2018年07月01日

第16回取材旅行 その8

今はフィンランド時間18時30分。
バイキングラインフェリー、
グレース号のキャビン7031でキーを打っています。

ほぇ〜・・・やっとこさ、ここまで来ました。
それでは時間を昨日の18時に巻き戻してお話を始めましょう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ねぇ! なんて言ってるの?」
「ちょっと待って・・・まだスウェーデン語でアナウンスしてる・・・
 あ、英語に変わった。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 到着が遅れてすみません。
 で、10階のビュッフェのソフトドリンクを無料にするってさ」
「ホント!? タダなの? じゃ行こうよっ!」

そこで僕らはソーダを飲みつつ窓から外を眺めていました。
船はラングナス港の沖、約2キロメートルのところで強風に流されないよう、
船体をゆっくり回転させています。
当初の到着予定時刻を過ぎてかれこれ4時間が経ちました。

「とりあえず宿には連絡しておいたけど、
 これじゃ、いったい何時になるのか見当もつかないな」
「今夜の調査は中止ね。
 私たちがマリエハムンに着くころにはみんな閉まっちゃってるよ」

この状態で僕らにできることは何もありません。

キャビンに戻って取材ノートのまとめでもやろうかしらん?

そう思いつつ僕はふと右舷の窓に目をやりました。
すると・・・

「ん? ・・・なんだ? 木だ。 木が見える!
 風で船が流されてるのか? 座礁するぞ!」
「どうしたの?」
「大変だ! ちょっと見てくる!」

と言って窓際まで走った僕はさらに目を丸くしました。
なぜなら僕の目に入ったのは木々だけではなく、
ボーディングブリッジとターミナルだったのです!
船は知らないうちにラングナス港に接岸しようとしていたのでした。

「ともこ! 降りるよ!」
「え? なんのアナウンスもないじゃない?」
「でも接岸しようとしてるんだ。
 すぐキャビンに戻って荷物を取ってこよう!
 降りそびれたら大変だ」

ラングナス港は小さなターミナルしかない鄙びたところでした。
ここでほっと一息つきたいところですが、
マリエハウンまで行くバスを探さなくてはなりません。
駐車場には数社のバスが何台も停まっており、
下船した乗客でごった返しています。

バイキングラインのフェリーだから、多分おなじ会社のバスだろう。
ん? あそこのバスがそうだ。ドライバーに訊いてみるか。

こうして僕らはようやく代替バスに乗り込み、
約30分後、予定より5時間以上遅れてホテルにチェックインしたのでした。

めでたしめでたし・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

じゃ、終わらないんですよね。

限られた時間でマリエハムンの取材を行い、
今日の13時半、
僕たちは昨日到着するはずだったマリエハムン港に向かいました。
フェリーターミナルに入りインフォメーションボードを見ると、
そこには僕の予感を裏切る内容が・・・

「おや? トュルク行きはオンタイムだぞ。
 14時10分に到着して15分後に出発するとなってる」
「へぇ〜、遅れを取り戻したんだね」
「ふ〜ん・・・そういうことだな。船は昨日と同じものだし。
 僕らがラングナスで下船した後、トュルクまで行き、
 夜行で同じコースを戻って今朝ストックホルムを出発したんだ」

僕らはチェックイン端末でチケットを発券し、
出発ロビーまで進むと、そこには30名ほどの乗客がいました。

どうやらインフォメーションボードの情報は正しかったみたいだ。

そこへ大型客船が入港してきました。
運営会社はバイキングライン。
しかし船名が僕たちが乗るものとは違います。
もう一度情報を確認すると、
同じ時刻に別の桟橋からストックホルム行きが出発します。
乗船アナウンスが流れるとロビーにいた人々は、
僕たちを残してみなボーディングゲートに行ってしまいました。

やっぱりイヤな予感がする。

そこへ制服を着たスタッフが近付いて来ました。

「どちらまでいらっしゃるのですか?」
「14時25分発のトュルク行きに乗ります」
「トュルク行きは昨日の悪天候の影響で予定が変わり、
 ラングナス港から出発することになりました。
 代替バスが16時50分に街の広場から出ます」

そう言って彼女はスウェーデン語とフィンランド語で書かれた、
新しいスケジュール表を僕に差し出し、

「英語では書いてありませんがどうぞ」

さんきゅ〜べりまっち。

ターミナルを出て見渡せば、
昨日乗ったと思しきバスが数台停まっています。
そこで再び制服を着たスタッフに訊くと、
先ほどの女性と同じことを答えてきました。

仕方ないね。
それじゃバックパックをバスのラゲッジスペースに入れて、
ここで出発するまで待つとしよう。

彼女は街の中心まで行って時間をつぶしていてもいいと言ってくれましたが、
ここは本当に小さな田舎町で、
僕らは午前中にほとんど回ってしまっていたのですよ。

仕方なく、もう一度フェリーターミナルに戻りました。

「あとどのくらい時間があるの?」
「ざっと2時間半」
「そんなに? どうする?」
「と言ってもしょうがないからまだ行ってない地域をぶらっと歩くか。
 とりあえずバックパックの無事を確認して出かけよう」

こうしてバスまで戻ると車内にはけっこう乗客が乗っています。

ん? みんなこれから2時間もあの中で待つ気かしらん?

そう訝る僕の目の前で突然ドアが閉まり、
バスが走りだそうとしたではないですか!

「おわっ! ちょ、ちょっと待って!
 僕たちのバックパックが積んであるんですよ!」
「え? そうなんですか?」
「出発するんですか?」
「そうです。まだ席はあります。乗ってください」

おいおい、そうならそうと先に言ってくれよ。
10秒遅かったら乗り遅れるところだったじゃないか?

ところがバスの行き先はラングナス港ではなく街の広場。
ここで16時50分まで待つそうな。
皆さま、ごゆっくり散策をどうぞ! とのこと。
で、サンドウィッチとペットボトルの水をくれました。

さんきゅ〜べりまっち。

こうして僕らは言われるがまま、
なされるがまま街の中央部で『のんびり』させて頂き、
定刻になってようやくラングナス港へ出発したのです。

ここまでくると、僕らも素直に喜びません。
案の定、グレース号は予定到着時刻になっても現れなかったし。
外は昨日と同じく強い風が吹いています。
きっと今も港の沖で足踏みしているのかも。
となると僕にできることは・・・

「とりあえず宿に遅れるって連絡を入れておくよ」

こうして殺風景なターミナル前の駐車場で待つこと約30分。
船影が見えてきたところでようやく肩の力が抜けました。

え? で、今はどの辺にいるんだ?

さっきのアナウンスによると、
あと1時間半くらいでトュルクに着くらしい・・・
んですけど・・・

『予定』ではね。

えーじ
posted by ととら at 03:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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