2018年07月17日

第16回取材旅行 その13

帰国して10日が経ちました。
すっかり日本の酷暑に体が適応した半面、
北欧の旅が遠い昔のように感じられます。

それは気候だけではなく、
さまざまな意味で彼らと僕らが違っていたからかもしれませんね。

今日のブログを書くにあたり、先に写真の仕込みをしながら、
僕はしみじみ、外国という鏡に映った日本の姿を見つめていました。

それでは最後に訪れたフィンランドは、
まずマリエハウンとトゥルクをビジュアルにまとめてみましょう。

fi_mh_ferry02.jpg

早朝にストックホルムの宿を出発した僕たちは、
フェリー会社が運行するバスで駅からターミナルまで移動しました。
建物はちょっとした地方空港くらいの規模がありますが、
カフェやキオスクなどはなく、ご覧の通りの質素な室内。

fi_mh_vm.jpg

当日券を買う乗客で混んでいた窓口を避け、
僕たちは機械でセルフチェックイン。
いかがです? この多言語対応仕様。
スウェーデン語、フィンランド語、ロシア語、ドイツ語、英語、
そしてエストニア語もありました。
さすがは国際線。いろいろな国の人々が乗っているのですね。

fi_mh_ferry01.jpg

僕たちが乗船する Viking Line の Grace号。
すごい、大きい、カッコイイ。
これまで何度か船旅を経験しましたけど、
客船とは名ばかりの貨物船のような船ばかりでしたので、
ボーディングブリッジを渡りつつ、いやがうえにも高ぶる期待。

fi_mh_ferry.jpg

でもね、一番安いチケットだからね。
あてがわれるのは雑魚寝の大部屋なのさ・・・
と思い込んで部屋ナンバーを探しつつドアを開けてみれば、
え? これって個室じゃん!
しかもベッドやトイレだけではなく、シャワーまでついてる!
物価の高い北欧で2人分5000円未満のチケットなのに、
これはあり得ん!
単純に感動しました。うん。

fi_mh_sea02.jpg

ストックホルム港を出港した船は、
大小さまざまな島の間を低速で縫い進みます。
小さな島にも人が住んでおり、生活の足はボート。
こうした環境で生まれ育ったら、どんな人生になるのでしょうね。

fi_tk_meal.jpg

子供のように浮足立った僕らはさっそく船内の探検へ出発。
中には大きな免税店を始め、ライブステージ付きのバー、
レストラン、カフェ、キッズルーム、ダンスホールなど、
ちょっとしたショッピングセンター並みのアミューズメント施設が。
ランチタイムには僕らも量り売りのレストランへ行き、
こんなリッチな食事にありつけました。
ここでも取材対象のミートボールがあるじゃないですか。
どれも美味しかったです。

fi_mh_sea01.jpg

ボスニア湾の外海出るとフェリーは速度を上げました。
強風が吹いて水面は白波が立ち、大きな船体でも微妙に揺れます。
それでも寝ていれば着く、と思いきや、
強風の影響でフェリーはマリエハウンではなく、
オーランド諸島東側のラングナス港へ航路を変更とな!
到着時刻は天のみぞ知る。

fi_mh_roadview.jpg

予定を5時間ほど遅れてラングナスへ到着した僕ら。
しかし白夜の季節のため外はまだ真昼の日差し。
マリエハウンまでのバスから見える風景は長閑なものです。

fi_mh_street.jpg

マリエハウンのフェリーターミナルでバスを降りた僕たちは、
こんな木立の道を歩いて今夜の宿まで。
人も自動車も少なく、街は別荘地のような静けさに包まれていました。

fi_mh_hotel02.jpg

泊ったのはこんな宿。モーテルっぽい作りです。

fi_mh_hotel01.jpg

土地が豊富なためか部屋は広々としていました。
夏だとその機能を実感できませんが、
窓やドアが2重になっており、
寒さ対策がしっかり講じられています。

fi_mh_phone.jpg

入って驚いたのがこれ。
今どきダイヤル式電話が現役ですよ。
『使えるものは使う。壊れたら直して使う』。
『使い捨て』を経済の原動力とするアメリカ・アジア型経済とは、
大きな違いが北欧諸国にはあります。
これはそれの目に見える一例かな?

Ifi_marihamnstreet.jpg

翌日はトゥルク行きのフェリーが出る時間まで、
街の中心部で取材です。
ま、繁華街と言ってもこのくらいの規模なんですけどね。

fi_mh_number.jpg

しかしながらオーランド諸島はフィンランドの中でも別格的な地域。
実はフィンランド共和国が成立した1912年、
スウェーデン語話者の多かったこの地域はスウェーデン帰属を求め、
あわや三つ巴の紛争の危機に瀕しました。
そこで国連の介入もあり、
懐柔策に出たフィンランド政府はオーランド諸島に、
たんなる地方分権を超えた立法権まで与えたのです。
で、このナンバープレートにご注目を。
ALANDの右側に旗があるでしょう?
これはフィンランド国旗ではなく、オーランド地方旗なのですよ。
場所こそ違いますが、中国における香港のように、
地方が国を超えた独自のアイデンティティを持っています。

fi_mhport.jpg

そうした気骨を感じつつも最大の街はどこものんびりした佇まい。
穏やかな内海の港ではひっそりと船が係留されていました。

fi_mh_salad.jpg

ここではまず島ながらのシーフードを楽しもうじゃないですか。
新鮮で文句なく美味しいエビのサラダ。
十分メインとなるボリュームです。

fi_mh_bread.jpg

ランチタイムには各種のパンのほか、
ピストゥペースト、キャロットペースト、クリームチーズが食べ放題。
ああ、全部食べたい。ちいさな東洋人の胃袋が悲しい・・・
ちなみに北欧3カ国の黒パンはロシア、バルト3国だけではなく、
デンマーク、ドイツのそれとも違っていました。
真っ黒でライ麦が強く香るどっしりタイプではなく、
軽くて酸味が少ないんですよね。

fi_mh_pancake.jpg

で、僕らの目的がこれ。オーランドパンケーキ。
焼き菓子にもかかわらずトロッとした食感が特徴のスポンジに、
生クリームとベリー系のジャムをたぁ〜っぷり添えて頂きます。
ん〜・・・幸せだ。ホッペが落ちますよ。
え? カロリー?
そんなことを考えてちゃこの仕事はできません。
心配なら歩き倒せばいいのです。

fi_mh_terminal.jpg

腹ごなしにバックパックを背負って徒歩でフェリーターミナルへ。
ん? 出港1時間前にもかかわらず、
構内はこのとおり、がらんとしています。
しかしインフォメーションボードのステータスは『定刻』。
で、チェックインして待っていたらスタッフが、
「強風で出発港がラングナスに変わりました」。
おいおい、早く言ってちょうだいよ。

fi_mh_port.jpg

結局再びバスに乗った僕たちは、昨日着いたラングナス港へ。
ここでまた暫しの待ちぼうけタイム。
ま、こうした時間も楽しみましょう。

fi_tk_sea.jpg

昨日から遅延が続いています。
トゥルク港が近付いてきたのは夜の10時近く。
『夕方』の島々が美しい。

fi_tk_port.jpg

やっとトゥルク港に接岸です。
しかし街の中心はここから4キロほど先。
着いたらすぐバス停を探さなくては。

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僕たちが泊ったのは雑居ビルの2階にあるこんな宿。
1階は飲食店や商店が並んでいます。
この地域では一応安宿に入るのかな?

fi_tk_hotel02.jpg

ともあれ部屋はご覧のとおり、とてもきれい。
一夜の宿にはもったいないくらいでした。
朝食はパンと冷菜だけの質素なものだったけど僕らには十分。
フロントのお兄さんの軽いノリが良かったな。

fi_tk_street.jpg

一夜明けたトゥルクの街のメインストリート。
1809年にフィンランドがスウェーデンからロシア帝国に割譲され、
その10年後にフィンランド大公国となるまで首都だっただけあって、
今でも商業と文化活動の中心地です。
活気がありますね。

fi_tk_riverview.jpg

少し南下するとアウラ川が静かに流れ、
両岸にはお洒落なレストランやお店が立ち並んでいます。
奥に見えるのはトゥルク大聖堂。

fi_tk_festival.jpg

ラッキー! ここで偶然お祭りに出っくわしました。
広場は中世のコスチュームを身にまとった人たちでいっぱい。
(皆さん本物さながらになりきっていました)
そこかしこから美味しそうな匂いが漂ってきます。
ん? ライブもやっていますね。
行ってみましょう!

fi_tk_lute.jpg

こういうのは本当に嬉しいサプライズ。
カラヴァッジョの絵から出てきたようなお兄さんを見て下さい。
古楽器のリュートの生音を聴けたのはこれが初めてでした。
中東のウードと形も奏法も似ていますが、
フレットが打ってあるせいか、より繊細な音色ですね。
右側の女性が弾いているバイオリンに似た楽器も、
よく見れば5弦です。
う〜ん、どんなチューニングなんだろう?

fi_tk_hardygardy.jpg

そしてこれも!
左側の女性が弾いているのはなんとハーディガーディですよ!
ジョルジュ・ラトゥールの絵をはじめ、
中世画ではなんども見たことがありましたが、
こんな音がするとは!
ん〜・・・実に興味深い。

fi_tk_astrolabe.jpg

さらに僕が目を丸くしたのがこれ。
なんでアストロラーベが北欧のヘルシンキで売ってるの?
しかもラテン文字版の新品レプリカじゃないですか。
手に取ってみた僕は間髪入れずに値段交渉。
で、この中のひとつをゲットしました。
どれかはお店カウンターでご覧ください。

fi_tk_parestinians.jpg

子供のように興奮しながら屋台を縫い歩いた僕たちを待っていたのは、
もうひとつのサプライズ。
中東の護符、『ファティマの手』が売っていたのですよ。
どうしてここで? と思い、売り手に訊いてみれば、
なるほど彼らはパレスティナから来た難民でした。
そう、今回の旅で僕たちは想像を超える数の難民の姿を目にしたのです。
彼らは中東系、アフリカ系のみならず、
古くはベトナム戦争の災禍を逃れた人々でした。
こうしたところも島国の僕たちとは大分ポリシーが違うのですね。
考えさせられます。

fi_tk_station.jpg

トゥルク駅は街の北の外れにあります。
午前中にチケット買った時はがらんとしていましたが、
出発列車の多い午後はぱらぱらと乗客の姿が。

fi_tk_sl.jpg

ここでホームを確認しようと外に出た僕は唖然としました。
突然、ごらんのSL列車が煙を吐きながら走り込んできたのですよ。
実は走る本物を見たのはこれが初めて。
驚きましたね。
出発する時は汽笛と共に水蒸気を噴き出し、
黒煙を吐きながらすごい迫力で車輪が回り始めました。

さて、残念ながら僕たちが乗る列車はこれではありませんでしたけど、
急行列車乗れば、2時間後はに最後の目的地ヘルシンキに着きます。
旅も佳境。どんなところなんでしょうね?

えーじ
posted by ととら at 16:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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