2018年02月03日

第15回取材旅行 その10

窓から吹き込む湿った風。
前を走る車が巻き上げる埃。
乗客ですし詰めの車内に充満する汗と食べ物の臭い。

車窓を流れる風景が市街地に変わるころ、
僕たちの髪や肌の露出した部分はガビガビになっていました。
しかしあと10分もすればマプトに着きます。

さぁ、これでひと息入れられるぞ・・・

と思いたかったのですけどね。
間もなくバスターミナルだな、となった時、
僕はディフェンスモードを最高レベルに上げました。

なぜなら古ぼけた建物が犇めく街にはゴミが溢れ、
路面は道路工事中さながらのデコボコだらけ。
そして夕方の大通りには人が溢れ、
さながらちょっとしたカオスの状態になっているじゃないですか。
そしてこういう国で最も治安の悪い場所。
それが間もなく僕たちが降ろされる駅やバスターミナルなのです。

「もうすぐ着くよ。忘れものがないかもう一度チェックして」
「な、なんかスゴイとこだね」

窓の外を見ていたともこの顔が心なしか引きつっています。

「バスから降りたら身の回りのものに注意しながら、
 僕のサブザックを持ってて。
 そうしたらキャリアからバックアップを取って来るから」
「うん!」
「寄って来る奴はすべて無視。いくぞ!」

外に出るなり、わらわらと色々な人が近付いて来ました。

「アミ〜ゴ! USダラー持ってるかい? 両替するよ」
「タクシー? タクシー? タクシー?」
「アミ〜ゴ! アミ〜ゴ! 腕時計買わない?」

僕がカーゴからバックパックを引き上げていると、

「旦那! おいらが荷物を降ろしますよ!」
「あ! いらないよ! 自分でやるからね! 触らないで!
 ともこ! これを受け取って!」

「アミ〜ゴ! USダラー持ってるかい? 両替するよ」
「タクシー? タクシー? タクシー?」

僕らはニコニコしながら
「Nao obrigado!(No thank you!)」だけを言い続けて、
群がる人々から脱出!
追っ手を撒いたところで、

「OK、ここで現在位置を確認するから僕の後ろを見てて!」

GPSで見ると駅の北側に隣接するバスターミナルから、
東に50メートルほど来たところにいました。
乾いた小便の臭いが鼻を刺します。

ってことは、宿は・・・ここから東に2ブロック進み、
そこから北へ2ブロック・・・だな。
で、方向は・・・

僕はコンパスで進行方向を確かめました。

「分かった?」
「OK。ここから3時の方向に見える路地に入って2ブロック進む。
 持ち物に気を付けて。離れずに。
 いい? 行くよ!」

僕らは自動車と人の群れを縫うようにして歩き始めました。
こんなカオスのような状態に入ったのは久し振りです。
インドのニューデリーやバングラデッシュのダッカの夕方みたい。
白人やアジア系の人はまったく見かけません。
ということは、僕たちは目立ちまくっていることになります。

面倒な連中と出っくわす前にホテルに入らなくちゃ。

「おっと! 足元に気を付けて! デコボコだらけだ!」

乗り捨てられたように停まっている自動車。
散乱するゴミ。
無造作に広げられた売り物の靴や服。
そして寝ころんでいるホームレスの人々。
ひび割れた路面は目を覆うばかりです。

「よし、ここだ・・・な?
 もう一度現在位置を確認するから後ろを見てて!」

僕がスマホや地図を見ている時、
周辺の安全を見張るのはともこの役目なんですよ。

「どう? あってる?」
「ちょっと待って。 ああ間違いない。
 ここを左折して2ブロック圏内にあるはずだよ」

間もなく前方にゲストハウスの看板が見えて来ました。

「あった! あそこだ! 12時の方角。40メートル!」
「ホントだ! 着いたぁ〜っ!」

マプトの状況は事前の下調べである程度は予想していたのですけどね、
疲れた状態でバックパックを背負い、こうしたカオスを突っ切るのは、
なかなかしんどいものなんですよ。

さいわい作戦通り、
僕たちは予約していたゲストハウスにチェックインできました。
ここはポルトガル人のおじさんが経営する10室ほどの小さな宿。

チェックインの書類を書き終わった僕は、
彼に3つの質問をしました。

Q1.モザンビーク通貨のメティカルを入手したいのですが、
   近くにある安全なATMかレートのいい両替所を教えて下さい。

Q2.僕たちはモザンビーク料理を調べに来ました。
   近くのお勧めレストランを教えて下さい。

Q3.無料の地図をいただけますか?
   それで僕たちが行くべきではない危険なエリアに印を付けて下さい。

おじさんは快く質問に答えてくれただけではなく、
宿から50メートルほど離れたところにあるATMまで、
スタッフのお姉さんに案内を頼んでくれました。
これで当面の軍資金をゲット。(Plusが使えるATMで良かった!)

そして入るべきではないエリアは、
ここから南に400メートルほど行った所にあるバイシャ地区。
なるほど、これは外務省の安全情報と符合しています。
加えて彼がくれたセキュリティのアドバイスは、

1.外出する時は必ずパスポートを携帯するように。
  ぐれた警察官が多いので不携帯を理由に脅しておカネをせびります。

2.室内におカネやスマホ、PCなど高価なものは置いておかないように。
  ここにはスタッフが8人いますけど、
  全員を常に監視している訳ではありませんからね。

こうした内容も事前に入手した情報と一致していました。

当日はおじさんお勧めの一番近いレストランに、
19時頃夕食を食べに行きましたが、
ん〜・・・ここも20時以降にうろちょろする雰囲気ではなさそうです。
まだこの界隈の勝手も分からないので食べ終ったらそそくさと退却。

と、まぁ1日でこれだけやったものですから、
帰ってシャワーを浴びたら二人とも朝まで爆睡してしまいました。

えーじ
posted by ととら at 04:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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