2017年04月23日

ロックという伝統芸能


ポールのライブに行きたしカネはなし・・・

で、その代わりと言ってはなんですが、
僕がゲットしたチケットは、アンダーソン・ラビン・ウェイクマン!

え? 誰それ?

ってなるかもしれませんね。特に若い世代には。
それではおじさんがちょいと説明しましょう。

1960年代後半、
プログレッシブロックなる音楽のスタイルがイギリスに現れました。
Progressiveとは『進歩的な』『斬新的な』の意。
当時ポピュラーな存在になりつつあったロックに、
演劇やクラシック、ジャズなどの要素を加え、
それまでにないサウンドと様式を確立したのです。

音楽的な特徴は、演奏時間の長い曲が多く、
転調や複雑な変拍子を多用し、詩は抽象的かつ哲学的で、
自宅に彼女を呼んで聴くにはムード台無し間違いなしなもの。
(だから今回は僕一人でお楽しみ)

有名どころではキングクリムゾン、ピンクフロイド、ジェネシス、
EL&Pの他、演奏能力ではずば抜けていたイエスがいました。

そのイエスの中心的メンバーだったのが、
ジョン・アンダーソン(Vo)、リック・ウェイクマン(Key)、
そして新風を吹き込んだトレヴァー・ラビン(Vo,G)。
彼らがリズムセクションのサポートと共に来日していたのです。

プレイリストは
1971年リリースのThe Yes Albumに収録されたI've Seen All Good Peopleから、
1991年のUNIONに含まれるLift me upまで。
残念ながら新曲はありませんでした。

個人的にはいい出来のステージだったと思います。
イエスのライブを観るのはこれで4回目ですが、
驚異的なハイトーンボーカルのジョンは往年の伸びこそないものの、
齢72歳とは思えぬ歌唱力。
還暦を迎えたトレヴァーもヴォーカル、ギター共に衰えを感じさせません。
リックの装飾音たっぷりなピロピロキーボードプレイだって健在です。

会場を埋めていたのは予想通り、オヤジが9割。
いやはやミュージシャンと共にファンも歳を取りました。
女性が1割ほどいたのは驚きでしたが、
(ロバート・フリップファンの女性なんて聞いたこともないし)
ポップな Owner of a lonely heart や、
Love will find a way のヒットがありましたからね。

さて、往年のプログレサウンドにどっぷり浸りながら、
僕はちょっと複雑な心境になっていたのですよ。

実はこのライブに先立つこと4カ月。
昨年の12月に『本家』のイエスが、
同じオーチャードホールでプレイしていたのです。

メンバーは、
スティーブ・ハウ(G)、アラン・ホワイト(Dr)、ジェフリー・ダウンズ(K)、
そしてビリー・シャーウッド(B)とジョン・デビィソン(Vo)。

中心メンバーとは別に本家が活動しているというと、
奇妙な印象を持たれるかもしれませんが、
何と言ってもメンバーチェンジを繰り返しつつ、
47年間も続いているバンドですから、
全関係者をひっかき集めれば、2〜3バンドは作れるくらいなのです。

僕が残念に思ったのは、
最近の老舗バンドの風潮と申しますか、
加齢による歌唱力の衰えからヴォーカリストが脱退し、(もしくはクビにし)
その穴をYouTubeで探したコピーバンドの若手そっくりさんで埋めること。

中にはオリジナルヴォーカリストの歌い方を真似るだけではなく、
ファッションやアクションまでコピーするとあっては、
正直、ちょっと不気味な感じがします。

これをかつてプログレッシブロックにカテゴライズされたバンドにやられると、
何が Progressive なのか全然分からなくなりはしませんか?
これではそのうち前メンバーを襲名するようになってしまうのでは・・・
二代目クリス・スクワイア、三代目ジョン・アンダーソンってな具合にね。

と溜息を洩らしつつも白状すると、僕も納得しているのですよ。
ロックに限らず、どんなに斬新な始まり方をした音楽でも、
様式化されれば、継続する限り、やがては伝統になって行きます。
ジャズだってそうでしょう?
もうマイルスが生きていた時のような衝撃はない。
ジャンルは全然違いますが、
能の世界だって世阿弥が世に出た当時、
彼がやっていたのはアバンギャルドだった。
でも今はそれだって伝統芸能です。

なんか、サプライズがなくなってしまったなぁ・・・

で、渋谷からの帰り道に僕が考えていたのは、
かくいう僕がやっていることは、
いや、僕の生き方は、
プログレッシブなのか?、それとも様式化した懐メロなのか?

ん〜・・・
オヤジにはちと厳しい質問です。

えーじ
posted by ととら at 09:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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