2016年11月13日

錆びた民主主義

選挙権が18歳まで広げられ、
初めて行われた国政選挙が今年の7月11日。
若者たちは、どんな考えを持って投票所へ行ったのでしょうね。

野方の中でととら亭はお客さまの平均年齢が高めですから、
18歳から20歳の人と話をする機会は残念ながら殆どありません。
その所為か、僕はこの話を聞いた時、
若者たちが事前に何を教えられたのか、
とても興味がありました。

寡黙にして僕はその具体的な内容を知りませんが、
少なくとも、
この国が採用している「民主主義」という仕組みの概略は教わったのでしょう。
今や世界のデファクトスタンダードでもありますからね。

しかし、僕にはずっと前から引っかかっていたことがあるのですよ。

それは民主主義の美しさ。

特に戦中の帝国主義と相対化されて語られる時に帯びる民主主義の輝きは、
一種、熱狂的な眩しさすら感じることがあります。

確かに、封建時代から参政権が一般化する戦後まで続いた茨の道を振り返れば、
それも無理からぬことかもしれません。
独裁者や一部の組織に牛耳られた、
息の詰まる社会が未だ存在している現状を鑑みても、
(しかもすぐ近くに)
やっぱり我々の選択は間違っていなかった!
と安堵する材料には事欠かないでしょう。

と分かっていても、どうした訳か、僕はそれを手放しで喜べない。

むしろ、何か言いしれない不気味なものを感じる時があります。

若者が持つ夢と希望に水を差すのはオヤジの悪趣味ですが、
民主主義と言うのは、とどのつまり「みんなのことはみんなで決める」仕組みです。
それ以上でも以下でもない。

そして人間が作ったものから、
不完全性を全て取り除くことは出来ないという原則通り、
(作った本人が完全に不完全なのですから)
作られたものもまた完全なものではありません。
民主主義なるイズムもまた例外ではないでしょう。

たとえば議決する時や選挙の投票日。
選ぶ人たちの前に並べられているのは無限の選択肢ではなく、
ととら亭のランチ並みに少ないメニューから選ぶしかないことは珍しくありません。
しかもその中に必ず食べたい料理があるとも限らない。
選挙の場合はそれでも選ぶしかない。

もうひとつ誤解しちゃまずいのは、
民主主義は満場一致を前提としているのではないこと。
基本的に過半数を超えた人々の意見を採用するのであって、
少数派の意見は原理的に通りません。
一握りの人々の意見がまかり通ったら封建主義に逆戻りでしょう?

この点は日本で生まれて日本に住んでいる、
日本人にはピンと来ないかもしれませんが、
民主主義の多民族国家で少数民族の家に生まれた場合はシビアな問題です。
字義通りに多数決で決められたら、
自分たちの意見が多数派と違っていた場合、通る可能性はゼロなのですから。
キツイですよ、これは。

ここが民主主義のビミョ〜な点のひとつ。

そして何より僕が一番違和感を感じているのは、
民主主義への期待感です。

この仕組みには、みんなで選んだものが、
封建主義的な選択より正しいと保証する機能は実装されていません。
つまり、選択後に必ずやって来る幸福はサポートされていないのです。

でしょ?

もしそんな夢みたいな機能を民主主義が持っているのであれば、
過去10年を遡っただけでも、国内外でゴロゴロ出て来た、
とんでもないリーダーたちを、どう説明します?

近所を見たって某都知事「たち」は、
イカサマやクーデターで知事の椅子に座った訳ではありません。
どなたも公正な民主的選挙を通じて選ばれた方たちなのです。
(東京都民の皆さま! 僕たちが彼らを選んだのですよ!)

で、来年の1月20日にはトランプさんが、
世界で最も権力のある椅子に座れるようになりました。
ちゃんちゃん。

如何です? 民主主義。

良くも悪くも、こうした限界があるのです。

ともあれ若人諸君。
すべてのバグに手が付けられない訳ではないと僕は思っています。
拙い脳みそからひねくり出したそのフィクス方法は・・・

1.候補者の公約や政党のマニフェストだけではなく、
  過去少なくとも5年は遡って、彼、彼女の行動を確認する。
  口では何とでも言えますが、行動で嘘をつくことはなかなか難しい。
  ましてや5年も遡れば、かなりの精度でその候補者や政党の本質が分かります。

2.公約やマニフェストを自分の利益と言う秤だけで測るのではなく、
  より大きな、組織や社会、国と言うフレームに当てはめて評価する。
  絞った票田の利益を高らかに鼓舞するのはポピュリストの常套手段でしょう。
  外国の商売敵の製品に高い関税をかけてくれるから、
  コケても不安のない補助金をくれるから、
  大学のOBだから、同郷人だから、知人に頼まれたから、ルックスがいいから、
  こう言う理由で選ぶのはやめましょう。
  結局、小さな利益と引き換えに大きな不幸がやって来ます。

3.選挙に行く。これに尽きます。
  行かなきゃダメです。始まらない。

ま、大した効果はないかもしれませんが、
少なくともこの程度でもやれれば、
この国で『日本のトランプさん』が権力の座に就くようなことは避けられる・・・

と思いたい。

えーじ
posted by ととら at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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