2018年09月17日

第16回取材旅行 その18 最終回

北欧諸国に『生き方の自由』の点で大きく引き離された僕らの日本。
前回は僕なりに考えた原因のひとつ、
メード イン ジャパンの悲しい『王道主義』についてお話しました。

自ら入る『概念の檻』ともいえるこのイズムは、
信仰に近い力を持って、
この島国に広く深く根を張っていると僕は考えています。

そしてその巨木から咲いた暗黒の花が『普通主義』。

これまた簡単に例を挙げると、

”僕は性的に女性が好きです。
 男性に性的な関心は持っていません。
 男性が女性を好み、女性が男性を好きなるのは自然なこと。
 そうでなければ子供が出来ませんからね。”

というのが『普通主義』の典型的な考え方のひとつ。
自然科学を引用しているようでいて、
実は自分の感覚を世界標準に拡大しているだけです。

僕がこれを怖いと言ったのは、こうした考え方が自らを『普通』と称し、
それ以外を排除しようとする傾向がきわめて強いからなんですよ。
そしてこの考え方を持つ人が増えて『普通』を『正常』と言い換え、
『普通ではない』を『異常』とした時、
さらに『正常』を『優秀』と言い換え、『異常』を『劣等』とした時、
僕たちの歴史の中では、
凄惨なエスノサイドが繰り広げられたのではなかったでしょうか?

先日炎上した杉田水脈衆議院議員の書いた記事は僕も読みましたが、
彼女が開陳した意見の後半は、
まさしく典型的な『普通主義』の吐露でした。
LGB(T)のひとは普通じゃない。
日本を自分のような異性愛以外の人が蔓延した国にしたくない・・のね。

僕は彼女が個人としてこうした思想を持つことそのものは、
どうでもいいと考えています。
しかし代表民主制の国会議員が持っているとなると、
話は思いっきり変わってくるでしょう。

なぜなら彼女が『代表』となるからには、
彼女の意見に賛同する人がそれなりの数でいるということを意味するからです。
(さいわい小選挙区ではなく、比例代表で当選した議員ですが)

これはマジで怖い。

え? そんな人は自分の周りにはいない?
そうですか?

じゃ、ちょっとしたチェックプログラムを走らせてみて下さい。
会話や文章の中で「常識」「絶対」「普通」「当然」「当り前」「ありえない」、
こうしたキーワードが
発言者の考えを正当化する目的で飛び交っていません?

僕は杉田議員の記事を繰り返し読んで、
心底「むわぁ〜・・・」っと思いましたよ。

だって彼女たちが力をつけてその主張に沿った法案を通すようになったら、
僕なんか再教育キャンプ行き間違いなしですからね。
なぜなら僕は異性愛ですが、異性愛以外の友人がいますし、
彼、彼女、そして彼でも彼女でもない人たちも好きだから。

ここでも誤解なきよう言っておかなければなりませんが、
僕は友人たちがLGBTの何れかだから好きなのではありません。
これまた僕にとってはどうでもいいことなのです。

もっと言えば、あなたの性がなんだろうが、肌が何色だろうが、
国籍が何処だろうが、何語を母語としていようが、宗教がなんだろうが、
僕にとってはあまり大きな意味はない。

なぜなら僕は、あなたをただの地球人としてしか見ていないから。

その逆もまた然り。
僕は社会的なステータスではなく、
(さいわい、ちやほやされるものはありませんけど)
素の自分として接してもらえる時が一番うれしい。

スウェーデンでは、
早くも1944年にホモセクシャルの差別が法律で禁止されました。
多様性についてのスタンスは、
2018年になっても『普通主義』が跋扈している日本を
完全にぶっちぎっていると思います。

「君は自分の国籍をどこだと思う?」

オスロで出会ったベトナム系ノルウェー人のダニエルにこう訊いた時、
「そうですね・・・」と少し考え込んでから、

「やっぱりノルウェーかな?」

彼はそう答えてきました。
これはあくまでひとつの限定された例ですが、
それでも難民の2世が下した、
受け入れ国についての大きな評価だと思います。

僕たちの日本は、こんな風に思ってもらえているのでしょうか?
(難民の受け入れ率は申請数のたった0.2パーセントですけど)

とまぁ、北欧の旅の後半は、
日本人としての自己卑下的なお話が多くなってしまいましたが、
僕は奇妙な高揚感を持って帰国の途についたのでした。

人類の壮大な社会システムの実験は共産主義で打ち止めとなり、
それがキューバを残して形骸化したいま、
僕らはバグだらけの民主主義+資本主義でやって行くしかないのか?
と、気が滅入っていたのですが、
ところがどっこい、北欧では静かな革命が進んでいたのですね。

今回の旅は行って良かった。

僕は心からそう思っています。

えーじ(生産性なし)

fi_us.jpg

See you on the next trip!!

P.S.
今回、ところどころで統計資料を引用しましたけど、
ご参考程度に読んでおいて下さい。
裏を取っていない数字は出どころが何処であれ、
僕は手放しで信用していませんので。
posted by ととら at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/184448643

この記事へのトラックバック