2016年07月12日

第12回取材旅行 その18 最終回

6月の取材旅行から帰って間もなく3週間。
多くの協力者に恵まれたお蔭で予想以上の成果が得られ、
僕たちらしい、とてもいい旅になりました。

ウズベキスタン、カザフスタン、そしてキルギス。
振り返ると思い出すことが尽きません。

ととら亭では、
外国の料理を分かり易く紹介するという仕事の性質上、
「ポーランド料理特集」とか「エチオピア料理特集」
のように表現していますけど、
自分の足で料理や素材、調理方法の旅を追いかけていると、
そこで感じられるのは近代国家の国境を簡単に乗り越えて広がる、
文化のうねりなのですよ。

こう云ってしまっては実も蓋もありませんが、
料理とは畢竟、人類全体の文化であり、
時間と、地域と、人種や宗教を超えた、
共有財産に他ならないのですね。

文明の交易路であるシルクロードの交差点に立つと、
同じ料理を囲む往時の人々の声が聞こえてきそうな気がしてきます。

あなたはイメージできますか?
今日のランチでラーメンを食べたような、
僕たちの日常の食卓が、時代と国を超え、
遠く離れた彼らの食卓と繋がっていることを。

それは伝説や迷信ではなく、
僕たちが共有している歴史なのです。

サマルカンドでは往時の統治者の霊廟を多く訪れました。
それは幾年月を経て尚その美しさを失うことがありません。
しかし、その帝国と残り香をも支えていたのは、
玉座に座った権力者でも、剣を携えた戦士たちでもない、
僕たちが訪れた市場で働く、
歴史の中では無名の人々だったのだと、
乾いた熱風は僕に語っていた気がします。

そして更に、その人々を支えたもの、
それは、何処までも広がる悠久の大地であり、
そこに命を育んだ水なのでしょう。

地・水・火・風

古代ギリシャの哲学者が万物の根源とした四元素。
現代の科学は四大の思想を過去のものとしましたが、
往時の人々には便利なツールがなかった分、
実は、世界の、究極的な現実に、
僕たちより一歩近かったのかもしれませんね。

乾いた大地と、風の渡る草原と、陽光が踊る河。

そこで聞いた声を、どう料理に乗せて皆さんとシェアするか、
僕たちは今から考え始めているのですよ。

えーじ
posted by ととら at 13:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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