2017年05月25日

ととらな本 その8

白状しましょう。

昨年の6月、出版のオファーを頂き、
テーマを聞いた時に、僕はちょっと尻込みしていました。

いや、初めての仕事でビビったからではなく、
文章が書けるかどうか自信がなかったからでもありません。

問題は本の核心となる『ギョーザ』にありました。

ととら亭の仕事で食のルーツを追い始め、
中でもギョーザがひときわ興味深い対象であることは事実です。
実際にその流れをユーラシア大陸の西側から辿り出し、
折しもその広がりと深さがぼんやり見え始めてきたところでした。

ギョーザ発祥の地と時期についても、
単一起源説か散発説かの判断は棚上げされているとはいえ、
少なくとも、この料理の大きな中心の一つが中国にあることは間違いない。
そこで傍流から遡行して原点に迫ろうというのが僕たちの戦略だったのです。

しかし、オファーがあった時点で、
肝心の中心地である中国がまだ手付かずだったではないですか。
いや、本にも書きました通り、
確かに2000年に北京へ行ってジャオズを食べてはいるものの、
ただの休暇で行っただけですから、
今のような細かい取材はやっていなかったのです。
(だから現物の写真が本に載っていないしょう?)

加えて、かなりの種類のギョーザを現地で食べてはいるとはいえ、
調べ上げたギョーザリストを網羅している訳でもありません。

ん〜・・・ギョーザの本・・・か・・・
ブログのように散文的な内容でいいのならネタはいくらでもある。
でも、1冊の本にまとめるとなると・・・どうしたもんだろ?

こうして企画を練り上げる打ち合わせのなかで、
僕が踏ん切りをつけたのは、
普段とはちょっと違うトーンで切り出した村尾編集長の言葉でした。

「えーじさん、確かにギョーザの旅は道半場でしょうけど、
 これまでの経験だけでも十分かたちになると思いますよ」

そうかな?

この本を手に取った人は、
ギョーザがいつ、どこで生まれて、どう広がって行ったのか、
その答えを期待しているだろう。
しかし僕らはまだその答えを見つけていない。
いや、見つけていないどころか、更に迷い込んでしまったのが現実だ。
期待された答えは書けない。

でも、村尾編集長が求めているのは答えじゃないんだな。

そうか、この仕事も、僕たちの普段の旅と同じように、
等身大の内容で行けばいいのさ。
僕らは分かっていない。その通りだよ。
しかし分かっていないことが分かった。
だからその謎を読者とシェアすればいいじゃないか!

僕がこうして納得するまで続いた打ち合わせは、
3、4回にもなったでしょうか。
書き直し続けた企画書もメジャーチェンジ3回、
プラス、マイナーチェンジ1回のバージョン3.1まで行っていました。

時は7月中旬のこと。
梅雨明けはもうすぐそこでした。

to be continued.

えーじ
posted by ととら at 17:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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