2016年02月18日

第11回取材旅行 その8

外国への渡航歴は50カ国以上、
国内の旅も含めると30年前後も旅人をやっているというと、
そりゃもう旅行のプロフェッショナル。

なんて言われることがありますが、
自信満々でこの仕事をやっているかというと、
昨日のブログでも白状しましたように、
実態は結構しょぼいものなのですよ。

訪れる国や場所によって、その鏡が映す僕たちの姿は違います。
これが時には結構えぐい。

確かに、ああ、そりゃ分かってるよ。
と言い切ってしまえることもあります。
しかし圧倒的に多いのは、う〜ん・・・と唸ってしまう方。
しかも、ものによっては、
数十年以上も答えを見つけ出せずにいるじゃないですか。
エチオピアの旅は、何かとそのイタイ所を突いて来ました。

僕がいつまでも煮え切らないことの筆頭は、
物乞いへの接し方。

ここアジスアベバでは、3歳くらいの子供の「マネ〜っ!」から、
悲しげな眼差しで無言のまま手を差し出してくる老人まで、
ちょっと外に出れば、どんどんやって来ます。

皆さん、着ているものも履いているものもボロボロ。
足の汚れ方からして、数週間は体を洗っていないでしょう。
そういう人々が、ゴミが散乱し、腐臭を放つ汚水の流れる路上で、
捨てられた人形のように倒れている。

その姿が存在そのもので訴えてくるのは、
金持ちとか貧乏とかという甘っちょろい経済の話ではなく、
人間の尊厳のレベルなのですよ。

ストリートチルドレンや売春婦を保護し、
社会復帰をサポートするNGOで働くミキに案内されて訪れた、
ボーイズホームで出会ったのは、そうした状況から救われた人々でした。

「サラーム!(こんにちは!)」
「サラーム!ようこそ!」

突然現れた、どこの誰だか分からない外国人を、
まるで古い友人が来たかのような笑顔で迎える人々。
英語は殆ど通じませんでしたが、
食事をしていた二人が立ち上がって、数の少ない椅子を僕たちに勧めてきました。

「ありがとう。でも僕たちはいいのです。
 皆さん食事中でしょう? そのまま座って続けて下さい。」

そう言っても、彼らは立ち上がった椅子を指差し、
僕たちを座らせようとします。

僕はここに来る前に、何人もの物乞いを見てきました。
中には僕にお金を下さい、と言ってきた人もいます。

彼らと、いま、僕の目の前で、椅子を勧める彼らは、
何も変わらない、同じ人間ではないのでしょうか。
いや、彼らと彼らではない、彼らと僕は、同じ人間なのです。

僕はなぜ、こんな話をあなたにしているのでしょうね。

では、もうひとつ、白状しましょう。

あれは2009年7月。真冬の中南米を旅していた時のこと。
ペルーのクスコで僕は朝食を食べるカフェを探していました。
気温は0度近くだったのでしょうか。
真冬の装備で歩いていても、
寒さがしんしんと足元から伝わって来る朝だったのです。

入り組んだ石畳の路地を足早に歩いていた時、
路地から少し引っ込んだ所で、小学校低学年くらいの子供が、
背中をこちらに向けて寝ころんでいる姿が目に入りました。
この寒さの中、小さな素足にはゴミ同然のサンダルを履いただけ。

「死んでいるのか?」

僕はそう思いました。

どうする?
どうしたらいい?

で、どうしたと思います?

僕は暫く考えた末、そのまま朝食を食べに行ったのです。
そして美味いパンを食べ、熱い珈琲を飲みました。

宿への帰り道、あの子が気になって、もう一度同じ道を戻ると、
彼の姿はありませんでした。

あれからずっと、あの子の姿が忘れられないのですよ。

なぜ僕は彼を見捨てたんだ?

何とも情けない話です。

しかし、ここエチオピアで、
僕はあの時、どうすべきだったのかをようやく学べた気がしています。

どうやら大きな借りを作っちまったみたいだな。
覚えてろよ。いつか倍返しだ。

えーじ
posted by ととら at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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