
「いいよ。」
「いい?」
「ああ、何事もなし。」
「いいってさ、去年のクーデターから軍事政権だろう?」
「そうだよ。」
「それでいいのかい?」
「みんな不満はないんじゃないかな。」
「どうして?」
「だって社会が安定しているからさ。
 ブラザーも知っての通り、
 インラックが首相をやっていた時は、
 UDD(反独裁民主戦線)とPDRC(民主党人民民主改革委員会)が、
 デモの応酬から暴動騒ぎまでやらかして大混乱だったでしょ?」
「ああ、思い出したよ。」

実は彼が新婚旅行で日本に来ようとした時も、
スワンナブーム国際空港がデモ隊に占拠されて飛行機が飛べず、
一度は航空券をキャンセルしなければならなくなったことがあったのです。

僕よりずっと敬虔な仏教徒である彼は、
「自己中心的な立場で彼らを批判するべきではないよ。
 でも、ま、残念だったけどさ。」
とだけ言っていました。

「民主主義も結構なんだけど、
 決めるべきことが決められず、
 挙句の果ては一般市民の日常生活に支障が出る状態にまでなると、
 みんな政治家を信用できなくなってしまう。」
「軍は?」
「彼らはいい人たちだよ。僕たちに対して銃を向けるようなことはしないし、
 普通に生活する分には特別な制約もない。」

確かに今回僕が旅をした街でも、
制服組が自動小銃を下げて睨みをきかしているような光景は、
全く見ませんでした。

「それに軍はかつてのミャンマーみたいな状況を望んでいない。
 まもなくまた政治家に政権のバトンを自主的に渡すと思うよ。」

彼の意見は多分当たっているでしょう。
というのも、政治的な混乱が続くと軍がクーデターを起こし、
(今回はなんと19回目!)
仕切り直してバトンを返すということは、
過去何度もあったように、
タイでは非常にポピュラーな一種の「政治的解決」なのです。

「2年前、ブラザーが来た時も、
 一般市民は政治的な混乱に嫌気がさしていたでしょう?
 だって、ただでさえ酷く渋滞している道が、デモでさらに麻痺するし、
 ビジネスにも凄く影響が出ていたから。」
「それが今は?」
「普通に戻ったんだ。デモも怪我人もなし。平和だよ。」

要約すると、
タイの人々は、「民主的な」混乱より、軍事政権による安定の方が幸せ、
ということになるのかもしれません。

民主主義。

僕も国家の運営方針としては、
今のところ、これが最もまっとうな気がしています。

しかし、昨今の僕たちの国の状況を見ていると、
何となく過大評価されているような思いがなくもありません。

「民主的な」デモ隊が一部の交通を麻痺させ、
表現と行動の自由の御旗のもと、
はてや空港や政府機関の建物を占拠する。

ま、主義にせよ、何にせよ、
所詮は僕たち地上の人間がひねくり出したもの。
Made in Heaven ではありません。

ってことは、バグの一つや二つはあっても当然なんですよね。

えーじ
posted by ととら at 16:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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