2018年08月22日

入院日記パート2 その5

ふぁ〜・・・・よく寝たな・・・

ん? んん? ここはどこだ?

・・・・・そうか、入院したんだった。
まだ暗いな・・・腕時計は?

僕はベッドの脇に寄せておいたテーブルに手を伸ばしました。

あれ? よく見えない。
そうだ、メガネ、メガネ・・・どこに置いたっけ?

時刻は5時半。
寝不足と疲労で8時間以上も爆睡していたようです。

体の調子はどうだろう?
昨日に比べたらだいぶ良くなったと思うけど・・・
試しに自力で起きれるかやってみるか。

まず、体を右側を下にして横向けに・・・横向け・・・
よし・・・左腕でベッドの柵を握り・・・右腕で少しずつ・・・
押し上げ乍ら・・・体を起こす・・・起こす・・・起こ・・・
うっ! いてててて・・・まだダメか。
そう言えば最後に痛み止めを飲んでから10時間くらい経ってるな。
食事前だけど先に飲んでおこう。

やがて時計が6時を回ると病院の朝が始まります。
薄いカーテン越しに人の声や機材の触れ合う音が聞こえ始めました。
8時の朝食の前に検温と血圧測定。
僕は寝転がったまま本を読みつつ食事が始まるのを待っていました。

薬が効いてきたのかな?
さっきより腰の筋肉のこわばりがなくなって来たような気がする。
試しにもう一回、自力で起きられるか挑戦してみるか。

さっきの調子でゆっくりやってみると・・・

お、起きれたぞ!
こいつは大きな進歩だ。朝飲んだ薬が効いたんだな。

「おはようございま〜す! 食事をお持ちしました」

入って来たのは元気のいい介護士の女性。
外見からすると日本人ではなさそうです。

「ありがとうございます」

上げ善据え膳はありがたい。
温泉旅館みたいじゃん。
へぇ〜、温野菜のカレー煮とパンにミルクか。
軽めでいいね。あんまりお腹も空いていないし。
完食した僕に彼女は、

「ゴメンね〜、病院の食事は美味しくなくて」
「そんなことないですよ」
「そ〜お? ほんとに?」
「どちらの国からいらっしゃったのですか?」
「わたし? フィリピンよ」
「へぇ〜、行ったことがありますよ。10年以上前だけど。
 日本語がとても上手ですね。
 フィリピンでは英語も通じますよね?」
「Yes I do. Much better than my Japanese. You too?」

ここから突然会話が英語に変わり、
思わぬところで懐かしいフィリピン旅行の話で盛り上がりました。
今は医療現場でさまざまな国籍の人が働いているのですね。
そのうち『旅の食堂』ではなく『旅の病院』なんてのも、
できるんじゃないかしらん?

あっという間に時計は10時を回り、
午前中のメインイベント。
ドクターの回診です。

「いかがです?」
「おかげさまで昨日よりだいぶ良くなりました。
 さっき自力で体が起こせたので、
 今日は立ち上がることを目標にしたいと思ってます」
「薬の効果が出ているようですね。それでは歩行器を持ってこさせましょう」

午前中の点滴が終わると次の課題はトイレです。
昼食が始まる前に済ませておかなくてはなりません。

よ〜し、このコンディションならやれるかもしれない。
まず立ち上がれるかトライしてみよう。

僕はさっきの調子で上半身を起こし、
両腕で体を持ち上げるようにして腰を軸に足をベッドの外へ向けました。
脇に歩行器が置いております。
それを引き寄せ、

OK。呼吸を整えて・・・
両手で歩行器を掴み・・・懸垂するように・・・
うっ・・しびれるねぇ・・・
ゆっくりやろうぜ・・・腕で体を持ち上げて・・・少しずつ・・・
少しずつ・・・足に体重を移して・・・少しずつ・・・

いぇ〜、やったぜ!

僕は赤ちゃんが練習するようにぎこちなく立ち上がりました。

今日は調子がいいな。午前中にここまで出来るとは。
でもま、焦りは禁物だ。あとはランチが終わってからにしよう。

取りあえず自然の要求は尿瓶で対応し、
昼食は再び上げ善据え膳のフルサービス。
室内は外の酷暑が嘘のように涼しく、
硬めで寝心地のいいベッドをソファー代わりにした僕は、
ちょっとした休暇気分になってきました。

いやいや、こうくつろいでいちゃまずい。
この時間もともこがひとりでランチ営業をやっているんだからな。
とにかく少しでも早く回復して戻らないと・・・
じゃ、午後のミッションを始めてみますか。

僕は午前中と同じ手順で立ち上がりました。

よ〜し、昼食後の薬の効果もあるのか、
1回目より背中のミシミシ感が減ってるぞ。
これならトイレまで行けそうだ。

カーテンを開けると病室を出てすぐ右側に、
車椅子でも入れるトイレが見えました。

あれだな? 距離にして5メートル・・・か。
往復で約10メートル。
歩行器を使って背骨にかかる体重を分散しながら進めば、
行けなくはなさそうだ。
よし、やってみよう!

僕は一歩ずつ数えるようにして前に進みはじめました。
歩行器の取扱いは6年前の経験が役に立っているようです。
看護士の女性が心配そうに見ていましたが、
サムアップでサインを送りミッション続行。
こうした時に大切なのは、ショートショートで目標を作り、
そのひとうひとつに集中することです。
立ち上がり、トイレの前まで進み、扉を開け、
転回してバックでトイレに入り(こういうのが経験なんですよ)、
パンツを降し(片手では難しい)、便座に座り、用を足す。
そしてその逆をやりながらベッドまで戻る。

Mission complete!!

「どう? まだ痛い?」

夕方、今日もともこが来てくれました。
僕はここまでの経緯を話し、

「明日は歩行器なしでトイレの往復に挑戦してみるよ。
 それが出来たら退院できるかドクターに相談してみよう。
 立ち仕事はまだ無理かもしれないけど、
 店で会計くらいならやれるかもしれないからね」

とは言ったものの、はてさてどうなるか?
すべては明朝の調子次第だな。

そんなことを考えつつ、薬の副作用の所為か、
目を閉じたらそのまま眠ってしまいました。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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