2017年03月09日

第13回取材旅行 その13 最終回

本の発売や独立7周年記念などでドタバタしているうちに、
取材旅行から帰って早9日間が経ちました。

振り返って見ると、あの旅で一番考えさせられたのは、
国や民族のオリジナリティと純粋性だった気がします。

ととら亭では各国の料理を紹介するという都合上、
便宜的に、
「ポーランド料理」とか「エチオピア料理」という表現の仕方をしますが、
いずれも他から全く影響を受けず、
完全に独立した文化と言うものを僕は知りません。

バルカン半島の料理で例えるなら、先に一度お話したムサカ。
僕は子どもの頃、横浜のギリシャ料理レストランで食べて以来、
ずっとギリシャ料理だとばかり思っていました。
ところが起源はアラブにあるらしく、ブルガリアやルーマニアにも、
微妙にローカライズされて根付いています。

オスマン帝国の影響からケバブやキョフテ、ドルマも広く存在し、
ポークやアルコールが使えないというハラールの縛りが外れて、
独自のバージョンが溶け込んでいたり、
イタリアから伝わったパスタもすっかり土着化しているではないですか。

僕はそうした食文化の広大な織物を目の当たりにして、
まるで音楽のクラシックやジャズのようだな、と独り言ちてしまいました。
スタンダードがプレイヤーに解釈され、異なる楽器で奏でられた結果、
様々なバリエーションが生み出されて行く。

ではそのスタンダードに相当する『オリジナル』とは何で、
どこにあり、どのように広がって行ったのか?

これこそが、
『答え』とは『次なる謎』の謂いであるという、
僕たちの旅に付きものの逆説的なオチなのです。

さて、それでは新しい旅の準備を始める前に、
バルカン半島の旅で最後に訪れたハンガリーの取材を、
ビジュアルに振り返ってみましょう。

szegedview.jpg

szegedstreet.jpg

ハンガリーの南部、ティサ川の西岸に中心を持つ街、セゲド。

church.jpg

ご覧の誓約教会くらいしかランドマークになるものはありませんが、
普段着姿のハンガリーと申しますか、
のんびりプライベートな時間を過ごすには打ってつけの場所だと思います。
僕たちはこうした地味な街が大好きなのですよ。

glyas.jpg

川岸を歩いていて偶然見つけた料理中のグヤーシュ。
元々はこうした野外料理だったそうです。
あ〜、美味しそうだな、と近付いて行ったら、
今にも食べてしまいそうに見えたのか、
ボートハウスのおじいさんが出てきて、
「すまんな旅の人よ、これは売り物ではないのじゃ」
(マジャール語で多分こう言ったのだと思います)

breakfast.jpg

僕たちが投宿したこの旅で一番の高級ホテル(1泊約5,000円也)の朝食。
取材のためにお腹をすかしておかなくてはならない僕たちにとって、
この誘惑はマジでヤバかった!
しかしながらセゲドはハンガリーで最初にサラミが作られた街。
老舗のPICK社のそれを食べずに去るなんて・・・
しかも畜肉製品は日本に持ち帰れないし・・・
という訳で、お腹いっぱい食べてしまいました。
うう・・・胃薬ぷり〜ず・・・

station.jpg

ブダペストまでは鉄道で移動。
マケドニアとセルビアの鉄道はかなり草臥れていましたが、
ハンガリーは健在です。
着いたのはブダペスト西駅。
ここは確か、
映画『ミッションインポッシブル ゴーストプロトコル』で、
冒頭シーンのロケが行われたところだったな。

budapestview.jpg

ドナウ川を挟み左が王宮のあるブダ側、右が商業的な中心のペスト側です。
ドナウ川は17カ国を貫く国際河川ですから、
ボートでウィーンやブラチスラバにも行けます。
いつかそんなゆったりした旅もしてみたいですね。

vircist.jpg

取材の中心になったのはここ、一番の繁華街になっているヴァーツィ通り。
しかし、いかにもツーリスト相手のレストランではイマイチなので、
実際に入ったのは中央市場の脇道や、デアーク広場周辺の店です。

budapesthotel.jpg

僕たちが投宿したのはヴァーツィ通りの脇道にあるこんなホテル。
利便性が良い割に静かでスタッフもフレンドリー。
夜はゆっくり休めました。

oldtown.jpg

12年振りのブダペストは殆ど変わっていなかったですね。
僕らは王宮裏に広がる旧市街の風景がお気に入り。
ぶらぶら歩いているだけで時間を忘れますよ。

marcket.jpg

さて、それでは取材を始めましょうか。
まず訪れたのはここ、中央市場の2階にある軽食堂。
いつも観光客で賑わっています。
場所柄、料金は少々高めですけど、
料理を見ながら注文できるのは便利ですね。
美味しそうなものが沢山ありますから目移りしてしまいます。

restaurant01.jpg

郷土料理を出しているこうした素敵なレストランが沢山あります。
メニューがそれぞれ微妙に違うので、
事前にじっくり検討してから入りました。

halasli.jpg

グヤーシュと並ぶ国民食のハラースレ。
鯉やナマズ、淡水スズキなどの魚を使ったスープです。
地域によってレシピの差が大きく、
セゲドではさらっとしていましたが、ブダペストではとろっと濃厚な感じ。
スープの色はトマトではなくパプリカで出しています。

foshstew.jpg

鯉のシチュー。
ハラースレをもっと濃くした感じと言えば当らずとも遠からず。
でも油っぽくはありません。
ガロニ(付け合わせ)は・・・なんとハルシュキ!
本にも書きましたけど、スロバキアの取材で出会った難敵です。
この思わぬ再会には驚きました。
あの時はそのボリュームとこってりさ加減に白旗を揚げましたけど、
今回は量が少なく、生クリームもそれほど使われていなかったのでクリア。
そう言えばスロバキアは隣国ですし、オスマン帝国が北上した際には、
ハンガリー帝国の首都機能が、
ブラチスラバに移されていたこともありましたからね。
両国に共通する料理が沢山あるわけです。

paprikash.jpg

パプリカーシュ・チルケ。
チキンをパプリカクリームソースで煮込んだものです。
お供はドイツのシュペッツレに似たハンガリアンダンプリング。
チキンとダンプリングのバランスが見ての通りですので、
何となくパスタのような印象を受けました。
コクがあってとても美味しいです。

porkglash.jpg

ポークグヤーシュ。
グヤーシュと言えばスープを想像しますが、要は『煮込み』のこと。
これはポークをパプリカソースで柔らかく煮込んだ料理です。
しかしながら先のパプリカーシュとは大分風味が違います。
お供はやっぱりダンプリング。

porknackle.jpg

ハンガリーでお肉と言えばポーク。
ポーランドでもそうでしたが、そうした土地でご馳走と言えば、
豪快なすね肉を使った料理。
英語ではポークナックルのシチューとなっていたので、
注文してみたら出て来たのがこれです。
じっくり煮込んでとろとろにした骨付きすね肉に衣を付けてカラッと揚げ、
濃厚な赤ワインソースを添えたもの。
むわぁ〜、ワルシャワで食べたゴロンカそっくりじゃん!
食べきれるかな?
と心配になりましたが、余分な脂が落ちていたので完食成功。
ガロニはキャベツのダンプリングでした。
ハンガリーはダンプリングの種類が沢山あるのですよ。
で、このお味はどこかノスタルジックなものが・・・
そう、キャベツと小麦粉と言えば、お好み焼き!
ブダペストでこの味を思い出すとは驚きました。

cake.jpg

取材の合間に一度だけ入れたコンディトライ(洋菓子店)。
洋菓子の総本山的ウィーンにほど近いだけあってか、
ケーキの美味しさは折り紙付きです。
甘さも控えめ。マジでホッペが落ちますよ。

us.jpg

最後はギリシャ編と同じく、お約束の1枚で。
自宅に帰って12年前の写真と比べてみたのですけどね、
月日の流れを感じました。

え? だからキャップを被っているのかって?
いやいや偶然ですヨ!

See you on the next trip!!

えーじ
posted by ととら at 17:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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