2018年07月21日

62 対 55

涼しい北欧の取材旅行から酷暑の東京に戻り、
準備していたのがアフリカ南部の料理・・・

この頭の切り換えが容易でないことは、
先にちょろっと触れましたが、
営業を再開して2週間が経っても、
この奇妙な心理的ギャップは断続的に続いています。

と申しますのも、
営業中にモザンビーク料理の説明をしつつ、
お客さまから「取材はいかがでしたか?」と問われれば、
瞬時に頭を切り替えなければならないからです。

そんな時、
仕事に集中すべきだとは分かっていても、
僕の心はしばしば旅の世界に逆戻りしてしまうんですよ。
とりわけ北欧とアフリカ南部は気候風土だけではなく、
文化や歴史も含めてまったく異なる世界でしたから。

持つ者と持たざる者・・・か。

今月17日、バラク・オバマ前米大統領が、
ネルソン・マンデラ氏の生誕100年記念で講演を行った際、
世界から未だ差別はなくなっていないと警鐘を鳴らしました。

事実、アパルトヘイトが終わって24年が経った南アフリカでも、
ニャンガやランガなどのタウンシップに一歩入れば、
酸鼻を極めた人種隔離政策の癒えない傷跡がはっきり残っています。

そうした中で今月19日に流れたのが、
イスラエルで可決された『ユダヤ人だけが自決権を持つ』という、
『国民国家法』のニュースでした。

『歴史は繰り返す』と言ってしまえばそれまでですが、
トゥルクのフェスティバルで出会ったパレスチナ難民の顔を思い出すと、
思わず仕事の手が止まってしまいます。

僕がそれを読んで溜息をついたのは、
この新しいアパルトヘイト政策がイスラエル国会において、
賛成 62 対 反対 55 で『民主的』に可決されたからなんですよ。

このブログの中で何度か申し上げましたように、
民主主義は人類史上、
最大多数の幸福を目指すという観点で優れたシステムと云えますが、
それが『正しい』判断かどうかを担保する安全装置を実装していません。

かのトランプさんだって民主的かつ合法的に、
世界で最も強力な軍隊を持つ国の最高司令官になっちゃったでしょう?
感情論に翻弄されたイギリスのEU離脱もまた然り。

北欧とアフリカ南部、中東、そして僕たちのアジア。
僕の狭い頭の中でさまざまな人々の顔が浮かんでは消えて行きます。

持つ者と持たざる者とは、奪う者と奪われる者の謂いなんですよね。

自国ファーストという我欲が対立する混沌とした世界の中で、
僕にはアパルトヘイトのさなかで獄殺されたスティーヴ・ビコの思想が、
一条の光のように思えてなりません。
それは言い換えると、

Black is beautiful. ならぬ Ordinary is beautiful.

世界を変えるのは一握りの指導者や億万長者ではなく、
われわれ凡人一人一人の心の革命なのだ。

そして、圧政者を倒すために新しい圧政者になる必要はない。

なんですよ。

えーじ
posted by ととら at 15:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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